JPH0410782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、覆面リール（クローズドフエースリ
ール）のドラグ力測定装置に係り、更に詳しくは
ドラグ装置のつまみ操作により調節された時のス
プールに作用する実際のドラグ力を計測できるよ
うにした覆面リールのドラグ力測定装置に関す
る。

〔従来の技術〕

覆面リール、その他のリールには、一般に魚の
強い引きや激しい反転等によつて糸が切断される
のを防止するためのドラグ装置が装備されてお
り、実開昭48−50592号公報等において知られて
いる。

この種のドラグ装置は、一般にスプールと摩擦
結合された構造になつており、そしてドラグノブ
を左右に回転操作して摩擦板に対する締付力を加
減することにより、スプールの糸繰出方向への回
転トルク、即ちドラグ力（釣糸引出力）をスプー
ルに巻いた釣糸の強さに応じて調整するものであ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような従来の覆面リールのドラグ装置で
は、そのドラグ力調整ノブに指示部を、リールボ
デイに表示目盛を夫々形成し、ノブの指示部を表
示目盛に合わせることによりドラグ力を表示する
ようになつているが、これは単に摩擦板とスプー
ルに対するばね部材の押圧力をノブの回動量とし
て表示するのみで実際のドラグ力を表示するもの
ではなく、ドラグ力の目安を表しているに過ぎな
い。従つて、実際にどの程度のドラグ力がスプー
ルに作用しているのかを知ることができない。特
に摩擦板が摩耗したり、あるいはばね部材の疲労
等によりばね力が低下したりすると、ノブが指示
する目盛数値とドラグ力との関係が変化してしま
い、希望するドラグ力を正確に設定するのは不可
能に等しい。ましてや、釣人がスプールに巻かれ
た釣糸を手により引き出した時の引張力を感覚的
に感知してドラグ力の設定を行なつているような
場合、そのドラグ力設定にばらつきがあり、その
結果、初心者等にあつては釣糸の強さ以上のドラ
グ力で締め付ける場合が多々あり、釣中に糸が切
断してしまう等のトラブルが多発する問題があつ
た。

〔考案の目的〕

本考案は上記の問題点を解決するためになされ
たもので、ドラグ装置のノブ調節により設定され
た時のスプールに作用する実際のドラグ力の計測
を可能にし、使用糸及び釣条件に適合したドラグ
力の設定を簡便になし得るようにした覆面リール
のドラグ力測定装置を提供することを目的とす
る。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る覆面リールのドラグ力測定装置
は、リールフレーム本体に固着した固定軸に回転
可能に支持したスプールと、このスプールにドラ
グ力を付与するドラグ装置と、上記固定軸の軸芯
に回転可能にかつ軸線方向にスライド可能に貫通
支持されハンドル操作により回転される駆動軸
と、この駆動軸と一体に回転させることで釣糸を
上記スプールに巻回するピツクアツプピン付きロ
ータ及び上記スプールとロータを覆うよう上記リ
ールフレーム本体に取り付けたフロントカバーと
を有する覆面リールにおいて、上記ロータを上記
駆動軸に所定の角度範囲で相対回転できるよう支
持すると共に、上記ロータと駆動軸間を上記ドラ
グ装置のドラグ力に相当するトルクを上記ロータ
に生じさせる計測用ばね部材により連結し、更に
上記ロータ及び上記スプールには当該両者の相対
的変位量をドラグ力として表示する表示部を設け
たものである。

〔考案の作用〕

本考案においては、釣糸をピツクアツプピンに
引つ掛けた状態で糸繰出方向に引つ張ると、ロー
タが計測用ばね部材に抗して回動されると共に該
ロータにはドラグ装置で設定されたドラグ力に相
当する回動トルクが発生し、この回動トルクがド
ラグ装置で付与されたスプールのドラグ力以上に
なると、スプールがロータを一体に糸繰出方向に
回転され始める。従つて、この時のロータの回動
量を表示部に換算表示することでスプールに付与
された実際のドラグ力の測定が可能になる。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を図面について説明す
る。

第１図乃至第３図は本考案に係る覆面リールの
ドラグ力測定装置の一例を示すものである。

第１図は一部を切欠いて示す覆面リール全体の
側面図であり、１は下部に取付脚２を有するリー
ルフレーム本体を示している。このリールフレー
ム本体１の前面部中央には、その軸線と一致する
中空固定軸３の一端がねじ結合により固着され、
この固定軸３の軸芯には駆動軸４が回転可能にか
つ軸線方向にスライド可能に貫通支持され、そし
て固定軸３の外周にはスプール５が回転可能に嵌
合支持されている。上記駆動軸４の前方突出端部
にはスプール５に釣糸６を巻回するためのロータ
７の中心ボス部７ａが所定の角度範囲内で相対回
転可能に嵌合されており、この相対的回転角度範
囲は、第２図に示す如く駆動軸４に固着した突部
８と、この突部８が係合するようロータボス部７
ａの内面にその周方向に沿つて形成した切欠き部
９によつて規制されるものである。

また、上記駆動軸４の後方突出端部はリールフ
レーム本体１の後部内に収容した周知のピニオン
及びドライブギア（いずれも図示せず）を介して
図示しないハンドル軸に連結され、ハンドル軸に
は釣糸巻取用のハンドル１０が固着されている。
１１は上記スプール５のハンドル側側面部に組み
付けた周知のドラグ装置であり、このドラグ装置
１１は、制動板１２と、この制動板１２とスプー
ル５の側端面間に介在した摩擦板１３と、リール
フレーム本体１に駆動軸４と平行する方向に移動
可能に支持され、かつ一端を上記制動板１２に連
結した制動力（ドラグ力）調節ねじ１４及びその
調節ノブ１４ａとから構成されている。

第１図において、符号１５は上記駆動軸４の前
端部分に組み付けたドラグ力測定機構で、このド
ラグ力測定機構１５は、駆動軸４の前端部に相対
回転不能に嵌合され、ナツト１６によりロータ７
と共に抜け止め保持された受部材１７と、この受
部材１７と上記ロータ７に両端が結合されたドラ
グ力計測用のトーシヨンばね１８とを有し、上記
トーシヨンばね１８は上記ドラグ装置１１で設定
されたドラグ力に相当する回動トルクをロータ７
に生じさせるものである。また、１９は上記ロー
タ７の中心部寄り側壁に形成した円弧状の表示窓
で、この表示窓１９の縁部には、第３図に示す如
く指示マーク２０が形成されていると共に、上記
スプール５の側端面には、上記表示窓１９と対向
してドラグ力表示目盛２１が形成されている。

また、第１図において、符号２２は上記ロータ
７の内側にその半径方向にスライド可能に取り付
けたピツクアツプピンで、このピツクアツプピン
２２は図示しないスプリングのよつてロータ７の
中心方向へ付勢されていると共に、その一端はロ
ータ７の周壁を通して外方へ突出され、この突出
部２２ａに釣糸６が引つ掛けられるようになつて
おり、更にピツクアツプピン２２の他端は固定軸
３の先端外周に形成したカム３ａに係合されてい
る。２３はロータ７の側壁前面に取り付けたライ
ンスナーバ、２４は上記スプール５及びロータ７
を含めたリールフレーム本体１の前面を覆うフロ
ントカバーであり、このフロントカバー２４の前
端中央には釣糸６の導出と上記ドラグ力表示の覗
窓を兼ねた比較的大径の穴２４ａが形成されてい
る。２５はリールフレーム本体１の後部に設けた
プツシユボタンで、このプツシユボタン２５を第
１図の矢印Ｃ方向に押した時、駆動軸４がカバー
２４方向へスライドしてラインスナーバ２３がフ
ロントカバー２４の内面に圧接し、釣糸６を挾持
すると同時にロータ７の回転をストツプさせて釣
糸６の繰出しもストツプさせ、また、プツシユボ
タン２５に対する押圧力を除くとロータ７が後退
してフリーになるようになつている。この時、ピ
ツクアツプピン２２は第１図に示す状態に復帰す
る。

次に、上記のように構成された覆面リールのド
ラグ力測定動作について説明する。

先ず、ドラグ装置１１のドラグ力調節ノブ１４
ａを回転操作して、スプール５に巻かれている釣
糸６の太さ、釣糸件等に応じたドラグ力が得られ
るように調節する。この時、ノブ１４ａの回転操
作量に応じて制動板１２のばね圧が変化し、この
ばね圧に応じた摩擦力でスプール５と固定軸３と
が摩擦係合され、スプール５に対し数値的に未知
なドラグ力が付与される。

次いで、フロントカバー２４の穴２４ａから外
方へ引き出されている釣糸６の端部を指等により
把持し、これをピツクアツプピン２２に引つ掛け
た状態で第１図の矢印Ａ方向（釣糸繰出方向）に
引つ張る。すると、釣糸６に加えられる引張力に
応じてロータ７がトーシヨンばね１８のばね圧に
抗して第２図の矢印Ｂ方向へ回動される。これに
伴いトーシヨンばね１８は巻込み方向に弾性変形
すると共に、そのばね圧が増大してロータ７にか
かる回動トルクも次第に増大していく。そして、
トーシヨンばね１８の弾性変形量に応じて発生す
る回動トルク、即ち釣糸６に加えられる引張力が
ドラグ装置１１で付与されているスプール５のド
ラグ力よりも僅かでも大きくなると、スプール５
は釣糸繰出方向へ回転し始め、ロータ７のスプー
ル５の対する相対変位は零となる。従つて、スプ
ール５が釣糸６の矢印Ａ方向への引張力によつて
ロータ７の一体に回転し始める時の指示マーク２
０が指し示す表示目盛２１上の目盛数値を穴２４
ａ、表示窓１９を透して読み取れば、その数値が
スプール５に付与された実際のドラグ力となる。

即ち、ロータ７の指示マーク２０が指し示す目
盛２１上の数値を見ることにより、ドラグ装置１
１で設定されたドラグ力がスプール５に巻かれて
いる釣糸６及び釣条件に適合したドラグ力である
か否かを直接にしかも確実に知ることができる。
このことは、例えば釣人が使用している釣糸が６
ポンドラインであれば、数値「３」の目盛にドラ
グ力が設定されるようにノブ１４ａを調節操作す
れば良く、これにより釣の初心者であつても適性
なドラグ力設定が可能になると共に、不適性なド
ラグ力設定による糸切れなどのトラブルの発生を
防止でき、また、ドラグ装置１１の特性を実測で
確認できるため、ドラグワツシヤ等の摩耗状況
（寿命）を的確に把握でき、ドラグ装置の維持管
理が容易となり、その信頼性が向上する。しか
も、釣糸６を糸繰出方向に直接引つ張つて計測す
るものであるため、実際に魚がかかつてフアイテ
イングする時とほぼ同様な状況下でのドラグ力測
定が可能となり、より確実なドラグ力設定ができ
る。

第４図は本考案におけるドラグ力測定装置の表
示形態の他の例を示すものである。この実施例に
おいて、第３図と同一符号は同一部分を示してい
る。第３図と異なる点は、ロータ７に形成した表
示窓１９の縁部に沿つて表示目盛２１Ａを形成
し、そして、これに対応する指示マーク２０Ａを
スプール５の側端面に形成したものである。

この実施例においても上記実施例と同様な効果
が得られる。

なお、本考案においては、ロータ７に計測用の
回動トルクを生じさせるばね部材は上記実施例に
示すトーシヨンばねに限らず、圧縮あるいは引張
ばね等を用いても良いほか、ドラグ力表示方式も
実施例のものに限定されない。また、上記実施例
では、スプール５が固定軸の軸線方向に固定され
ている場合について述べたが、摺動体を介して軸
線方向に往復動できる形式の覆面リールにも適用
できることは勿論である。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、駆動軸にロータ
を所定の角度範囲で相対回転できるよう支持する
と共に、ロータと駆動軸間を計測用ばね部材で連
結し、ロータのピツクアツプピンに釣糸を引つ掛
けた状態で糸繰出方向に引つ張ることにより、ロ
ータに生じる回動トルクをドラグ力に変換し、ロ
ータの回動量をドラグ力に換算表示するようにし
たものであるから、ドラグ装置で調節設定された
スプールのドラグ力を実測確認することができる
と共に、使用糸、釣条件に適合したドラグ力の設
定を正確に行なうことができ、更に釣糸の引つ張
り操作でドラグ力計測が可能であるため、実際に
即したドラグ力測定が可能になる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る覆面リールのドラグ力測
定装置の一例を示す一部切欠きの側面図、第２図
は第１図の−線に沿う拡大断面図、第３図は
第１図の左側から見た正面図、第４図は本考案に
おけるドラグ力表示方式の他の例を示す正面図で
ある。 １……リールフレーム本体、３……固定軸、４
……駆動軸、５……スプール、６……釣糸、７…
…ロータ、８……突部、９……切欠き部、１０…
…ハンドル、１１……ドラグ装置、１５……ドラ
グ力測定機構、１７……受部材、１８……計測用
トーシヨンばね、１９……表示窓、２０，２０Ａ
……指示マーク、２１，２１Ａ……表示目盛、２
２……ピツクアツプピン、２３……ラインスナー
バ、２４……フロントカバー、２５……プツシユ
ボタン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) リールフレーム本体に固着した固定軸に回転
   可能に支持したスプールと、このスプールにド
   ラグ力を付与するドラグ装置と、上記固定軸の
   軸芯に回転可能にかつ軸線方向にスライド可能
   に貫通支持されハンドル操作により回転される
   駆動軸と、この駆動軸と一体に回転させること
   で釣糸を上記スプールに巻回するピツクアツプ
   ピン付きロータ及び上記スプールとロータを覆
   うよう上記リールフレーム本体に取り付けたフ
   ロントカバーとを有する覆面リールにおいて、
   上記ロータを上記駆動軸に所定の角度範囲で相
   対回転できるよう支持すると共に、上記ロータ
   と駆動軸間を上記ドラグ装置のドラグ力に相当
   するトルクを上記ロータに生じさせる計測用ば
   ね部材により連結し、更に上記ロータ及び上記
   スプールには当該両者の相対的変位量をドラグ
   力として表示する表示部を設けたことを特徴と
   する覆面リールのドラグ力測定装置。 (2) 計測用ばね部材がトーシヨンばねで構成され
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の覆面リールのドラグ力測定装
   置。 (3) 表示部が、ロータ及びスプールにいずれか一
   方を形成した表示目盛及びその指示マークとか
   ら構成されていることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の覆面リールのドラグ
   力測定装置。