JPH0420842Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、複写機、プリンタ等の画像形成装置
に用いられる紙葉材給送装置に関するものであ
る。

〔従来技術及びその問題点〕

一般に、複写機、プリンタ等においては、連続
複写を可能とするため、自動給紙システムが採用
されている。自動給紙システムには、大別する
と、ロールペーパーをカツトして適宜使用する形
式のものと、同一サイズにカツトした用紙を多数
枚積載しておき、これから一枚枚づつ搬送する形
式のものが存在する。本考案は、後者の積載され
た用紙を一枚づつ搬送する形式に関する。

以下、従来の給紙装置の一例について、図面に
従つて説明する。第４図は、従来の給紙装置に用
いられるカセツトの分解斜視図、第５図ａは、そ
の縦断面図である。同図においては、説明の都合
上、蓋を取り除いた状態を示している。カセツト
１は、用紙の収納される箱体を為したカセツト本
体１ａと該カセツト本体１ａの内部に軸２で回動
自在に支承された底板３と用紙給送方向の前端両
隅に自重で下降自在に設けられた分離爪４等から
構成されており、底板３の上面側で、給紙コロ６
（第４図に示さず）と対向する位置に摩擦部材５
が設けられている。

第５図ａは、カセツト１内に用紙７を積載し、
底板３とカセツト本体１ａとの間に配置したバネ
８で前記用紙７を上方へ押圧し、給送コロ６でＡ
方向へ最上位の用紙７を給送する状態を示す縦断
面図である。同図において、カセツト本体１ａの
箱体内に多数積載された用紙７は、給送コロ６に
より順次給送される。このような構成の給紙装置
において、収納された用紙の最後の一枚迄、重送
することなく円滑に給送するため底板３の給送コ
ロ６の対応位置に摩擦係数の高い摩擦部材５が固
着されている。摩擦部材５としては、例えば、発
泡ウレタン等の弾性材料が用いられる。第５図ｂ
は、最後の一枚が給送される際の給送コロ６、摩
擦部材５及び用紙７との摩擦力の関係を示す要部
断面図である。同図において、給送コロ６と用紙
７との間の摩擦力をＦ、摩擦部材５と用紙７との
間の摩擦力をｆとすると、Ｆ＞ｆの関係が成り立
つ場合のみ最後の用紙が給送可能である。

しかし、従来のこのような構成の給紙装置にお
いて、パルプを原料とする通常の紙（以下普通紙
という）を給送する場合には、Ｆ＞ｆなる関係が
成り立ち支障はないが、オーバーヘツド・プロジ
エクター（以下OHPという）用紙等の普通紙に
比べて摩擦係数の小さい用紙を使用した場合、Ｆ
＞ｆなる関係となり、最後の一枚が摩擦部材５に
より抑止され給送されずに残留してしまうといつ
た欠点が存在した。

また、OHP用紙が給送されるよう摩擦部材を
選択すると、普通紙の給送に支障を来すといつた
不都合が生じていた。

そこで、例えば摩擦部材５を底板３に予め複数
個設けておき給紙コロ６を移動させるようにした
ものが実開昭55−39963号公報に、又、摩擦分離
方式における摩擦板を移動操作可能なロツドに予
め複数個設けるようにしたものが実開昭58−
54640号公報にそれぞれ記載され、給送すべき用
紙の種類に応じて摩擦部材を選択できるようにし
たものが知られている。しかしながら、これらの
公報に記載のものは装置が複雑且つ大型化し、従
つて高価となり、とても実用に供するものではな
かつた。

〔考案の目的〕 本考案は上記従来の欠点に鑑み、摩擦係数の小
さいOHP用紙等の特殊紙であつても、簡単な操
作で最後の一枚までも円滑に給送可能となる紙葉
材料給送装置を簡単な構成で安価に提供すること
を目的とする。

〔考案の要点〕

本考案は、上記目的を達成するために、紙葉材
を積載する載置台と、積載された紙葉材の最上材
表面と係合接触して所定方向に給送する給送部材
と、前記載置台の前記給送部材と対向する領域に
設けられる摩擦部材とを備え、多数の紙葉材を順
次給送する紙葉材給送装置において、前記摩擦部
材は摩擦係数の異なる材料で区分けされた複数の
摩擦部を有し、前記載置台には前記摩擦部材の複
数の摩擦部のうちの１つを給送すべき紙葉材の材
質に応じえ選択的に前記給送部材と対向させるべ
く保持する溝部を設けたことを特徴とする。〔考
案の実施例〕 以下、本考案の一実施例を図面を参照しながら
詳述する。

第１図ａ，ｂは、本考案の一実施例としての複
写機用の給送カセツト１０を示す分解斜視図であ
る。同図において本考案とは直線関係しない蓋に
ついては、理解を容易にするため取り外してあ
る。第１図に示す如く、給紙カセツト１０は、箱
状に形成され内部に紙葉材を収納するカセツト本
体１０ａとフランジ１１で図示しない軸を介して
前記カセツト本体１０ａに回動自在に装着される
底板１２とカセツト本体１０ａの紙葉材給送方向
の前方両隅に設けられた一対の分離爪１３，１３
と前記底板１２の一部に設けられた一対の摩擦部
材１４，１４等から構成されている。

摩擦部材１４は、発泡ウレタン等から成る比較
的摩擦係数の大きい普通紙用パツド１４ａと、フ
エルト繊維等から成るパツド１４ａより相対的に
摩擦係数の小さいOHP紙用パツド１４ｂとが、
基板１４ｃ（第２図参照）上に隣接して２区間に
固着されて成り、前記底板１２の前端上面側に刻
設された溝１２ａ内を給紙方向Ａと直交する幅Ｂ
方向に摺動自在に装着されている。また、長方形
に刻設された溝１２ａは、摩擦部材１４より１区
画分だけ幅が広く形成されており、第１図におい
て図示しない給紙コロに対峙するパツドを移動変
更することができる機構となつている。摩擦部材
１４をＢ方向へ移動して空いた溝部には、スペー
サ１５を挿着し、給送動作中に前記摩擦部材１４
が移動してしまうのを防止する。第１図ａは、
OHP紙用パツド１４ｂが図外の給紙コロの真下
に位置する場合を示すものである。尚、給紙方向
Ａの左右に一対設けられている摩擦部材１４は、
底板１２の裏面に沿つてリンク機構で連結し、ワ
ンタツチで移動可能な構成としてもよい。

第２図は、給紙コロ１６と摩擦部材１４との関係
を示す縦断面図である。同図において、摩擦部材
１４は、基板１４ｃが溝１２ａ内に摺動可能に挿
着されるとともに底板１２の裏側からワツシヤ１
７がビス１８で前記基板１４ｃに固定されてい
る。従つて、摩擦部材１４をＢ方向へスライドさ
せても、底板１２から前記摩擦部材１４が脱落す
ることがない、また、底板１２は、バネ１９で上
方へ付勢されており、用紙２０を摩擦部材１４を
介して給紙コロ１６へ押圧している。

以上のように構成された紙葉材給送装置の動作
について説明すると、まず、給送する紙葉材が、
OHP用紙やトレーシングペーパー等のように摩
擦係数の小さいものである場合は、第１図ａに示
す如く、フエルト繊維等から成り摩擦係数の小さ
いOHP紙用パツド１４ｂが給紙コロ１６の直下
に位置するように摩擦部材１４を図面に向かつて
左側に移動し、空〓部にスペーサ１５を挿着す
る。給紙カセツト１０内に収納された紙葉材を順
次給送して行き、第２図に示すように最後の一枚
を給送する場合も、摩擦部材１４と用紙２０との
間の摩擦力より給紙コロ１６と用紙２０との間の
摩擦力の方が大きいため、確実に給送することが
できる。また、パルプ材からなる普通の用紙を給
送する場合は、第１図ｂに示す如く、発泡ウレタ
ン等から成る摩擦係数の大きい普通紙用パツド１
４ａが図外の給紙コロ１６の直下に位置するよう
に摩擦部材１４をスライドさせ、溝１２ａの空〓
部にスペーサ１５を挿着し固定する。

従つて、摩擦係数の比較的大きい普通紙の場合
は、OHP用パツド１４ｂで挟持すると終りの数
枚が一度に給送されることがあるが、上述の如く
普通紙用パツド１４ａに変えることにより最後の
一枚に至るまで一枚づつ確実に給送することがで
きる。

第３図ａ，ｂは、本考案の他の実施例を示す要
部断面図である。同図において、摩擦部材２１
は、可撓性を有した基板２１ｃの両面にそれぞれ
普通紙用パツド２１ａとOHP紙用パツド２１ｂ
が接着剤等で固着されるとともに、前記基板２１
ｃ両側端面には、断面が略半円状の突起２１ｄが
端面の長手方向に延在させて突設されている。一
方、底板１２には、摩擦部材２１より若干大きい
角穴２２が穿設されており、該角穴２２の一対の
側壁２３には、前述の突起２１ｄを収容可能な半
円溝２３ａが夫々刻設されている。また、底板１
２に穿設された角穴２２の上面側は、エツジ部が
面取りされている。

以上のように構成された給送装置においては、
給送する紙葉材の摩擦係数に応じて給送コロ１６
と対向するパツド部材を変える場合、摩擦部材２
１を裏返すだけでよく、これにより、適切な用紙
と給紙コロ及び用紙と摩擦部材との摩擦力を得る
ことができ、紙葉材の種類が変化しても上述の実
施例と同様に最後の一枚まで確実に給送をするこ
とができる。即ち、パツド部材を変更する場合に
は、底板１２の裏側から推して摩擦部材２１を取
り外した後、表裏を反転させ、角穴２２に表面側
から圧入すれば、基板２１ｃが適度に撓み、突起
２１ｄが側壁２３の半円溝２３ａに嵌入し、交換
動作が完了する。

尚、本考案の紙葉材給送装置に使用するパツド
は、普通紙用とOHP紙用に限ることなく、それ
以外の給送すべき摩擦係数の異なる紙葉材に適し
た摩擦部材を選択すればよい。また、本考案の第
一の実施例で第１図ａ，ｂに示した場合は、２種
類のパツドを同一平面に設けて適宜スライド移動
して選択できるような構成としたが、これに限る
ことなく、３種類以上の摩擦係数の異なるパツド
部材を設けて選択変更できるように構成してもよ
い。更に、摩擦部材を設ける位置も、給紙カセツ
トの底板１２の一部に設ける場合について説明し
たが、これに限ることなく、給紙カセツトを使わ
ない連続給紙装置の用紙積載台に設けるよう構成
してもよい。更にまた、本考案の他の実施例とし
て、摩擦部材の同一平面に種類の異なつたパツド
を２区画設けるとともに、裏面にも同様に異なつ
たパツドを２区画設け、合計４種類の摩擦係数の
異なつたパツドを固着し、左右及び表裏を適宜選
択することにより４種類の紙葉材に対応できる給
送装置とすることができる。

〔考案の効果〕

以上、説明したように、本考案の紙葉材給送装
置によれば、通常の紙に限ることなく、OHP等
の特殊紙であつても、最後の一枚に至るまで一枚
づつ確実に自動給紙することができる。また、摩
擦部材の交換機構が簡単であるため、操作性の良
い給送装置を安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは、本考案の一実施例を示す給紙
カセツトの分解斜視図、第２図は、給紙コロと摩
擦部材との関係を示す縦断面図、第３図ａ，ｂ
は、本考案の他の実施例を示す要部断面図、第４
図は、従来の給紙カセツトを示す分解斜視図、第
５図ａは、その縦断面図、第５図ｂは、従来の給
紙コロと摩擦部材及び用紙との関係を示す要部断
面図である。 １……カセツト、１ａ……カセツト本体、２…
…軸、３……底板、４……分離爪、５……摩擦部
材、６……給紙コロ、７……用紙、１０……給紙
カセツト、１０ａ……カセツト本体、１１……フ
ランジ、１２……底板、１２ａ……溝、１３……
分離爪、１４，２１……摩擦部材、１４ａ，２１
ａ……普通紙用パツド、１４ｂ，２１ｂ……
OHP紙用パツド、１４ｃ……基板、１５……ス
ペーサ、１６……給紙コロ、１７……ワツシヤ、
１８……ビス、１９……バネ、２０……用紙、２
１ｃ……基板、２１ｄ……突起、２２……角穴、
２３……側壁、２３ａ……半円溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 紙葉材を積載する載置台と、積載された紙葉
   材の最上材表面と係合接触して所定方向に給送
   する給送部材と、前記載置台の前記給送部材と
   対向する領域に設けられる摩擦部材とを備え、
   多数の紙葉材を順次給送する紙葉材給送装置に
   おいて、 前記摩擦部材は摩擦係数の異なる材料で区分
   けされた複数の摩擦部を有し、 前記載置台には前記摩擦部材の複数の摩擦部
   のうちの１つを給送すべき紙葉材の材質に応じ
   て選択的に前記給送部材と対向させるべく保持
   する溝部を設けたことを特徴とする紙葉材給送
   装置。 (2) 前記摩擦部材は同一面に前記複数の摩擦部を
   有し、前記載置台の溝部に移動自在に保持され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の紙葉材給送装置。 (3) 前記摩擦部材は摩擦係数の異なる材料の表面
   と裏面とに区分けされ、前記載置台の溝部に前
   記表裏面を逆にして着脱自在であることを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の紙
   葉材給送装置。