JPH04118669U - 測定器の入力保護機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】測定レンジの切換状態に拘らず、誤入力による
内部回路の損傷を防止できる測定器の入力保護機構を提
供することにある。 【構成】測定機能を選択するファンクション切換スイッ
チと、選択された測定機能に応じてテストリ―ドのプラ
グが選択的に挿入される複数の入力端子を有する測定器
において、外部から開閉操作するための操作部と、開閉
操作に応じて前記複数の入力端子のうち少なくとも１個
の特定の入力端子を開閉する開閉部と、特定の入力端子
を開いた状態でファンクション切換スイッチの一部と係
合しファンクション切換スイッチの切換範囲を規制する
係合部が一体形成されたシャッタ―、を設けたことを特
徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、測定器の入力保護機構に関するものであり、詳しくは、誤入力の防 止に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の測定器の入力保護機構として、例えば実公昭６２−３９３３３号公報に 記載されたものがある。 この先願公報に記載された考案は、高電圧測定用の入力端子が低電圧測定用の 入力端子とは独立に設けられているテスタ―において、高電圧測定時にテストリ ―ドのピンプラグを誤って低電圧測定用の入力端子に差込んでしまうことを防止 するものである。

【０００３】 そこで、この先願公報に記載された考案では、レンジ切換スイッチを高電圧測 定レンジに切り換えた場合にはレンジの切り換えに連動して自動的に低電圧測定 用の入力端子をシャッタ―で閉じるようにし、テストリ―ドのピンプラグが高電 圧測定用の入力端子のみに差し込めるように構成している。

【０００４】 このように構成することにより、低電圧測定用の入力端子に過大な入力が印加 されることを防止できる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来のこのような構成では、高電圧測定用の入力端子は常に開口され ていて、低電圧測定用の入力端子もレンジ切換スイッチを高電圧測定レンジ以外 に切り換えた場合には開口されることから、レンジ切換スイッチを高電圧測定レ ンジ以外に切り換えた状態で高電圧測定用のテストリ―ドのピンプラグが低電圧 測定用の入力端子に差し込まれてしまい、過大入力によってテスタ―の内部回路 が損傷される恐れがある。

【０００６】 本考案は、このような問題点に着目したものであり、その目的は、測定レンジ の切換状態に拘らず、誤入力による内部回路の損傷を防止できる測定器の入力保 護機構を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

このような目的を達成する本考案は、 測定機能を選択するファンクション切換スイッチと、選択された測定機能に応 じてテストリ―ドのプラグが選択的に挿入される複数の入力端子を有する測定器 において、 外部から開閉操作するための操作部と、開閉操作に応じて前記複数の入力端子 のうち少なくとも１個の特定の入力端子を開閉する開閉部と、特定の入力端子を 開いた状態でファンクション切換スイッチの一部と係合しファンクション切換ス イッチの切換範囲を規制する係合部が一体形成されたシャッタ―、 を設けたことを特徴とする。

【０００８】

【作用】

通常、特定の入力端子を開閉するシャッタ―は閉じられている。そして、使用 者がファンクション切換スイッチで特定の入力端子にテストリ―ドのプラグを挿 入して測定を行う測定機能を選択した状態で開閉可能になり、使用者がシャッタ ―を操作することにより開閉される。 すなわち、特定の入力端子を閉じているシャッタ―は、開閉可能な状態で使用 者が開く操作をしないかぎり閉じたままになる。 これにより、特定の入力端子に誤入力が印加されることによる内部回路の損傷 を防止できる。

【０００９】

【実施例】

以下、図面を用いて本考案の実施例を詳細に説明する。 図１は本考案の一実施例の要部の組立て斜視図であり、デジタルマルチメ―タ の例を示している。図２は図１の外観図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は正面 図、（ｃ）は側面図、（ｄ）は底面図である。図３は図１の動作説明図であり、 （ａ）はシャッタ―を閉じた状態を示し、（ｂ）はシャッタ―を開いた状態を示 している。

【００１０】 これら図において、１は上部ケ―ス、２は下部ケ―ス、３は弾性部材よりなる シ―ルであり、これらケ―ス１，２は内器を収納しケ―ス１の端面外周にシ―ル ３を嵌装した状態で対向端面を相互に嵌め合わせて図示しないネジによりケ―ス ２の底面側からネジ止め固着される。 上部ケ―ス１の裏面には、図示しない内器が取り付けられている。上部ケ―ス １の表面には、外部から操作可能な状態で、測定機能を選択するファンクション 切換スイッチ４，シャッタ―５，電源スイッチ６，動作モ―ド選択スイッチ７ａ 〜７ｆが取り付けられ、設定される測定機能に応じて図示しないテストリ―ドの プラグが選択的に挿入される複数の入力端子８〜１１が設けられている。 １２は上部ケ―ス１の表面に取り付けられるパネルであり、ファンクション切 換スイッチ４とシャッタ―５の一部と入力端子８〜１１が外部に露出するように 複数の穴が形成され、各部の機能表示文字や記号が印刷されている。 １３は下部ケ―ス２の裏面に出入れ可能に取り付けられたスタンドである。

【００１１】 各部の構成について詳しく説明する。 ファンクション切換スイッチ４は一定角度間隔でクリック動作するロ―タリ― スイッチとして機能するものであり、本実施例では、「Ｖ交流電圧」，「Ｖ直流 電圧」，「５００ｍＶ直流電圧」，「抵抗」，「ダイオ―ドチェック」，「５０ ０μＡ電流」，「５０ｍＡ電流」，「５００ｍＡ電流」，「１０Ａ電流」の９つ の基本測定ファンクションを切り換える。

【００１２】 このファンクション切換スイッチ４はほぼ円形に形成されたものであり、直径 方向に設けられた操作部４ａと操作部４ａの円周の一部に形成された円弧状の係 合部４ｂと回転軸４ｃとが一体形成されていて、上部ケ―ス１の表面に設けられ た円形状の凹部１ａの中心部の穴１ｂに回転軸４ｃが挿入され回転可能に係止さ れる。上部ケ―ス１の凹部１ａの外周近傍には、係合部４ｂの一端４ｄが当接し てファンクション切換スイッチ４の回転範囲の一端を規制するストッパ１ｃが形 成されている。係合部４ｂの他端４ｅには切欠部４ｆが設けられていて、この他 端４ｅは上部ケ―ス１の側壁１ｄに当接してファンクション切換スイッチ４の回 転範囲の他端を規制する。

【００１３】 シャッタ―５は、上部ケ―ス１の側壁の一部がシャッタ―５の移動範囲に応じ て切り欠かれた切欠部１ｄに摺動可能に係合するようにＬ字形に形成され側面外 部から開閉操作するための操作部５ａと、開閉操作に応じて複数の入力端子８〜 １１のうち特定の２個の入力端子８，９を開閉する開閉部５ｂ，５ｃと、特定の 入力端子８，９を開いた状態でファンクション切換スイッチ４の一部に形成され た係合部４ｂの切欠部４ｆと係合しファンクション切換スイッチ４の切換範囲を 規制する係合部５ｄと、上部ケ―ス１の表面にシャッタ―５の移動方向に沿って 形成された突起体１ｅを押圧変位して開閉位置に応じたクリック感を付与するス プリング部５ｅが一体形成されている。

【００１４】 スイッチ７ａは測定値の変化分を表示するリラティブモ―ドに設定し、スイッ チ７ｂは測定値の最大値と最小値を表示するモ―ドに設定し、スイッチ７ｃは表 示桁を４桁半と３桁半に切り換えるモ―ドに設定し、スイッチ７ｄは測定値をホ ―ルドするモ―ドに設定し、スイッチ７ｅは表示レンジをホ―ルドするモ―ドに 設定し、スイッチ７ｆはファンクション切換スイッチ４で選択される各ファンク ションレンジに予め割り当てられている複数のファンクションの選択を行う。

【００１５】 すなわち、本実施例において、スイッチ７ｆを操作することにより、「Ｖ交流 電圧」ファンクションでは測定値の表示対象が周波数や電圧などに切り換えられ るとともに電圧表示がＶまたはｄｂｍに切り換えられ、「Ｖ直流電圧」ファンク ションでは電圧表示がＶまたはｄｂｍに切り換えられ、「５００ｍＶ直流電圧」 ファンクションでは直流電圧を出力するアダプタを用いた測定値の表示に切り換 えられ、「抵抗」ファンクションではアラ―ム表示，通常の１／１０の低電力に よる抵抗測定およびサ―ミスタによる温度測定のいずれかに切り換えられ、「ダ イオ―ドチェック」ファンクションでは印加電圧の極性切換が行われ、「５００ μＡ電流」，「５０ｍＡ電流」，「５００ｍＡ電流」，「１０Ａ電流」の各ファ ンクションでは交流と直流の交互切換が行われる。

【００１６】 入力端子８は電流１０Ａの測定にあたってプラス側のテストリ―ドのプラグが 選択的に挿入される電流入力端子であり、適切な許容電流のヒュ―ズが直列接続 されている。入力端子９は電流ｍＡ，μＡの測定にあたってプラス側のテストリ ―ドのプラグが選択的に挿入される電流入力端子であり、適切な許容電流のヒュ ―ズが直列接続されている。入力端子１０は各種の測定において共通にマイナス 側のテストリ―ドのプラグが挿入される共通入力端子である。入力端子１１は電 流測定以外のプラス側のテストリ―ドのプラグが選択的に挿入される抵抗，電圧 入力端子である。

【００１７】 パネル１２の裏面には上部ケ―ス１の対向面に設けられている位置決め用の複 数の穴１ｆ〜１ｎに係合するように複数の突起体が一体化されている。

【００１８】 このような構成の動作を説明する。 シャッタ―５は、使用者によって図３（ａ），（ｂ）に示すように開閉操作さ れる。図３（ａ）はシャッタ―５で入力端子８，９を閉じた状態を示し、（ｂ） はシャッタ―５を開いて入力端子８，９を開口した状態を示している。

【００１９】 （ａ）の状態では、ファンクション切換スイッチ４の切欠部４ｆとシャッタ― ５の係合部５ｄとの係合は解除され、ファンクション切換スイッチ４は係合部４ ｂの端部４ｅが側壁１ｄに当接するまでの範囲で回転可能になる。 この状態では、電流入力端子８，９はシャッタ―５で閉じられているので、電 流入力端子８，９にテストリ―ドのプラグが挿入されることはない。電流入力端 子８，９は入力抵抗が小さいことから、電圧を印加すると大電流が流れて内部回 路を焼損したり、ヒュ―ズが溶断し、最悪の場合には人身事故に至る恐れもある が、使用者が電流測定を意識してファンクション切換スイッチ４を電流測定ファ ンクションに切り換えてシャッタ―５を開かない限り電流入力端子８，９が開口 されることはなく、安全性を高めることができる。

【００２０】 （ｂ）の状態では、ファンクション切換スイッチ４を反時計方向に回転させて 「５００μＡ電流」ファンクションに設定することによりファンクション切換ス イッチ４の切欠部４ｆにシャッタ―５の係合部５ｄが係合し、それ以上の反時計 方向への回転を禁止するストッパ―として機能する。 この状態では、電流入力端子８，９は開口されているので、電流入力端子８， ９に電流測定用のテストリ―ドプラグを挿入して電流測定が行える。なお、入力 端子１１は入力抵抗が大きいので、仮に電流が印加されても危険な状態が発生す ることはない。

【００２１】 そして、このようにシャッタ―５が開かれている場合、または電流入力端子８ ，９のいずれかに電流測定用のテストリ―ドプラグが挿入されている場合には、 ファンクション切換スイッチ４を電流測定以外の測定ファンクションに切り換え ることはできない。 これにより、例えば電流測定以外の測定ファンクションに切り換えた状態でも 電流入力端子９がファンクション切換スイッチ４を介して内部回路に接続されて いる場合に、内部回路を保護できる。

【００２２】 なお、上記実施例ではデジタルマルチメ―タにおける電流入力端子をシヤッタ ―で開閉する例を説明したが、用途に応じて他の端子を選択的に開閉するように してもよい。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、測定レンジの切換状態に拘らず、誤入 力による内部回路の損傷を防止できる測定器の入力保護機構を実現することがで きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の要部の組立て斜視図であ
る。

【図２】図１の外観図である。

【図３】図１の動作説明図である。

【符号の説明】

１ 上部ケ―ス ２ 下部ケ―ス ３ シ―ル ４ ファンクション切換スイッチ ５ シャッタ ６ 電源スイッチ ７ 動作モ―ド選択スイッチ ８，９ 電流入力端子 １０ 共通入力端子 １１ 電圧，抵抗入力端子 １２ パネル １３ スタンド

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 測定機能を選択するファンクション切換
   スイッチと、選択された測定機能に応じてテストリ―ド
   のプラグが選択的に挿入される複数の入力端子を有する
   測定器において、外部から開閉操作するための操作部
   と、開閉操作に応じて前記複数の入力端子のうち少なく
   とも１個の特定の入力端子を開閉する開閉部と、特定の
   入力端子を開いた状態でファンクション切換スイッチの
   一部と係合しファンクション切換スイッチの切換範囲を
   規制する係合部が一体形成されたシャッタ―、を設けた
   ことを特徴とする測定器の入力保護機構。