JPH0354478Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「考案の目的」 （産業上の利用分野） 本考案は、ドーム型振動板・コイルボビン部・
エツジ部一体成形型の振動系を磁気回路に組み込
んでなる電気音響変換器におけるエツジ部支持構
造に係り、特にエツジ部の支持構造を簡略化する
と共に磁気回路内におけるスペースの狭小化を図
ることができるエツジ部支持構造に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来のドーム型スピーカは第７図断面図で示す
ように、磁気回路部を構成すべきヨーク２１、マ
グネツト２３、トツププレート２４等は接着剤で
固定されるが、ギヤツプ２５の形成に際してはギ
ヤツプに対応する筒部を有する治具をポール部２
２に嵌合してトツププレート２４を接着して固定
している。振動系３０としてはドーム型振動系３
１とコイルボビン部３２を一体形成してこれに湾
曲させたエツジ部３３を別に接着したものや、ド
ーム型振動板３１とエツジ部３３を一体成形して
これにコイルボビン部３２を接着したもの等があ
る。組み立てに際してはエツジ部３３の外周縁を
トツププレート２４に形成した取付用段部２６に
ダンパー部材２７，２７で挟持するように配置
し、これによりボイスコイル３４をギヤツプ２５
内の所定位置に配置せしめてフレーム４０を被せ
るようにしているが、ボイスコイルをギヤツプ内
に配置する場合にも治具が使用される。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来のドーム型スピーカにあつては各
組立工程で各種の治具が用いられ、接着剤固化後
にこれら治具を抜き出すためのクリアランスを設
定しておく必要があるから、これらのクリアラン
スや各パーツの寸法公差、作業上のバラツキ等が
累積誤差となつてギヤツプ間隔が大きくなつたり
不均一となつて性能低下の要因となり、また、各
部材の固定に接着剤が使用されているためその乾
燥固化のための時間を必要とし、組立工程に時間
的ロスがあるばかりでなく、接着剤使用により歪
が生ずる欠点があつた。

我々は上記した欠点を解消するために、第６図
に示すように、ドーム型振動板１１とコイルボビ
ン部１２とその下端から水平方向に延出形成され
たエツジ部１３とを一体成形し、コイルボビン部
１２にボイスコイル１４を形成してなる振動系Ａ
を磁気回路Ｂに組み込んでなるドーム型スピーカ
を別に提案したが、この場合のエツジ部支持構造
として、トツププレート１８の内周縁下面側にエ
ツジ配置用の段部１８ａを形成すると共にヨーク
１５のポール部１６上部外周にはフランジ部を形
成することにより支持段部１６ａを形成してこの
支持段部１６ａと上記段部１８ａとによつて断面
略「コ」字状のエツジ配置溝が形成されるように
し、上記フランジ部の外周縁を上記段部１８ａに
密嵌することによつて磁気ギヤツプ１９を形成す
ると共に上記配置溝内において上記エツジ部１３
を弾性材によるパツキング部材２０で上下から挟
持するように構成したものであつた。なお、図に
おいて、１６ｂはフランジ部を形成するための切
削部、１７はマグネツト、Ｆはフレームである。

ところが上記提案に係るスピーカにおけるエツ
ジ部支持構造にあつては、トツププレート１８に
段部１８ａを形成したりポール部１６にフランジ
部を形成するものであるため振幅の大きい振動系
に対処するには切削部を大きくする必要があり、
このため必然的にトツププレート１８に肉厚の大
きなものを使用したりポール部を大径にする等材
料面で不経済であるばかりでなく加工コストも増
加し、大振幅のスピーカには適さない支持構造で
あつた。

本考案の目的は上記した従来の欠点を解消する
と共に我々が先に提案しドーム型スピーカに適用
して最適なドーム型振動系のエツジ部支持構造を
提供することにある。

「考案の構成」 （問題点を解決するための手段） 本考案に係るドーム型振動系のエツジ部支持構
造は、ドーム型振動板とコイルボビン部とその下
端に延出形成されるエツジ部とが一体成形された
振動系を磁気回路に組み込んでなる電気音響変換
器において、上記エツジ部の外周縁をガイドする
ための垂直部とエツジ部挟持用のパツキングを配
置するための平坦部とを有するガイドリングを使
用し、該ガイドリングの内周縁をヨークのポール
部に嵌合せしめると共に上記垂直側をトツププレ
ートに設けたガイド部に嵌合したものである。

（作用） ドーム型振動板・コイルボイビン・エツジ一体
型の振動系を磁気回路に組み込むに際し、ガイド
リングの平坦部に一方のパツキングを配置したの
ち振動系のエツジ部の外周縁をガイドリングの垂
直部をガイドとして嵌合し、その上に他方のパツ
キングを配置する。この状態でトツププレートを
被せるとガイドリングの垂直部側がトツププレー
トに形成したガイド部にガイドされて嵌合し、エ
ツジ部は両パツキングによつて適確に挟持され
る。この場合、トツププレートの嵌合によつてパ
ツキングが圧縮されるようにすればエツジ部に所
定の機械バイアスをかけることができる。

上記のように振動系を保持した状態のトツププ
レートをマグネツト上に配置するとガイドリング
の平坦部における内周縁がヨークのポール部外周
に嵌合し、所定の磁気ギヤツプが形成されると共
にボイスコイルが磁気ギヤツプにセンタリングさ
れる状態で振動系を組み込むことができる。

（実施例） 本考案に係るドーム型振動系のエツジ部支持構
造の実施例を第１図乃至第５図に基づいて説明す
るが、第１図は要部の断面図、第２図Ａ，Ｂは組
み込み過程を示す断面図、第３図は他の構成例を
示す断面図、第４図Ａ，Ｂはトツププレート側に
形成されるガイド部の変形例を示す断面図、第５
図はガイドリングの変形例を示す断面図である。

図において、Ａは振動系全体を示し、Ｂは磁気
回路部を示している。この振動系Ａはドーム型振
動板１とボイスコイル４を巻線すべきコイルボビ
ン部２とその下端から水平方向に延設されたエツ
ジ部３とが一体成形されている。５はヨーク、６
はポール部、６ａはポール部に形成された通気
孔、７はマグネツト、８はトツププレート、Ｆは
フレームを示している。

本考案のエツジ部支持構造は、上記エツジ部３
の外周縁をガイドするための垂直部９ａとエツジ
部挟持用のパツキング１０を配置するための平坦
部９ｂとを有するガイドリング９を備え、該ガイ
ドリング９はその内周縁がヨークのポール部６の
外周に嵌合されると共に上記垂直部９ａ側はトツ
ププレート８に設けたガイド部８ａに嵌合してい
る。

上記ガイドリング９は垂直部９ａと平坦部９ｂ
とによつて断面略逆「Ｌ」字状に形成されている
が、第１図及び第２図の例では垂直部９ａの上端
にフランジ部９ｃが形成され、これがトツププレ
ート８の内周側下面に設けた段部からなるガイド
部８ａに嵌合するようになつている。第３図の例
ではガイドリング９は単に「Ｌ」字状をなし、ト
ツププレート８のガイド部８ａは第１図のものと
は逆向きの段部によつて形成されている。

第４図Ａ，Ｂの例ではガイド部８ａはトツププ
レート８の下面側に突成した係合ボスによつて形
成されているが、この場合にはＡ図のように該ボ
スを垂直部９ａの外側に位置せしめたりＢ図のよ
うに内側に位置させることができる。なお、Ｂ図
のようにボスを内側に位置させる場合には該ボス
に対応するようにエツジ部及びパツキングに切欠
部を形成する。

第５図はガイドリング９の内周縁から下方に折
り曲げてガイド片を形成した例であり、ポール部
６への嵌合に際して適確にガイドされるようにし
たものである。なお、上記したガイドリング９の
材質としては非磁性材を使用すれば磁束密度を向
上させることができ、非鉄金属を使用すると磁束
密度の向上と磁気歪の減少を図ることができる。

次に第２図に基づいて組立て例を説明するに、
第２図Ａのようにガイドリング９の平坦部９ｂに
一方の（下側の）パツキング１０を配置したのち
振動系Ａのエツジ部３を配置する。この場合、エ
ツジ部の外周縁は垂直部９ａをガイドとして配置
され、センタリングセツトされる。次に第２図Ｂ
のように他方の（上側の）パツキング１０が配置
されるが、この状態では上側のパツキング１０は
ガイドリング９の上縁から突出している。この状
態でトツププレート８を被せるとガイドリング９
の垂直部９ａ側がトツププレート８に形成された
ガイド部８ａに嵌合し、上側のパツキング１０は
圧縮されてエツジ部３は適確に挟持されると共に
該エツジ部に所定のバイアス力を加えることがで
きる。これによつてトツププレート８に振動系が
保持された状態となる。なお、上記した圧縮力を
調整するために垂直部９ａの長さを変えることが
でき、また、上記したガイドリング９とトツププ
レート８のガイド部８ａとの嵌合形態もスピーカ
の正確に合せて設定することができる。

この状態のトツププレート８をマグネツト７上
に配置するとガイドリング９の平坦部９ｂ内周縁
がポール部６の外周にガイドされて嵌合し、所定
の磁気ギヤツプＧが形成されると共にボイスコイ
ル４は該磁気ギヤツプＧにセンタリングセツトさ
れる。

「考案の効果」 本考案に係るドーム型振動系のエツジ部支持構
造によれば、ドーム型振動板とコイルボイビン部
とエツジ部とを一体成形してなる振動系を磁気回
路に組み込むに際し、ガイドリングの平坦部に一
方のパツキングを配置したのち振動系のエツジ部
の外周縁をガイドリングの垂直部をガイドとして
嵌合すると共にその上に他方のパツキングを配置
し、この状態でトツププレートを被せることによ
つてガイドリングの垂直部側がトツププレートに
形成したガイド部にガイドされて嵌合し、エツジ
部を両パツキングによつて適確に挟持することが
できる。また、上記のように振動系を保持した状
態のトツププレートをマグネツト上に配置するこ
とによりガイドリングの平坦部における内周縁が
ヨークのポール部外周に嵌合し、所定の磁気ギヤ
ツプを形成することができると共にボイスコイル
を磁気ギヤツプにセンタリングセツトでき、振動
系の組み込みが極めて容易となる。

上記のように構成することにより振幅の大きな
スピーカであつてもこれに対応することができ、
トツププレートも薄手のものを使用することがで
きると共にポール部も通常のものでよいから、仮
にガイドリングたるパーツが増加したとしても相
対的にはコストダウンを図ることができ、この種
ドーム型振動系のエツジ部支持構造として最適で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案に係るドーム型振動
系のエツジ部支持構造の実施例を示し、第１図は
要部の断面図、第２図Ａ，Ｂは組み込み過程を示
す断面図、第３図は他の構成例を示す断面図、第
４図Ａ，Ｂはトツププレート側に形成されるガイ
ド部の変形例を示す断面図、第５図はガイドリン
グの変形例を示す断面図である。第６図は我々が
別に提案したドーム型スピーカを示す断面図、第
７図は従来のドーム型振動板のエツジ部支持構造
を示す断面図である。 Ａ：振動系全体、Ｂ：磁気回路部、１：ドーム
型振動板、２：コイルボビン部、３：エツジ部、
４：ボイスコイル、５：ヨーク、６：ポール部、
７：マグネツト、８：トツププレート、８ａ：ガ
イド部、９：ガイドリング、９ａ：垂直部、９
ｂ：平坦部、９ｃ：フランジ部、１０：パツキン
グ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ドーム型振動板とコイルボビン部とその下端
   に延出形成されるエツジ部とが一体成形された
   振動系を磁気回路に組み込んでなる電気音響変
   換器において、 上記エツジ部の外周縁をガイドするための垂
   直部とエツジ部挟持用のパツキングを配置する
   ための平坦部とを有するガイドリングを備え、
   該ガイドリングはその内周縁がヨークのポール
   部に嵌合されると共に上記垂直部側はトツププ
   レートに設けたガイド部に嵌合していることを
   特徴とするドーム型振動系のエツジ部支持構
   造。 ２ 垂直部の上端縁がトツププレートに形成され
   たガイド部に嵌合していることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のドーム型振
   動系のエツジ部支持構造。 ３ 垂直部の上端縁にフランジ部が形成され、該
   フランジ部がトツププレートに形成されたガイ
   ド部に嵌合していることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項記載のドーム型振動系の
   エツジ部支持構造。