JPH042661B2 - - Google Patents

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JPH042661B2
JPH042661B2 JP62150313A JP15031387A JPH042661B2 JP H042661 B2 JPH042661 B2 JP H042661B2 JP 62150313 A JP62150313 A JP 62150313A JP 15031387 A JP15031387 A JP 15031387A JP H042661 B2 JPH042661 B2 JP H042661B2
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) この発明は、溶接部の強度および靱性に優れる
冷延鋼板およびその製造方法に関し、特に自動車
用冷延鋼板に対するスポツト溶接をはじめとし
て、TIG溶接やMIG溶接を施した場合における
溶接性ならびに溶接部材質の有利な改善を図ろう
とするものである。 (従来の技術) 加工性とくに深絞り性を改善した冷延鋼板の主
たる用途は自動車の内・外装板である。従つて従
来は、自動車用部品にプレス成形される場合に鋼
板に要求される材料特性を満足する最適の条件を
得ることを前提として主に研究が行われてきた。
特に自動車用鋼板の場合、多種多用のデザインに
適応する必要上、深絞り性に対応するr値の改
善、あるいは形状凍結性の観点から低降伏応力
化、加工硬化率の改善などが重要視されてきた。 このような観点から開発された深絞り用鋼板の
製造技術は、例えば特開昭59−193221号公報ある
いは発明者らが先に出願した特願昭61−219803号
明細書などに開示されている。 しかしながら、これらの先行技術においては、
成形性と並んで重要な特性と考えられるスポツト
溶接性や溶接部の特性とくに靱性に関してはほと
んど考慮されていない。スポツト溶接作業は、プ
レスおよびその他の方法で成形された部品の組み
立て作業において不可欠の要素であり、かかるス
ポツト溶接の作業性ならびに溶接部の機械的性質
はその鋼板の総合特性を評価する上で成形性とと
もに重要である。 なおスポツト溶接性に関してはわずかに特開昭
61−110757号公報に報告されているが、同公報に
開示の表面酸化膜の厚み制御は、工業生産への適
用が極めて難しく実用的とは言い難い。 (発明が解決しようとする問題点) 加工性とくにプレス成形時における深絞り性や
形状凍結性の観点からは、伸び(El)とランクフ
オード値(r値)を改善し、併せてY.S.を低く
(低Y.R.)するのが良いとされ、そのための製造
技術が極低炭素化によつて実現された。しかし一
方でこの様な鋼板をスポツト溶接に供した場合
は、従来鋼より強度の点で劣り、しかも適正溶接
条件範囲が従来鋼種より高溶接電流側にずれるた
めスポツト溶接機の消耗が早くなるという新たな
問題が生じた。 この発明は、上記の問題を有利に解決するもの
で、プレス成形性を損うことなしにスポツト溶接
性および溶接部の機械的性質を改善した冷延鋼板
をその有利な製造方法と共に提案することを目的
とする。 (問題点を解決するための手段) まず、この発明の解明経緯について説明する。 加工性すなわちr値やElを改善するには、C量
の低減が有効であり、その結果鋼は軟質化する。
しかしながらスポツト溶接性を改善する技術の開
発研究の過程で、発明者らは、軟質化しすぎた鋼
板では、スポツト溶接時に電極からの加圧によつ
て局部変形が容易に起こるために、電極−鋼板間
あるいは鋼板−鋼板間の接触抵抗が異常に低下す
ることを突き止めた。極軟質鋼板のスポツト溶接
時における適正溶接条件範囲のずれは、かかる電
気抵抗の低下に起因すると考えられる。したがつ
て適切な鋼板特性としてY.S.の調整が重要とな
る。 Y.S.を上昇させるにはC、N、Mn、P、Si等
の合金元素の添加量を増加させることが一般的な
手法であるが、反面でr値やElの低下は免れ得な
い。従つてこの様な特性の劣化を最小限に抑制す
るためには、より少ない合金元素添加量でY.S.の
上昇効果を得る必要があり、発明者らはこの点に
着目して、加工硬化特性が良好な鋼板の開発を鋭
意進めた。 その結果、とくに多量の合金元素を添加せずと
も、Ti添加によつて形成されるTi析出物の粒径
を小さくすることによつて加工硬化特性が改善さ
れ、小さなスキンパス圧下量でY.S.を効果的に上
昇させ得ることの知見を得た。 またスキンパス圧延によつて導入される転位を
微細析出物との相互作用によつて効果的にY.P.
の上昇に結び付けるには、粒径が0.05μm以下の
析出物をいかに多く鋼中に分散させるかが重要で
あることも判明した。 さらにかくして得られた鋼板は、単にスポツト
溶接性が向上するだけでなく、溶接部の特性とく
に強度と靱性が母材に劣らず優れていることも併
せて究明した。 この発明は、上記の知見に立脚するものであ
る。 すなわちこの発明は、C:0.004wt%(以下単
に%で示す)以下、Si:0.1%以下、Mn:0.5%
以下、P:0.025%以下、S:0.025%以下、N:
0.0040%以下、Ti:0.01〜0.04%、Nb:0.003〜
0.010%、B:0.0001〜0.0010%およびAl:0.01〜
0.10%を含有し、残部は実質的にFeの組成にな
り、かつ鋼中に、粒径:0.05μm以下のTiの微細
析出物がTi量換算で30ppm以上均一に分散して
なる、溶接部の強度および靱性に優れる冷延鋼板
である。 またこの発明は、C:0.004%以下、Si:0.1%
以下、Mn:0.5%以下、P:0.025%以下、S:
0.025%以下、N:0.0040%以下、Ti:0.01〜0.04
%、Nb:0.003〜0.010%、B:0.0001〜0.0010%
およびAl:0.01〜0.10%を含有し、残部は実質的
にFeの組成になる溶鋼の凝固・冷延過程におい
て、少なくとも1300〜1000℃の温度範囲について
は3.0〜10.0℃/minの冷却速度で冷却し、その後
スラブを750〜1200℃の温度に加熱してから、熱
間圧延ついで冷間圧延を施し、しかるのち700〜
900℃の温度範囲で連続焼鈍を施すことから成る
溶接部の強度および靱性に優れる冷延鋼板の製造
方法である。 以下この発明を具体的に説明する。 Y.S.の調整は、スポツト溶接サイクルの初期に
おいて接触抵抗を高レベルに維持し小さな溶接電
流で高い発熱効果を得るのに有効であるが、さら
にサイクルが進んで発熱温度が高くなり、鋼板が
軟化すれば、高Y.S.による効果は消失する。すな
わち、スポツト溶接部の機械的特性は、溶接前の
鋼板組成および組織と溶接に伴う高温極短時間の
熱サイクルにさらされた後の冶金組織変化にもど
づき変化する。 この発明の特徴は、かかる変化が機械的特性に
有利にはたらく条件を解明したところにある。 すなわち鋼中に微細なTi析出物を分散させて
おくと、極低炭素鋼においては、小さなスキンパ
ス圧下量でY.S.が上昇し、従つてスポツト溶接時
に接触抵抗が高まるので同じ溶接電流で発熱効率
を高めることができる。 また溶接部特性の改善に対しても有利であり、
この効果はスポツト溶接部に限らずTIG、MIG
溶接部においても同様に得られる。すなわち、高
温短時間加熱された時に鋼中に微細に分散した
Ti析出物が、加熱時の組織の粗大化を抑制する
とともに、冷却時においては鋼変態のサイトとし
ての役割をはたすことによつて溶接部組織を非常
に微細にし、その結果溶接部の強度、靱性は向上
するのである。 さらにこの発明鋼においては、Ti析出物の分
散効果をNbとBの複合添加によつて助長し、一
層効果を高めている。 なおこの様な効果を得た上で、薄鋼板に本来要
求されるプレス成形性等の特性は、C量を40ppm
以下と極力少なくすることによつて補償される。 以下この発明において鋼の成分組成を上記の範
囲に限定した理由について説明する。 C: 鋼を軟質化させ、El、r値を改善するにはC
含有量を極力低下することが有利である。C含
有量が0.0040%を超えると材質が大幅に劣化し
はじめるのでC量の上限は0.0040%に定めた。 Si、Mn: Si、Mnはいずれも、脱酸剤として有効に寄
与するが、過剰に含有されると延性を害する原
因となるもので、上限をSiは0.1%、Mnは0.5
%とした。 P、S: いずれも不純物元素であり、極力低減させる
ことがのぞましいが、ともに0.025%以下程度
なら許容できる。 N: Cと同様、鋼を軟質化させ、El、r値を改善
するには含有量を極力低減することが有利であ
る。N含有量が0.0040%を超えると材質が大幅
に劣化しはじめるので上限は0.0040%とする。 Ti: N、S、C等の固溶成分を固定するのに有用
なだけでなく、後述するとおり、これらの元素
との析出物形成により材質の改善に多大の効果
を示す。 しかしながら添加量が0.01%に満たないとそ
の添加効果に乏しく、一方、0.04%を超えると
Ti析出物の粗大化傾向が強まるので、0.01〜
0.04%の範囲で添加するものとした。 Nb: Nbは、Bと共存することによつてスポツト
溶接部の組織を微細化し、溶接部の硬度を上昇
させるのに有効に寄与する他、Tiとの複合添
加により高El、高r値を確保した上でY.P.を
高める有用元素である。しかしながら含有量が
0.003%に満たないとその添加効果に乏しく、
一方0.010%を超えるとY.P.の過度の上昇を招
くので、0.003〜0.010%の範囲で添加すること
とした。 B: NbおよびTi析出物との存在下で微量添加す
ることによりスポツト溶接部及び母材の強度と
くにY.S.を上昇させるのに有用である。その効
果は0.001%以上の添加により認められるが、
多量の添加は材質の劣化を招くため上限は
0.0010%とした。 Al: 脱酸効果があるので0.01%以上添加する。た
だし不純物としての材質への悪影響を防止する
ために0.10%を上限とする。 さてこの発明における必須成分の適正範囲は上
記のとおりであるが、成分組成を上記の範囲に限
定しただけではこの発明で所期した目的を達成す
ることはできず、所期した目的達成のためには鋼
中に粒径:0.05μm以下のTiの微細析出物を所定
の量分散させることが肝要である。 第1図に、Tiの微細析出物が鋼のY.P.に及ぼ
す影響について調べた結果を、粒径:0.05μm以
下のTi析出物のTi換算量とスキンパス圧延(圧
下率:0.8%)によるY.P.の上昇量との関係で示
す。 同図より明らかなように、微細析出物のTi換
算量が30ppm以上になると、スキンパス圧下量は
同じでもY.P.の上昇量(ΔY.P.)は増大してい
る。 このようなY.P.の上昇効果は、極低炭素鋼に
おいて過度の軟質性に起因した溶接性の劣化を防
止するのに有利である。 次に第2図に、鋼板のY.P.とスポツト溶接に
おける溶接可能電流範囲との関係を示す。 同図より明らかなように、ΔY.P.が増大し全Y.
P.が大きくなると、溶接電流が全体として低下す
ると共に溶接可能電流範囲が拡大する。 このようにΔY.P.が増大し、全Y.P.が大きくな
ると溶接性の改善がもたらされるので、この発明
では、ΔY.P.の効果的な増大を達成するために、
鋼中にTiの微細析出物をTi量換算で30ppm以上
の範囲に限定したのである。 ここにTi析出物の粒径を0.05μm以下に限定し
たのは、粒径が0.05μmを超えると、Ti析出物の
量が増加しても所期したほどの溶接性の改善、さ
らには溶接部の強度、靱性の向上は望み得ないか
らである。 ところでTiの微細析出物は、主にTiNである
ことから、このTiとNの量をコントロールする
ことによつて一層有利にTi析出物としてのTiN
の微細化を図ることができる。 すなわちS量を0.01%以下に制限した上で、Ti
とNとの重量比Ti/Nを1.7以上、6.8以下に規制
することによつて、より効果的に粒径0.05μm以
下のTi析出物が得られるのである。 第3図に、Ti/Nがそれぞれ4.0と8.0の条件下
で、粒径が0.05μm以下のTi析出物を同量確保し
た場合における、粒径:0.05μm超のTi析出物の
析出量について調べた結果を示す。 同図により明らかなように、Ti/Nが1.7〜6.8
を満足するTi/N=4.0のときの方が、全体的に
平均して微細なTi析出物が得られている。 粗大なTi析出物量が増加することは、分散効
果が弱い不要なTi析出物を多量に含むことにな
るから、上記したようなTi析出物の有効利用の
点で不利なだけでなく、加工性の劣化やコスト高
を招く要因ともなる。 ここにTi/N比が1.7に満たないと、N量に対
してTiN量が少なくなると共に充分な量の固溶
Bが確保できず、一方6.8を超えるとTiNの絶対
量は増加するものの微細析出物の析出割合が減少
するので、Ti/Nが1.7〜6.8の範囲で添加するの
が望ましい。 第4図に、Ti/N比と粒径0.05μm以下の微細
なTi析出物の析出量との関係について示したが、
Ti/N比が1.7〜6.8の範囲においてとりわけ良好
な結果が得られている。 なおこのときS量を0.01%以下に制限するの
は、TiSの析出を抑制してTiの無用の消失を防止
し、TiN微細析出物の析出効果を高める上でよ
り有利だからである。 次にこの発明に従う製造法を工程順に具体的に
説明する。 この発明で所期した効果を十分に発揮させるに
は、鋼の成分のみならずその製造条件の適正化を
図ることによつて微細なTi析出物を適正量分散
させることが重要である。 この発明法では鋼の凝固、冷却時における冷却
速度がとりわけ重要である。すなわち鋼を少なく
とも1300℃から1000℃までの温度範囲については
3.0℃/min以上の冷却速度で冷却することが肝
要である。 第5図に、鋳造過程において1300℃から1000℃
までの温度範囲を、0.5℃/minから5℃/minま
での範囲にわたつて変化させて冷却し、Ti析出
量を粒径が0.05μm以下と0.05μmを超える場合の
2水準に分離して定量分析した結果を示す。 同図より明らかなように、冷却速度の増加とと
もにトータルのTi析出量は減少しているが、粒
径が0.05μm以下のものについてはその量は逆に
増加しており、とくに冷却速度が3.0℃/min以
上の範囲において粒径0.05μm以下のTiの微細析
出物が大量に安定して析出している。 しかしながら10.0℃/minを超える速度で冷却
してもその効果は飽和に達し、むしろ設備の面で
の負荷が増大するので、1300℃から1000℃までの
間の冷却速度は3.0〜10.0℃/minの範囲に限定し
た。 なおかかる冷却速度は、造塊法は勿論のこと、
通常の連続鋳造法でも達成できない速度であるの
で、所定の冷却速度を確保するためには強制冷却
を実施するとか、スラブの板厚を制限するなどの
工夫をこらす必要がある。 ついで得られたスラブを加熱するわけである
が、このスラブ加熱工程においても、Ti析出物
の粗大化を招くことがないように、1200℃以下の
比較的低温で加熱する必要がある。 第6図に、スラブ加熱温度とTi析出物のトー
タル量および粒径0.05μm以下の微細析出物量と
の関係について調べた結果を示す。 同図より明らかなように、スラブ加熱温度が
1200℃を超えるとTi析出物のオストワルド成長
によつて微細なTi析出物の量が急激に減少する
ので、この発明ではスラブ加熱は1200℃以下で行
うものとした。 しかしながら加熱温度が750℃を下回ると次の
圧延時における変形抵抗が高くなりすぎて圧延機
の能力を上回ることとなるので、加熱温度は750
〜1200℃の範囲に限定した。 その後常法に従つて熱間圧延ついで冷間圧延を
実施したのち、700〜900℃の温度範囲で連続焼鈍
を施したのちスキンパス圧延を施して製品板とす
る。 ここに連続焼鈍温度を700〜900℃の範囲に限定
したのは、次の理由による。 下限の700℃は再結晶集合組織を得るために必
要な温度であり、一方上限の900℃は鋼板の過度
の軟質化を防ぐためおよびTi析出物の粗大化を
防止するためである。 なおスキンパス圧延は、通常の板厚%程度で充
分である。 (作用) Ti、Nb、B添加の溶接部における作用効果に
関してまとめると以下のとおりである。 まずTiは、ある程度の材質確保とNの固定お
よびTi析出物の微細分散に必要である。次にNb
はTiの材質向上効果を補うと共に、Bとの共存
によりTi析出物の分散効果に加えて著しい組織
微細化効果を持つ。さらにBは、単独では組織微
細化効果をほとんど有しないが、NbあるいはTi
析出物との共存でその効果が著しい。 Ti−Nb−Bの複合添加の効果が得られる理由
はいまだに不明な点も多いが以下のように考えら
れる。 スポツト溶接時には鋼板は一部溶融しかつその
近傍もかなり高温となる。その際一般に極低炭素
鋼は著しく結晶粒が粗大化する。これが従来、極
低炭素鋼の溶接部の組織が健全でなかつた理由で
あり、溶接部の強度が低かつた最大の理由であつ
た。 しかるにこの発明鋼においては溶接部近傍の組
織が粗大化するどころかむしろ微細化することが
確かめられている。 溶接部組織の微細化を考えるとき溶接熱サイク
ル時の各段階すなわち、 加熱(γ化) 保持(溶融) 冷却(凝固) の3段階について考慮する必要がある。 この発明は、これらすべての段階において組織
の微細化のために有効な対策を講じている。 すなわちおよびの加熱状態においては、γ
化の際の結晶粒核発生を推進しかつその後の粒成
長を抑制するため、微細Ti析出物の分散効果を
利用している。つまり鋼中に分散した粒径0.05μ
m以下のTi析出物と溶接熱サイクル時の鋼板組
織変化との相互作用によつて加熱時のγ粒組織の
粗大化を抑制するのである。またの冷却時にお
いても、鋼中に分散した微細Ti析出物によつて
γ粒の粗大化を抑制するとともに、冷却時の変態
においてもTi析出物およびNb、Bの複合添加に
よつて微細でかつ緻密な溶接部組織を得ている。
この時の組織は通常観察される等軸粒ではなく針
状組織であり、極低炭素鋼としては非常にまれな
組織を示していることもこの発明鋼板の特徴であ
り、この様な微細な溶接部組織を得ることによつ
て溶接部の強度を母材と同等に保持できるととも
に、優れた低温靱性が得られるのである。 (実施例) 実施例 1 表1に示す成分組成になる溶鋼を連続鋳造し、
得られた連鋳スラブの冷却過程において、1300〜
1000℃の温度範囲を0.5〜5℃/minの種々の冷
却速度で冷却し、Ti析出物の粒径が異なる種々
のスラブを作成した。
【表】 ついで各スラブを1150℃に加熱したのち、熱間
圧延ついで冷間圧延を施し、しかるのち770℃の
温度で連続焼鈍を行つた。 かくして得られた冷延板のうち、スラブの冷却
過程において1300〜1000℃の温度範囲を3.0℃/
min以上の速度で冷却したものはいずれも、鋼中
に0.05μm以下のTi析出物がTi量に換算して
30ppm以上分散していた。 第7図に、各冷延板を同一条件でスポツト溶接
したのち、たがねによるハンマリングテストによ
つて脆化温度の変化について調べた結果を、粒径
0.05μm以下のTi析出物のTi換算量との関係で示
す。 同図より明らかなように、鋼中にTiの微細析
出物がTi量換算で30ppm以上分散していると、
ハンマリング脆化温度は極めて低かつた。 次に、このときの破面をSEMによつて観察し、
破面単位とハンマリング脆化温度との関係につい
て調べた結果を第8図に示す。 同図の結果から、この発明鋼における低温靱性
の改善は、組織の微細化を通じて破面単位を小さ
くしたことに基づくものと考えられる。 実施例 2 表2に示す種々の成分組成による溶鋼を、連続
鋳造し、得られた連鋳スラブの凝固、冷却過程に
おいて1300〜1000℃を表2に示す種々の冷却速度
で冷却したのち、同じく表2に示す温度まで加熱
し、ついで熱間圧延および冷間圧延を施してか
ら、750〜800℃の温度で連続焼鈍した。 かくして得られた冷延板について、粒径:
0.05μm以下の微細Ti析出物の量をTi量換算で、
また機械的諸特性について調べた結果を表2に併
記する。 またこれらの鋼板にスポツト溶接およびTIG溶
接を施したときの、溶接適正電流下限値ならびに
溶接部のT.S.およびvTrsについて調べた結果を
表3に示す。
【表】
【表】
【表】
【表】 強度
同表より明らかなように、成分組成がこの発明
の適正範囲を逸脱する比較例E〜Lはいずれも、
機械的諸特性は勿論、溶接部材質および溶接性と
も悪い。また成分組成範囲は適正でも冷却速度が
この発明の下限を下回つた場合(比較例P)に
は、やはり良好な特性値は得られなかつた。 これに対し、成分組成範囲および処理条件とも
この発明の適正範囲を満足する場合(発明例A〜
DおよびM〜O)は全て、機械的諸特性に優れる
のはいうまでもなく、溶接部材質および溶接性と
も良好な結果が得られた。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、多量の合金元素を
添加する必要なしに換言すれば成形加工性を劣化
させることなしに、溶接性ならびに溶接部の強度
および靱性に優れた冷延鋼板を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、粒径:0.05μm以下のTi析出物のTi
換算量とスキンパス圧延によるY.P.の上昇量と
の関係を示したグラフ、第2図は、Y.P.とスポ
ツト溶接可能電流範囲との関係を示したグラフ、
第3図は、粒径が0.05μm以下または0.05μm超の
Ti析出物の析出量を、Ti/Nをパラメータとし
て示した比較グラフ、第4図は、Ti/N比と粒
径:0.05μm以下のTi析出物の析出量との関係を
示したグラフ、第5図は、1300℃から1000℃まで
のスラブ冷却速度とTi析出物のトータル量およ
び微細析出物量との関係を示したグラフ、第6図
は、スラブ加熱温度とTi析出物のトータル量お
よび微細析出物量との関係を示したグラフ、第7
図は、粒径が0.05μm以下の微細Ti析出物のTi換
算量とハンマリング脆化温度との関係を示したグ
ラフ、第8図は、脆化破面の破面単位とハンマリ
ング脆化温度との関係を示したグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 C:0.004wt%以下、 Si:0.1wt%以下、 Mn:0.5wt%以下、 P:0.025wt%以下、 S:0.025wt%以下、 N:0.0040wt%以下、 Ti:0.01〜0.04wt%、 Nb:0.003〜0.010wt%、 B:0.0001〜0.0010wt%および Al:0.01〜0.10wt% を含有し、残部は実質的にFeの組成になり、か
    つ鋼中に、粒径:0.05μm以下のTiの微細析出物
    がTi量換算で30ppm以上均一に分散してなる、
    溶接部の強度および靱性に優れる冷延鋼板。 2 C:0.004wt%以下、 Si:0.1wt%以下、 Mn:0.5wt%以下、 P:0.025wt%以下、 S:0.025wt%以下、 N:0.0040wt%以下、 Ti:0.01〜0.04wt%、 Nb:0.003〜0.010wt%、 B:0.0001〜0.0010wt%および Al:0.01〜0.10wt% を含有し、残部は実質的にFeの組成になる溶鋼
    の凝固・冷延過程において、少なくとも1300〜
    1000℃の温度範囲については3.0〜10.0℃/minの
    冷却速度で冷却し、その後スラブを750〜1200℃
    の温度に加熱してから、熱間圧延ついで冷間圧延
    を施し、しかるのち700〜900℃の温度範囲で連続
    焼鈍を施すことを特徴とする、溶接部の強度およ
    び靱性に優れる冷延鋼板の製造方法。
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