JPH0412074Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は建築工事に使用される簡易吊りクレ
ーンに関するものである。

［従来技術］ 通常、建築工事用クレーンは、建物の躯体から
組立てられたタワーに固定されたものであり、大
掛かりな設備を伴うものであつた。

このため工事に際して設置されるクレーンの数
が限定され、すべての資材の揚重に用いられるこ
とから、クレーンの稼働が頻繁になり、躯体工事
期間を短縮することができない問題を有する。

そこで移動式や簡易式のものが考えられてい
る。特公昭50−23184号公報の第３図及び第４図
に記載された移動式ジブクレーンは、走行台車の
中央部に設けた旋回体上に、一対の函体を並設
し、その函体に二本の水平ジブを前後にスライド
可能に挿通するとともに、水平ジブの後端部にウ
インチを設けている。

また実開昭57−49888号公報に記載された簡易
揚重機は、複数本の支柱と、これら支柱の上下両
端側を躯体の天井面と床面とに押圧固定する複数
のジヤツキベースとを備えた分解組立可能な枠組
体に、回転可能なブーム支持台を設け、その支持
台に伸縮可能なブームを揺動自在に枢着するとと
もに、枠組体にブーム角度変更用ウインチを備え
た架台を着脱自在に取付けている。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記移動式ジブクレーンでは、台車両側に設け
たアウトリガーの間隔を長くして、揚重時の荷重
に対抗させているため、ジブの突出し長さに制限
があり、設置スペースも広く要求される難点があ
つた。

また上記簡易揚重機では、支柱の上下両端側を
ジヤツキにより躯体の天井面と床面とに押圧固定
し、これにより揚重機全体を固定しているため、
上記移動式ジブクレーンのような制限を受けない
が、枠組体の四隅部の支柱が組立式であるので、
搬送に不便であるばかりか、揚重機の設置に際し
て、組立及びジヤツキによる押圧固定を必要とす
るので、その作業に時間と手数を要するなどの問
題を有する。

この考案は上記従来の問題を解決するために考
えられたものであつて、その目的は、大掛かりな
設備を用いずに、床版上に設置でき、また吊り上
げ時のクレーンの反力は建物の本設構造体を利用
し、外装用PC版等の取付時に手軽に使用するこ
とができる新たな構造の簡易クレーンを提供する
ことにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的によるこの考案の特徴は、アウトリガ
ーを備えた台車の両側に、一対のクレーンブーム
を前後移動自在に装着し、そのクレーンブームの
後端部または台車上にモーターホイストを設けた
吊りクレーンにおいて、上記台車の中央部上に、
複数本の柱部材を伸縮自在に継ぎ合わせて梁の内
側に当接する反力支柱を、台車上の受片に回動自
在に軸着して前後に起伏自在に連結するととも
に、その反力支柱の後部または前部の台車上の受
片に支持杆を取付け、その支持杆を起立した反力
支柱の受片に斜めにかつ着脱自在に止着してなる
ことにある。

［作用］ 上記構造では、クレーンブームの先端を外向き
にして台車を床版に吊り上げたのち、反力支柱の
長さを伸長により先端部は上層の梁の内側に接す
る長さに調整し、その反力支柱を台車上に起こし
て立て、さらに台車上の支持杆を起こしてその上
端部を反力支柱に止着し、反力支柱を支持杆によ
り支えたのち、反力支柱の先端部を上記梁の内側
に当接すると、そこに揚重時の荷重がクレーンブ
ームから反力支柱を介して梁に伝達され、その荷
重を本設構造体が受ける吊りクレーンが床版上に
設置される。

［実施例］ １は台車で、両側に型鋼材をもつて形成した角
形の一対の中空フレーム２，２を有する。この中
空フレーム２，２は前後２箇所に設けた台板３，
３により一体に結合され、また前部下側にアウト
リガー４と車５とを備えている。

上記中空フレーム２，２には、先端に滑車６を
有し、後端部下側に車７を有するクレーンブーム
８がそれぞれ前後方向に移動自在に貫設してあ
る。

またクレーンブーム８，８の後端部は連結板９
により一体に結合してあり、その連結板９の上に
２基のモータホイスト１０，１０が設けてある。

１１は角柱の反力支柱で２本の柱部材１１ａ，
１１ｂを伸縮自在に継ぎ合わせたものからなり、
かつ側部に多段に穿設した孔１２，１２にピン１
３を差し込んで柱部材１１ａ，１１ｂの相互を、
所要長さにジヨイントすることができるようにな
つている。

この反力支柱１１は、上側部に受片１７を突設
した下部の柱部材１１ａの下端を、台車１の前部
台板３の中央部に突設した受片１４に回動自在に
軸着して、台車上に前後に起伏自在に設けられて
いる。

１５は支持杆で、後端台板３の中央部に突設し
た受片１６に下端を回動自在に軸着して台車上に
取付られ、かつ先端は起立した反力支柱１１の上
記受片１７に着脱自在に止着されて、台車１と反
力支柱１１との間に斜めに位置し、反力支柱１１
をしつかりと支えている。

第３図に示す実施例は、台車１の後部に反力支
柱１１を連結し、支持杆１５を前部に取付けると
ともに、台車１の後端部上にモータホイスト１
０．１０を交互に向きを変えて、台車１からはみ
出さない用に設けた場合を示すものである。

なお、図中１８は吊りワイヤー、１９は梁、２
０は床版である。

上記構造の吊りクレーンは、高速リフトなどを
用いて本設構造体の所要階層に吊り上げるこがで
きる。また吊り上げるクレーンの能力によつては
分解して吊り上げ、後に組立てることも可能であ
る。

上記クレーンブームの先端が外向きになるよう
に床版２０の上につり上げたのち、まず上層の梁
１９の高さから反力支柱１１の長さを決め、柱部
材１１ｂを引出してその先端部が梁１９の内側に
接する長さに調整してから、その柱部材１１ｂを
孔１２にピン１３を差込んで、下部の柱部材１１
ａにジヨイントする。

次に、反力支柱１１を起こして台車１の上に立
て、さらに支持杆１５を起こして柱部材１１ａの
受片１７に支持杆上端を止着し、反力支柱１１が
倒れないように支えたのち、台車１を押出して反
力支柱１１の先端部を梁１９の内側に当接する。

しかるのちアウトリガー４，４を引出して台車
１を床版２０に固定すると、そこに揚重時の荷重
がクレーンブーム８，８から反力支柱１１を介し
て梁１９に伝達され、その荷重を本設構造体が受
ける吊りクレーンが床版上に完成する。

このような作業の完了後にクレーンブーム８，
８を前進移動させて、本設構造体より外方へ突出
し、またモータホイスト１０，１０を作動して吊
りワイヤー１８を繰り出し、揚重を開始する。

揚重は吊り荷重５トン以上であつても可能であ
り、揚重100ｍ、速度20ｍ／min以上も確保でき、
揚重物も外装PC版は勿論のこと、建物内部の資
材の吊り上げにも充分に応用し得る。

［考案の効果］ この考案は上述のように、アウトリガー４を備
えた台車１の両側に、一対のクレーンブーム８，
８を前後移動自在に装着し、そのクレーンブーム
８，８の後端部または台車１上にモータホイスト
１０を設けた吊りクレーンの上記台車１の中央部
上に、複数本の柱部材を伸縮自在に継ぎ合わせて
梁１９の内側に当接する反力支柱１１を、台車上
の受片１４に回動自在に軸着して前後に起伏自在
に連結するとともに、その反力支柱１１の後部ま
たは前部の台車上の受片１６に支持杆１５を取付
け、その支持杆１５を起立した反力支柱１１の受
片１７に斜めにかつ着脱自在に止着したことか
ら、上記反力支柱をもつて揚重時に本設構造体を
反力として利用することができ、外装PC版など
の揚重を所要階層から容易になすことができる。

また反力支柱と支持杆は台車と一体で台車上に
伏せ置くことができるから、搬送時の障害となる
ようなこともなく、吊り上げや吊り下ろしも簡単
で、所要階層ごとの移動設置に際しても、支柱の
上下両端側をジヤツキにより躯体の天井面と床面
とに押圧固定する従来構造のように、分解組立を
行う必要がなので、揚重作業の準備に手数が掛か
らず、また設置スペースも狭く済む。

さらにまた反力支柱の長さを伸縮により自由に
調整できるので、層間の高さにも左右されず、支
持杆により反力支柱の座屈も防止されるので安全
性にも優れ、タワークレーンなどと併用して躯体
工事期間の短縮化を図ることもできるので、揚重
設備の合理化とコスト低減に大いに役立て得るな
どの特徴を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係る簡易吊りクレーンの実施
例を示すもので、第１図は側面図、第２図は平面
図、第３図は他の実施例の側面図である。 １……台車、２……中空フレーム、３……台
板、４……アウトリガー、８……クレーンブー
ム、９……連結板、１０……モータホイスト、１
１……反力支柱、１４……受片、１５……支持
杆、１６……受片、１７……受片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アウトリガーを備えた台車の両側に、一対のク
   レーンブームを前後移動自在に装着し、そのクレ
   ーンブームの後端部または台車上にモーターホイ
   ストを設けた吊りクレーンにおいて、上記台車の
   中央部上に、複数本の柱部材を伸縮自在に継ぎ合
   わせて梁の内側に当接する反力支柱を、台車上の
   受片に回動自在に軸着して前後に起伏自在に連結
   するとともに、その反力支柱の後部または前部の
   台車上の受片に支持杆を取付け、その支持杆を起
   立した反力支柱の受片に斜めにかつ着脱自在に止
   着してなることを特徴とする簡易吊りクレーン。