JPH0115887Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は横形内燃機関等の屈曲した吸気管の上
端にエアクリーナのケーシング本体および蓋部材
を固着する装置に関する。

〈従来技術〉 デイーゼルエンジン等の内燃機関のうちでも、
とりわけ、ピストンを横向きに配置した横形内燃
機関においては、吸気系統の構造を簡素化するた
め、吸気ポートに接続された吸気管の上端にエア
クリーナを直接取付けている。

ところで、この種従来の横形内燃機関における
エアクリーナ取付手段としては、第１図に示す如
く吸気管１の上端１ａにステー２等を介して上向
きに取付ボルト３を固着し、かつ前記吸気管１の
上端１ａに対し外部ケーシング４ａおよび内部ケ
ーシング４ｂの組み合わせからなるエアクリーナ
ケーシング４を、その下部の開口５を嵌着して取
付けると共に、上記ケーシング４の上部開口に中
央にゴムブツシユ６を嵌着したボルト貫通孔７を
有する蓋部材８を冠着し、前記ゴムブツシユ６の
中心孔６ａから上方に突出した前記取付ボルト３
の雄ねじ部９に蝶ナツト１０を螺着し、該蝶ナツ
ト１０で前記蓋部材８を下方に押圧することによ
り前記ケーシング４および蓋部材８を吸気管１に
一体に取付けている。

ところが、上述の如き従来のエアクリーナ取付
装置においては、蓋部材８の上面に露出した蝶ナ
ツト１０を手で廻すか、あるいは工具を用いて緩
めることが必要であるが、横形内燃機関は一般
に、第２図に示す如く機関本体１１の上部に載置
したラジエータ１２やシリンダヘツド１３および
弁腕ボンネツト１４を保護する目的で、これらの
上部をカバー１５で覆つているため、該カバー１
５と前記エアクリーナの蓋部材８との間隙ｔが極
めて小さく、前記蝶ナツト１０の脱着が困難にな
る問題があつた。

勿論、前記カバー１５と蓋部材８との間隙ｔを
拡大し、蝶ナツト１０の着脱を容易にするため
に、エアクリーナの取付け位置を下げるか、ある
いはカバー１５の取付位置を上方へずらすことも
考えられるが、前者の如くエアクリーナの取付位
置を下方へずらすことは、吸気管１の曲り角度を
局端に小さくすることになり吸気効率を下げる原
因になると共に、後者の如くカバー１５を上方に
ずらせた場合は、機関の小型化が阻害されるとい
う問題を派生する。

また、上記従来構造のエアクリーナ取付装置で
は、蝶ナツト１０の緩みあるいは、ゴムブツシユ
６の劣化等によつてエアクリーナケーシング４内
の空間がボルト貫通孔７を通じて外部と連通し、
該ボルト貫通孔７から未過空気が侵入して、エ
アクリーナのろ過機能が損なわれるという問題が
あつた。

〈考案の目的〉 本考案は、かかる従来のエアクリーナ取付装置
が有していたろ紙フイルター交換時の蝶ナツト着
脱操作の困難さの問題および未過空気吸込みの
問題に着目し、横形内燃機関の吸気管がＬ字形に
屈曲した形状をなしていることを利用し、吸気管
の屈曲部外壁に設けた孔から蝶ボルトを吸気管内
に挿入し、該蝶ボルトの上端をエアクリーナの蓋
部材内側に設けたねじ孔に螺入することにより蓋
部材を下方に引き下げ、該蓋部材と吸気管の上端
との間でエアクリーナのケーシングを挾み付けて
固着すると共に、前記蝶ボルトを下方に引き抜く
だけで、前記蓋部材の上部間隙を利用することな
しに、該蓋部材の取外しを可能となし、もつて前
記問題点を解消することを目的とするものであ
る。

〈考案の構成〉 上記目的を達成するための本考案の構成は略Ｌ
字形に屈曲した吸気管の上端にエアクリーナのケ
ーシングを嵌着し、該ケーシングの上面を覆つて
蓋部材を冠着し、かつ、該蓋部材の上部に、ラジ
エータ等のカバーを接近して設けてなる横形内燃
機関の吸気過装置において、前記エアクリーナ
の蓋部材内側中央部に外部と連通しないねじ孔を
設ける一方、前記吸気管の屈曲部外壁面に前記ケ
ーシング底面中央部の出口孔に指向するボルト挿
通孔を穿設すると共に、該ボルト挿通孔から前記
吸気管内に、先端に雄ねじ部を有し、かつ、後端
につまみ部を備えた蝶ボルトを挿入し、該蝶ボル
トの雄ねじ部を前記蓋部材のねじ孔に螺着するこ
とにより、前記蓋部材およびケーシングを前記吸
気管の上端に一体に止着せしめた点にある。

〈実施例〉 次に本考案の実施例を添付図面にもとづいて詳
述する。

第３図は従来のもの同様に第２図に示す如き機
関本体１１上部のカバー１５下部に配設される本
考案のエアクリーナ固定装置の一例を示す断面図
であつて、２１は横形内燃機関のシリンダヘツド
側面に開口した吸気ポートに接続された吸気管、
２２は該吸気管２１の上端２１ａに嵌着されたエ
アクリーナのケーシング、２３は該ケーシング２
２の上部開口を閉鎖して冠着した蓋部材である。

前記吸気管２１は、鋳物等により構成された略
Ｌ字形状に屈曲した管状体で、その上端２１ａが
鉛直上方に向くよう下端のフランジ部２１ｂがシ
リンダヘツドに取付けられていると共に、中間に
位置する屈曲部外壁面２４において、蝶ボルト２
５を前記吸気管２１の上端２１ａの中心軸線に沿
つて上方突出させるボルト挿通孔２６を有してい
る。

一方、前記エアクリーナのケーシング２２は、
底部に潤滑油溜り部２７ａを形成した有底円筒状
の外部ケーシング２７と、該外部ケーシング２７
内に通路間隙２８を存して収納された内部ケーシ
ング２９とから構成されており、前記外部ケーシ
ング２７は、その底面中央に設けた凹部３０を前
記吸気管２１の上端２１ａに嵌着することにより
吸気管２１に接続され、内部空間が前記凹部３０
の中心に穿設した出口孔３１を通じて前記吸気管
２１内の吸気通路３２と連通している。また、前
記内部ケーシング２９は、前記外部ケーシング２
７底部の出口孔３１に対し、パツキン３３を介し
て接続される中心筒３４の外周に有孔円板状の上
蓋３５と有底円筒状の外筒３６とを一体に接合
し、これら各部材間に形成される円筒状空間３７
内においてフイルタエレメント３８を収納したも
ので、前記外筒３６の底部に設けた空気流入孔３
９から導入した空気を前記フイルタエレメント３
８で過した後、前記上蓋３５の空気流出孔４０
から送出するようになつている。

また、前記蓋部材２３は、ケーシング２２を構
成する外部ケーシング２７および内部ケーシング
２９の上部開口を包囲する形状をなし、内面２３
ａに貼着したパツキン４１を介して内部ケーシン
グ２９の上縁部を押圧することにより、内部ケー
シング２９上面と蓋部材２３内面との間に画成さ
れる２次室４２をケーシング２２の外部と遮断し
ていると共に、内面２３ａの中央部においてステ
ー４３により前記ケーシング２２の中心軸線に沿
う方向にねじ孔４４を備えたナツト４５を固着し
ている。なお、前記吸気管２１のボルト挿通孔２
６に挿通された蝶ボルト２５は、先端が雄ねじ部
４６をナツト４５のねじ孔４４内に挿入し易いよ
う尖つた形状をなしていると共に、後端側におい
て手で直接回動させ易いようつまみ部４７を有し
ている。

本考案のエアクリーナ取付装置は叙上の如き構
成を有するものであるが、次にその作用について
説明すると、先ず、エアクリーナを吸気管２１の
上端に接続する場合は、ケーシング２２の外部ケ
ーシング２７を吸気管２１の上端２１ａに嵌着
し、該外部ケーシング２７内に内部ケーシング２
９を収納し、更に該内部ケーシング２９の上部に
蓋部材２３を冠着した後、前記吸気管２１のボル
ト挿通孔２６から吸気通路３２内に蝶ボルト２５
を挿通し、該蝶ボルト２５先端の雄ねじ部４６を
ナツト４５のねじ孔４４に螺着してつまみ部４７
を回動させて締め付ける。このとき、蓋部材２３
は、前記蝶ボルト２５の締め付け力によつて下方
に付勢され、内面２３ａに設けたパツキン４１を
介しケーシング２２を吸気管２１の上端２１ａに
押圧するため、ケーシング２２は蓋部材２３と吸
気管２１との間に挾着され蓋部材２３と共に吸気
管２１に一体に連結される。

なお、フイルターエレメント３８や潤滑油溜り
２７ａに収容した潤滑油の交換時においてケーシ
ング２２を取外す場合は、蝶ナツト２５を緩めて
ボルト挿通孔２６から下方に抜き取り、凹部３０
の深さ分だけ上方に持ち上げて吸気管２１から取
外せばよい。

〈考案の効果〉 以上述べた如く本考案のエアクリーナ取付装置
は、略Ｌ字形に屈曲した吸気管の屈曲部外壁面に
蝶ボルトを貫通させるボルト挿通孔を穿設すると
共に、エアクリーナのケーシング上面を包囲する
蓋部材の内側に外部と連通しないねじ孔を設け、
該ねじ孔に前記ボルト挿通孔に挿通した蝶ボルト
先端の雄ねじ部を螺着することにより、蓋部材と
吸気管とで該吸気管の上端に嵌着したケーシング
を挾持し、エアクリーナのケーシングおよび蓋部
材を吸気管に一体に固着したものであるから、従
来のエアクリーナ取付装置の如く、エアクリーナ
の蓋部材上面に取付ナツトが露出せず、取付ナツ
ト着脱のための空間を蓋部材上部に設ける必要が
ないため、蓋部材の上部にラジエータ等のカバー
を接近して設けている場合でも容易に蓋部材およ
びケーシングの着脱を行うことができ、エアクリ
ーナのメンテナンスを容易かつ迅速に行うことが
出来るというすぐれた効果を発揮する。

しかも、本考案によれば、エアクリーナの蓋部
材から取付けボルトを貫通させるための孔を撤廃
することが可能なため、ゴムシール等の劣化によ
つてエアクリーナの２次室側に直接外気が侵入す
るのを未然に防止することができ、エアクリーナ
の空気過性能を維持し得るという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエアクリーナ取付装置を示す断
面図、第２図は従来のエアクリーナ取付装置を備
えた横形内燃機関の側面図、第３図は、本考案の
エアクリーナ取付装置の一例を示す断面図であ
る。 ２１……吸気管、２１ａ……上端、２２……ケ
ーシング、２３……蓋部材、２４……屈曲部外壁
面、２５……蝶ボルト、２６……ボルト挿通孔、
３１……出口孔、４６……雄ねじ部、４７……つ
まみ部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 略Ｌ字形に屈曲した吸気管の上端にエアクリー
   ナのケーシングを嵌着し、該ケーシングの上面を
   覆つて蓋部材を冠着し、かつ、該蓋部材の上部
   に、ラジエータ等のカバーを接近して設けてなる
   横形内燃機関の吸気濾過装置において、前記エア
   クリーナの蓋部材内側中央部に外部と連通しない
   ねじ孔を設ける一方、前記吸気管の屈曲部外壁面
   に前記ケーシング底面中央部の出口孔に指向する
   ボルト挿通孔を穿設すると共に、該ボルト挿通孔
   から前記吸気管内に、先端に雄ねじ部を有し、か
   つ、後端につまみ部を備えた蝶ボルトを挿入し、
   該蝶ボルトの雄ねじ部を前記蓋部材のねじ孔に螺
   着することにより前記蓋部材およびケーシング本
   体を前記吸気管の上端に一体に止着せしめたこと
   を特徴とするエアクリーナ取付装置。