JPH0417803Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はエアクリーナなどのフイルタ装置に関
し、特に、そのフイルタエレメントの取付構造に
関する。

《従来の技術》 一般に、自動車などの車両に搭載されるエンジ
ンには、エンジンに吸入される空気中のダストを
除去するために、吸気系にエアクリーナが設けら
れる。

この種のエアクリーナはオイルバス式とか濾紙
式のものなど各種存在するが、例えば第３図に示
す濾紙式のエアクリーナ１がある。

このエアクリーナ１では、クリーナケース２内
に濾紙３が収納され、ケース本体２ａの側壁２ｂ
に形成された空気取入口２ｃから、クリーナケー
ス２に導入される空気が、濾紙３の外方から内方
空間部３ａへと通過して濾過され、この濾過され
た空気がクリーナケース２のカバー２ｄ中央部か
ら図外のエンジンへと供給される。

前記濾紙３はやや長めの筒状に形成され、筒状
濾紙３の両端部はそれぞれエンドプレート３ｂ，
３ｃで内方空間部３ａを除いて閉止されることに
より、フイルタエレメント４が構成される。

このフイルタエレメント４は、図中下端部がク
リーナケース２の底部２ｅに着脱可能に当接され
るとともに、図中上端部がクリーナケース２のカ
バー２ｄに着脱可能に当接される。

一方、前記カバー２ｄの中央部から前記濾紙３
の内方空間部３ａに位置して取付ボルト５を貫通
し、この取付ボルト５の先端部を前記底部２ｅに
装着されたナツト６に螺合して締付けることによ
り、カバー２ｄをケース本体２ａに固定するとと
もに、カバー２ｅと底部２ｄとの間にフイルタエ
レメント４が挟着，固定される。

しかしながら、かかる従来のフイルタエレメン
トの取付構造にあつては、濾紙が筒状に形成され
て中心軸方向にある程度長く形成され、カバー２
ｄに形成される取付ボルト５の貫通孔５ａと、該
取付ボルト５の先端部と螺合するナツト６との間
の距離が長くなつてしまい以下に述べる問題点を
生ずる。

《考案が解決しようとする問題点》 すなわち、カバー２ｄおよびフイルタエレメン
ト４をケース本体２ａに組付ける際には、まず取
付ボルト５カバー２ｄの貫通孔５ａに挿通し、そ
して、取付ボルト５をさらに差し込んでその先端
部を底部２ｅのナツト６に位置させた後、取付ボ
ルト５を回転してナツト６に締付ける。

ところが、取付ボルト５を前記貫通孔５ａに挿
通した後、その先端部をナツト６に位置合わせす
るにあたつて、クリーナケース２内部はカバー２
ｅによつて閉止されるため、内部の視認ができな
い状態にある。

従つて、フイルタエレメント４の上端部に位置
して取付ボルト５を挿通する案内環４ａを設けた
としても、第３図中二点鎖線に示すように取付ボ
ルト５は、ある程度の倒れを生じ、このように取
付ボルト５が倒れると、貫通孔５ａおよび案内環
４ａとナツト６との間の距離が長いことに起因し
て、取付ボルト５の先端はナツト６から大きくず
れてしまう。

これにより、このように取付ボルト４の挿入時
には、取付ボルト５先端とナツト６とが大きくず
れてしまうにもかかわらず、その位置合わせ部分
の視認ができないことから、取付ボルト５の組付
作業が著しく困難になつてしまう。

また、前記取付ボルト５をクリーナケース２の
底部２ｅに直接螺着する関係上、取付ボルト５を
通過させるために濾紙３の下端に設けられるエン
ドプレート３ｃの中心部は大きく開口されてい
る。

従つて、フイルタエレメント４の脱着時に、ク
リーナケース２の底部２ｅに落下したフイルタエ
レメント４のダストが、フイルタエレメント４を
再組付けしてエンジンを稼働した際に、前記エン
ドプレート３ｃの開口から濾紙３の内方空間部３
ａに侵入し、ダストが二次側空気つまり濾過空気
内に混入されてエンジンに供給されてしまうとい
う問題点があつた。

そこで、本考案は取付ボルトの組付作業を著し
く簡単にするとともに、ケース底部のダストが直
接濾紙の内方空間部に侵入するのを防止するフイ
ルタエレメントの取付構造を提供することを目的
とする。

《問題点を解決するための手段》 かかる目的を達成するために本考案のフイルタ
エレメントの取付構造は、濾紙が筒状に形成され
たフイルタエレメントを備え、該フイルタエレメ
ントの下端がこれを収納するケースの底部に着脱
可能に当接されると共に、該フイルタエレメント
の上端にケースのカバーが着脱可能に当接され、
かつ、該筒状濾紙の内方空間部に位置して該カバ
ーをケース外方から内方へと貫通し、その先端部
がケースの底部に螺着される取付ボルトを設け、
該取付ボルトの締付けによりフイルタエレメント
がケースの底部とカバーとの間に挟着，固定され
るフイルタ装置において、該フイルタエレメント
の下端部に濾紙の内方空間部を閉止する仕切板を
設け、この仕切板にシール機能を備えた案内穴を
形成すると共に、該案内穴の周縁部に、該取付ボ
ルトの挿入時にその先端部を案内穴に導く該案内
部を設けた。

《作用》 以上の構成により本考案では、仕切板により濾
紙の内方空間部がフイルタエレメントの下端部で
閉止されるため、ケースの底部に落下したダスト
はこの仕切板に阻止されて直接濾紙の内方空間部
に侵入するのが防止される。

また、取付ボルトの組付時には、前記仕切板に
形成された案内穴に取付ボルトが挿通されるが、
案内穴はケースの底部よりカバーに近いため、案
内穴と取付ボルト先端との位置合わせが簡単にな
るとともに、案内穴の周縁には案内部が設けられ
るため、取付ボルト先端が案内穴とずれた場合に
も、この案内部によつて当該先端部を確実に案内
穴へと導くことができる。

《実施例》 以下本考案の実施例を図基づいて詳細に説明す
る。

すなわち、第１図，第２図に本考案の一実施例
を示すフイルタエレメントの取付構造で、エンジ
ン用のエアクリーナ１０に例をとつて説明する。

図中、１２はフイルタエレメントで、このフイ
ルタエレメント１２はクリーナケース１４内に収
納される。

前記フイルタエレメント１２は、蛇腹状に折曲
したものを筒状に周回した濾紙１６と、この濾紙
１６の両端（第１図中上下端）に添着される第
１，第２エンドプレート１８，２０と、濾紙１６
の内周に嵌合されるパンチングプレートで形成さ
れた補強筒２２とで構成される。

第１エンドプレート１８は濾紙１６の図中上端
に設けられ、この第１エンドプレート１８には、
濾紙１６の内方空間部２４に対応する部分を切除
した中央開口部１８ａが形成される。

第２エンドプレート２０は、濾紙１６の図中下
端に設けられ、この第２エンドプレート２０の中
央部は補強筒２２の内周部分から前記内方空間部
２４内に陥入され、この陥入部分が前記内方空間
部２４の内，外を隔成する仕切板２６となつてい
る。

前記クリーナケース１４は、側壁２８ａおよび
底部２８ｂを有するケース本体２８と、ケース本
体２８の上端開方向を気密に閉止するカバー３０
とから構成される。

前記側壁２８ａの一部には空気取入口３２が形
成され、この空気取入口３２の周縁部外側には空
気取入用の接続管３２ａが装着される。

一方、前記カバー３０の中央部には前記濾紙１
６の内方空間部２４に対応して空気排出口３４が
形成され、この排出口３４にはほぼＬ字状に折曲
された空気排出用の接続管３４ａの一端部が嵌合
される。

なお、前記空気取入口の接続管３２ａは空気取
入口３２と一体となつてケース本体２８の一部を
構成し、かつ、前記空気排出用の接続管３４ａは
空気排出口３４と一体もしくは緊密に嵌合されて
カバー３０の一部を構成する。

そして、前記フイルタエレメント１２は前記ケ
ース本体２８内に、フイルタエレメント１２の外
周とケース本体２８の内周との間に適宜間〓を設
けて同軸上に挿入され、第２エンドプレート２０
の下端面が前記底部２８ｂに環状のガスケツト３
６を介して着脱可能に当接される。

前記底部２８ｂの中央部には前記第２エンドプ
レート２０の陥入部分に嵌合される突部２８ｃが
形成され、この突部２８ｃによつてフイルタエレ
メント１２挿入時の位置決めが行われる。

また、前記底部２８ｂの下側には、ダストケー
ス３８が設けられ、このダストケース３８内は底
部２８ｂの周縁部、つまり前記ガスケツト３６の
外周より外方部分に形成された開口部３８ａを介
して前記側壁２８ａとフイルタエレメント１２と
の間に連通されている。

さらに、前記ダストケース３８の底部には、エ
ンジン稼働に伴う負圧発生で閉弁され、かつ、エ
ンジン停止時に開弁されるアンローダーバルブ４
０が設けられ、アンローダーバルブ４０の開弁時
にはダストケース３８内のダストが外方に落下さ
れる構造となつている。

一方、前記フイルタエレメント１２が挿入され
たケース本体２８の上端開方向をカバー３０で閉
止した際、フイルタエレメント１２の第１エンド
プレート１８は環状のガスケツト４２を介して該
カバー３０に着脱可能に当接される。

なお、前記カバー３０の周縁部と前記ケース本
体２８の開放端との間にもガスケツト４４が介装
され、エアクリーナ１０内の気密保持が行われ
る。

また、前記フイルタエレメント１２と前記側壁
２８ａとの間には、空気取入口３２の下方に位置
して翼４６が周方向に多数設けられ、空気取入口
３２からエアクリーナ１０内に取り入れられた空
気に過流を生じさせてフイルタエレメント１２の
全周に均等に空気が供給される。

ところで、前記クリーナケース１４の中心軸上
には、取付ボルト４８が設けられ、この取付ボル
ト４８を介してケース本体２８とカバー３０との
結合およびフイルタエレメント１２の固定が行わ
れる。

すなわち、前記カバー３０の接続管３４ａの上
端に平坦面３４ｂを設けて、この平坦面３４ｂに
貫通孔５０を形成するとともに、前記ケース本体
２８の底部２８ｂには、前記取付ボルト４８の先
端部に形成されたねじ部４８ａを螺合する袋ナツ
ト５２が中心軸上に上方向を指向して植設され
る。

また、フイルタエレメント１２の上端部には濾
紙１６の内周に設けられた補強筒２２にステー５
４を介して装着される案内管５６が、中心軸上に
設けられ、前記取付ボルト４８は前記貫通孔５０
に挿通された後案内環５６に挿通される。

さらに、前記第２エンドプレート２０を陥入し
て形成して仕切板２６には、中心軸上に案内穴５
８が形成される。

この案内穴５８は、その周縁部下側に補助環５
８ａが装着され、そして、この補助環５８ａと案
内穴５８の周縁との間にはシールラバー６０が挾
持されており、このシールラバー６０により案内
穴５８に挿通された取付ボルト４８との気密性が
確保される。

さらにまたは、前記案内穴５８の周縁部は案内
穴５８を最下部とするテーパー状に陥没して形成
され、このテーパー状陥没部を案内部６２として
ある。

以上の構成により、本考案のフイルタエレメン
トの取付構造にあつては、エンジン稼働に伴つて
エンジンの吸気系に吸入負圧が発生すると、エア
クリーナ１０を介して濾過された空気がエンジン
の吸気経路に供給される。

すなわち、吸入負圧発生に伴つてエアクリーナ
１０の空気取入口３２からクリーナケース１４内
に導入される空気は、翼４６で過流を生じつつフ
イルタエレメント１２と側壁２８ａとの間の環状
空間部の全周に亘つて供給される。

そして、この空気は濾紙１６を外方から内方空
間部２４へと通過して濾過され、この濾過された
空気は内方空間部２４からカバー３０の空気排出
口３４および接続管３４ａを介してエンジンに供
給される。

ところで、かかる機能を有するエアクリーナ１
０の組付時には、まずケース本体２８内にフイル
タエレメント１２を上端開口から挿入し、そし
て、フイルタエレメント１２をケース本体２８の
所定位置にセツトした後、ケース本体２８の上端
開口をカバー３０で閉止する。

次に、前記カバー３０の上端に形成された貫通
孔５０に取付ボルト４８を嵌合させて差し込む。

すると、取付ボルト４８は前記貫通孔５０の直
下近傍にある案内管５６に容易に挿入され、取付
ボルト４８をさらに差し込んでいくと、取付ボル
ト４８がクリーナケースの中心軸に対して傾斜し
ている場合は、取付ボルト４８の先端は仕切板２
６に形成された案内部６２に突き当たることにな
る。

ここで、案内部６２はテーパー状となつている
ので、取付ボルト４８を差し込むと、取付ボルト
４８の先端はテーパー面に案内されて最下部の案
内穴５８に導かれ、取付ボルト４８は案内穴５８
に容易に挿入することができる。

このように、取付ボルト４８が案内穴５８に挿
入されると、取付ボルト４８は前記貫通孔５０、
案内環５６およびこれら貫通孔５０、案内環５６
から遠くに設けられた案内穴５８によつて支持さ
れ、取付ボルト４８は傾斜されることなく前記中
心軸上に配置される。

従つて、このように中心軸上にセツトされた取
付ボルト４８をさらに押し込むと、取付ボルト４
８の先端部はそのまま袋ナツト５２に位置合わせ
され、あとは取付ボルト４８を回転することによ
り先端ねじ部４８ａは該袋ナツト５２に螺合され
る。

そして、前記取付ボルト４８を袋ナツト５２に
締付けることにより、カバー３０はケース本体２
８に押し付けられて固定されるとともに、フイル
タエレメント１２はカバー３０とケース本体２８
の底部２８ｂとの間に押圧されて挟着，固定され
る。

このように、本実施例のフイルタエレメントの
取付構造にあつては、取付ボルト４８をカバー３
０上端からケース本体２８の底部２８ｂまで挿入
するにあたつて、取付ボルト４８をカバー２０の
貫通孔５０から単に差し込んでいくことによつ
て、取付ボルト４８の先端を底部２８ｂの袋ナツ
ト５２に位置合わせすることができ、フイルタエ
レメント１２の組付作業が著しく簡略化される。

また、本実施例にあつてはフイルタエレメント
１２の濾紙１６の内方空間部２４とケース本体２
８の底部２８ｂとの間は仕切板２６により隔成さ
れ、かつ、仕切板２６を貫通する取付ボルト４８
の周縁はシールラバー６０によりシールされるた
め、フイルタエレメント１２の交換または再組付
時にあつて、古いフイルタエレメント１２から前
記底部２８ｂに落下したダストは、爾後組付けら
れるフイルタエレメント１２の前記内方空間部２
４に侵入されるのが防止される。

従つて、フイルタエレメント１２の再組付後に
吸気系へダスト吸込みが行われると言う不具合を
確実になくすことができる。

さらに、前記案内穴５８および前記案内部６２
は仕切板２６から一体に形成され、かつ該仕切板
２６は第２エンドプレート２０から一体に延設さ
れるため、部品点数の増加がきたされることなく
コストアツプの防止を行うことができる。

《考案の効果》 以上説明したように本考案のフイルタエレメン
トの取付構造にあつては、濾紙の内方空間部の下
端部を仕切板で閉止することにより、フイルタエ
レメント再組付時のダスト吸込みを防止すること
ができるとともに、仕切板に取付ボルトを貫通さ
せる案内穴を設けることにより、ケースの底部に
設けた螺合部への取付ボルトの案内を著しく容易
にすることができる。

また、前記案内穴の周縁には、取付ボルトが傾
斜された場合にも取付ボルト先端を前記案内穴に
導く案内部を設けたので、取付ボルトの挿入時に
は取付ボルトの挿入方向を複雑に調整することな
く、単にカバーの貫通孔から差し込むのみで取付
ボルトの挿入方向を正常位置にセツトすることが
できる。

さらに、前記案内穴および案内部を仕切板から
一体に形成したので、部品点数の増加およびこれ
に伴うコストアツプを防止することができるとい
う各種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフイルタエレメントの取
付構造の一実施例を示す要部断側面図、第２図は
本考案の一実施例を示す要部断面平面図、第３図
は従来のフイルタエレメントの取付構造を示す要
部断面側面図である。 １０……エアクリーナ、１２……フイルタエレ
メント、１４……クリーナケース、１６……濾
紙、２４……内方空間部、２６……仕切板、２８
……ケース本体、２８ｂ……底部、３０……カバ
ー、５２……袋ナツト、５６……案内環、５８…
…案内穴、６２……案内部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 濾紙が筒状に形成されたフイルタエレメントを
   備え、該フイルタエレメントの下端がこれを収納
   するケースの底部に着脱可能に当接されると共
   に、該フイルタエレメントの上端にケースのカバ
   ーが着脱可能に当接され、かつ、該筒状濾紙の内
   方空間部に位置して該カバーをケース外方から内
   方へと貫通し、その先端部がケースの底部に螺着
   される取付ボルトを設け、該取付ボルトの締付け
   によりフイルタエレメントがケースの底部とカバ
   ーとの間に挟着，固定されるフイルタ装置におい
   て、 該フイルタエレメントの下端部に濾紙の内方空
   間部を閉止する仕切板を設け、この仕切板にシー
   ル機能を備えた案内穴を形成すると共に、該案内
   穴の周縁部に、該取付ボルトの挿入時にその先端
   部を案内穴に導く該案内部を設けたことを特徴と
   するフイルタエレメントの取付構造。