JPH04117251U - デフアレンシヤルのブリーザ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、リングギヤによってブリーザ側に
掻き上げられる潤滑油の流れを抑制し、ブリーザからの
潤滑油の流出を確実に防止するとともに、潤滑油の流出
を阻止する部品点数を省略し、デファレンシャルのブリ
ーザ装置の組付を容易に行い、コストを低廉に維持する
ことを目的としている。 【構成】 このため、リングギヤとブリーザ間のデフカ
バー内面にはリングギヤによって掻き上げられた潤滑油
の流れを抑制すべくデフカバーからリングギヤ近傍まで
延びるリブ部を設けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はデファレンシャルのブリーザ装置に係り、特にドライブピニオンと このドライブピニオンに噛合するリングギヤが取付けられるデフハウジングを包 囲するデフカバーとデフキャリアとの内部と外部とを連通するデファレンシャル のブリーザ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

車両の終減速装置は、減速歯車装置と差動歯車装置とが一体的に構成されてい るものがあり、これらの歯車装置は、デフキャリアとデフハウジングとからなる ギヤボックス内に収容されている。このギヤボックス内には潤滑油が封入されて おり、減速歯車の回転時の攪拌によって潤滑油を循環させ、各歯車及び軸受の潤 滑を行っている。

【０００３】 このような終減速装置においては、歯車の噛み合いや潤滑油の攪拌によってギ ヤボックス内が高温となり、内部の圧力が上昇する。そこで、ギヤボックスの外 周壁に通気孔等のブリーザを設け、このブリーザによってギヤボックスの内部と 外部とを連通させ、圧力上昇を防止している。

【０００４】 また、その他のトランスミッションのブリーザ装置としては、実公昭５９−２ ２３６５号公報に開示される如く、センタハウジングのフロントケース側の面に 、回転部材軸受近傍から上方へ延びて略Ｕ字状に湾曲し回転部材軸受よりも下方 で外気に開放されるブリーザ通路用溝部と、ブリーザ通路用部の上方へ延びる部 分に連通するエヤチャンバ用凹部とを設け、センタハウジングをフロントケース に取付けた状態でブリーザ通路及びエヤチャンバを構成したものがあった。

【０００５】 更に、従来のデファレンシャルは、図６に示す如く、トランスファ（図示せず ）からプロペラシャフト１７２、ビスカスカップリング（粘性クラッチ）１７４ を経て伝達される駆動力を第１、第２アクスル軸１２８−１、１２８−２に伝達 していた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来のデファレンシャルのブリーザ装置においては、図６に示す如 く、デフキャリア１０４にこのデフキャリア１０４の内部に連通するブリーザチ ャンバ１７６が設けられ、このブリーザチャンバ１７６にブリーザホース１６０ が設けられており、前記デフキャリア１０４内の空気を外部に逃し、デフキャリ ア１０４内の圧力上昇を防止していた。

【０００７】 しかし、車両の高速走行時には、図５、図６に示す如く、リングギヤ１１４に よる潤滑油の掻き上げが多くなるため、前記ブリーザチャンバ１７６、ブリーザ ホース１６０を介してデフキャリア１０４の内部の空気とともに、このデフキャ リア１０４の内部の潤滑油も外部に排出されてしまい、実用上不利であるという 不都合があった。

【０００８】 また、上述した不都合を回避するためには、複雑なラビリンス構造を設けなく てはならず、デファレンシャルのブリーザ装置のコストの増加を招き、経済的に 不利であるという不都合があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

そこで、この考案は、上述不都合を除去するために、ドライブピニオンとこの ドライブピニオンに噛合するリングギヤが取付けられるデフハウジングを包囲す るデフカバーとデフキャリアとの内部と外部とを連通するデファレンシャルのブ リーザ装置において、前記リングギヤとブリーザ間のデフカバー内面には前記リ ングギヤによって掻き上げられた潤滑油の流れを抑制すべくデフカバーから前記 リングギヤ近傍まで延びるリブ部を設けたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】 上述の如く考案したことにより、車両を高速走行させた際には、リングギヤに よって多量の潤滑油が掻き上げられている。このとき、デフカバーからリングギ ヤ近傍まで延びるリブ部によって潤滑油がブリーザから流出することを防止して いる。

【００１１】

【実施例】

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細に説明する。

【００１２】 図１〜図５はこの考案の実施例を示すものである。図５において、２は車両に 備えられるデファレンシャルである差動機（終減速装置）、４はデフキャリア、 ６はデフカバーである。前記差動機２は、デフキャリア４にデフカバー６を取付 けている。このデフキャリア４には、推進軸（図示せず）に連絡されるドライブ 軸８を第１円錐ころ軸受１０−１と第２円錐ころ軸受１０−２とにより軸支され ている。このドライブ軸８には、ドライブピニオン１２を取付けている。このド ライブピニオン１２には、リングギヤ１４に噛合している。

【００１３】 前記リングギヤ１４は、デフハウジング１６に取付けられている。このデフハ ウジング１６は、内側第１デフハウジング１８と外側第２デフハウジング２０と からなる。内側第１デフハウジング１８は、ピニオン軸２２により軸支されるデ フピニオン２４とこのデフピニオン２４に噛合するデフサイドギヤ２６とを内蔵 し、外側第２デフハウジング２０内に回転可能に軸支されている。

【００１４】 前記デフサイドギヤ２６は、夫々左右の第１、第２デフサイドギヤ２６−１、 ２６−２からなり、夫々左右の第１、第２アクスル軸２８−１、２８−２に連絡 されている。

【００１５】 また、前記外側第２デフサイドハウジング２０は、デフキャリア４に夫々左右 の第１、第２デフサイド円錐ころ軸受３０−１、３０−２により軸支されている 。

【００１６】 前記差動機２には、内燃機関（図示せず）との間に駆動力を断続する断続機構 ３２を設けている。この断続機構３２は、内側第１デフハウジング１８に設けら れた内側係合部３４と、外側第２ハウジング２０に設けられた外側係合部３６と 、切換スリーブ３８とから構成される。この切換スリーブ３８には、スリーブ溝 部４０が設けられている。

【００１７】 断続機構３２は、切換機構４２によって断続状態を切換えられる。切換機構４ ２は、デフキャリア４に設けられている。この切換機構４２は、例えば、前記切 換スリーブ３８のスリーブ溝４０に摺動可能に係合される切換フォーク４４と、 この切換フォーク４４をデフハウジング１６の回転軸心方向に移動可能に支持す る支持部４６と、この支持部４６に支持された切換フォーク４４を移動させて切 換動作させる切換アーム４８と、この切換アーム４８を内側端に設けた回転可能 な切換軸５０と、この切換軸５０の外側端に設けられた切換レバー５２とを有し ている。

【００１８】 また、前記デフカバー６には、このデフカバー６とデフキャリア４との内部と 外部とを連通し、デフキャリア４内部の圧力上昇を防止するブリーザ４２が設け られている。

【００１９】 更に、前記リングギヤ１４とブリーザ５４間のデフカバー６内面には、前記リ ングギヤ１４によって掻き上げられた潤滑油の流れを抑制すべく、前記デフカバ ー６から前記リングギヤ１４近傍まで延びるリブ部５６を設けている。

【００２０】 詳述すれば、ブリーザ５４を、図４に示す如く、ブリーザパイプ５８とブリー ザホース６０とブリーザキャップ６２とプロテクトプレート６４とによって形成 する。そして、リングギヤ１４とブリーザ５４間のデフカバー６内面にリングギ ヤ１４近傍まで延び、このリングギヤ１４に接近するリブ部５６を設ける。

【００２１】 このとき、前記リブ部５６と前記デフカバー６内壁部位とによって凹部６６が 形成されている。

【００２２】 次に作用について説明する。

【００２３】 車両（図示せず）を高速走行させた際には、リングギヤ１４によって多量の潤 滑油が掻き上げられている。このとき、前記リングギヤ１４とブリーザ５４間の デフカバー６内面に前記リングギヤ１４によって掻き上げられた潤滑油の流れを 抑制すべく前記デフカバー６から前記リングギヤ１４近傍まで延びるべく設けら れたリブ部５６によって潤滑油のブリーザ側への流れが抑制され、潤滑油はリン グギヤ１４側のみを流れ、潤滑油がブリーザ４２から外部に流出することを防止 している。

【００２４】 これにより、リングギヤ１４によってブリーザ５４側に掻き上げられる潤滑油 の流れを抑制でき、前記ブリーザ５４からの潤滑油の流出を確実に防止し得て、 実用上有利である。

【００２５】 また、リブ部５６を前記デフキャリア４内面に設けたことによって潤滑油の流 出を阻止する部品点数を省略でき、デファレンシャルのブリーザ装置の組付が容 易に行い得るとともに、コストを低廉に維持し得て、経済的に有利である。

【００２６】

【発明の効果】

以上詳細に説明した如くこの発明によれば、リングギヤとブリーザ間のデフカ バー内面にはリングギヤによって掻き上げられた潤滑油の流れを抑制すべくデフ カバーからリングギヤ近傍まで延びるリブ部を設けたので、リングギヤによって ブリーザ側に掻き上げられる潤滑油の流れを抑制でき、ブリーザからの潤滑油の 流出を確実に防止し得て、実用上有利である。また、リブ部をデフカバー内面に 設けたことによって潤滑油の流出を阻止する部品点数を省略でき、デファレンシ ャルのブリーザ装置の組付が容易に行い得るとともに、コストを低廉に維持し得 て、経済的に有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】デファレンシャルの概略断面図である。

【図２】この考案の実施例のリブ部の概略説明図であ
る。

【図３】デファレンシャルの概略説明図である。

【図４】ブリーザの概略説明図である。

【図５】この考案の従来の技術を示すデファレンシャル
の概略説明図である。

【図６】デファレンシャルのブリーザの概略説明図であ
る。

【符号の説明】

２ 差動機（終減速装置） ４ デフキャリア ６ デフカバー ８ ドライブ軸 １０ 円錐ころ軸受 １２ ドライブピニオン １４ リングギヤ １６ デフハウジング １８ 内側第１デフハウジング ２０ 外側第２デフハウジング ２２ ピニオン軸 ２４ デフピニオン ２６ デフサイドギヤ ２８ アクスル軸 ３０ デフサイド円錐ころ軸受 ３２ 断続機構 ４２ 切換機構 ５４ ブリーザ ５６ リブ部 ５８ ブリーザパイプ ６０ ブリーザホース ６２ ブリーザキャップ ６４ プロテクトプレート ６６ 凹部

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【手続補正書】

【提出日】平成３年６月１４日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図２】

【図３】

【図１】

【図４】

【図５】

【図６】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドライブピニオンとこのドライブピニオ
   ンに噛合するリングギヤが取付けられるデフハウジング
   を包囲するデフカバーとデフキャリアとの内部と外部と
   を連通するデファレンシャルのブリーザ装置において、
   前記リングギヤとブリーザ間のデフカバー内面には前記
   リングギヤによって掻き上げられた潤滑油の流れを抑制
   すべくデフカバーから前記リングギヤ近傍まで延びるリ
   ブ部を設けたことを特徴とするデファレンシャルのブリ
   ーザ装置。