JPH0426741A - 高温、高濃度硫酸用Pd添加ステンレス鋼 - Google Patents

高温、高濃度硫酸用Pd添加ステンレス鋼

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JPH0426741A
JPH0426741A JP2131258A JP13125890A JPH0426741A JP H0426741 A JPH0426741 A JP H0426741A JP 2131258 A JP2131258 A JP 2131258A JP 13125890 A JP13125890 A JP 13125890A JP H0426741 A JPH0426741 A JP H0426741A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は硫酸プラントにおいて、高温、高濃度硫酸環境
下で稼動する吸収塔、冷却塔、ポンプ、タンク等に適用
される耐食性及び加工性に優れたステンレス鋼に関し、
特に90〜100%の高濃度、かつ240℃までの硫酸
中において優れた耐食性を有するオーステナイトステン
レス鋼に関する。
〔従来の技術〕
一般に硫酸は金属材料に対して厳しい腐食性を有する。
特に10〜80%程度の中濃度域において金属材料の腐
食は著しい。これは主に硫酸が非酸化性の酸であること
に起因する。このような環境で耐食性を有する材料とし
ては、100℃以下の温度でNi基合金(例:ハステロ
イB、C−276・−・商品名)の一部や鉛等に限られ
ている。
一方、硫酸濃度が90%以上の高濃度となると、硫酸は
その性質が非酸化性の酸から酸化性の酸になることが知
られている。この濃度域では中程度域において耐食性に
乏しい金属材料が使用で寺ることもある。例えば軟鋼は
低温度の98%硫酸中では表層にPe5O<皮膜を生成
するために耐食性が良好となる。したがって常温(20
℃付近)では耐食材料として使用される例もある。しか
しながら、こ\で問題とする温度が240℃までの高温
度域では腐食性が非常に厳しくなる。この高温度域にお
いては、軟鋼は表層のPi!SO4皮膜が溶解し耐食性
は著しく悪化する。また一般のオーステナイトステンレ
ス鋼フェライトステンレス鋼及びNi基合金も耐食性に
乏しく、特に中濃度域で比較的耐食性に優れるNi基合
金(例:ハステロイB、(,276・商品名)や鉛は高
濃度、高温域では耐食性が劣悪となる。
現在までのところこのような環境で十分な耐食性を有し
、実際に硫酸プラント等の機器に適用されている材料は
みあたらないが、こ−で対象とする温度より比較的低い
温度域(〜120℃)においては、従来から高Si鋳鉄
(Si14%以上含有)が比較的よい耐食性を有するこ
とが知られている。これは成分であるSiが耐食性に有
効に寄与するものと考えられている。また最近では高C
r含有のフェライトステンレス鋼も比較的よい耐食性を
示すことが報告されている。
これをCrが耐食性に有効に寄与していること及び耐食
性に悪影響を与えていると思われるN1の含有量が少な
いことに起因しているものと思われる。しかしながら、
両鋼種とも加工性に問題があり、特に高Si鋳鉄は加工
、溶接かはとんどできないことから大型の機器には利用
されていない。したがって現在まで、120℃までの温
度域で90%以上の高濃度硫酸環境を有する硫酸プラン
ト吸収塔のような大型機器には耐酸レンガを内部ライニ
ング材として使用しているのが実情である。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来材については現在次のような問題がある。
耐酸レンガの場合には使用する際レンガの合せ目にバイ
ンダーが必要であるが、このバインダーが硫酸により劣
化し、硫酸の洩漏が生じ、数年に一度の全面補修を要す
る。またこ5で対象とする環境下(硫酸濃度90%以上
、温度〜240℃)で使用する場合にはバインダーの劣
化はさらに著しく促進され、レンガの耐食性も著しく悪
化する。
また、この環境下では、他の材料に比較し、耐食性が良
好な高Crフェライトステンレス鋼の腐食速度は実用性
の目安となる0、1g/m2・hを大きくうわまわり耐
食性に乏しい。これは加工性を確保するために、この環
境下で必要とされる耐食性を満たす量(35%以上)ま
でCrを添加することができないことによる。Crを多
く添加すると、材料はもろくなり圧延などの加圧が困難
となる。さらに溶接については溶接部が硬化しやすいこ
とから溶接の際、予熱、後熱等の熱処理が必要となるた
め、オーステナイトステンレス鋼に比ベプラント機器等
の建設時及び補修時に大巾なコスト高ともなる。
また高81鋳鉄では材質がもろいために加工、溶接がほ
とんどできないという問題が依然として残る。
本発明は上述した技術水準に鑑み、高温・高濃度硫酸環
境下において従来材において問題となっている耐食性の
乏しさを解決すると同時に溶接加工性にも問題のないオ
ーステナイトステンレス鋼を提供しようとするものであ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は重機%で、C:0.04%以下、SI:5〜7
%、Mn:2%以下、Cr:15〜25%、N1:4〜
24%、Pd:0.01〜1.07%、残部Feおよび
不可避的不純物からなる合金で、Pdを微量添加するこ
とにより高温、高濃度硫酸環境での耐食性を著しく向上
させたステンレス鋼である。
本発明鋼の基本的特徴は高温、高濃度硫酸環境下での耐
食性を著しく向上させるため、Cr。
Ni  Siの3成分の複合添加を基本に、微量かつ適
量のPdを添加してなる点である。以下これら合金元素
の添加効果について説明する。高温(100〜120℃
)、高濃度(90〜100%)硫酸中において、高Si
鋳鉄が比較的よい耐食性を有することが知られている。
このことから耐食性向上に対するSiの効果が伺える。
また同環境下で、ステンレス鋼においてはCr含有量が
多いほど耐食性の向上に寄与することが知られている。
しかしながらステンレス鋼においては加工性の良好なオ
ーステナイト相を確保するためには、Cr+Si (フ
ェライト生成元素)の含有量が多いほど、それに対応す
るN1含有量が必要となる。こXで対象とする環境下で
はN1は耐食性に悪影響を与えることがわかっているた
めに、Niは望ましくはオーステナイト相を確保するた
めだけの必要最小量にする必要がある。したがってこの
ような知見をもとに加工性、溶接性に優れたオーステナ
イトステンレス鋼をベースにオーステナイト相を維持す
るために、シェフラーの状態図(金属組織と合金元素当
量の関係図)を考慮し、必要量の81を添加した。この
ようにして、高温、高濃度硫酸環境下で、ベースのステ
ンレス鋼にSiを添加していくと、耐食性が向上してい
くことを実験的に明らかにした(第1図参照)。
第1図から81を5%以上添加することによって耐食性
が著しく向上することがわかる。Siは7%以上添加し
ていくと材料の硬度が非常に上昇し、圧延が困難となる
ため添加量は7%程度の限界と思われる。このように、
Siを添加したオーステナイトステンレス鋼はよい耐食
性を有するようになるが、圧延等の加工性を重要視する
と、Si量はなるべく少ない方がよい。そこでSi量を
5〜6%にした場合にさらに耐食性を向上せしめるため
微量のPdを添加すると、耐食性が向上していくことを
実験的に明らかにした(第2図参照)。第2図に示すよ
うにPdを微量添加することにより高温、高濃度硫酸環
境下での耐食性を大巾に向上させることを初めて明らか
にした。さらに、第3図に示すように、5.5%S1添
加においてPd量は0.2〜0.6%の範囲で最も良好
な効果を示すことを明らかにした。また表1に示すよう
に6.61%S1添加においてはPd量は0.01%に
おいても耐食性に対し、良好な効果を示すことを明らか
にした。
以下に成分の限定理由をのべる。
C:Cはステンレス鋼の耐食性に有害であるか、強度の
観点からはある程度の含有歯は必要である。また0、0
4%超えると耐食性を大幅に劣化させるため、0. O
O4〜0.04%とした。
Si : Siは本発明鋼の準基本成分である。ステン
レス鋼の耐硫酸性及び耐酸化性にも有効な元素である。
高温、高濃度硫酸中においては5%以上の添加により耐
食性を著しく向上させる。
添加量が多いほど耐食性を向上させるが、7%を超える
と熱間加工性を劣化させるため5〜7%とする。
Mn:脱酸剤として2%以下含有させる。
Cr:Crは本発明鋼の基本成分である。一般の耐食性
及び高温、高濃度硫酸環境に対する耐食性を確保するた
めに、15%以上は必要である。
Cr量は多いほど耐食性は向上するが、オーステナイト
組織にするために、Ni量の増加も必要とし、Niによ
る耐食性の劣化が生じる。また、25%を超えると熱間
加工性が劣化することから15〜25%とする。
Ni : Niはオーステナイト組織にするために必要
な量として、4〜24%とする。
Pd : Pdは微量添加量であるが、本発明鋼の基本
成分である。高温、高濃度硫酸環境下において、著しく
耐食性を向上させる。耐食性を向上させるためには0.
01%以上の添加が必要であり るが、1.07%を超えると飽和し経済的にも高価にな
る。したがって本発明にあってのPdの含有量は0.0
1〜1.07%とする。
FDPは耐食性及び熱間加工性の観点から少ないことが
望ましい。0.03%を超えると熱間加工性を劣化させ
る。
このようにして従来鋼と同等の加工性を確保し、同時に
高い耐食性を有するステンレス鋼として求めた材料の例
を表1に示した。また第4図に、従来鋼との比較で、本
発明の範囲の発明鋼(表1)の位置を黒丸印で示した。
第4図において熱間加工性の指標としては、−R(Cr
当量−Ni当量)を用いた。ここでCr当量Cr+ M
o+ 1.5Si XNi当量−Ni+ 0.5Mnと
する。
R値(Cr当量−Ni当量)は、熱間加工性の難易度を
表わす指標であり、一般にCr量の多い難加工性の材料
(例えば、第4図におけるSO3447J、 、 88
26−1)についてはR値が大きく、大量に生産され、
加工性が比較的容易である材料(例えば、第4図におけ
るSUS 316L 、 SO3304L等)について
はR値の範囲は7〜20である。なお従来鋼種としては
比較のため多くの生産実績のなる材料も加えた。第4図
中のインコネル625゜C276に付されたR値は大き
すぎて図中に入らないので、その値を付したものである
〔実施例〕
表−1は本発明鋼ならびに比較鋼の化学組成と熱間加工
性及び耐食性を比較したものである。
本発明鋼については、真空アーク溶解炉にて溶解し表面
手入れ後、ステンレス鋼用条件で熱間圧延した。さらに
、本発明鋼を溶体化処理後、試験に供した。耐食試験は
98%硫酸溶液を用い、主に100〜220℃の温度で
24時間浸漬した後、重量減から腐食速度を求めた。熱
間加工性については便宜的に、熱間加工性の指標として
、R=(Cr当量−N1当量)を求めることにより鋼種
間の比較を行なった。ここでCr当量Cr+ Mo+ 
1.5Si 、  Ni当量= Ni+ 0.5Mnと
する。
表−1から本発明鋼において、0.5%Pd添加鋼(2
,3及び4)は同組成の比較鋼(7)に比べ耐食性が優
れていることが明らかである。また0、5%Pd添加鋼
(2,3及び4)の耐食性が1.07%Pd添加鋼(5
及び6)よりも優れていることがわかる。さらに本発明
鋼の熱間加工性は比較鋼の中で、特に一般に多く生産さ
れている耐硫酸用鋼(1)に比べても路間等であること
がわかる。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明はSi添加を基
本に、微量のPdを添加することにより、高温、高濃度
硫酸環境下において、優れた耐食性及び良好な加工性を
有するオーステナイトステンレス鋼を提供するものであ
る。本発明による耐食材料は従来材に比較し、十分な耐
食性と同時に加工性を確保したため、高温、高濃度環境
下における適用範囲の広さにも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は高温・高濃度硫酸中におけるSi添加鋼の腐食
速度とSi添加量の関係を示す図表、第2図は本発明鋼
及び従来鋼の腐食速度に及ぼす温度の影響の比較を示す
図表、第3図は本発明鋼における腐食速度とPd添加量
の関係を示す図表、第4図は本発明鋼と従来鋼の耐食性
及び加工性の比較を示す図表である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 重量%で、C:0.04%以下、Si:5〜7%、Mn
    :2%以下、Cr:15〜25%、Ni:4〜24%、
    Pd:0.01〜1.07%、残部Feおよび不可避的
    不純物からなることを特徴とする高温、高濃度硫酸用ス
    テンレス鋼。
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