JPH04203967A - 微量成分の迅速測定方法 - Google Patents

微量成分の迅速測定方法

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JPH04203967A
JPH04203967A JP2335501A JP33550190A JPH04203967A JP H04203967 A JPH04203967 A JP H04203967A JP 2335501 A JP2335501 A JP 2335501A JP 33550190 A JP33550190 A JP 33550190A JP H04203967 A JPH04203967 A JP H04203967A
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賢治 中村
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば血清、血液、血漿、尿等の生体体液、
リンパ球、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中の微
量成分、或いは特異的結合能を有する物質の量やその結
合活性を、迅速に、容易に且つ精度良く分離・測定する
方法に関する。
〔従来技術〕
ある特定の物質同士、例えば抗原と抗体、プロテアーゼ
とその蛋白性プロテアーゼインヒビター、糖質とレクチ
ン、酵素とそれに対する基質や補酵素、ホルモン等の生
理活性物質とそれに対するリセブターや輸送蛋白、2本
鎖DNAの1対のポリヌクレオチド鎖等は、互いに相互
作用(affinity;親和力或いは親和性)を及ぼ
しあい、複合体を形成することが知られている。このよ
うな相互作用を利用して試料中の微量成分の精製や分析
を行う方法は広く行われている。
このような相互作用を利用した試料中の微量成分の測定
方法としては、例えば測定対象物質と、測定対象物質に
対する結合能を有する物質(以下、結合能物質と略記す
る。)との相互作用を利用し、相互作用の結果生じる平
衡状態を、標識物質を用いて測定することによりこれを
行う方法等が代表的なものとして挙げられ、更に具体的
には、例えば免疫反応を利用した放射免疫測定法(RI
A)、酵素免疫測定法(EIA)、’蛍光免疫測定法(
FIA)等が挙げられる。
このような相互作用の結果生じる平衡状態を測定するこ
とにより行う微量成分の測定方法を更に詳しく分類すれ
ば、標識物質で標識された結合能物質(以下、標識結合
能物質と略記する。)を測定対象物質と反応させた結果
生じる、測定対象物質と結合能物質との複合物(以下、
単に複合体と略記する。)中の標識物質の量を測定する
ことにより測定対象物質量を測定する、所謂非競合反応
法と呼ばれる方法と、測定対象物質に、標識物質で標識
された測定対象物質(以下、標識測定物質と略記する。
)と結合能物質とを反応させた結果生じる標識測定物質
と結合能物質との複合物(以下、標識複合体と略記する
。)中の標識物質の量を測定することにより測定対象物
質量を測定する、所謂競合反応法と呼ばれる方法とに大
別される。
更に夫々が、相互作用の結果生じる複合物を遊離の(結
合していない)標識結合能物質(又は標識測定物質)か
ら分離することなく測定を行う、所謂ホモジニアス法と
、相互作用の結果生じる複合物を遊離の(結合していな
い)標識結合能物質(又は標識測定物質)から分離した
後に測定を行う、所謂ヘテロジニアス法とに分けること
ができる。
このうち、ホモジニアス法は、複合物の形成に伴って標
識物質が活性化(又は不活化)される現象を利用して相
互作用の結果生じる平衡状態を測定する方法であるため
、測定の操作等は簡便ではあるが、使用できる標識物質
の種類が限られている点、及び測定対象物質が限られて
いる点等に問題があり、広く一般に用いられるには至っ
ていない。
一方、ヘテロジニアス法は、多(の種類の標識物質が使
用でき、測定対象物質と成り得るものの範囲も広いとこ
ろから、現在のところ微量成分測定方法の主流となって
いる。ヘテロジニアス法に於いては、相互作用の結果生
じる複合物(Bound型)を遊離の(結合していない
)標識結合能物質(又は標識測定物質)  (Free
型)から分離する操作、所謂B/F分離の操作が不可欠
である。従来、B/F分離の操作は、例えば抗原抗体反
応を利用する測定法に於いては、相互作用の結果生じる
複合物を、不溶性担体上に固定化された、該複合物を構
成する測定対象物質及び結合能物質の何れか一方に対す
る抗体に結合させた後不溶性担体と共に分離する固相法
、或いは測定対象物質に対する抗体(第1抗体)との反
応が終わった後、第1抗体に対する抗体(第2抗体)を
反応液中に更に添加して複合物との更なる複合物を形成
させてこれを沈澱物として分離する二抗体法等の方法に
より行われている。そのため、ペテロジニアス法は、操
作が煩雑である点、測定までに長時間を要する点、測定
の自動化が行い難い点等に問題を有しており、改善が望
まれていた。
上記した如きヘテロジニアス法に於ける問題点を解決す
べく、測定対象物質或いは結合能物質を固定化した担体
を充填したカラムを用いる、所謂アフィニティクロマト
グラフィの手法によりB/F分離を行う方法(C1in
ical Chemistry、 30. 417〜4
20頁(1984); C11nical Chemi
stry、 30.1494〜1498頁(1984)
等)が提案されている。
しかしながら、これらの方法に於いては、遊離の標識結
合能物質(又は標識測定物質)の除去を、測定対象物質
(又は結合能物質)を固定化したアフィニティクロマト
グラフィ力ラムにより行うため、測定対象物質(又は結
合能物質)を比較的大量に予め調製(用意)しなければ
ならない点、アフィニティクロマトグラフィ力ラム用の
充填剤の調製を行わなければならない点、測定対象物質
毎に対応するアフィニティクロマトグラフィカラムか必
要な点、多数の試料を処理する際には該カラムの再生が
必要となる点等に問題かあり、必ずしも充分満足し得る
方法ではない。
上記の如きアフィニティクロマトグラフィヵラムによる
方法の問題点を解決するものとして、測定対象物質と結
合能物質とを液相中で反応させ複合体を形成させた後、
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によりB/F分
離を行う方法が提案されている(特開平2−28557
号公報等)。
これらの方法は、測定対象物質と結合能物質との反応が
液相中で進行するため、均一系反応であり、反応時間が
速い、測定の再現性が良い、さらにアフィニティクロマ
トグラフィカラムを用いる方法に比べて操作が簡便であ
る等の利点を有する。
しかしなから、上記の方法も、例えば一検体の処理に数
十分程度要すること、多数の検体を同時に処理すること
ができないこと、測定対象物質と結合能物質との結合力
が弱い場合カラムでこれらの複合体の分離処理を行って
いる途中で該複合体か測定対象物質と結合能物質とに解
離してしまうため正確な測定を行うことができないこと
、等の問題点を有しており更なる改良か望まれている。
一方、膜による分離を利用する測定方法としては、液相
中で抗原と抗体を反応させて不溶性複合体を形成させ、
該不溶性複合体をメンブランフィルタ−によって溶液か
ら分離する方法(オーストラリア公開特許第68278
787号)、核酸とプローブとのハイブリダイゼーショ
ンを溶液中で行った後、ハイブリッドを固相支持体に固
定化して濾過する方法(BIOINDUSTRY、  
7.282−288(1990); B[0INDUS
TRY、  7.347−356(1990) )、細
胞又はDNAを濾過器付プレートに固定化後、結合能物
質と反応させ、形成された結合能物質との複合体を濾過
により分離する方法(J、 Virological 
Methods。
丘、 +09−120 (1987) )、結合能物質
(例えば抗体)を膜に固定化した後、測定対象物質(例
えば抗原)を含む液を膜を通過させることにより複合体
を形成させて測定対象物質を分離する方法(J、 1m
mu−nological Methods、 119
.35−43 (1989); C11n。
Chem、、3]、 1427−1431 (+985
);ヨーロッパ公開特許第233385号)等か開示さ
れている。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、測
定対象物質と結合能物質との相互作用を利用して試料中
の微量成分を極めて迅速に、しかも容易且つ精度良く分
離・測定できる方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、測定対象物質を含有する試料を、標識物質で
標識された或いはされない、結合能物質と共に混合して
反応させた後、溶液中に溶解している測定対象物質と結
合能物質との複合体と、遊離型の結合能物質とを特異的
分離能を有する膜を用いて分離し、複合体中の標識物質
の量又は結合能物質の量を測定することにより試料中の
測定対象物質量を測定することを特徴とする測定方法の
発明である。
また、本発明は、測定対象物質を含有する試料を、標識
物質で標識された測定対象物質、及び結合能物質と混合
して反応させた後、溶液中に溶解している標識測定物質
と結合能物質との複合体と、遊離型の標識測定物質とを
特異的分離能を存する膜を用いて分離し、標識複合体中
の標識物質の量又は遊離型の標識測定物質中の標識物質
の量を測定することにより試料中の測定対象物質量を測
定することを特徴とする測定方法の発明である。
さらにまた、本発明は測定対象物質を含有する試料を、
標識物質で標識された或いはされない、測定対象物質に
対する結合能を有する物質(結合能物質)゛と混合して
反応させた後、溶液中に溶解している測定対象物質と結
合能物質との複合体(複合体)と、遊離型の結合能物質
とを特異的分離能を存する膜を用いて分離する分離方法
の1発明である。
さらにまた、本発明は測定対象物質を含有する生体由来
の試料を、標識物質で標識された測定対象物質(標識測
定物質)、及び結合能物質と混合して反応させた後、溶
液中に溶解している標識測定物質と結合能物質との複合
体(標識複合体)と、遊離型の標識測定物質とを特異的
分離能を存する膜を用いて分離する分離方法の発明であ
る。
本発明者らは、測定対象物質と結合能物質の相互作用を
利用して、試料中の微量成分を極めて迅速に、しかも容
易且つ精度良(測定する方法につき鋭意研究の途上、該
相互作用の結果生しる複合体(又は標識複合体)  (
Bound型)と、i離の結合能物質(又は測定対象物
質)  (Free型)との分離、所謂B/F分離が、
特異的分離能を有する膜を用いて容易に実施できること
を見出し、これを利用してB/F分離を行った後、複合
体中の標識物質の量又は結合能物質の量、もしくは標識
複合体中の標識物質量又は遊離の標識測定物質中の標識
物質量を測定することにより、試料中の測定対象物質量
を迅速に、容易に、且つ精度良く測定し得ることを見出
し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、溶液中に溶解する複合体(又は標識複
合体)と遊離の結合能物質(又は測定対象物質)とを特
異的分離能を有する膜を用いて分離することを特徴とす
る分離・測定方法である。
本発明の分離・測定方法を実施するには、例えば以下の
ようにして行えばよい。
即ち、所謂非競合反応の原理に基づ(本発明の分離・測
定方法を実施する場合には、先ず測定対象物質を含む試
料と、標識された或いはされない結合能物質とを、要す
れば適当な緩衝液中に添加、混合して反応させ、複合体
を形成させた後、該複合体と遊離の結合能物質とを適当
な特異的分離能を有する膜を用いて分離する。次いて、
分離された複合体に含まれる標識物質の量或いは結合能
物質の量を、標識物質或いは結合能物質の性質に応じた
測定方法により求める。別に、測定対象物質濃度既知の
試料を用いて同様の方法により測定を行い、測定対象物
質量と複合体中の標識物質の量或いは結合能物質の量と
の関係を表す検量線を作成し、これを用いて、複合体中
の標識物質の量或いは結合能物質の量に対応する測定対
象物質量を求めれば試料中の測定対象物質量が求められ
る。
また、所謂競合反応の原理による本発明の分離・測定方
法を実施する場合には、先ず測定対象物質を含む試料、
標識測定物質及び結合能物質を、要すれば適当な緩衝液
中に添加、混合して反応させ、複合体及び標識複合体を
形成させた後、標識複合体と遊離の標識測定物質とを適
当な特異的分離能を有する膜を用いて分離する。次いで
、分離された標識複合体に含まれる標識物質の量を、標
識物質の性質に応じた測定方法により求める。別に、測
定対象物質濃度既知の試料を用いて同様の方法により測
定を行い、測定対象物質量と標識複合体中の標識物質の
量との関係を表す検量線を作成し、これを用いて、標識
複合体中の標識物質の量に対応する測定対象物質量を求
めれば、試料中の測定対象物質量が求められる。
本発明の測定方法により測定可能な測定対象物質として
は、i)測定対象物質と互いに相互作用(affini
ty+親和力或いは親和性)を及はしあい、複合体を形
成し得る結合能物質が存在し、該結合能物質かそれ自身
何らかの方法により測定(検出)可能であるが、又は何
らかの標識物質により標識可能なものであるが、もしく
はii)測定対象物質自体が何らかの標識物質により標
識可能なものであって、測定対象物質と互いに相互作用
を及はしあい、標識複合体を形成し得る結合能物質が存
在するもの、であれば、特に限定することなく挙げられ
るが、例えば血清、血液、血漿、尿等の生体体液、リン
パ球、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれ
る蛋白質、ペプチド、核酸、糖質、脂質、ホルモン、薬
物或いは合成糖質、合成ペプチド、合成核酸等の合成品
等が代表的なものとして挙げられる。更に具体的には、
例えばα−フェトプロティン(AFP)、CAI 9−
9、前立腺特異抗原(PSA) 、癌胎児性抗原(CE
A) 、癌細胞の産生ずる特殊な糖鎖を有する物質等の
癌マーカー、例えば免疫グロブリンA(IgA) 、免
疫グロブリンE(IgE) 、免疫グロブリンG([g
G) 、β2−ミクログロブリン、アルブミン、フェリ
チン等の血清蛋白質、例えばC−ペプチド、アンジオテ
ンシン■等のペプチド、例えばアミラーゼ、アルカリホ
スファターゼ、γ−グルタミントランスフェラーセ(γ
−GTP )等の酵素蛋白、例えばルベラウィルス、ヘ
ルペスウィルス、肝炎ウィルス、ATLウィルス、AI
DSウィルス等臨床的に注目されているウィルスに対す
る抗ウイルス抗体、ウィルス等の病原体のデオキシリポ
核酸(DNA)やリポ核酸(RNA)或いはこれら核酸
を構成する1本鎖ポリヌクレオチド、ウィルス等の病原
体に由来する抗原性物質、例えばスギその他の草木の花
粉や室内塵等のアレルゲンに反応する抗体、例えば天然
多糖類由来の水溶性多糖類、少糖類、単糖類等の糖質、
具体的には例えばAFP、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(
hCG)、トランスフェリン、IgG等の糖蛋白、GM
I、0M2、CD2等のガングリオシド、グロボ系、ラ
クト系等のセラミド、糖蛋白、ガングリオシド、セラミ
ド等由来の多糖類や少糖類、澱粉、セルロース、キチン
等の天然多糖類又はこれら由来の少糖類等の糖質、例え
ばリポ蛋白質等の脂質、例えばトリプシン、プラスミン
、セリンプロテアーゼ等のプロテアーゼ、例えばインシ
ュリン、hCG、サイロキシン(T4)、トリヨードサ
イロニン(T3)、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン
(T S H)等のホルモン、例えばジゴキシン、フェ
ニトイン、モルヒネ、ニコチン等の薬物等が挙げられる
本発明に係わるこれらの測定対象物質に対する結合能物
質としては、これら測定対象物質と互いに相互作用を及
ぼしあい、複合体を形成する物質で、要すれば、それ自
身何らかの方法により測定(検出)可能であるが、或い
は測定(検出)可能。
な何らかの標識物質により標識可能なもの(測定対象物
質自体が何らかの標識物質により標識可能なものである
場合にはこの限りではない。)であれば特に限定するこ
となく挙げられるが、例えば抗原性を有する物質(ハプ
テンを含む。)に対する抗体、抗体に対する抗原、特定
構造の糖鎖に対して結合能を有する例えばコンカナバリ
ンAルンズマメレクチン、インゲンマメレクチン、ダツ
ラレクチン、小麦胚芽レクチン等のレクチン類、例えば
トリプシンに対するα1−アンチトリプシン、プラスミ
ンに対するα、−マクログロブリン、セリンプロテアー
ゼに対するα、−マクログロブリン等の特定の酵素に対
するインヒビター類、測定対象物質である1本鎖ポリヌ
クレオチドに相補的なポリヌクレオチド鎖等が挙げられ
る。
本発明に係わる、それ自身何らかの方法により測定(検
出)可能な結合能物質の例としては、例えば酵素、蛍光
性物質、発光性物質或いは紫外部に吸収を有する物質等
のように、それ自身標識物質としての性質を有している
ものが挙げられる。
また、これら測定対象物質と結合能物質との組合せをよ
り具体的に示せば、以下の表1の如くになる。
表1 本発明に係わる標識物質としては、例えばEIAに於い
て用いられるアルカリホスファターゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ、ペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ
、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸脱
水素酵素、リンゴ酸脱水素酵素、ルシフェラーゼ等の酵
素類、例えばRIAで用いられる19′″Tc、”’L
 ′2’1% ”C13H等の放射性同位元素、例えば
FIAで用いられるフルオレセイン、ダンシル、フルオ
レスカミン、クマリン、ナフチルアミン或いはこれらの
誘導体等の蛍光性物質、例えばルシフエリ゛/、イソル
ミノール、ルミノール、ビス(2,4,6−ドリフロロ
フエニル)オキザレート等の発光性物質、例えばフェノ
ール、ナフトール、アントラセン或いはこれらの誘導体
等の紫外部に吸収を有する物質、例えば4−アミノ−2
,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
、3〜アミノ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジ
ン−1−オキシル、2.6−ジーt−ブチル−α−(3
,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−ソクロへ
キサジエン−1−イリデン)−p−トリルオキシル等の
オキシル基を有する化合物に代表されるスピンラベル化
剤としての性質を存する物質等か挙げられるが、これら
に限定されるものではないことは言うまでもない。
上記した如き標識物質を結合能物質又は測定対象物質に
結合させる方法としては、自体公知のEIA、RIA或
いはFIA等に於いて一般に行われている自体公知の標
識方法(例えば、医化学実験講座、第8巻、山村雄−監
修、第1版、中白書店、1971 ;図説 蛍光抗体、
°用生明著、第1版、(株)ソフトサイエンス社、19
83;酵素免疫測定法、石川榮治、河合忠、宮井潔編、
第2版、医学書院、1982等)か何れも例外なく挙げ
られ、これらに準じて行えばよい。また、標識物質を結
合物質又は測定対象物質に結合させる方法として、アビ
ジン(又はストレプトアビジン)とビオチンの反応を利
用した常法で行っても良いことは言うまでもない。
本発明の分離・測定方法に於いて、測定対象物質と標識
された或いはされない結合能物質とを反応させて、複合
体を形成する際の反応条件、或いは測定対象物質と標識
測定物質及び結合能物質とを反応させて、標識複合体を
形成する際の反応条件としては、複合体(又は標識複合
体)か形成されるのを妨げるような条件でなければ特に
限定されないが、常法、例えばEIA、RIA、F I
A、アフィニティクロマトグラフィ等の自体公知の方法
に於いて複合体等を形成させる際の反応条件に準じて行
えばよい。例えば、反応時に緩衝液を用いる場合には、
使用される緩衝剤やその他の試薬はこれら自体公知の方
法に於いて用いられるものを適宜選択して用いればよい
非競合反応の原理を利用した本発明の分離・測定方法に
於いて、複合体を形成させる際の結合能物質の使用濃度
としては、測定対象物質の検量限界をとの程度に設定す
るかによっても変動はあるが、通常は反応液中に於いて
、設定された検量限界濃度に相当する測定対象物賃金て
と結合し得る濃度以上、好ましくはその2倍濃度以上、
より好ましくは5倍濃度以上が反応液中に存在している
ことが望ましい。
また、競合反応の原理を利用した本発明の分離・測定方
法に於いて、標識複合体を形成させる際の結合能物質の
使用濃度及び標識測定物質の使用濃度は、測定対象物質
の検量限界や測定感度をとの程度に設定するかによって
適宜設定すればよく、特に限定されない。但し、標識測
定物質の使用濃度は、反応液中に存在する結合能物賃金
てと結合し得る濃度以上に設定しておかなければならな
いことは言うまてもない。
本発明の分離・測定法に於いて、反応時のpHとしては
、複合体(又は標識複合体)が形成されるのを妨げない
範囲であれば特に限定されるものではないが、通常2〜
IO1好ましくは5〜9の範囲が挙げられる。反応時の
温度も、複合体(又は標識複合体)か形成されるのを妨
げない範囲であれば特に限定されるものではないが、通
常0〜50°C1好ましくは20〜40°Cの範囲か好
ましく挙げられる。反応時間は、複合体(又は標識複合
体)か形成されるのに要する時間が、測定対象物質と結
合能物質との性質により異なるので、各々の性質に応じ
て数秒乃至数時間適宜反応させればよい。
本発明の分離・測定方法に於いて、B/F分離に用いら
れる特異的分離能を有する膜は、複合体(又は標識複合
体)と遊離の結合能物質(又は標識測定物質)とを両者
間の性質の差を利用して分離することが可能な膜であれ
ば特に制限はない。
当該特異的分離能を有する膜は、複合体(又は標識複合
体)と遊離の結合能物質(又は標識測定物質)との性質
の差に応じて種々のものから適宜選択される。以下、そ
れぞれの膜について説明する。
複合体(又は標識複合体)の分子量が結合能物質(又は
標識測定物質)の分子量の約1.2倍以上、好ましくは
1.5倍以上ある場合には、限外濾過膜か適している。
限外濾過膜は、通常の限外濾過で使用するものならば特
に制限はない。好適な例として、セルロースアセテート
、ニトロセルロース、セルロースアセテートとニトロセ
ルロースの混合エステル、再生セルロース、ポリ塩化ビ
ニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル酸共重合
体、ポリアミド、ポリスルホン又はテフロンからなる膜
か挙げられる。かかる限外濾過膜として、現在、分画分
子量1万、3万、5万、lO万等のものか市販されてい
る。これらの膜は例えば、前記表1に於いて開示した如
き測定対象物質と結合能物質との組合せにより得られる
複合体(又は標識複合体)と結合能物質(又は標識測定
物質)との分離等に適用できる。
複合体(又は標識複合体)の等電点と結合能物質(又は
標識測定物質)の等電点の差かpHて0.1以上、好ま
しくは0.3以上ある場合にはイオン交換膜か適してい
る。イオン交換膜は、膜成分にイオン交換基として荷電
基が結合している膜であり、交換基の種類により陽イオ
ン交換膜、陰イオン交換膜、両性イオン交換膜に分類さ
れる。陽イオン交換基を有する陽イオン交換膜は、陽イ
オンを選択的に透過する。陽イオン交換基としては、ス
ルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基
、リン酸エステル基、カルボン酸基、フェノール性水酸
基、ニトロ基、メルカプト基、水酸基、酸アミド基等が
挙げられる。陰イオン交換基を有する陰イオン交換膜は
、陰イオンを選択的に透過する。陰イオン交換基として
は、アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基
、第1〜3級アミノ基等が挙げられる。陽イオン交換基
と陰イオン交換基の両方を有する両性イオン交換膜は、
それぞれの交換基の解離定数に応じて、あるpHより高
いところでは陽イオン交換性が、それより低いpHでは
陰イオン交換性が優勢となる。イオン交換膜としては、
例えばDEAE MemSep 、 CM MemSe
p(以上日本ミリポアリミテッド社製)、或いは第4級
アミノエチル基(QAE基)、ジエチルアミノエチル基
(DEAE基)、スルホプロピル基(SP基)等のイオ
ン交換基を有するゼータブレツブ(キュノー社製)等の
市販品が挙げられる。これらのイオン交換膜は、分離す
るべき複合体(又は標識複合体)の等電点と結合能物質
(又は標識測定物質)の等電点の差に応じて適宜選択さ
れる。
これらの膜も例えば、前記表1に於いて開示した如き測
定対象物質と結合能物質との組合せにより得られる複合
体(又は標識複合体)と結合能物質(又は標識測定物質
)との分離等に適用できる。
複合体(又は標識複合体)と結合能物質(又は標識測定
物質)の疎水性に差がある場合は疎水性を育する膜が適
している。疎水性を有する膜は、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、オクチル基、オクタデシル基等
のアルキル基やフェニル基、ナフチル基等の芳香族基等
の疎水性基を膜成分に結合させたもので疎水性化合物を
選択的に透過する。かかる疎水性を有する膜も又、例え
ば、前記表1に於いて開示した如き測定対象物質と結合
能物質との組合せにより得られる複合体(又は標識複合
体)と結合能物質(又は標識測定物質)との分離等に適
用できる。
本発明の分離・測定方法に於いて、B/F分離は、上記
の特異的分離能を有する膜を用いて通常の膜による分離
を行う方法に従い行われる。具体的には、遠心、加圧、
吸引等による濾過か挙げられる。遠心分離による場合、
特に遠心分離桟用フィルター付チューブの使用か好まし
い(特開昭62−176560号公報写)。
本発明の測定方法に於いて、特異的分離能を存する膜を
用いて分離された複合体(又は標識複合体)中に含まれ
る標識物質或いは結合能物質の測定は、標識物質或いは
結合能物質の種類に応じて夫々所定の方法に従って実施
される。例えば、標識物質或いは結合能物質か酵素の場
合にはEIAの常法、例えば「酵素免疫測定法、蛋白質
 核酸酵素 別冊 No、31 、北用常廣・南原利夫
・辻章夫・石川榮治編集、51〜63頁、共立出版(株
)、1987年9月10日発行」等に記載された方法に
準じて測定を行えばよく、例えば膜上に酵素標識された
複合体か残る場合、分離後の膜上に標識酵素の基質を加
えてそのまま反応させると操作がより簡便である。また
、標識物質が放射性物質の場合にはRIAの常法に従い
、該放射性物質の出す放射線の種類及び強さに応して液
浸型GMカウンター、液体シンチレーションカウンター
、井戸型シンチレーションカウンター等の測定機器を適
宜選択して使用し、測定を行えばよい(例えば医化学実
験講座、第8巻、山村雄−監修、第1版、申出書店、1
971等参照。)。また、標識物質或いは結合能物質か
蛍光性物質の場合には蛍光光度計等の測定機器を用いる
FIAの常法、例えば「図説蛍光抗体、用生明著、第1
版、(株)ソフトサイエンス社、1983J等に記載さ
れた方法に準して測定を行えばよく、標識物質或いは結
合能物質が発光性物質の場合にはフォトンカウンター等
の測定機器を用いる常法、例えば「酵素免疫測定方法、
蛋白質 核酸 酵素 別冊 No、31 、北用常廣・
南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、252〜263頁、
共立出版(株) 、1987年9月10日発行」等に記
載された方法に準じて測定を行えばよい。更に、標識物
質或いは結合能物質が紫外部に吸収を有する物質の場合
には分光光度計等の測定機器を用いる常法によって測定
を行えばよく、標識物質かスピンの性質を有する物質の
場合には電子スピン共鳴装置を用いる常法、例えば[酵
素免疫測定方法、蛋白質 核酸 酵素 別冊 No、3
1、北用常廣・南原利夫・辻章夫・石川榮治編集、26
4〜271頁、共立出版(株) 、1987年9月10
日発行」等に記載された方法に準じて夫々測定を行えば
よい。
尚、標識物質や結合能物質の測定は、これらを測定する
ための臨床検査試薬等を用いて行ってもよいし、測定し
たい標識物質や結合能物質の測定法として一般に知られ
ている方法により行ってもよいことは言うまでもない。
このような場合の具体例としては、例えば以下のような
場合が挙げられる。
即ち、絨毛癌細胞由来のヒト絨毛性ゴナドトロピン(h
CG)中の糖鎖構造の異なるhCG量の分離分析を行う
ような場合に、これらのhCGを含む試料と例えばダツ
ラレクチンとを反応させた後、本願発明の方法により分
離を行い、濾液又は上清液中のhCGを市販のETA法
用試薬により測定することにより、試料中に含有される
ダツラレクチン反応性又はダツラレクチン非反応性のh
CGの量を測定することができる。
本発明の非競合反応の原理に基づく分離・測定方法に於
いて、結合能物質として抗体を用いる場合には、目的に
応じて使用する抗体を適宜ペプシン、パパイン等の酵素
を用いて消化してF (ab” ) x、F ab’ 
或いはFabとして使用してもよい。また、抗体として
1つの抗原認識部位のみと結合する性質を備えたモノク
ローナル抗体を用いた場合には、これを消化して得られ
るF ab’或いはFabに標識物質を結合させたもの
を結合能物質として用いれば、測定対象物質1個当たり
に1個(測定対象物質が2量体や3量体等になっている
場合には単量体あたりに1個)の標識物質を結合させる
ことかできるため、測定時の定量性が良好となりより好
ましい。
また、競合反応の原理に基づく分離・測定方法に於いて
も、結合能物質として抗体を用いる場合には、目的に応
じて使用する抗体を適宜ペプシン、パパイン等の酵素を
用いて消化してF(ab’)z、Fab’ 或いはFa
bとして使用してもよい。特に、抗体として1つの抗原
認識部位のみと結合する性質を備えたモノクローナル抗
体を用いた場合には、これを消化して得られるF ab
’ 或いはFabを結合能物質として用いれば、測定対
象物質及び標識測定物質1個当たりに1個(測定対象物
質が2量体や3量体等になっている場合には単量体あた
りに1個)の結合能物質を結合させることができるため
、標識複合体の分子量、等電点等の性質が一定となって
分離が容易となり好ましい。
本発明の測定方法に於いては、該相互反応の結果生じる
複合体(又は標識複合体)中の標識物質の量或いは結合
能物質の量を測定する以外にも、複合体の形成に関与し
なかった遊離の結合能物質中の標識物質量或いは結合能
物質の量、もしくは遊離の標識測定物質中の標識物質の
量を測定することによっても、測定対象物質量を測定す
ることができることは言うまでもない。
本発明に於いて用いられる結合能い質としての抗体は、
常法、例えば[免疫学実験入門、第2刷、松橋直ら、(
株)学会出版センター、1981J等に記載の方法に準
して、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、ラット、マ
ウス等の動物に測定対象物質を免疫して作製されるポリ
クローナル抗体でも、或いはまた常法、即ちケラ−とミ
ルスタイン(G。
K′6hler and C,Milstein; N
ature、 256.495.1975)により確立
された細胞融合法に従い、マウスの腫瘍ラインからの細
胞と、測定対象物質で予め免疫されたマウスの牌細胞と
を融合させて得られるハイブリドーマが産生ずる単クロ
ーン性抗体でも何れにてもよく、これらを単独で或いは
これらを適宜組み合わせて用いる等は任意である。
本発明の分離・測定方法に於いて、複合体(又は標識複
合体)を形成させる際に、要すれば2種類以上の結合能
物質(具体的には、測定対象物質上の異なる部位に各々
結合する性質を有する2種類以上の結合能物質)を用い
れば、結果的に複合体(又は標識複合体)の分子量が大
きくなる、等電点も変動する等から、複合体(又は標識
複合体)と結合能物質(又は標識測定物質)との分離が
より容易となり、測定精度の向上を計ることができる。
更に、この場合に、各々の結合能物質に標識物質を結合
させておけば、測定感度を上昇させることかできること
は言うまでもない。
また、非競答反応の原理に基づく測定方法に於いて、標
識結合能物質と、単なる結合能物質を併用して、測定感
度の調節を行ってもよい。即ち、このようにして反応を
行った場合には、測定対象物質は、標識結合能物質及び
単なる結合能物質の双方と反応して、標識物質を含む複
合体と、標識物質を含まない複合体とを形成し、これら
が形成される比率は、反応時の標識結合能物質と単なる
結合能物質との比率に比例する。従って、単なる結合能
物質の比率を変化させることにより、標識物質を含む複
合体の生成比率を変化させ、且つ複合体中の標識物質量
を測定することにより測定対象物質の測定を行えば、測
定感度の調節を行うことができる。尚、この場合、標識
結合能物質と単なる結合能物質は、通常同一の結合能物
質に由来するものが用いられるが、標識結合能物質と単
なる結合能物質の何れか一方が測定対象物質と結合した
場合、他方は測定対象物質に結合し得ないような性質を
有する組合せとなるものであれば、結合能物質自体の種
類が異なるものでもよいことは言うまでもない。
本発明の方法は、測定対象物質と結合能物質との相互作
用が弱く、生じる複合体か再度測定対象物質と結合能物
質に解離し易いような場合や、測定対象物質の濃度か低
いため結合能物質との結合力が見かけ上弱くなっている
ような場合の、複合体と結合能物質(又は標識測定物質
)との分離・測定に特に有効である。即ち、結合力か弱
い複合体と、遊離の結合能物質(又は標識測定物質)と
を高速液体クロマトグラフィを利用して分離、・測定し
た場合、カラム中で分離か進むにつれて、複合体と遊離
の結合能物質(又は標識測定物質)とが希釈されて平衡
状態が変化し、複合体が再度測定対象物質と結合能物質
とに解離してしまい、目的物の分離・測定が不正確にな
るのである。このような現象は、糖質とレクチンを組み
合せて分離・測定を行う場合に特に生し易く、このよう
な場合に本願発明の方法を利用すると、複合体を再度測
定対象物質と結合能物質とに解離させることなく、複合
体と遊離の結合能物質(又は標識測定物質)とに分離し
得るので、目的の分離・測定を正確に行うことかできる
また、本発明の方法を用いることにより、生体由来の試
料中の微量成分や合成された糖質等、或は特異的結合能
を有する物質等の分離・測定を簡便に効率良〈実施する
ことかできるが、その他特異的結合能を有する物質の結
合活性を測定することも可能である。
さらに本発明の分離方法は、特開平2−28557号公
報に開示される高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
によりB/F分離を行う測定方法の前処理工程としても
有効である。例えば、高濃度の結合能物質を使用すると
、上記HPLCによる方法では、複合体の濃度に比べて
遊離の結合能物質の濃度が高いためB/F分離の分離能
が低下する。これに対して、膜による方法では比較的高
濃度の結合能物質を使用しても分離が可能である。
そこで、本発明の測定方法の特異的分離能を有する膜を
用いて予め遊離の結合能物質をある程度除去してからH
PLCによるB/F分離を行えば、良好な分離結果が得
られ、高濃度の結合能物質を使用する場合も良好な測定
結果か得られる。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、従来のEIA、RIA或いはF
IAで行われていた固相法、二抗体法、アフィニティク
ロマトグラフィを用いる方法等に比較して、容易に且つ
短時間で極めて精度良く微量成分の分離・測定が行える
。例えば、測定対象物質と結合能物質との組合せが抗原
と抗体である場合、従来の方法により測定を行うと、測
定結果が出るまでには少なくとも数時間、場合によって
は数日間を要していたが、本発明の方法によれば、必要
な測定時間は通常数十分程度と非常に短くて済む。
本発明の方法は、測定対象物質と結合能物質との反応が
液相中で進行するため、均一系反応であり、反応時間か
速い、測定結果の再現性か良い等の利点を有する。
また、HPLCによりB/F分離を行う測定方法に比へ
て、−度に多数の検体を短時間で処理でき、操作か簡便
であるという効果を有するものである。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
参考例 (標識オリゴ糖液) ヒト由来トランスフェリン(シグマ社製)からヒドラジ
ン分解法によりオリゴ糖鎖を調製し、これに、常法によ
り2−アミノピリジンによる蛍光標識を施した。次いて
、得られた標識オリゴ糖鎖を逆相カラムクロマトグラフ
ィで処理して、2−アミノピリジンにより蛍光標識され
ていて、且つ複合型2本鎖オリゴ糖鎖となっているもの
のみを分取し、これを水溶液中に1 nmol/μlの
濃度となるように溶解して、標識オリゴ糖液とした。
(レクチン溶液) コンカナバリンA(豊年製IFIi■社製)をIOmM
トリス−塩酸緩衝液(pH7,4,100mM塩化ナト
リウム、1mM塩化マンガン、1mM塩化カルシウム及
び1mM塩化マグネシウム含有)に、100μg/−と
なるように溶解して、レクチン溶液とした。
(操作法) 標識オリゴ糖液1μlとレクチン溶液100μlとを、
水冷下で混和し20分間反応させた。得られた反応液の
一部を遠心濾過チューブ(ウルトラフリ−C3LGC1
分子量1万カット、日本ミリボアリミテッド社製)を用
いて、4℃、+2.OOOrpm 。
20分間遠心濾過を行い、濾液を得た。
反応液及び濾液の各々lOμlを試料とし、高速液体ク
ロマトグラフィ〔カラム; Wakopak 5CI8
(和光純薬工業■製)、溶離液、 0.1 M  酢酸
アンモニウム緩衝液(pH4,0’) 、0.5〜5%
メタノール濃度勾配、検出:蛍光検出器(励起波長、3
20μm、蛍光波長4oonm))により分析し、標識
オリゴ糖のピーク高を測定した。
尚、対照として、標識オリゴ糖液1μlと10m1nリ
ス−塩酸緩衝液(pH7,4,100mM塩化ナトリウ
ム、1mM塩化マンガン、1mM塩化カルシウム及び1
mM塩化マグネシウム含有)100μlとを混和して得
られた溶液(以下、標識試料と略記する。)についても
、上記と同じ条件で遠心濾過及び高速液体クロマトグラ
フィによる分析を行って、標準試料及び標準試料を遠心
濾過して得られる濾液(以下、標準濾液と略記する。)
について標識オリゴ糖のピーク高を測定した。
(結果) 得られた結果を表2に示す。
表2 表2の結果から、濾液のピーク高は標準濾液のそれの約
45%となること、及び反応液及び標準濾液のピーク高
が標準試料のそれとほぼ同じとなることが判る。これら
のことは、反応液中で形成されるレクチン−標識オリゴ
糖複合体は高速液体クロマトグラフィにより分析中に完
全に解離することを示唆していると判断される。
以上の結果から、糖質−レクチン複合体と遊離の糖質と
の分離を高速液体クロマトグラフィを利用して実施する
のは難しいことか判る。
実施例1 ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の測定 (抗体液l) 常法により調製した抗hCG−α鎖抗体を産生ずるマウ
スハイブリドーマクローンを培養して得られた抗hCG
−α鎖モノクローナル抗体を、常法によりFab’  
とした。これに常法により西洋ワサビペルオキシダーゼ
(POD)を標識して得られたPOD標識抗hCG−a
鎖−Fab’ を、50mMリン酸緩衝液(pH7,5
,150mM塩化ナトリウム、0.2%牛血清アルブミ
ン(シグマ社製)含育〕中に50μg/lの蛋白濃度と
なるように添加して抗体液1とした。
(抗体液2) 抗hCG−β鎖(マウス)モノクローナル抗体(和光純
薬工業(株)製)を、50mM’Jン酸緩衝液(pH7
,5,150mM塩化ナトリウム含有)中に5■/lの
蛋白濃度となるように添加して抗体液2とした。
(試料) 市販のhCG (シグマ社製)を50mMリン酸緩衝液
(pH7,5,150mM塩化ナトリウム、0.2%牛
血清アルブミン(シグマ社製)含有〕に溶解して、hC
G濃度0.100.200.300、又は400m1U
/mI!の溶液を調製し、試料とした。
(基質液1) 3−(p−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸1.6
6 gを、50mMリン酸緩衝液(pH7,5,150
mM塩化ナトリウム含有)1000rILlに溶解し、
6N水酸化ナトリウムでp H7,5に調製したものを
基質液lとした。
(基質液2) 35%過酸化水素水をリン酸緩衝液(pH7,5,15
0mM塩化ナトリウム含有)希釈し、過酸化水素の20
mM溶液を調製して基質液2とした。
(測定操作) 抗体液1 80μl1抗体液280μl及び試料20μ
lとを室温下で混合し1時間反応させた後、混合液を遠
心濾過チューブ〔ウルトラフリーCL (分子量10万
カツト)、日本ミリポアリミテッド社製〕で300 O
r pm、10分間遠心濾過を行なった。この濾液10
μlに基質液1900μl、基質液2100μlを加え
、濾液中のPOD活性を励起波長320nm、蛍光波長
404nmでの1分間当たりの蛍光強度の増加として測
定した。
(結果) 各試料のhCG濃度と濾液のPOD活性(蛍光強度)と
の関係を表す検量線を第1図に示す。第1図から明らか
なように、検量線は良好な直線性を示した。
実施例2 絨毛癌患者のヒト絨毛性ゴナドトロピン(h
CG)糖鎖変化の測定 (レクチン液) シロバナ洋種チョウセンアサガオ種子からゴールドシュ
タインらの方法によりダツラストラモニウムアグルチニ
ン(ダツラレクチン)を精製し、50mMリン酸緩衝液
[:pH7,5,150mM塩化ナトリウム、0.2%
牛血清アルブミン(シグマ社製)含有〕中に1■/Tn
I!の蛋白濃度となるように添加してレクチン液とした
(試料l) 絨毛癌患者の尿中より、パームチット法で抽出したhC
Gを各種のカラムクロマトグラフィーで精製し、50m
Mリン酸緩衝液(pH7,5,150mM塩化ナトリウ
ム、0.2%牛血清アルブミン(シグマ社製)含有)中
に50%g/xi’の蛋白濃度となるように添加して試
料lとした。
(試料2) 正常妊娠者の尿hCG (シグマ社製)を50mMリン
酸緩衝液(pH7,5,150mM塩化ナトリウム、0
.2%牛血清アルブミン(シグマ社製)含有〕に溶解し
て、蛋白濃度50ng/−の溶液を調製して、試料2と
した。
(測定操作) レクチン液50μmと試料50μlを室温下で混合し3
0分間反応させた後、混合液を遠心濾過チューブ〔ウル
トラフリーCL(分子量lO万カット)、日本ミリボア
リミテッド社製〕で3000rpm、20分間遠心濾過
を行なった。この濾液のhCG量を実施例1の方法で測
定した。
(結果) 各試料の濾液のhCG濃度を表3に示す。表3から明ら
かなように絨毛癌患者hCGの変化した糖鎖部分とダツ
ラレクチンが結合し濾過されないために、濾液のhCG
量か減少している。この結果より、絨毛癌患者全体のh
CG量中で85%のhCGが癌化にともない糖鎖か変化
していることが明確になる。
表3 実施例3 B型肝炎ウィルスDNA (HBV−DNA
)の測定 (プローブ溶液) DNA合成機(バイオリサーチ社)により、B型肝炎ウ
ィルス表面抗原遺伝子領域に特異的な下記塩基配列のオ
リゴヌクレオチド(22塩基)を合成し、5゛末端に二
価性架橋剤を介して西洋ワサビペルオキシダーゼ(PO
D)を標識した。このようにして得られたプローブを]
0mMトリス−塩酸(pH8,0) 、0.15M塩化
ナトリウムの溶液中に、5μMの濃度となるように添加
してプローブ溶液とした。
オリゴヌクレオチドの塩基配列: TGGCCAAAATTCGCAGTCCCCA(試料
) M13ファージDNA (約7kb)にB壓肝炎ウィル
スゲノム(約3kb)を組み込んだ一本鎖Ml 3−H
BV−DNAを水に溶解して、0.80.200.40
0 ng/−の溶液を調製し、試料とした。
(基質液1) 3−(p−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸1.6
6 gを、50mMリン酸緩衝液(pH7,5,150
mM塩化ナトリウム含有)1000rnIに溶解し、2
N水酸化ナトリウムでpH7,5に調製したものを基質
液lとした。
(基質液2) 35%過酸化水素水をリン酸緩衝液(pH7,5,15
0mM塩化ナトリウム含有)希釈し、過酸化水素水の2
0mM溶液を調製して基質液2とした。
(測定操作) 試料lOμlに、lOμlの0.5M水酸化ナトリウム
溶液を加え、室温で10分間放置後、同じく10μlの
1Mトリス−塩酸溶液で中和し、プローブ溶液10μl
、2%牛血清アルブミン(ヌクレアーゼフリー、和光純
薬工業(株)製)10μl、及び5M酢酸アンモニウム
溶液50μlを加えて混合した。室温で1時間反応させ
た後、500μlの2.5M酢酸アンモニウム溶液を加
え、限外濾過チューブ〔ウルトラフリーCL(分子量1
0万カツト〕、日本ミリボアリミテッド社製〕で250
゜rpm、10分間遠心濃縮した。フィルター上に残っ
た溶液に500μlの2.5M酢酸アンモニウム溶液を
加えて同じ操作を2回行なった。最後にフィルター上の
液量を2.5M酢酸アンモニウム溶液により200μl
に合わせ(以下最終試料液)、このうち50μlに基質
液1900μ!、基質液2100μlを加え、最終試料
液中のPOD活性を励起波長320nm、蛍光波長40
0nmでの1分間当たりの蛍光強度の増加として測定し
た。
(結果) 各試料のHBV−DNA濃度と最終試料液中のPOD活
性(蛍光強度)との関係を表す検量線を第2図に示す。
第2図から明らかなように、検量線は良好な直線性を示
した。
実施例4 レクチンの測定 (標識オリゴ糖液) ヒト由来トランスフェリン(シグマ社製)からヒドラジ
ン分解法により得られたオリゴ糖鎖を常法に従い、2−
アミノピリジンによる蛍光標識を施した。これを、逆相
カラムクロマトグラフィーにより、蛍光標識化複合壓2
本鎖オリゴ糖鎖のみを分取・精製し、得られた蛍光標識
化オリゴ糖鎖が水溶液中でl nmol/μlの濃度と
なるように調製し、標識オリゴ糖鎖液とした。
(試料) 市販のコンカナバリンA(Con  A、豊年製油社製
)を10mM)リス塩酸緩衝液(pH7,4,100m
M塩化ナトリウム、1mM塩化マグネシウム、1mM塩
化カルシウム、1mM塩化マンガン、0.2%牛血清ア
ルブミン(シグマ社製)含有)に溶解して、Con  
A濃度として0.50.100.200.500.10
00または2000 pmol/−の溶液を調製し、試
料とした。
(測定条件) 標識オリゴ糖液lμ!および試料100μ!とを氷温下
で混和し、20分反応させた後、混合液を遠心濾過チュ
ーブ〔ウルトラフリーC3LGC(分子量1万カツト)
、日本ミリボアリミテッド社製〕で4℃下+200Or
pm、20分間遠心濾過を行なった。この濾液50μl
に水950μlを加え、励起波長320nm、蛍光波長
400nmで各試料の蛍光強度を測定し、試料濃度Op
mol/rdの蛍光強度との差を求め、結合標識オリゴ
糖量とした。
(結果) 各試料のCon  A濃度と結合標識オリゴ糖量(蛍光
強度)との関係を表す検量線を第3図に示す。第3図か
ら明らかなように、検量線は良好な直線性を示した。
実施例5 レクチンの糖鎖構造認識特異性の測定(標識
オリゴ糖液) 牛胎児血清由来アシアロフェツイン(シグマ社製)から
ヒドラジン分解法により得られたオリゴ糖を常法に従い
、2−アミノピリジンによる蛍光標識を施した。これを
、水溶液中で1 nmol/μlの濃度になるように調
製し、標識オリゴ糖鎖液とした。
(試料) 市販のコンカナバリンA(Con  A、豊年製油社製
)、ヒママメレクチン(RCA120、豊年製油社製)
及び、常法に従いチョウセンアサガオ種子より精製した
ダツラレクチン(DSA)を10mM)リス塩酸緩衝液
(p H7,4,100mM塩化ナトリウム、1mM塩
化マグネシウム、1mM塩化カルシウム、1mM塩化マ
ンガン含有)に溶解して、それぞれ1■/−となるよう
に調製し、試料とした。
(測定条件) 標識オリゴ糖液1μlおよび各試料100μlとを水冷
下で混合し、20分反応させた後、混合液を遠心濾過チ
ューブ〔ウルトラフリーC3LGC(分子量1万カツト
)、日本ミリボアリミテッド社製〕で4℃下12000
rpm、20分間遠心濾過を行なった。この濾液lOμ
lを高速液体クロマトグラフィーで逆相カラムクロマト
グラフィー(0,1M酢酸アンモニウム緩衝液、pH4
,0,0−0,25% n−ブタノール濃度勾配)によ
り分離し、蛍光検出器(励起波長320nm、蛍光波長
400 nm)で検出した。
(結果) 標識オリゴ糖液のみ(Intact)及び各試料の溶出
パターンを第4図に示す。ピーク■、■、■は第5図に
示した構造の標識オリゴ糖のピークであり、各レクチン
は、既に知られている各レクチンの特異性と合致した構
造の標識オリゴ糖のピークを消失させた。すなわち、レ
クチンの糖認識特異性の測定ができた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1に於いて得られたhcGa度の検量
線を示す。第2図は、実施例3に於いて得られたHBV
−DNA濃度の検量線を示す。第3図は、実施例4に於
いて得られたCOD A濃度の検量線を示す。第4図は
、実施例5に於いて得られた高速液体クロマトグラフィ
による試料の溶出パターンを示し、第5図は、標識オリ
ゴ糖の構造を示す。 特許出願人 和光純薬工業株式会社

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)測定対象物質を含有する試料を、標識物質で標識
    された或いはされない、測定対象物質に対する結合能を
    有する物質(以下、結合能物質と略記する。)と混合し
    て反応させた後、溶液中に溶解している測定対象物質と
    結合能物質との複合体(以下、単に複合体と略記する。 )と、遊離型の結合能物質とを特異的分離能を有する膜
    を用いて分離し、複合体中の標識物質の量又は結合能物
    質の量を測定することにより試料中の測定対象物質量を
    測定することを特徴とする測定方法。
  2. (2)測定対象物質が、蛋白質、ペプチド、核酸、糖質
    、脂質、薬物又はホルモンである請求項(1)に記載の
    測定方法。
  3. (3)測定対象物質が抗原又は抗体であり、結合能物質
    が、測定対象物質に対する抗体又は抗原である請求項(
    1)に記載の測定方法。
  4. (4)測定対象物質が糖質又はレクチンであり、結合能
    物質が、測定対象物質に対するレクチン又は糖質である
    請求項(1)に記載の測定方法。
  5. (5)複合体と、遊離型の結合能物質との分離を、限外
    濾過膜、イオン交換膜又は疎水性を有する膜を用いて行
    う請求項(1)に記載の測定方法。
  6. (6)測定対象物質を含有する試料を、標識物質で標識
    された測定対象物質(以下、標識測定物質と略記する。 )、及び結合能物質と混合して反応させた後、溶液中に
    溶解している標識測定物質と結合能物質との複合体(以
    下、標識複合体と略記する。)と、遊離型の標識測定物
    質とを特異的分離能を有する膜を用いて分離し、標識複
    合体中の標識物質の量又は遊離型の標識測定物質中の標
    識物質の量を測定することにより試料中の測定対象物質
    量を測定することを特徴とする測定方法。
  7. (7)測定対象物質が、蛋白質、ペプチド、核酸、糖質
    、脂質、薬物又はホルモンである請求項(6)に記載の
    測定方法。
  8. (8)測定対象物質が抗原又は抗体であり、結合能物質
    が、測定対象物質に対する抗体又は抗原である請求項(
    6)に記載の測定方法。
  9. (9)測定対象物質が糖質又はレクチンであり、結合能
    物質が、測定対象物質に対するレクチン又は糖質である
    請求項(6)に記載の測定方法。
  10. (10)複合体と、遊離型の結合能物質との分離を、限
    外濾過膜、イオン交換膜又は疎水性を有する膜を用いて
    行う請求項(6)に記載の測定方法。
  11. (11)測定対象物質を含有する試料を、標識物質で標
    識された或いはされない、測定対象物質に対する結合能
    を有する物質(以下、結合能物質と略記する。)と混合
    して反応させた後、溶液中に溶解している測定対象物質
    と結合能物質との複合体(以下、単に複合体と略記する
    。)と、遊離型の結合能物質とを特異的分離能を有する
    膜を用いて分離する分離方法。
  12. (12)測定対象物質を含有する試料を、標識物質で標
    識された測定対象物質(以下、標識測定物質と略記する
    。)、及び結合能物質と混合して反応させた後、溶液中
    に溶解している標識測定物質と結合能物質との複合体(
    以下、標識複合体と略記する。)と、遊離型の標識測定
    物質とを特異的分離能を有する膜を用いて分離する分離
    方法。
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