JPH0533366U - 磁気テープカセツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 合成樹脂で形成したハーフケースと一体にリ
ーフバネを形成し、部品点数や作業工数の削減と廃棄処
理やリサイクルを容易に行い得るようにした磁気テープ
カセットを提供する。 【構成】 ハーフケース２とリーフバネ２１とを一体成
形すると共に、この一体成形に必要な金型３１を挿通さ
せるために設けた開口部５を窓部材６により閉塞して構
成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、磁気テープを巻回する一対のテープ巻装体を上下ハーフケースから なるカセットケース内に収納し、リーフバネにより前記各テープ巻装体をカセッ ト下方に押圧するように構成した磁気テープカセットに関し、更に詳しくは前記 リーフバネを前記ハーフケースに一体成形するための構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、オーディオ機器やビデオ機器等においては、一対のリール（又はハブ） に巻回した磁気テープをカセットケース内に走行可能に支持して記録再生を行う ように構成した磁気テープカセットが多用されている。 これらの磁気テープカセットのうち、ＶＨＳ方式やβ方式、更に８ｍｍビデオ 等のビデオ機器に用いられる磁気テープカセットは、ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂で 一体成形した上下ハーフカセツト内に、磁気テープを巻回した一対のテープ巻装 体を回転自在に保持したものである。そして、前記テープ巻装体は上ハーフケー スに取り付けたリーフバネにより、カセツト下方に押圧されるように構成されて いる。

【０００３】 図５及び図６は、ＶＨＳ方式の磁気テープカセットにおける上ハーフケースの 内面を示す平面図及びリーフバネの斜視図である。 リーフバネ６０は、中央の固定部６１から左右対称に伸び、且つ適宜湾曲して 張り出したアーム６２を有する金属製の板状部材である。前記リーフバネ６０は 、図５に示すように例えば上ハーフケース２の内壁面の中央部分に設けられた突 起６４に、前記固定部６１に形成した穴６３を挿通させ、前記突起６４の頂部を 超音波溶着にて溶かすことにより、前記アーム６２がカセット内方（下方）に張 り出すように固定されている。 従って、カセットが組み立てられた状態では、前記リーフバネ６０の前記固定 部６１が上ハーフケース２の中央部に固定され、前記アーム６２の両先端部分が 一対のテープ巻装体であるテープリールの上端面の中央部分をカセット下方へ押 圧するようになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、現在の社会的背景の一つに廃棄物の処理と再利用とがある。前記磁 気テープカセットを廃棄する場合を考慮すると、前記ハーフケース２が合成樹脂 であり、前記リーフバネ６０が金属板であるから、このままでは廃棄処理を行い にくい。また、すなわち金属板である前記リーフバネ６０と合成樹脂である前記 ハーフケース２とが分離し易いことが望まれるが、上記したような従来の取り付 け構造であると、前記リーフバネ６０を前記上ハーフケース２から取り外しにく く、ハーフケース再処理に際して処理しにくいという不都合があった。 更に、組み立て工程を考慮した場合は、部品点数が多いため工程管理や在庫管 理が面倒になるうえに、超音波溶着を行うため超音波溶着装置が必要になる。ま た、作業工数が増して生産効率の向上を図りにくい等の種々の課題を内包してい た。 本考案は前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は合成樹脂で形成し たハーフケースと一体にリーフバネを形成し、部品点数や作業工数の削減と廃棄 処理やリサイクルを容易に行い得るように構成した磁気テープカセットを提供す ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案にかかる前記目的は、磁気テープを巻回する一対のテープ巻装体を上下 ハーフケースからなるカセットケース内に収納し、リーフバネにより前記各テー プ巻装体をカセット下方に押圧するようにした磁気テープカセットにおいて、前 記上ハーフケースの内面の略中央部に前記リーフバネを一体成形するために、ハ ーフケース上面に少なくとも前記リーフバネの張出部分に対応した開口部が形成 されており、前記上ハーフケースに取り付けられる窓部材に、前記開口部を閉塞 する閉塞部が設けられたことを特徴とする磁気テープカセットによって達成され る。

【０００６】

【実施態様】

以下、添付図面を参照して本考案の一実施態様を説明する。 なお、図１は磁気テープカセットの斜視図、図２は上ハーフケースの要部の断 面図であり、実施態様の説明にあたって、従来構造と同一部分には同一符号を付 して説明を省略する。 磁気テープカセット１は、上ハーフケース２と下ハーフケース３とを重合わせ たものであり、一対のテープリールに巻回した磁気テープ（いずれも図示せず） はカセットケースの前方に設けたテープ引き出し開口から外部に引き出し得るよ うに構成されている。なお、前記テープ引き出し開口は、通常状態にあっては図 １に示すようにガードパネル４により閉塞されている。

【０００７】 また、カセット上面に形成された開口部５は、前記上カセットハーフ２の略中 央部に該ハーフ２に一体成形されたリーフバネ２１の張出部分見えるような開口 部分を有した形状をしている。前記開口部５には透明な窓部材６が嵌め込まれ、 適宜固定して前記上ハーフケース２に一体化されるのであるが、後述するリーフ バネ２１の形状を示すため並びに説明の便宜のために図１は前記窓部材６を外し た状態で図示してある。 前記窓部材６は本実施態様においては前記上ハーフケース２に形成された開口 部５に対応した形状であり、該開口部５を閉塞する部材である。そして、その構 成は透明な窓部６Ａ、開口部５の縁部下側に接着する際の接着しろ６Ｂ、前記リ ーフバネ２１の上部を覆う非透明のカバー部から構成されている。なお、前記カ バー部はカバー部６Ｃ、ラベルエリア７に嵌め込まれるカバー部６Ｄ等から構成 されている。

【０００８】 次に、図２を参照して前記リーフバネ２１の構造を説明する。なお、前記開口 部５及び前記リーフバネ２１は、カセット左右方向に対称の構造であるので、図 ２にはそのうちの一方の構造を図示した。 前記リーフバネ２１と前記上ハーフケース２とは、例えばＰＳ樹脂等を用いて 一体成形されている。前記リーフバネ２１の基部２１Ａは前記上ハーフケース２ の略中央部分であり、前記ラベルエリア７の内側において該ハーフケース２と一 体になり、その基部からカセット左右方向（図中右方向）及び下方に張り出した 先端部２１Ｂは前記開口部５の中央部に向けて舌片状に延長している。なお、前 記リーフバネ２１の全体長は、前記開口部５の下側に位置決めされるテープリー ル（図示省略）の中央部を押圧するように設定されている。 前記開口部５の縁部下側面には段差部５Ａが形成されているが、これは前記窓 部材６の接着しろ６Ｂを当てつけて接着するためのものである。

【０００９】 次に、前記上ハーフケース２及び前記リーフバネ２１の成形方法について説明 する。図２に二点鎖線で示したような上金型３１、一点鎖線で示したような下金 型３２を組み合わせて形成される射出用間隙が構成される。すなわち、前記上金 型３１においては前記開口部５内にて図中下方に張り出したリーフバネ成形部３ １ａを有し、また前記下金型３２には前記リーフバネ成形部３１ａに対応した凹 みが形成されており、このような構造により前記上ハーフケース２及び前記リー フバネ２１を一度に成形可能な射出空間が形成されている。そして、成形用間隙 に例えばＰＳ樹脂、ＡＢＳ樹脂等を射出することにより、図２に断面構造で図示 したように前記開口部５を除いた前記上ハーフケース２と前記リーフケース２１ とが一体成形される。 このように前記リーフバネ２１の張出部分に対応した部分の上ハーフケース壁 面が開口した構造であれば、ハーフケース成形時において前記リーフバネ２１の 下にアンダーカットが不要になり、一回の成形即ち単色成形法により前記リーフ バネ２１をハーフケースに一体に成形することができる。従って、二色成形など を採用した金型にくらべると前記上金型３１、前記下金型３２の金型構造を簡単 にすることができる。

【００１０】 次に、図３を参照して第２実施態様を説明する。なお、本実施態様の特徴はリ ーフバネの厚みや形状を変形したことにあるので、リーフバネ以外は同一の符号 を付して説明を省略する。 即ち，図３に示すリーフバネ４１は、基部４１Ａの近傍から次第に薄く形成さ れ、先端部４１Ｂは厚く形成され、さらに先端部４１Ｂの下側面には、ゆるやか な円弧状の凹部４１Ｃが形成され、図示を省略したテープリールの上端面中央部 の突起を位置ずれすることなく効果的に押圧し得るように工夫されている。前記 リーフバネ４１は、基部４１Ａから先端にかけて薄形に形成されているので、第 １実施態様で示した前記リーフバネ２１に比較して弾性が異なる。

【００１１】 前記リーフバネ４１は、図２を参照して説明した金型３１、３２の間隙を変え ることにより、容易に形成することができる。従って、本考案によれば、テープ リールを押圧する力を前記リーフバネ４１の厚みや形状を変えることにより、容 易に調整できることになる。しかも押圧力の調整は、前記金型３１、３２の間隙 の設定により簡単に、且つ均一に設定できるので、押圧力のむらがなくなり、テ ープリールの回転を円滑化することができる。

【００１２】 次に、図４を参照して第３実施態様を説明する。なお、本実施態様の特徴はリ ーフバネに耐磨耗性を付加したことにあるので、リーフバネ以外は同一の符号を 付して説明を省略する。 即ち、リーフバネ５１の先端部５１Ａは、例えばポリエキシメチレン等の耐摩 耗性を有する合成樹脂にて成形されている。前記先端部５１Ａは、回転するテー プリールの中央部を押圧するものであるから磨耗度が高い。しかし、本実施態様 のように耐磨耗性の有る合成樹脂で成形することにより、磨耗を低減することが でき、磁気テープカセット１の信頼性を向上させることができる。 なお、前記先端部５１Ａの成形は、２色成形が好適である。この場合、前記金 型３１、３２に前記先端部５１Ａを成形するための金型が必要になるが、開口部 ５が設けられているので、金型の複雑化を避けることができる。

【００１３】 このように、本考案を適用した磁気テープカセットは、上ハーフケースとリー フバネとが一体成形されているので、別途製造されたリーフバネを別に用意する 必要がなく、部品点数の削減や作業工数の削減を図ることができる。 しかも、カセットケースとしては金属製のいリーフバネのように異種の部材を 使用していないので、廃棄処理、リサイクルのいずれも容易なる、等の時代の要 請に合った構成にすることができる。

【００１４】 以上に本考案の実施態様を説明したが、本考案は前記実施態様に限定されるも のではない。例えば、第１及び第２の実施態様で示したリーフバネに、第３の実 施態様で示した耐磨耗性構造を適用するごとく、各実施態様を適宜組み合わせた 構造にすることもできる。また、リーフバネの形状等は前記実施態様に示された 形状のものに何ら限定されるものではなく、その必要に応じて種々変更できるこ とは云うまでもない。

【００１５】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案に係る磁気テープカセットは、上ハーフケース の内面の略中央部に前記リーフバネを一体成形するために、ハーフケース上面に 少なくとも前記リーフバネの張出部分に対応した開口部が形成されており、前記 上ハーフケースに取り付けられる窓部材に、前記開口部を閉塞する閉塞部が設け られた構成である。 すなわち、本考案によれば、ハーフケースとリーフバネとを一体成形すると共 に、この一体成形に必要な金型を挿通させるために設けた開口部を閉塞部材（窓 部材）により閉塞して構成したので、カセット組み立てに関してリーフバネを固 定する作業や固定のための装置等が不要になる。更に、前記磁気テープカセット の廃棄やリサイクルに関しては、従来のように金属製のリーフバネの如く異種の 部材を超音波溶着にて固定した構造を用いていないので、廃棄やリサイクルのい ずれも行い易く、工業製品に対する現在の社会的要請に応えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施態様を示す磁気テープカセッ
トの斜視図である。

【図２】図１に示した磁気テープカセットにおける上ハ
ーフケースの要部の断面図である。

【図３】第２実施態様を示す要部の断面図である。

【図４】第３実施態様を示す要部の断面図である。

【図５】従来のリーフバネの一例を示す平面図である。

【図６】従来のリーフバネの一例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 磁気テープカセット ２、３ ハーフケース ４ ガードパネル ５ 開口部 ５Ａ 段部 ６ 窓部材 ６Ａ 窓部 ６Ｂ 接着しろ ６Ｃ カバー部 ６Ｄ ラベルエリアのカバー部 ７ ラベルエリア ２１、４１、５１、６０ リーフバネ ２１Ａ、４１Ａ 基部 ３１、３２ 金型 ２１Ｂ、４１Ｂ 先端部 ４１Ｃ 凹部 ５１Ａ 異樹脂の先端部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気テープを巻回する一対のテープ巻装
   体を上下ハーフケースからなるカセットケース内に収納
   し、リーフバネにより前記各テープ巻装体をカセット下
   方に押圧するようにした磁気テープカセットにおいて、
   前記上ハーフケースの内面の略中央部に前記リーフバネ
   を一体成形するために、ハーフケース上面に少なくとも
   前記リーフバネの張出部分に対応した開口部が形成され
   ており、前記上ハーフケースに取り付けられる窓部材
   に、前記開口部を閉塞する閉塞部が設けられたことを特
   徴とする磁気テープカセット。