JPH04114117U - 半割軸受 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コネクテイングロツドの大端部に堅固に嵌着
される半割軸受の提供。 【構成】 コネクテイングロツド９の大端部に嵌着さ
れ、裏金１の内周面１ｃに固着した軸受合金２によつて
クランクピン５ａを回転自在に支承する半割軸受４であ
つて、半円筒状をなす裏金１の中心軸線方向の少なくと
も一方の端縁部内周面に、面取り傾斜面３に接続する裏
金１でなる環状の切欠き部１ａ，１ｂ，１ａ’を形成し
た。 【効果】 半割軸受の軸受面がクランクシヤフトと局部
的に強くしゆう接して、大きな摩擦力を生ずることが軽
減され、コネクテイングロツドに関する半割軸受の相対
回転が良好に防止される。同時に、幅広の裏金の外周面
が広くコネクテイングロツドに圧着するので、コネクテ
イングロツドに関する半割軸受の相対回転が良好に防止
される。加えて、裏金の中心軸線方向の幅は比較的大き
いので、裏金の剛性低下を生ずることもない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、コネクテイングロツドの大端部に嵌着される半割軸受に関するもの である。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

従来、内燃機関のクランクシヤフトをコネクテイングロツドの大端部に回転自 在に支承する軸受として、半割軸受が知られている。この種の半割軸受は、主ハ ウジングと副ハウジングとの間に一対突き合わせて介装され、クランクシヤフト を回転自在に支承する。

【０００３】 この半割軸受４’は、図６に示すように鋼製の裏金１の内周面の全面にわたつ て軸受合金２’を固着して構成され、軸受合金２’の両端部内周縁部に面取り傾 斜面３’を形成してある。そして、この面取り傾斜面３’を無視すれば、軸受合 金２’及び裏金１の中心軸線方向の長さは同じである。

【０００４】 従つて、このような従来の半割軸受４’にあつては、一対の半割軸受４’を突 き合わせてコネクテイングロツドに配置し、規定の締め付け力を与えて取付けた 際、各半割軸受４’の裏金１のコネクテイングロツドの大端部（６，７）への圧 接面積と、軸受合金２’のクランクシヤフトへのしゆう接面積とがほぼ同一であ る。このため、軸受合金２’とクランクシヤフトとの間の摩擦力により、各半割 軸受４’がコネクテイングロツドの大端部（６，７）に関して相対回動し易く、 位置決め機能に劣るという不具合があつた。特に、傾きを生じたクランクシヤフ トが軸受合金２’に片当たりを生じた場合、半割軸受４’がクランクシヤフトと 共回りを生じ易い。なお、半割軸受４’の周方向の端部に爪部を形成し、この爪 部をコネクテイングロツドの大端部（６，７）に形成した凹所に係止させている が、長期使用に伴つて爪部が摩滅又は折損する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構 成は、コネクテイングロツドの大端部に嵌着され、裏金の内周面に固着した軸受 合金によつてクランクピンを回転自在に支承する半割軸受であつて、半円筒状を なす裏金の中心軸線方向の少なくとも一方の端縁部内周面に、面取り傾斜面に接 続する裏金でなる環状の切欠き部を形成した半割軸受である。

【０００６】

【作用】

上記のようなコネクテイングロツドの大端部への組付けに際し、一対の半割軸 受の裏金の外周の周方向長さはコネクテイングロツドの内周の周方向長さよりも わずかに長く設定され、これによつて従来例と同様の締め代が与えられているた め、半割軸受の裏金の外周面がコネクテイングロツドに圧着される。

【０００７】 一方、半割軸受の内周面は、軸受合金面のみがクランクピンの外周面にしゆう 接する。すなわち、裏金の中心軸線方向の少なくとも一端縁部内周面に形成した 環状の切欠き部及び軸受合金と切欠き部との間を接続するように形成された面取 り傾斜面は、いずれもクランクピンの外周面に非接触である。

【０００８】 このコネクテイングロツドを備える内燃機関を稼働すれば、クランクシヤフト が回転駆動され、クランクピンが軸受合金としゆう動し、摩擦力に基づく回転力 が半割軸受に作用し、半割軸受がコネクテイングロツドに関して相対回転しよう とする。しかしながら、半割軸受の裏金の外周面が広くコネクテイングロツドに 圧着しているので、半割軸受の相対回転を堅固に抑制する。一方、半割軸受の内 周面は、中心軸線方向の少なくとも一方の端縁部内周面に形成した環状の切欠き 部及びこの切欠き部に接続する面取り傾斜面が共に非接触であり、傾斜面に接続 する軸受合金の軸受面のみがクランクピンとしゆう接する。

【０００９】 このため、両端部に面取り傾斜面のみを形成してほぼ全内周面に軸受合金を固 着する従来の半割軸受と比較して、クランクピンとのしゆう接面積が減少し、摩 擦力に基づいて半割軸受に作用する回転力、特にクランクピンが傾斜した際に生 ずる回転力が減少する。その結果、半割軸受の相対回転が堅固に抑制される。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 図１〜図３は、本考案の第１実施例を示す。図中において符号１は、半円筒状 をなす鋼製の裏金を示し、裏金１の中心軸線方向の両端縁部内周面には、後記す る軸受合金２に対する環状の切欠き部１ａ，１ｂを形成してある。そして、この 裏金１の中心軸線方向の中間部の内周面１ｃには、軸受合金２を固着し、その内 周面にて軸受面２ａを形成する。この軸受合金２と切欠き部１ａ，１ｂとの間は 、それぞれ端部に向けて面取り傾斜面３にて滑らかに接続させてある。但し、切 欠き部１ａ，１ｂの中心軸線方向の幅δは、中心軸線方向の長さＬが３０〜４０ ｍｍの裏金１において、それぞれ０．５〜１．５ｍｍ程度で同一である。更に、 このような半割軸受４の周方向の一端縁には、周知の爪部４ｄを形成してある。 ４ｅ，４ｆは、それぞれリリーフ部である。

【００１１】 半割軸受４は、図３に示すようにコネクテイングロツド９の大端部に嵌着され 、クランクシヤフト５を回転自在に支承する。すなわち、主ハウジングであるコ ネクテイングロツド本体６に副ハウジングであるベアリングキヤツプ７を複数個 のボルト８によつて締め付けて結合されるコネクテイングロツド９の大端部に、 一対の半割軸受４，４を突き合わせて介装し、クランクシヤフト５のクランクピ ン５ａを回転自在に支承する。半割軸受４，４の中心軸線方向の長さＬは、図１ に示すようにコネクテイングロツド本体６及びベアリングキヤツプ７の同方向の 長さ以下に設定してある。このコネクテイングロツド９の大端部に一対の半割軸 受４，４を配置する際、それぞれの爪部４ｄをコネクテイングロツド本体６及び ベアリングキヤツプ７の突き合わせ面に形成した凹所に係合させる。しかして、 軸受合金２の軸受面２ａが、クランクピン５ａの外周面にしゆう接してラジアル 力を受ける。なお、半割軸受４には、通常、図示を省略した径方向の油穴及び周 方向の油溝が形成され、コネクテイングロツド本体６の油穴を通じて強制供給さ れた潤滑油が、半割軸受４の軸受面２ａに供給されてクランクピン５ａとの間を 油潤滑するようになつている。

【００１２】 次に、作用について説明する。 上記のようなコネクテイングロツド９への組付けに際し、各半割軸受４，４の 外周の周方向長さはコネクテイングロツド９の大端部の内周の周方向長さよりも わずかに長く設定され、これによつて従来例と同様の締め代が与えられているた め、コネクテイングロツド本体６にベアリングキヤツプ７をボルト８によつて規 定された締め付け力によつて締め付けると、締め代の分だけ半割軸受４，４が図 ３上にて上下方向に圧縮を受け、各半割軸受４，４の裏金１の外周面の全面がコ ネクテイングロツド９に圧着される。

【００１３】 一方、半割軸受４，４の内周面は、軸受面２ａのみがクランクピン５ａの外周 面にしゆう接する。すなわち、裏金１の中心軸線方向の両端縁部内周面に形成し た環状の切欠き部１ａ，１ｂ及び軸受合金２と切欠き部１ａ，１ｂとの間を接続 するように形成した面取り傾斜面３，３は、いずれもクランクピン５ａの外周面 に非接触である。

【００１４】 このコネクテイングロツド９を備える内燃機関を運転すれば、クランクシヤフ ト５が回転駆動され、クランクピン５ａが軸受合金２としゆう動し、摩擦力に基 づく回転力が両半割軸受４，４に作用し、両半割軸受４，４がコネクテイングロ ツド９に関して相対回転しようとする。しかしながら、各半割軸受４，４の裏金 １の外周面の全面がコネクテイングロツド９に圧着しているので、爪部４ｄの係 止力と相まつて前記両半割軸受４，４の相対回転を堅固に抑制する。一方、両半 割軸受４，４の内周面は、裏金１を露出させて形成した環状の切欠き部１ａ，１ ｂ及び面取り傾斜面３，３が共に非接触であり、傾斜面３，３に接続する軸受合 金２の軸受面２ａのみがクランクピン５ａとしゆう接する。

【００１５】 このため、両端部に面取り傾斜面のみを形成してほぼ全内周面に軸受合金を固 着する従来の半割軸受と比較して、クランクピン５ａとのしゆう接面積が減少し 、摩擦力に基づいて両半割軸受４，４に作用する回転力が減少する。その結果、 爪部４ｄの係止力と相まつて両半割軸受４，４の相対回転が堅固に抑制される。 理論的には、両半割軸受４，４に発生する摩擦力は、摩擦係数としゆう接面の単 位面積当たりに作用する押付け力との積にて得られ、しゆう接面積の減少によつ て減少するものではない。しかし、実際には、クランクシヤフト５の傾斜を伴つ てクランクピン５ａが両半割軸受４，４に片当たりを生じているため、軸受面２ ａの中心軸線方向の幅を減少させることにより、かじりによる局部的な強い当た りが軽減され、結果的に回転力が減少する。

【００１６】 図４，図５は、本考案を複列シリンダの内燃機関（Ｖ型エンジン，水平対向型 エンジン等）に備えるコネクテイングロツド９に適用した第２実施例を示し、第 １実施例と実質的に同一の部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。 この実施例にあつては、裏金１の中心軸線方向の一端縁部内周面にのみ、切欠 き部１ａ’を形成し、他端部内周面は従来の半割軸受と同様の構造を有し、面取 り傾斜面３’のみが形成されている。この切欠き部１ａの中心軸線方向の幅δ’ は、中心軸線方向の長さＬが３０〜４０ｍｍの裏金１において、１〜３ｍｍ程度 である。

【００１７】 このような構成の半割軸受４は、複列シリンダの内燃機関のコネクテイングロ ツド９の大端部に嵌着され、クランクシヤフト５の１個のクランクピン５ａを回 転自在に支承する。その際、隣接する半割軸受４，４の切欠き部１ａ’をそれぞ れ遠い側に位置させ、軸受合金２部分を近接させて配置する。 このような実施例によれば、各半割軸受４，４の幅広の裏金１の外周面の全面 がコネクテイングロツド９に圧着され、幅狭の軸受面２ａのみがクランクピン５ ａの外周面にしゆう接するので、第１実施例とほぼ同様の作用が得られる他、複 列シリンダを近接させて形成することが可能になる。

【００１８】

【考案の効果】 以上の説明によつて理解されるように、本考案に係る半割軸受によれば、下記 の効果が得られる。各半割軸受の軸受面がクランクシヤフトと局部的に強くしゆ う接して、大きな摩擦力を生ずることが軽減され、この摩擦力に基づくコネクテ イングロツドに関する半割軸受の相対回転が良好に防止される。同時に、幅広の 裏金の外周面が広くコネクテイングロツドに圧着するので、コネクテイングロツ ドに関する半割軸受の相対回転が良好に防止される。加えて、裏金の中心軸線方 向の幅は比較的大きいので、裏金の剛性低下を生ずることもない。更に、半割軸 受の軽量化も図られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施例に係る半割軸受を示す断
面図。

【図２】 同じく半割軸受を示す斜視図。

【図３】 同じく半割軸受の組付状態を一部切開して示
す図。

【図４】 本考案の第２実施例に係る半割軸受を示す断
面図。

【図５】 同じく半割軸受の組付状態を一部切開して示
す図。

【図６】 従来の半割軸受を示す断面図。

【符号の説明】

１：裏金、１ａ，１ｂ，１ａ’：切欠き部、１ｃ：内周
面、２：軸受合金、２ａ：軸受面、３：面取り傾斜面、
４：半割軸受、４ｄ：爪部、５：クランクシヤフト、５
ａ：クランクピン、６：コネクテイングロツド本体（主
ハウジング）、７：ベアリングキヤツプ（副ハウジン
グ）、８：ボルト、９：コネクテイングロツド、δ，
δ’：切欠き部の幅。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コネクテイングロツドの大端部に嵌着さ
   れ、裏金の内周面に固着した軸受合金によつてクランク
   ピンを回転自在に支承する半割軸受であつて、半円筒状
   をなす裏金の中心軸線方向の少なくとも一方の端縁部内
   周面に、面取り傾斜面に接続する裏金でなる環状の切欠
   き部を形成したことを特徴とする半割軸受。