JPH0418644B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

［産業上の利用分野］ 本発明は、テトラフルオロエチレン−プロピレ
ン系共重合体を絶縁体とした口出線に関するもの
である。 ［従来の技術］ テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合
体は、高度の熱安定性、耐油性、絶縁性、耐薬品
性、難燃性を有する架橋可能な含ふつ素エラスト
マ共重合体として知られており、かかる共重合体
を導体又は電線コア外周に被覆することにより、
上記の特長を有する電線・ケーブルを得ることが
可能である。 この特長を生かした用途としてモータや変圧器
等の口出線があげられる。 ［発明が解決しようとする問題点］ 発明者等は、テトラフルオロエチレン−プロピ
レン系共重合体を主成分とした樹脂組成物を、モ
ータ等の口出線に応用することについて検討した
結果次のような問題点が指摘された。 すなわち、テトラフルオロエチレン−プロピレ
ン系共重合体を主成分とした樹脂組成物を、通常
導体として使用されている錫鍍金銅線外周に被覆
し、架橋した電線をモータ口出線として使用した
場合、ワニス処理後の加熱（通常150℃前後で10
数時間）によつて錫鍍金銅線と絶縁被覆とが強固
に接着し、ワニス処理を行つた例はワイヤストリ
ツパーによる端末剥離ができなくなるという現象
が認められた。 本発明は、ワニス処理後においても銅線と絶縁
被覆との剥離が容易であるテトラフルオロエチレ
ン−プロピレン系共重合体を主成分とした樹脂組
成物を絶縁被覆とした口出線の影響を目的とする
ものである。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明の口出線は、ニツケルまたは銀で鍍金し
た銅線を使用し、この外周にテトラフルオロエチ
レン−プロピレン系共重合体を主成分として含有
する樹脂組成物の被覆層を設けて構成したもので
ある。 本発明において、テトラフルオロエチレン−プ
ロピレン系共重合体としては、主成分のテトラフ
ルオロエチレンとプロピレンに加えて、これらと
共重合可能な成分、例えばエチレン、ブテン−
１、イソブテン、アクリル酸およびそのアルキル
エステル、メタクリル酸およびそのアルキルエス
テル、ふつ化ビニル、ふつ化ビニリデン、ヘキサ
フルオロプロペン、クロロエチルビニルエーテ
ル、グリシジルビニルエーテル、クロロトリフル
オロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエー
テル等を適当に含有せしめたものであつてもよ
い。 かかる共重合体において、テトラフルオロエチ
レン／プロピレンの含有モル比としては95／５〜
30／70、特に90／10〜45／55の範囲から選定する
ことが耐熱性、成形性等の面から好ましく、ま
た、適宜加えられる主成分以外の成分の含有量と
しては通常50モル％以下、特に30モル％以下の範
囲から選定することが好ましい。 上記したテトラフルオロエチレン−プロピレン
系共重合体を必須成分とする樹脂組成物はニツケ
ルまたは銀鍍金した銅線外周に押出被覆された後
に架橋される。 架橋方法としては、有機過酸化物やアミン類等
の添加による化学架橋、あるいはγ線や電子線等
の電離性放射線の照射による照射架橋等が採用さ
れ、特に限定されない。 有機過酸化物の具体例としては、ジ−ｔ−ブチ
ルパーオキサイド、ｔ−ブチルクミルパーオキサ
イド、ジクミルパーオキサイド、２，５−ジメチ
ル−２，５−ジ（ｔ−ブチルパーオキシ）−ヘキ
シン−３、１，３−ビス−（ｔ−ブチルパーオキ
シ−イソプロピル）ベンゼン等があげられる。 アミン類の具体例としては、ヘキサメチレンジ
アミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレ
ンテトラミン等のいわゆるアルキルポリアミンあ
るいはそのカルバミン酸、シンナミリデン酸等の
塩、またはピペラジン、ピペリジン、ピリジン、
アニリン、フエニンスロリン等のアロマテイツク
ポリアミンおよびその塩等があげられる。 また、アリル化合物、硫黄、有機アミン類、マ
レイミド、メタクリレート類、ジビニル化合物等
の架橋助剤の採用も可能であり、好ましくは、フ
タル酸ジアリル、トリアリル燐酸、トリアリルイ
ソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等のア
リル化合物が採用可能である。 本発明においては、上記成分以外にタルク、ク
レー、無水けい酸といつた充填剤、補強剤、顔
料、滑剤、押出助剤、酸化防止剤、安定剤等の各
種添加剤を配合してもよい。 また、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン系
共重合体、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン
化ポリエチレン、アクリルゴム等の樹脂を混合し
ても良い。 ［実施例］ Γテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合
体（数平均分子量５万、テトラフロオロエチレ
ン／プロピレンチロールのモル比＝55／45）
100重量部 Γ１，３−ビス−（ｔ−ブチルパーオキシ−イソ
プロピル）ベンゼン １重量部 Γトリアリルイソシアヌレート ５重量部 Γサーマルカーボン 40重量部 Γステアリン酸ナトリウム １重量部 を温度50〜60℃に設定した150mm直径のゴム用ロ
ールで混練してムーニ粘度ML1＋４（100℃）が
40の樹脂組成物を得た。 この樹脂組成物を第１表の各例に示すように鍍
金した銅素線（素線系0.18mm）を50本同心撚りし
てなる外径1.5mmの銅線の外周に1.0mmの厚さで押
出被覆し、その後13気圧の蒸気中に３分間保持し
て架橋した。 このようにして作製した電線について、ワイヤ
ストリツパーによる端末剥離の可否（初期および
150℃で20時間加熱後）を評価した結果を第１表
に示した。

【表】 第１表から明らかな通り、ニツケルまたは銀で
鍍金した銅線を使用した場合は加熱処理後におい
ても剥離が可能であり、これに対し錫鍍金した銅
線では加熱処理後の剥離は不可能であつた。 ［発明の効果］ 以上説明してきた通り、本発明によれば加熱処
理後における銅線とテトラフルオロエチレン−プ
ロピレン系共重合体を主成分とした樹脂組成物か
らなる絶縁被覆の端末剥離が容易に行うことがで
きる口出線が得られる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ニツケルまたは銀で鍍金してなる銅線の外周
   にテトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合
   体を主成分として含有する樹脂組成物の被覆層が
   形成され、該被覆層は架橋されていることを特徴
   とする口出線。