JPH04107998U - 動電型スピーカ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度の部品精度並びに組立技術を必要とせ
ず、組立て容易で安価且つ性能、信頼性ともに優れたス
ピーカを得ること。 【構成】 頂部に平面部が形成されているコーン形振動
板と、最内周コルゲーションより内側の部分近傍が平面
部となっているダンパと、上端部が平面部によって閉ざ
されたボイスコイルとを、夫々の平面部を一致させて重
ね合わせ、接着した構造の振動系を有する動電型スピー
カ。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、部品数が少なく、又高度の部品精度を要すること無く、組立が極め て容易で勝つ個々の部品強度が大きいので動作が安定している動電型スピーカの 構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来におけるコーン形振動板を有する動電型スピーカの代表的な構造は、例え ば図３に断面を示す如く、頂部にボイスコイル取付用穴が穿設されたコーン形振 動板13と、同じく中心にボイスコイル取付用穴が穿設されたダンパ12及び円筒形 のボイスコイル11とからなり、当該ボイスコイル11の上部側面にコーン形振動板 13とダンパ12とが夫々のボイスコイル取付用穴内周部で接着されて一体となって いる振動系が、リング状磁気空隙を有する磁気回路17を底部に取付けたフレーム 16の内部に、ダンパ12とコーン形振動板13外周のエッジ14とで支持されている。 又、更に前記円筒形のボイスコイル11の上方開口部から塵埃が侵入するのを防止 する目的で、ダストキャップ15がコーン形振動板13前面又はボイスコイル11端面 に接着されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この様な構造を有する従来の動電型スピーカは、コーン形振動板13の中心が取 付用穴となっているため強度不足で、釣鐘振動を生じて再生音の歪みを増加させ る原因となっていた。又、ボイスコイル11が円筒形であるため半径方向の強度が 小さく、組立前部品の段階で変形して組立て作業の進行を阻害したり、製品とな ってからでも接着されたコーン形振動板13の釣鐘振動を防止する補助的な補強作 用を有しないのみならず共に変形して異常音を生じるという欠点があった。

【０００４】 又、この様な従来の動電型スピーカを組立てるには、ボイスコイル、ダンパ、 コーン振動板及びフレームを相互に接着するに際し、狭い磁気空隙内に振動時に 磁極壁に触れないようにボイスコイルを配置するために、磁気回路の中心磁極の 外側にキッチリ嵌まる内径とボイスコイルの内径に嵌入する外径を夫々有する高 精度の間隙保持具を、接着剤が乾燥するまで装着しなければならず、更に接着剤 の乾燥後に間隙保持具を抜去してからダストキャップを接着するので、間隙保持 具保有のための設備費と、間隙保持具の装着抜去及びダストキャップ接着のため の作業経費とが増大するという解決すべき課題があった。

【０００５】 そこで本考案は、振動系構成部品の構造及び相互の接着状態を改善することに より、上記従来例に付する欠点並びに解決すべき課題を解消し、性能、品質とも に優れ且つ安定したスピーカを安価に提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するための本考案に係る動電型スピーカは、実施例を示す図１ 〜図２を用いて説明すると、上端が平面部1bで閉ざされたボイスコイルボビン1a にコイル線1cが巻装されているボイスコイル１と、ボイスコイルボビン貼着用平 面部2aの周囲に可撓部2bが形成されているダンパ２と、頂部にダンパ貼着用平面 部3aが形成されているコーン形振動板３とからなり、前記ボイスコイル１の上端 にダンパ２がボイスコイルボビン貼着用平面部で接着され、ダンパ２のボイスコ イルボビン貼着用平面部上面にコーン形振動板３の頂部が接着されている振動系 を有することを特徴とする。

【０００７】

【作用】

そして、この様な構成のスピーカでは、ボイスコイル１に於てはボイスコイル ボビン1aの上端を閉ざす平面部1bが補強材として作用し、半径方向の変形を阻止 する。又、コーン形振動板３については頂部のダンパ貼着用平面部3aの補強作用 により釣鐘振動の発生が阻止されると共に、ダンパ２のボイスコイルボビン貼着 用平面部2aも補強材として寄与するので、振動板３の有害な釣鐘振動やボイスコ イル１の半径方向の変形振動は発生しない。

【０００８】 更に、スピーカ組立に際して、ボイスコイル１が磁気回路６の磁気空隙に同心 に保持されている限り、ボイスコイル１とダンパ２及びコーン形振動板１は相互 に完全に同心である必要はないので、高度の部品寸法精度並びに組立技術が要求 されることがない。

【０００９】 部品の構造上、従来は必要であったダストキャップとその取付作業は不用とな り、部品代と作業経費が節減できる。

【００１０】

【実施例】

図１〜図２により、本考案の実施例を詳述すると、１はボイスコイルで、上端 が平面部1bで閉ざされた有底円筒状のボイスコイルボビン1aにコイル線1cが巻装 されている。

【００１１】 ２はダンパで、本実施例では布に賦形剤を含浸させて熱プレスして製造され、 可撓部2bは周知の同心円状コルゲーションで、中心近傍は前記ボイスコイルボビ ン1aの平面部1bが接着し得る面積のボイスコイルボビン貼着用平面部2aとなって おり、可撓部2bより外側にフレーム５との接着部2cが形成されている。

【００１２】 ３はコーン形振動板で、振動板本体部3bの頂部は、前記ボイスコイルボビン1a の平面部1bが接着し得る面積のボイスコイルボビン貼着用平面部3aによって閉ざ されている。又、振動板本体部3bの外周には振動板を支持する為のエッジ４が形 成されている。

【００１３】 上記ボイスコイル１とダンパ２及びコーン形振動板３は、平面部1b、ボイスコ イルボビン貼着用平面部2a及びボイスコイルボビン貼着用平面部3aを重ね合せて 接着されて振動系を構成し、エッジ４とダンパ２の接着部2cとによって、ボイス コイル１のコイル線1c巻装部が磁気回路６の磁気空隙に位置するようにしてフレ ーム５の内部に支持される。

【００１４】 本実施例のスピーカに於てコイル線1cが磁気回路６の磁気空隙に同心状態で保 持される様に組立てるには、例えば特公昭４９−２２６５０号公報の従来例に関 する記載のごとく予めダンパ２とボイスコイル１とを同心となるように接着して おき、又、フレーム５のダンパ２接着部に磁気空隙と同心に形成したガイドを基 準としてボイスコイル１を磁気空隙に嵌入させてダンパ２を接着し、引き続きコ ーン形振動板３をフレーム５の所定位置に接着する。或いは同公報記載の発明の ごとく熱収縮性材料をボイスコイル１と磁気回路６の中心磁極との間に介在せし め、振動系の接着完了後に加熱して熱収縮性材料を収縮させれば良く、その他、 磁極表面とボイスコイルとが振動中に接触しないように組立てる適切な手段を必 要に応じて使用することができる。

【００１５】 以上、本考案に係る動電型スピーカについて代表的と思われる実施例を基に詳 述したが、本考案によるスピーカの実施態様は上記実施例の構造に限定されるも のではなく、前記した実用新案登録請求の範囲に記載の構成要件を具備し、本考 案にいう作用を呈し、以下に述べる効果を有する限りにおいて、適宜改変して実 施しうるものである。

【００１６】

【効果】

本考案に係る動電型スピーカは以下に述べる効果を有する。 (1) ボイスコイル、ダンパ及び振動板の接着部の各平面部の補強作用によって、 振動板の有害な釣鐘振動やボイスコイルの半径方向の変形振動が生じなくなり、 再生音の歪みレベルが低下し、異常音発生による製品不良が無くなる。従って製 品の性能と信頼性が向上する。 (2) ダンパ等振動系を構成する部品の形状が単純となり、特に取付穴のように精 度の維持が困難な部位がないので高度な部品精度が要求されない。従って部品単 価が安くなる。 (3) 振動系構成部品は相互に完全に同心である必要はないので、高度の組立技術 は不要である。 (4) 接着するべき箇所が少なく且つ間隙保持具の挿脱も不要であり、更にダスト キャップとその取付作業の様に接着作業と組立作業が従続的に組合されることが ないので工程数が少なくなる。 (5) 上記(2),(3),(4) 各項目によって部品代と作業経費が節減できる。

【００１７】 以上の利点によって性能が優れ且つ信頼度が高いスピーカを安価に提供できる という効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の断面図である。

【図２】本考案実施例の要部拡大断面図である。

【図３】従来例スピーカの断面図である。

【符号の説明】

１ ボイスコイル ２ ダンパ ３ コーン形振動板 ４ エッジ ５ フレーム ６ 磁気回路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端が平面部で閉ざされたボイスコイル
   ボビンにコイル線が巻装されているボイスコイル（１）
   と、ボイスコイルボビン貼着用平面部の周囲に可撓部が
   形成されているダンパ（２）と、頂部にダンパ貼着用平
   面部が形成されているコーン形振動板（３）とからな
   り、前記ボイスコイル（１）の上端にダンパ（２）がボ
   イスコイルボビン貼着用平面部で接着され、ダンパ
   （２）のボイスコイルボビン貼着用平面部上面にコーン
   形振動板（３）の頂部が接着されている振動系を有する
   ことを特徴とする動電型スピーカ。