JPH0231565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は気化器の上方に配設されたエアクリー
ナのケース構造に関し、特に気化器の調整作業性
を改善し得るエアクリーナのケース構造に関す
る。

〈従来の技術〉 エンジンレイアウト上の都合などから、気化器
の上面にエアクリーナのケースを配設することが
従来より行なわれており、その一例が実開昭57−
107964号公報に示されている。

一方、可及的に吸気の充填密度を増大させるこ
とがエンジン出力を向上させる上で好ましいこと
から、エアクリーナの流路抵抗を小さくし、しか
も濾過効率を向上させるために、エアクリーナケ
ースの容積が増大しがちとなり、その結果、気化
器の上面をエアクリーナケースが大きく覆うこと
になつている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 そのためアイドル回転の調整、或いは排出ガス
濃度の調整など、気化器の燃料系の調整作業が頗
る厄介になり、エアクリーナケースを取外さねば
作業を行なえない構造になることも考えられる。

エアクリーナの着脱作業による作業性劣化の問
題はもとより、実使用状態とは異なる条件で調整
を行なうことは好ましいことではなく、エアクリ
ーナを取外ずさずに気化器の調整を行ない得るこ
とが望ましい。

本考案はこのような知見に基づくもので、その
主な目的は、気化器の調整作業に何等支障を生じ
ることのないエアクリーナケースを提供すること
にある。

〈問題点を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、調節手段
を有する燃料供給装置の上方に配設されたエアク
リーナのケース構造であつて、該エアクリーナケ
ースの壁に前記調節手段の軸線に沿つて貫通する
ように設けられた通孔と、該通孔を気密に閉塞し
得る開閉自在の蓋とを有し、該蓋は、前記調節手
段から遠い側の壁に設けられたものがゴム状材料
からなるプラグであり、前記調節手段に近い側の
壁に設けられたものが弾性材料からなり外側へ開
くリード弁であることを特徴とするエアクリーナ
のケース構造を提供することにより達成される。

〈作用〉 このようにすれば、エアクリーナのケースを貫
通して開設された通孔を介してスクリユードライ
バを燃料供給装置の調節手段に到達させることが
可能となり、更に通常はその通孔を気密に閉塞し
得る開閉自在の蓋を設けることにより、吸気口よ
りの吸気に対するエアクリーナの機能を損うこと
がない。また、調節手段から遠い側の壁の蓋をプ
ラグにすれば容易に着脱を行え、調節手段に近い
側の壁の蓋をリード弁にすればドライバを挿入す
ることにより押し開けられ、ドライバを引抜くこ
とにより自動的に復元して通孔を閉塞し得る。

〈実施例〉 以下に添付の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図は本考案に基づくエアクリーナのケース
構造が適用された水平型４サイクル多気筒エンジ
ンを示しており、エンジン本体１はヘツドカバー
２を前方に向けて、僅かに仰角を付けて略水平に
搭載される。

シリンダヘツド３の上面には吸気マニホルド４
が取着されている。この吸気マニホルド４は、シ
リンダヘツド３の上面からエンジン本体１の後方
に向けて略水平に延出され、シリンダブロツク５
の上側に配設された気化器６に接続されている。
更に気化器６の吸気口はエルボ７により上方に向
けて略直角に屈曲され、気化器６の上面を大きく
覆うように配設されたエアクリーナケース８に接
続されている。

エアクリーナケース８は合成樹脂からなり、縦
方向に２分割された偏平な概ね半楕円形断面の容
器状をなす流入ケーシング８ａと吐出ケーシング
８ｂとからなつている。流入ケーシング８ａと吐
出ケーシング８ｂとの互いの開口部には、比較的
緩く嵌合し合うフランジ９ａ，９ｂが形成されて
おり、これら両フランジ間に濾紙やウレタンフオ
ームなどからなるフイルタエレメント１０が挾持
されている。このフイルタエレメント１０はエア
クリーナケース８の断面形状状と略相似形をなし
外周方向外向きに鍔１０ａが全周に亘つて突設さ
れている。前記フランジ９ａ，９ｂをボルト１１
により締結する際に、この鍔１０ａに巻装された
環状のシール部材１２を介してフイルタエレメン
ト１０も同時に共締めされ、流入ケーシング８ａ
と吐出ケーシング８ｂとの内部を隔絶することと
なる。

吸気流は流入ケーシング８ａの前方から後方へ
向けて吸入され、フイルタエレメント１０を通過
した後、エルボ７部分でターンして再び前方へ向
かい、エンジンの後方から気化器を通過してシリ
ンダ内に流入するようにされている。このように
吸気道を屈曲させることは、限られた空間内で可
及的に吸気長を長くとり、吸気流の慣性効果によ
る充填密度の増強を図ろうとするものである。

シリンダヘツド３の下面には図示されない排気
マニホールドが取着され、排気管により燃焼後の
ガスを車体後方から排出し得るようにされてお
り、またシリンダブロツク５の後方にはオイルパ
ン１３が取着されている。

第２図に良く示されるようにエアクリーナの流
入ケーシング８ａの適所には、斜め上方より上壁
２１と底壁２２とを後記する気化器調整用ノブの
軸線に沿つて同軸的に貫通する通孔２３，２４が
開設されており、気化器６から遠い側にある上壁
２１の通孔２３は比較的軟質な合成樹脂からなる
プラグ２５により閉塞され、気化器６に近い側に
ある底壁２２の通孔２４は下向きにのみ開き得
る、例えば弾性に富む合成樹脂からなる蓋板２６
により閉塞されている。

上壁２１の通孔２３を閉塞するプラグ２５は、
内面を窪められた円盤状をなし、内側面の直径d₁
は通孔２３の内径d₂より小さくされ、外側面の直
径d₃は通孔２３の内径d₂より大きくされている。
このプラグ２５の外周面には、通孔２３の内周縁
と弾性的に係合し得る溝２７が周設されており、
この溝２７の底の直径は、通孔２３の内径d₂と略
等しくされている。

このプラグ２５を通孔２３に取付ける際には、
プラグ２５の内側の面を通孔２３に埋込めば良
く、このようにすることにより、プラグの外周が
変形し、通孔２３の内周縁と溝２７とが弾性的に
係合するため、気密に通孔２３を塞ぐことが可能
となる。逆に取外す際には、スクリユードライバ
の先端などでこじることにより、容易に取外すこ
とが可能である。

底壁２２の蓋板２６はリード弁と同様な作用を
なしている。即ち、蓋板２６の外周部に突設され
たボス２６ａを、底壁２２に穿設された対応孔２
２ａに底壁の外側より嵌着することにより、通常
は蓋板２６の弾性により通孔２４は閉塞されてい
るが、上方よりドライバなどを差込むことにより
蓋板が下向きに折れ曲り、容易にドライバなどの
先端を外部に突出させることができる。このよう
に、上壁２１側の蓋は通孔の内周に密接するプラ
グ様にし、底壁２２側の蓋は外側へのみ開くリー
ド弁様とすることにより、エンジン運転中はエア
クリーナケース内が負圧傾向となるので、両通孔
２３，２４からの空気漏れを効果的に防止するこ
とができる。

気化器６のアイドルポートに螺着されるニード
ルは気化器ボデイの側面に斜め上方より取着され
ているが、ニードル軸２８にはフレキシブルワイ
ヤ２９が連設され、上方に向けて延出されてい
る。このフレキシブルワイヤ２９の先端部には調
整用工具としてのドライバ３０の先端と係合し得
るようにマイナス溝が形成されたノブ３１が固着
されており、該ノブの先端は気化器本体に固着さ
れたブラケツト３２により通孔２４と整合させた
位置に支持されている。

気化器の調整を行なう際には、先ずプラグ２５
をドライバ３０の先端などでこじることにより取
外し、次に上部の通孔２３よりドライバ３０を差
込む。底壁２２の蓋板２６はドライバの先端で容
易に押し開けることが可能であり、底壁２２の通
孔２４と整合する位置に設けられたノブ３１にド
ライバ３０の先端を極めて容易に到達させること
ができる。

底壁２２の蓋板２６はドライバ３０を引抜け
ば、部材自体の弾性により元の位置に復元して通
孔２４を密閉する。上壁２１の通孔２３には、プ
ラグ２５を再び押込めば良い。

〈考案の効果〉 このように本考案によれば、気化器の調整スク
リユーの頭部と整合する位置に臨む通孔を開設
し、該通孔にスクリユードライバを差込むことに
より、気化器の調整スクリユーを回転し得るもの
としたため、エアクリーナケースを取外すことな
く気化器の調整をなし得ることとなり、気化器調
整に於ける作業性の改善に極めて大きな効果を奏
することができる。

また、下壁側にリード弁状の蓋を設けるものと
したため、蓋の開閉に何ら煩わされることなく、
しかもエンジン運転中はエアクリーナケース内が
負圧傾向となるので、蓋板の密着性が高まり、水
滴などが侵入する虞れもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づくエアクリーナケースを
備えるエンジンの側面図である。第２図は第１図
の要部を一部破断して示す拡大図である。 １……エンジン本体、２……ヘツドカバー、３
……シリンダヘツド、４……吸気マニホールド、
５……シリンダブロツク、６……気化器、７……
エルボ、８……エアクリーナケース、８ａ……流
入ケーシング、８ｂ……吐出ケーシング、９ａ，
９ｂ……フランジ、１０……フイルタエレメン
ト、１０ａ……鍔、１１……ボルト、１２……シ
ール部材、１３……オイルパン、２１……上壁、
２２……底壁、２２ａ……対応孔、２３，２４…
…通孔、２５……プラグ、２６……蓋板、２６ａ
……ボス、２７……溝、２８……ニードル軸、２
９……フレキシブルワイヤ、３０……スクリユー
ドライバ、３１……ノブ、３２……ブラケツト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 調節手段を有する燃料供給装置の上方に配設さ
   れたエアクリーナのケース構造であつて、 該エアクリーナケースの壁に前記調節手段の軸
   線に沿つて貫通するように設けられた通孔と、 該通孔を気密に閉塞し得る開閉自在の蓋とを有
   し、 該蓋は、前記調節手段から遠い側の壁に設けら
   れたものがゴム状材料からなるプラグであり、前
   記調節手段に近い側の壁に設けられたものが弾性
   材料からなり外側へ開くリード弁であることを特
   徴とするエアクリーナのケース構造。