JPH0411271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ビデオ、オーデイオなどのテープカ
セツト、特に磁気テープとヘツドなどとのコンタ
クトを行なうために設けられた開口部を覆うガー
ドパネルに関する。

（従来の技術） 従来、ビデオなどのテープカセツトでは開口部
にガードパネルを設け、不使用時に開口部を覆つ
てテープを保護し、開口部よりごみやほこりが侵
入するのを防止したり、取扱い時に誤つてテープ
に手を触れて、傷つけたり、手あかなどを付けた
りしないようにしている。そのようなことが起こ
ると、信号のエラーが発生し、ビデオテープであ
れば画像が乱れ、オーデイオテープであれば音飛
びの原因となる。第２図は、そのようなビデオテ
ープカセツトの外観斜視図である。第３図は、第
２図に示したガードパネルの正投象図であり、そ
のＡ図は平面図、Ｂ図は正面図、Ｃ及びＤ図は左
右側面図である。第４図は、第３Ａ図のＹ−
Y′断面図である。また、第５図は、第３Ａ図の
Ｚ−Z′断面図である。図中、１０は上ハーフ、１
２は上ハーフの側壁板、１４，１４ａ，１４ｂは
上ハーフに設けられた窓部、１６は下ハーフであ
り、上下ハーフは合体してテープなど（図示な
し）を収納する。１８はガードパネルであり、テ
ープとヘツドなど（図示なし）とのコンタクトを
行なうために設けられた上下ハーフ１０，１６の
開口部（図示なし）を覆うものである。ガードパ
ネル１８は上ハーフ１０などに回動可能に軸支さ
れており、不使用時には開口部を覆つて閉じてお
くが、使用時にデツキなど（図示なし）にカセツ
トを装着すると、ロツクが外れてガードパネル１
８が回動し、開口部を開ける。２０はガードパネ
ル１８の細長い正面板、２２はその細長い上面板
であり、それらは各々の長辺が結合し、断面略Ｌ
字状の細長い板体となつている。２４，２４ａ，
２４ｂは、その細長い板体をそれぞれ覆う側壁板
である。その各側壁板２４の突出端部２６，２６
ａ，２６ｂには、ガードパネル１８の支軸、例え
ば円柱状突起２８，２８ａ，２８ｂが突出してい
る。それら各円柱状突起２８は、上ハーフ１０の
正面コーナ部付近の側壁板１２などの軸挿通穴
（図示なし）にそれぞれ嵌合している。３０はゲ
ート（金型のプラスチツク注入口）付近の凹部で
あり、正面板２０と上面板２２との結合部に設け
られている。その凹部３０に対応する上面板２２
の裏側面の中央部には、やはり方形状の凹部３２
が設けられている。この凹部３２は射出成形機用
の金型のコアに設けた凸部によつて形成されたも
のである。ゲートから注入される溶融プラスチツ
クは、この凸部の存在によつて金型内に適当な速
度で円滑に流動して行き、ガードパネル１８を形
成する。

第６図は、射出成形機用の金型付近を示す説明
図であり、成形品たるガードパネルの取り出し状
態を示す図である。図中、３４は可動プラテン、
３６は固定プラテンである。両プラテン３４，３
６間に金型が取り付けられている。３８，３８
ａ，３８ｂはその取付け板、４０，４０ａ，４０
ｂはバツクプレート、４２はコアプレート、４４
はキヤビテイプレート、４６はコア、４８はキヤ
ビテイ、５０は成形品、５２はゲートである。こ
のように成形品５０は、ゲート５２より入る溶融
プラスチツクがコア４６とキヤビテイ４８間の空
間部を充填して形成される。そのため、コア４６
には、成形品５０の裏側面を形成する凸部が設け
られており、キヤビテイ４８には、その表側面を
形成する凹部が設けられている。成形品５０を取
り出すため、金型を開くと、成形品５０を密着、
保持したままコア４６が移動する。この時、エジ
エクタープレート５６が移動し、プレート５６に
固定されていたエジエクターピン５８，５８ａ，
５８ｂで、成形品５０を突き出し、コア４６から
抜き出す。通常、金型は成形品５０の抜きを考え
て作られ、その内部に形成された成形品５０は、
エジエクターピン５８の突出しにより、負担を掛
けずに簡単に抜けるように置かれている。ガード
パネル１８の抜き出しでは、普通、その正面板２
０の裏面側上を数個所押すことになる。なお、こ
の時、ガードパネル１８の各側壁板２４から各々
突出する支軸たる円柱状突起２８は、突き出し時
に、金型の機構により直ちに開放される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このようなガードパネル１８の
正面板２０と上面板２２とは、それらの長辺同士
が結合し、第７図に示すように互いに面が直交し
ているため、それらに接触するキヤビテイ４８の
成形面も直角に曲折し、ガードパネルの機能上及
び製造上の制約により抜き勾配がわずかしか存在
しない。また、上面板２２の表側面は光沢面であ
り、そのため、キヤビテイ面との密着度も特に高
いものとなつている。このような状態にある金型
を開くと、第８Ａ図に示すようにキヤビテイ４８
にわずかしか抜き勾配がなく、上面板２２の光沢
面が良く密着しているため、コア４６に引かれて
その光沢面付近が一瞬真空状態となり、第８Ｂ図
に示すようにその部分がキヤビテイ面にすいつい
て、コア４６の移動方向と反対の方向（矢印方
向）に引かれるようになる。その結果、上面板２
２の光沢面に変形が発生し、その変形に基づき、
特に側壁板２４との結合部付近にクラツクが発生
して、外観品位を悪くし、強度を落とすなど問題
が発生する。尤も、光沢面の変形はその後復元す
る。なお、第９Ａ図に示すように抜き勾配θが十
分あれば、上面板とキヤビテイ間に空気が容易に
入るため、成形品がキヤビテイ面にすいついて引
かれることもなく、第９Ｂ図に示すようにコアに
直ちに保持される。但し、ガードパネルの中央部
にあるゲート付近の凹部は誤挿入防止のための壁
を形成するため、上面板に抜き勾配θを十分とる
と、凹部内の正面壁たる突き当て面の寸法確保が
不十分となつて、誤挿入防止機能上問題がある。
しかも、上面板にはその面にホツトスタンプを印
刷し或いは刻印などを施すため、面の傾斜は製造
上望ましくない。

第１０図は、金型開放瞬時のガードパネルの変
形状態とクラツク発生位置とを示す１例の図であ
る。図中、６０，６０ａ，６０ｂはクラツク発生
位置を示す。この図から明らかなように、上面板
２２の中央部には変形が生ぜず、その両側部に変
形が発生していることがわかる。その理由は、中
央部にゲート５２があり、その裏側面に形成され
ている方形状の凹部３２にコア４６の方形状の凸
部が入り、よく密着するため、その部分ではコア
４６の保持力が増し、両支軸２８もコア４６に保
持されているので、それ以外の場所はキヤビテイ
面にすいついて引かれるからである。

本考案はこのような従来の問題点に着目してな
されたものであり、ガードパネルの上面板の構造
を改善することにより、金型からの成形品取出し
時に変形に基づくクラツクが発生せず、外観品位
が良く、強度の大きなテープカセツト用ガードパ
ネルを提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案では、ガー
ドパネル６１の上面板６４の中央部から両側壁板
６６に至る途中の位置に、各々少なくとも一個所
凹部７６または凸部を設けて、他の部分と厚みを
異ならせる。但し、凸部にすると、他の部分より
それらの個所のみが突出するため、当然上ハーフ
など他の部分が高さ及び位置などの制限を受ける
ことになる。したがつて、上面板に複数の凹部を
設けると、そのような問題もなく好適なものとな
る。

（作用） 上記手段は次のように作用する。

上面板６４の中央部から両側壁板６６に至る途
中の位置に、各々少なくとも一個所凹部７６また
は凸部を設け、他の部分と厚みを異ならせると、
当然コア７８にはそれらの個所と対応する位置
に、凸部８０又は凹部を設けることになる。その
結果、射出成形工程における冷却時収縮により、
上面板６４はそれらの凹部７６または凸部を設け
た個所の付近で、コア７８の凸部８０又は凹部と
より密着し、それらの個所ではコア７８の保持力
が他の部分より増加する。そのため、それだけキ
ヤビテイ面の引きに対抗することができ、上面板
６４の瞬時的な変形も発生しなくなる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を説明する。

第１図は、本考案によるテープカセツト用ガー
ドパネルの１実施例を示す図であり、Ａ図は平面
図、Ｂ図はそのＸ−X′断面図である。本実施例
と従来例とを比較すると、本実施例では、上面板
に複数の凹部を設けて、それらの個所の厚みを他
の部分と異ならせるのに対し、従来例のものはそ
のような個所を有さず、その構成の有無のみが異
なり、他の対応部分は全て同一である。したがつ
て、それらの同一な対応部分に関する説明は、従
来例を参照することによつて省略する。ただ、本
実施例の要部を説明する範囲で触れるものとす
る。図中、６１はガードパネル、６２はその正面
板、６４は上面板、６６，６６ａ，６６ｂは側壁
板、６８，６８ａ，６８ｂはその各側壁板６６の
突出端部、７０，７０ａ，７０ｂはガードパネル
支軸、７２はゲート付近の凹部、７４はその凹部
７２に対応する裏側面の中央部に設けられた方形
状の凹部である。７６，７６ａ，７６ｂは上面板
６４の中央部から両側壁板６６に至る途中の位置
に各々設けた凹部である。それらの各凹部７６
は、上面板６４の裏側面の中央部から両側にある
長手方向の各端部に向つて、それぞれ距離ａ、距
離ｂの位置にあり、例えば方形状の形状を有す
る。その長手方向の幅はｃ、深さはｄ、短手方向
の長さは、正面板６２の裏側面より距離ｅだけ離
れた位置から始まり、短手方向を深さｄで横切る
距離である。

このような凹部７４，７６を上面板６４に配設
するには、ガードパネル６１を成形する金型も当
然対応した構造にしなければならない。そこで、
コアにはそれらの凹部７４，７６と対応する位置
にそれぞれ凸部を設けて用いる。射出成形工程
で、金型内に溶融したプラスチツクを注入し、そ
のコアとキヤビテイ間の空間を充満すると、ガー
ドパネルが成形できる。この成形品は金型内で冷
却により、直ちにその成形品自体の中心に向つて
収縮を始める。因みに、一般的成形品は樹脂材
料、形状、成形時用件等によりバラツキがあるが
0.3〜0.5％程その中心に向かつて収縮する。

そこで、上面板６４はその長手方向に沿つて両
側から中心に向つて収縮する。このため、第１１
図に示すように上面版６４の各凹部７６，７６
ａ，７６ｂの付近ではそれぞれ矢印方向に収縮
し、コア７８の対応する各凸部８０，８０ａ，８
０ｂに密着する。したがつて、それらの個所では
コア７８の保持力が他の部分より増加する。それ
故、各凹部７６を凹部７４（凹部７６とほぼ同形
状である）と共に、長手方向の等分割位置に設け
ると、コアのそれらの凹部７４，７６などに嵌合
する凸部により保持力がそれだけ増加し、片寄り
なく分配されるため、キヤビテイ面のすいつきに
よる引きに好適な状態で対抗することができる。

上記実施例では、上面板６４の中央部から両側
壁板６６に至る途中の位置に、各々１個所凹部７
６を形成したが、同様位置に方形状の凸部を形成
して、他の部分と厚みを異ならせてもよい。後者
の場所も、第１２図に示すように上面板８２の各
凸部８４，８４ａ，８４ｂの付近では同様にそれ
ぞれ矢印方向に収縮し、コア８６の対応する各凸
部８８，８８ａ，８８ｂに密着する。したがつ
て、それらの個所ではコア８６の保持力が他の部
分より増加する。

なお、上面板の中央部から両側壁板に至る途中
の位置に、各々設ける凹部又は凸部の位置、形
状、大きさなどは実施に当り適宜選択することが
できる。

（考案の効果） 以上説明した本考案によれば、上面板の中央部
から両側壁板に至る途中の位置に、各々少なくと
も１個所凹部又は凸部を設けて、他の部分と厚み
を異ならせているため、それらの個所ではコアの
保持力が他の部分より増加し、キヤビテイ面の引
きに対抗し易くなる。したがつて、金型からの成
形品取出し時に上面板に変形が発生し難くなり、
変形に基づくクラツクの発生を防止できるので、
外観品位を良く、強度を大きくすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案によるテープカセツト用ガー
ドパネルの１実施例を示す図であり、Ａ図は平面
図、Ｂ図はそのＸ−X′断面図である。第２図は、
従来のビデオテープカセツトの外観斜視図である
（本考案のものもほぼ同一）。第３図は、第２図に
示したガードパネルの正投象図であり、そのＡ図
は平面図、Ｂ図は正面図、Ｃ及びＤ図は左右側面
図である。第４図は、第３Ａ図のＹ−Y′断面図
である。第５図は、第３Ａ図のＺ−Z′断面図であ
る。第６図は、射出成形機の金型付近を示す説明
図であり、成形品たるガードパネルの取り出し状
態を示す図である。第７図は、第３Ａ図のＹ−
Y′断面箇所における金型構造を示す図である。
第８図は、第３Ａ図のＹ−Y′断面箇所における
上面板付近の金型構造を示す図であり、そのＡ図
は金型閉鎖時を示す図、Ｂ図は金型開放瞬時を示
す図である。第９図は第８図に対応する抜き勾配
が十分ある場合の金型状態を示す図であり、その
Ａ図は金型閉鎖時を示す図、Ｂ図は金型開放瞬時
を示す図である。第１０図は金型開放瞬時のガー
ドパネルの変形状態とクラツク発生状態を示す図
である。第１１図及び第１２図は、本考案による
テープカセツト用ガードパネルの射出成形工程に
おける上面板の冷却時収縮状態と金型コアとの関
係を示す図である。 １８，６１……ガードパネル、２０，６２……
正面板、２２，６４，８２……上面板、２４，６
６……側壁板、２８，７０……ガードパネル支
軸、７６，８４……厚みの異なる個所を形成する
凹部、凸部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 正面板６２と上面板６４を有する断面略Ｌ字状
   の細長い板体と、その側面を覆うガードパネル支
   軸７０を突出した側壁板６６とを備えたテープカ
   セツト用ガードパネル６１において、上記上面板
   ６４の中央部から両側壁板６６に至る途中の位置
   に、各々少なくとも１個所凹部７６又は凸部を設
   けて、他の部分と厚みを異ならせることを特徴と
   するテープカセツト用ガードパネル６１。