JPH0117656Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として火花点火式ガス機関に用い
られる弁腕室構造であつて、特に、弁腕室内に突
出する点火プラグガイド上端の密封構造に関する
ものである。

第１図は、従来におけるこの種プラグガイドを
備えた弁腕室構造を示しており、図において、１
は、シリンダヘツド、２は、このシリンダヘツド
１上部へ取付けられ、かつ、ケース本体３とケー
ス蓋４とからなる弁腕室ケースを示している。シ
リンダヘツド１のプラグ挿入穴５には、筒状のプ
ラグガイド６が上方より挿入されて、シリンダヘ
ツド１下端部において螺着７されるとともに、そ
の上端が弁腕室ケース２によつて囲まれる弁腕室
７内へ突出した状態に立設されている。ケース蓋
４には、その中央部に筒体８が挿入固着されると
ともに、この筒体８の外端には、その外縁部９を
該筒体８外周へ、中間部の筒状リツプ１０を同じ
く筒体８の内周側へ各々嵌合させて、ゴムキヤツ
プ１１が取付けられている。プラグガイド６に
は、点火プラグ１２が挿入されるとともに、その
先端部が該プラグガイド６下端へ螺着されて、燃
焼室１３側へ臨ましめられるとともに、そのコー
ド１４が、該プラグガイド６内から前記ゴムキヤ
ツプ１１を通つて外部へ導出されている。

さて、上記のような従来構造において、弁腕室
７内には、潤滑油が充満しており、この潤滑油が
プラグガイド６内へ入ると、点火プラグ１２を短
絡させる虞れがあり、そのため、このプラグガイ
ド６の上端部を密封する必要がある。そこで上記
従来においては、プラグガイド６の上端を、ケー
ス蓋４の筒体８内へ挿入し、この挿入部におい
て、該プラグガイド６外周に設けたＯリング１５
によつて密封を行なつている。しかしながら、こ
のような構造においては、Ｏリング１５のみの密
封であるため、必ずしも密封性が充分でないのみ
ならず、該Ｏリング１５用の溝を、プラグガイド
６上端へ形成しなければならず、更に、このよう
なプラグガイド６を筒体８へ挿入させるには、該
筒体８は比較的長いものを用いなければなず、そ
のため、ケース蓋４とは別体のものを用いて溶接
等によつて固着しなければならず、構造が複雑に
なるといつた欠点がある。本考案は、このような
従来の欠点に鑑がみ、密封効果が良好で、しか
も、構造の簡単なプラグガイド上端部の密封構造
を提供することを目的としてなされたもので、そ
の構成として本考案は、弁腕室内におけるシリン
ダヘツド上部に筒状のプラグガイドを立設し、燃
焼室へ臨ませて取付けた点火プラグのコードを、
上記プラグガイド内から弁腕室ケースに取付けた
ゴムキヤツプを通つて外部へ導出するものにおい
て、上記ゴムキヤツプの内側に一体連接した筒状
リツプを前記プラグガイド上端へ挿入して、該プ
ラグガイド端部を密封したことを特徴するもであ
る。

以下本考案の構成を図示の一実施例に基づいて
説明すると、第２図において、２１はシリンダヘ
ツド、２２は、該シリンダヘツド２１上へ取付け
られた弁腕室ケースを示している。従来と同じ
く、シリンダヘツド２１に形成されたプラグ挿入
穴２３には、短尺筒状の下部プラグガイド２４が
挿入されるとともに、この下部プラグガイド２４
の下端小径部２４ａが、シリンダヘツド２１の下
端小径部へ螺着２５されている。２６は、上記下
部プラグガイド２４よりもやや長尺に形成された
筒状のプラグガイド上部であつて、この上部プラ
グガイド２６の下端には、短尺筒状の挿入パイプ
２７が外嵌固着されて、この挿入パイプ２７が、
シリンダヘツド２１のプラグ挿入穴２３上端部へ
挿入されている。その際、挿入パイプ２７は、そ
の外周部に、下端側を小径とする段部２８が形成
されており、この段部２８が、シリンダヘツド２
１の上面へ当接されている。

３０は、その一端をシリンダヘツド２１上面の
隆起部３１へ当接し、他端を前記挿入パイプ２８
の上端へ当接した押え板であつて、シリンダヘツ
ド２１上面へ螺じ込んで立設した植込みボルト３
２の上端が、この押え板３０を貫通して上方へ突
出し、該植込みボルト３２上端へ螺合したナツト
３３によつて、この押え板３０を支持し、これに
よつて、挿入パイプ２８即ち弁腕室３４内に立設
された上部プラグガイド２６が抜け出さないよう
保持している。

２９は、下部プラグガイド２４及び挿入パイプ
２７の外周へ取付けたＯリングである。

次に、弁腕室ケース２２の上壁部中央には、該
弁腕室ケース２２と一体に形成した短尺筒状部３
５によつて囲まれた開口部３６が形成されてい
る。３７が、この開口部３６を覆うゴムキヤツプ
であつて、その環状外縁部３８が、前記筒状部３
５へ外嵌されて取付けられている。そして、この
ゴムキヤツプ３７の内側中間部に、該ゴムキヤツ
プ３７と一体に連接した筒状リツプ３９が上部プ
ラグガイド２６の上端薄肉部２６ａ内へ挿入され
て、該薄肉部２６ａ内周へ密着し、これによつ
て、該上部プラグガイド２６の上端を密封してい
る。他方、点火プラグ４０は、その本体部が下部
２４へ上方より挿入されるとともに、その先端部
が該プラグガイド２４下端の小径部２４ａへ螺着
されて、燃焼室４１側へ臨ましめられるととも
に、コード４２は、下部プラグガイド２４から上
部プラグガイド２６内を通つて上方へ延び、前記
ゴムキヤツプ３７の内外に突出して形成した筒状
ガイド４３，４３内を通つて外部へ導出されてい
る。４４は、ゴムキヤツプ３７に形成したプラグ
ガイド２４，２６内の空気抜き穴を示している。
４５は、シリンダヘツド２１の冷却水ジヤケツト
である。

上記本実施例において、点火プラグ４０を交換
するには、弁腕室ケース２２を取り外し、次に、
押え板３０を外すことにより上部プラグガイド２
６を抜き出して行なう。この場合、前記第１図に
示す従来例においては、プラグガイド６が長尺の
一体物となつているため、また、シリンダヘツド
２１の冷却水が洩れるため、この長尺プラグガイ
ド６内を通して点火プラグ１２の交換を行わなけ
ればならず、作業が困難であつたが、本実施例で
は、上部プラグガイド２６のみを取り外すことが
できるので作業が容易である。また、このような
プラグガイドは、鉄材を刳り貫いて加工するが、
前記第１図従来においては、長尺のものを刳り貫
くことから高価な工具を必要とし、そのため、コ
スト高となる欠点があるが、本実施例では、比較
的短尺であるため、かかる高価な工具を必要とせ
ず、安価に製作できるとともに、前記従来例にお
いては、プラグガイド６の下端をシリンダヘツド
１へ螺着する際、該プラグガイド６の上端部で回
して螺じ込むこととなるが、そうすると、該プラ
グガイド６が長尺であるため、螺じ込み位置のト
ルク管理が困難であるという欠点があるが、本実
施例では、そのように螺じ込まれる下部プラグガ
イド２４が短尺であるため、そのような欠点がな
い。

以上の如く本考案によれば、弁腕室ケースに取
付けられるゴムキヤツプの筒状リツプを上端へ挿
入して、該上端部の密封を行つているから、上端
のＯリングやＯリング溝が不要となつて、構造が
簡単となり、かつ、ゴムキヤツプを差し込むだけ
で取付けることができるから組み込みも容易とな
る効果がある。また、このように筒状リツプを差
し込むことによつて、従来のＯリングよりもシー
ル部分の長さを長く取ることができ、密封効果が
良好となる。更に、上端を挿入するための長い筒
体が不要となるから、かかる筒体をケースへ溶溶
等して取付ける必要はなく、ケース自体の構造も
簡単で、かつ、低コストに製作できる利点があ
る。

なお、上記本考案実施例では、第１図の如きケ
ース蓋４を有しない一体型の弁腕室ケース２２を
示しているが、同様のケース蓋を有するものであ
つてもよい。また、本明細書におけるプラグガイ
ド上端の意味は、弁腕室側の端部を示すもので、
横形機関を含まない趣旨ではない。シリンダヘツ
ド上部も同様である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来構造を示すシリンダヘツドと弁
腕室部分の縦断面図、第２図は、本考案実施例を
示すシリンダヘツドと弁腕室部分の縦断面図であ
る。 ２１……シリンダヘツド、２２……弁腕室ケー
ス、２４，２６……プラグガイド、３４……弁腕
室、３７……ゴムキヤツプ、３９……筒状リツ
プ、４０……点火プラグ、４１……燃焼室、４２
……コード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁腕室内におけるシリンダヘツド上部に筒状の
   プラグガイドを立設し、燃焼室へ臨ませて取付け
   た点火プラグのコードを、上記プラグガイド内か
   ら弁腕室ケースに取付けたゴムキヤツプを通つて
   外部へ導出するものにおいて、上記ゴムキヤツプ
   の内側に一体連接した筒状リツプを前記プラグガ
   イド上端へ挿入して、該プラグガイド端部を密封
   したことを特徴とする火花点火機関の弁腕室構
   造。