JPH04245915A - アクリロニトリル系含弗素高強力繊維及びその製造方法 - Google Patents
アクリロニトリル系含弗素高強力繊維及びその製造方法Info
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- JPH04245915A JPH04245915A JP913091A JP913091A JPH04245915A JP H04245915 A JPH04245915 A JP H04245915A JP 913091 A JP913091 A JP 913091A JP 913091 A JP913091 A JP 913091A JP H04245915 A JPH04245915 A JP H04245915A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料をはじめ、一般資
材用としても広く利用できる撥水性、撥油性、防汚性に
優れ且つ高い強度を有するアクリロニトリル系繊維及び
その製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】繊維の撥水性、撥油性、防汚性は、その
実用的な観点から強く望まれている性質である。そのた
めに、例えばポリテトラフルオロエチレンに代表される
含弗素ポリマーからなる繊維が製造され、すでに広く利
用されている。しかしながら、かかる繊維は衣料用とし
てはその風合いにおいて極めて不適当であり、一般衣料
として使用されることはなく、またその製造法の制約に
よりその強度はたかだか2g/dと極めて低いために特
に資材分野においてその利用範囲は非常に限定されてい
るのである。 【0003】これに対してアクリロニトリル系ポリマー
は衣料用繊維として優れた風合いと物性を有しているこ
とは良く知られている。また各種の共重合性モノマーと
の共重合によりその性質の改良を図ることができるので
、撥水性、撥油性、防汚性を付与することを目的として
、弗素化(メタ)アクリレートと共重合することは、特
に衣料分野において極めて有効な方法である。かかる繊
維において、高強力化が可能となれば資材用分野等用途
が大きく広がることが期待される。 【0004】一方アクリロニトリル系ポリマー繊維にお
いて高強力化をするためにはできる限り高い分子量を有
するポリマーを用いて、且つ紡糸においてできる限り高
い倍率に延伸することが必要であることは良く知られて
いるところではあるが、そのためにはいわゆる乾湿式紡
糸法によらなければ本目的を達成することは非常に困難
である。然るに本発明のポリマーを繊維化するに際して
、該ポリマー溶液は元来撥水性が極めて強いために、そ
こで使用される凝固液をはじき、その結果一般に行われ
ているマルチフィラメント紡糸する場合には、凝固前に
繊維同士の接着が起こり、実質的に紡糸することができ
ない。したがって該ポリマーを繊維化するには、紡糸口
金が凝固浴中に設置したいわゆる湿式紡糸法によらざる
をえない。しかしこの場合には紡糸において延伸倍率を
高めることができず、そのために高強力繊維とすること
ができないのである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる状況に
鑑み利用分野の広い撥水性、撥油性、防汚性に優れ風合
いに優れ且つ高い強度を有するアクリロニトリル系繊維
を提供し、またその工業的製造方法を提供するものであ
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、アクリロニト
リルが70重量%以上、一分子中に少なくとも3個の弗
素原子を有しかつアクリロニトリルと共重合性を有する
弗素化(メタ)アクリレートが3重量%以上20重量%
以下及び必要に応じてその他の共重合性コモノマーから
なるポリマーで作られた繊維でありかつ6g/d以上の
引張り強度を有するアクリロニトリル系含弗素高強力繊
維を提供するものである。 【0007】ここでアクリロニトリルが70重量%以上
とした理由として、これよりも少いアクリロニトリルを
含有するポリマーを使用すると、本発明の目的のひとつ
である優れた風合いを有する繊維を得ることができず、
衣料用に適した繊維を得ることができないことと、場合
によっては溶剤に対する溶解度が低下しそのために紡糸
が実質的に不可能になることが挙げられる。 【0008】本発明は一分子中に少なくとも3個の弗素
原子を有しかつアクリロニトリルと共重合性を有する弗
素化(メタ)アクリレートをコモノマーとして使用する
。該コモノマーは得られる繊維に撥水性、撥油性、防汚
性を付与するためのものである。この場合得られるこれ
らの性質は該コモノマーの弗素含有量に依存し、多いほ
ど優れた性質を得ることができる。かかるモノマーとし
ては、次の分子式で表されるものが挙げられる。 【0009】CH2 =CR1 COOR2 ここに、
R1 はHまたはCH3 を表わし、またR2は次の式
で表わされるフルオロアルキル基を表わす。 CF3 (CF2 )n CH2
n=0,1,2,3,5
CHF2 (CF2 )n CH2
n=1,3 CF3 (CF2
)7 CH2 CH2 【0010】同様の観点からアクリロニトリル系ポリマ
ー中の弗素含有量が多いほど優れた性質が得られること
は容易に想像できる。この点で上記の化合物のうちでヘ
プタデカフルオロデシルメタアクリレートがもっとも好
ましいといえる。然るに該モノマー含有量が多すぎると
得られたポリマーの溶剤に対する溶解性が極端に低下し
安定紡糸ができなくなる。従って弗素含有量の高いコモ
ノマーをある限定された量の範囲内で使用することが必
要である。 【0011】該モノマーの含有量を3重量%以上20重
量%以下とするのが適当である。3重量%よりも少ない
と撥水性等は十分に発現せず、他方20重量%を越える
と上記の理由で紡糸ができない。本発明において染色性
等の性質を付与する目的で他のコモノマーを共重合する
ことは、上記に組成範囲内で必要に応じて行えば良い。 本発明の繊維はアクリロニトリル系含弗素繊維としては
かつてないほどの強度を有することが大きな特徴のひと
つである。 【0012】既に述べた如くアクリロニトリル系含弗素
繊維はそのポリマーの持つ特殊な性質のゆえに、その製
造方法は所謂湿式紡糸法に限定されていたために、その
紡糸過程における全延伸倍率はたかだか8倍程度であり
、従って得られる繊維の引っ張り強度は5g/d以下に
しかならなかった。これに対して本発明のアクリロニト
リル系含弗素繊維は、以下に述べる新規な紡糸法を採用
し、10倍以上の全延伸倍率を実現できるようになった
ことにより、初めて6g/d以上の強度が実現されたも
のである。 【0013】本発明の繊維により、アクリロニトリル系
含弗素高強力繊維の用途を広げることができる画期的な
ものといえるのは勿論のこと、逆に所謂撥水性、撥油性
、防汚性資材用繊維を提供するという点でもその意義は
極めて大きい。次に、本発明の繊維の製造方法について
述べる。アクリロニトリルが70重量%以上、一分子中
に少なくとも3個の弗素原子を有しかつアクリロニトリ
ルと共重合性を有する弗素化(メタ)アクリレートが3
重量%以上20重量%以下及び必要に応じてその他の共
重合性コモノマーからなり、重量平均分子量が10万以
上であるポリマーを、該ポリマーを溶解しうる溶媒に溶
解して得られた50℃における粘度が300ポイズ以上
1000ポイズ以下の紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡
糸し、1ppm以上の界面活性剤が添加された凝固浴で
凝固後、凝固糸を全延伸倍率が10倍以上となるように
延伸することにある。 【0014】ポリマーの分子量が高いほうが高い延伸倍
率を実現できるので、高強力繊維を得るための高倍率延
伸を実現する上で有利であるが、本発明の繊維の6g/
d以上の引っ張り強度の実現に当たっては,重量平均分
子量が10万以上であれば良い。なおここに重量平均分
子量は、ポリマーの0.5重量%ジメチルホルムアマイ
ド溶液の粘度から算出される極限粘度を基に算出される
ものである。 【0015】紡糸原液の溶剤としては例えばジメチルホ
ルムアマイド、ジメチルアセトアマイド、ジメチルスル
ホキサイド、ガンマブチロラクトン、エチレンカーボネ
ート等の有機溶剤の他に硫酸、硝酸、チオシアン酸ナト
リウム水溶液を挙げることができる。紡糸原液濃度は、
溶剤の種類や供されるポリマーの分子量等にもよるので
一概に決めることができないが、50℃における粘度は
300ポイズ未満では粘度は不足し、他方1000ポイ
ズを越えると紡糸は可能であっても高い倍率の延伸を施
すことができない。 【0016】紡糸原液を用いて常法に従って乾湿式紡糸
を行う際、紡糸原液の強い撥水性の故に、紡糸口金から
吐出された紡糸原液は凝固液をはじきその結果相互に接
着し、紡糸が不可能になる。かかる現象を回避するため
には、凝固液の表面張力を十分に低下せしめることが有
効である。具体的には凝固液1ppm以上の界面活性剤
を添加することにより本目的を達成できる。界面活性剤
としては少量で有効なものが好ましく含弗素界面活性剤
は特に有効である。 【0017】具体的には例えば水15部ないし40部及
び紡糸原液に用いた溶剤60部ないし85部からなる溶
液に含弗素界面活性剤を5ppm添加した溶液を例示す
ることができる。かかる凝固液を用いると通常通りに乾
湿式紡糸が可能である。得られた凝固糸を常法により冷
延伸、湿熱延伸、乾熱延伸を行い、全延伸倍率が10倍
以上となるように延伸することにより本発明の繊維を得
ることができる。 【0018】 【実施例】以下実施例に従って本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 アクリロニトリルが85重量%以上、一分子中に3〜1
7コの弗素原子を有する弗素化(メタ)アクリレートが
5〜15重量%、重量平均分子量が8万〜100万であ
るポリマーを、ジメチルホルムアミドに溶解して50℃
における粘度が200ポイズ〜1500ポイズとなるよ
うにして紡糸原液を製造した。一方水30部とジメチル
ホルムアマイド70部からなる溶液を凝固液とした場合
(凝固液A比較例)と該溶液に含弗素界面活性剤として
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールを
5ppm添加した場合(凝固液B実施例)とについて第
1表に示すような条件を採用して繊維を製造した。なお
延伸倍率は25℃における冷延伸工程での最大延伸倍率
を測定し、該最大延伸倍率の70%の延伸倍率を冷延伸
倍率とし、次に該冷延伸条件のもとで95℃における湿
熱延伸における最大延伸倍率を求め、同様に湿熱延伸倍
率を決定し、更に同様にして、200℃における乾熱延
伸倍率を決定した。結果を表1に示す。本発明で得られ
た繊維はいずれも水滴を吸収することはなく十分な撥水
性を示した。 〔A〕CH2 =C(CH3 )COOCH2
CH2 (CF2 )7 CF3 〔B〕C
H2 =C(H)COOCH2 CH2 (CF2 )
7 CF3 〔C〕CH2 =C(CH3
)COOCH2 CF3 【表1】
材用としても広く利用できる撥水性、撥油性、防汚性に
優れ且つ高い強度を有するアクリロニトリル系繊維及び
その製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】繊維の撥水性、撥油性、防汚性は、その
実用的な観点から強く望まれている性質である。そのた
めに、例えばポリテトラフルオロエチレンに代表される
含弗素ポリマーからなる繊維が製造され、すでに広く利
用されている。しかしながら、かかる繊維は衣料用とし
てはその風合いにおいて極めて不適当であり、一般衣料
として使用されることはなく、またその製造法の制約に
よりその強度はたかだか2g/dと極めて低いために特
に資材分野においてその利用範囲は非常に限定されてい
るのである。 【0003】これに対してアクリロニトリル系ポリマー
は衣料用繊維として優れた風合いと物性を有しているこ
とは良く知られている。また各種の共重合性モノマーと
の共重合によりその性質の改良を図ることができるので
、撥水性、撥油性、防汚性を付与することを目的として
、弗素化(メタ)アクリレートと共重合することは、特
に衣料分野において極めて有効な方法である。かかる繊
維において、高強力化が可能となれば資材用分野等用途
が大きく広がることが期待される。 【0004】一方アクリロニトリル系ポリマー繊維にお
いて高強力化をするためにはできる限り高い分子量を有
するポリマーを用いて、且つ紡糸においてできる限り高
い倍率に延伸することが必要であることは良く知られて
いるところではあるが、そのためにはいわゆる乾湿式紡
糸法によらなければ本目的を達成することは非常に困難
である。然るに本発明のポリマーを繊維化するに際して
、該ポリマー溶液は元来撥水性が極めて強いために、そ
こで使用される凝固液をはじき、その結果一般に行われ
ているマルチフィラメント紡糸する場合には、凝固前に
繊維同士の接着が起こり、実質的に紡糸することができ
ない。したがって該ポリマーを繊維化するには、紡糸口
金が凝固浴中に設置したいわゆる湿式紡糸法によらざる
をえない。しかしこの場合には紡糸において延伸倍率を
高めることができず、そのために高強力繊維とすること
ができないのである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる状況に
鑑み利用分野の広い撥水性、撥油性、防汚性に優れ風合
いに優れ且つ高い強度を有するアクリロニトリル系繊維
を提供し、またその工業的製造方法を提供するものであ
る。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、アクリロニト
リルが70重量%以上、一分子中に少なくとも3個の弗
素原子を有しかつアクリロニトリルと共重合性を有する
弗素化(メタ)アクリレートが3重量%以上20重量%
以下及び必要に応じてその他の共重合性コモノマーから
なるポリマーで作られた繊維でありかつ6g/d以上の
引張り強度を有するアクリロニトリル系含弗素高強力繊
維を提供するものである。 【0007】ここでアクリロニトリルが70重量%以上
とした理由として、これよりも少いアクリロニトリルを
含有するポリマーを使用すると、本発明の目的のひとつ
である優れた風合いを有する繊維を得ることができず、
衣料用に適した繊維を得ることができないことと、場合
によっては溶剤に対する溶解度が低下しそのために紡糸
が実質的に不可能になることが挙げられる。 【0008】本発明は一分子中に少なくとも3個の弗素
原子を有しかつアクリロニトリルと共重合性を有する弗
素化(メタ)アクリレートをコモノマーとして使用する
。該コモノマーは得られる繊維に撥水性、撥油性、防汚
性を付与するためのものである。この場合得られるこれ
らの性質は該コモノマーの弗素含有量に依存し、多いほ
ど優れた性質を得ることができる。かかるモノマーとし
ては、次の分子式で表されるものが挙げられる。 【0009】CH2 =CR1 COOR2 ここに、
R1 はHまたはCH3 を表わし、またR2は次の式
で表わされるフルオロアルキル基を表わす。 CF3 (CF2 )n CH2
n=0,1,2,3,5
CHF2 (CF2 )n CH2
n=1,3 CF3 (CF2
)7 CH2 CH2 【0010】同様の観点からアクリロニトリル系ポリマ
ー中の弗素含有量が多いほど優れた性質が得られること
は容易に想像できる。この点で上記の化合物のうちでヘ
プタデカフルオロデシルメタアクリレートがもっとも好
ましいといえる。然るに該モノマー含有量が多すぎると
得られたポリマーの溶剤に対する溶解性が極端に低下し
安定紡糸ができなくなる。従って弗素含有量の高いコモ
ノマーをある限定された量の範囲内で使用することが必
要である。 【0011】該モノマーの含有量を3重量%以上20重
量%以下とするのが適当である。3重量%よりも少ない
と撥水性等は十分に発現せず、他方20重量%を越える
と上記の理由で紡糸ができない。本発明において染色性
等の性質を付与する目的で他のコモノマーを共重合する
ことは、上記に組成範囲内で必要に応じて行えば良い。 本発明の繊維はアクリロニトリル系含弗素繊維としては
かつてないほどの強度を有することが大きな特徴のひと
つである。 【0012】既に述べた如くアクリロニトリル系含弗素
繊維はそのポリマーの持つ特殊な性質のゆえに、その製
造方法は所謂湿式紡糸法に限定されていたために、その
紡糸過程における全延伸倍率はたかだか8倍程度であり
、従って得られる繊維の引っ張り強度は5g/d以下に
しかならなかった。これに対して本発明のアクリロニト
リル系含弗素繊維は、以下に述べる新規な紡糸法を採用
し、10倍以上の全延伸倍率を実現できるようになった
ことにより、初めて6g/d以上の強度が実現されたも
のである。 【0013】本発明の繊維により、アクリロニトリル系
含弗素高強力繊維の用途を広げることができる画期的な
ものといえるのは勿論のこと、逆に所謂撥水性、撥油性
、防汚性資材用繊維を提供するという点でもその意義は
極めて大きい。次に、本発明の繊維の製造方法について
述べる。アクリロニトリルが70重量%以上、一分子中
に少なくとも3個の弗素原子を有しかつアクリロニトリ
ルと共重合性を有する弗素化(メタ)アクリレートが3
重量%以上20重量%以下及び必要に応じてその他の共
重合性コモノマーからなり、重量平均分子量が10万以
上であるポリマーを、該ポリマーを溶解しうる溶媒に溶
解して得られた50℃における粘度が300ポイズ以上
1000ポイズ以下の紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡
糸し、1ppm以上の界面活性剤が添加された凝固浴で
凝固後、凝固糸を全延伸倍率が10倍以上となるように
延伸することにある。 【0014】ポリマーの分子量が高いほうが高い延伸倍
率を実現できるので、高強力繊維を得るための高倍率延
伸を実現する上で有利であるが、本発明の繊維の6g/
d以上の引っ張り強度の実現に当たっては,重量平均分
子量が10万以上であれば良い。なおここに重量平均分
子量は、ポリマーの0.5重量%ジメチルホルムアマイ
ド溶液の粘度から算出される極限粘度を基に算出される
ものである。 【0015】紡糸原液の溶剤としては例えばジメチルホ
ルムアマイド、ジメチルアセトアマイド、ジメチルスル
ホキサイド、ガンマブチロラクトン、エチレンカーボネ
ート等の有機溶剤の他に硫酸、硝酸、チオシアン酸ナト
リウム水溶液を挙げることができる。紡糸原液濃度は、
溶剤の種類や供されるポリマーの分子量等にもよるので
一概に決めることができないが、50℃における粘度は
300ポイズ未満では粘度は不足し、他方1000ポイ
ズを越えると紡糸は可能であっても高い倍率の延伸を施
すことができない。 【0016】紡糸原液を用いて常法に従って乾湿式紡糸
を行う際、紡糸原液の強い撥水性の故に、紡糸口金から
吐出された紡糸原液は凝固液をはじきその結果相互に接
着し、紡糸が不可能になる。かかる現象を回避するため
には、凝固液の表面張力を十分に低下せしめることが有
効である。具体的には凝固液1ppm以上の界面活性剤
を添加することにより本目的を達成できる。界面活性剤
としては少量で有効なものが好ましく含弗素界面活性剤
は特に有効である。 【0017】具体的には例えば水15部ないし40部及
び紡糸原液に用いた溶剤60部ないし85部からなる溶
液に含弗素界面活性剤を5ppm添加した溶液を例示す
ることができる。かかる凝固液を用いると通常通りに乾
湿式紡糸が可能である。得られた凝固糸を常法により冷
延伸、湿熱延伸、乾熱延伸を行い、全延伸倍率が10倍
以上となるように延伸することにより本発明の繊維を得
ることができる。 【0018】 【実施例】以下実施例に従って本発明を具体的に説明す
る。 実施例1 アクリロニトリルが85重量%以上、一分子中に3〜1
7コの弗素原子を有する弗素化(メタ)アクリレートが
5〜15重量%、重量平均分子量が8万〜100万であ
るポリマーを、ジメチルホルムアミドに溶解して50℃
における粘度が200ポイズ〜1500ポイズとなるよ
うにして紡糸原液を製造した。一方水30部とジメチル
ホルムアマイド70部からなる溶液を凝固液とした場合
(凝固液A比較例)と該溶液に含弗素界面活性剤として
パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールを
5ppm添加した場合(凝固液B実施例)とについて第
1表に示すような条件を採用して繊維を製造した。なお
延伸倍率は25℃における冷延伸工程での最大延伸倍率
を測定し、該最大延伸倍率の70%の延伸倍率を冷延伸
倍率とし、次に該冷延伸条件のもとで95℃における湿
熱延伸における最大延伸倍率を求め、同様に湿熱延伸倍
率を決定し、更に同様にして、200℃における乾熱延
伸倍率を決定した。結果を表1に示す。本発明で得られ
た繊維はいずれも水滴を吸収することはなく十分な撥水
性を示した。 〔A〕CH2 =C(CH3 )COOCH2
CH2 (CF2 )7 CF3 〔B〕C
H2 =C(H)COOCH2 CH2 (CF2 )
7 CF3 〔C〕CH2 =C(CH3
)COOCH2 CF3 【表1】
Claims (5)
- 【請求項1】 アクリロニトリルが70重量%以上、
一分子中に少なくとも3個の弗素原子を有しかつアクリ
ロニトリルと共重合性を有する弗素化(メタ)アクリレ
ートが3重量%以上20重量%以下及び必要に応じてそ
の他の共重合性コモノマーからなりかつ6g/d以上の
引張り強度を有するアクリロニトリル系含弗素高強力繊
維。 - 【請求項2】 弗素化メタアクリレートが、ヘプタデ
カフルオロデシルメタアクリレートである請求項1記載
の繊維。 - 【請求項3】 アクリロニトリルが70重量%以上、
一分子中に少なくとも3個の弗素原子を有しかつアクリ
ロニトリルと共重合性を有する弗素化(メタ)アクリレ
ートが3重量%以上20重量%以下及び必要に応じてそ
の他の共重合性コモノマーからなり、重量平均分子量が
10万以上であるポリマーを溶媒に溶解して得られた5
0℃における粘度が300ポイズ以上1000ポイズ以
下の紡糸原液を乾湿式紡糸法により紡糸し、1ppm以
上の界面活性剤が添加された凝固浴で凝固後、凝固糸を
全延伸倍率が10倍以上となるように延伸することを特
徴とする請求項1記載の繊維の製造方法。 - 【請求項4】 界面活性剤が、含弗素界面活性剤であ
ることを特徴とする請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 延伸を冷延伸、湿熱延伸、乾熱延伸の
順番に行うことを特徴とする請求項3記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP913091A JPH04245915A (ja) | 1991-01-29 | 1991-01-29 | アクリロニトリル系含弗素高強力繊維及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP913091A JPH04245915A (ja) | 1991-01-29 | 1991-01-29 | アクリロニトリル系含弗素高強力繊維及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04245915A true JPH04245915A (ja) | 1992-09-02 |
Family
ID=11712049
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP913091A Pending JPH04245915A (ja) | 1991-01-29 | 1991-01-29 | アクリロニトリル系含弗素高強力繊維及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04245915A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105887239A (zh) * | 2016-05-23 | 2016-08-24 | 太和县蓝翎养殖有限公司 | 一种含孔雀毛的疏水抗菌型人造假发纤维 |
-
1991
- 1991-01-29 JP JP913091A patent/JPH04245915A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105887239A (zh) * | 2016-05-23 | 2016-08-24 | 太和县蓝翎养殖有限公司 | 一种含孔雀毛的疏水抗菌型人造假发纤维 |
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