JPH0410750B2

JPH0410750B2 -

Info

Publication number: JPH0410750B2
Application number: JP61141655A
Authority: JP
Priority date: 1986-06-18
Filing date: 1986-06-18
Publication date: 1992-02-26
Also published as: JPS62298189A

Description

【発明の詳細な説明】利用産業分野この発明は、ワイヤードツトプリンターヘツド
やリレー等の駆動源として利用されている圧電ア
クチユエータの改良に係り、圧電すべり効果を利
用した圧電磁器を用いることにより、小駆動電圧
にて所要の大きな機械的変位が得られる圧電アク
チユエータに関する。

背景技術圧電アクチユエータは、電磁方式のアクチユエ
ータと比較して、エネルギ効率が良く、かつ、軽
量、小型化に最適なことから、ワイヤードツトプ
リンターヘツドや各種のスイツチ、リレー等の駆
動源として、多種の分野にて多用されている。

一般に、かかる圧電アクチユエータとして、第
６図に示す如き圧電バイモルフ構造が知られてお
り、例えば、両主面に電極２，３を被着形成した
矩形板状からなる圧電磁器板１と、りん青銅等か
らなる可撓性金属板４とを積層固着し、その一方
端を支持部５に固定し、他方端を変位自由端とな
した構成からなる。

圧電磁器板１は、厚み方向（図で下向き）に分
極された板状で、その両主面に電極２，３を被着
形成してあり、電極３と電気的に接続された金属
板４と上面の電極２と間に、電極２側を＋として
所要の電圧を印加することにより、上記構成の圧
電磁器板１は、自由端側を図で矢印方向（図の下
向き）に湾曲変位し、作用部材（図示せず）を介
して、当接あるいは接続される種々部材に機械的
変位を伝達し、種々用途の圧電アクチユエータと
して利用される。

上記の変位は、圧電磁器板１への電界Ｅの印加
にともない、分極方向に対して直交方向にd₃₁の
割りで縮む、所謂圧電横効果を利用して発生させ
るものであり、第６図において、圧電磁器板１の
分極方向を逆にすると、変位方向が逆になる。

圧電アクチユエータとしては、前記第６図の構
成のほか、可撓性金属板の両面に圧電磁器板を配
置し積層した構成、あるいは該金属板を用いるこ
となく、２枚の圧電磁器板を直接積層した構成が
知られており、いずれも圧電磁器板の厚み方向す
なわち駆動電界方向に分極方向を有し、第６図の
構成と同様に圧電横効果を利用して機械的変位を
得るものである。

今日、圧電アクチユエータには、その応答性向
上とともに、低電圧駆動にて大きな機械的変位が
得られる構成が望まれているが、上記の各構成か
らなる圧電アクチユエータではかかる要求を充分
満すことができないものであつた。

すなわち、アクチユエータとしては、所要の変
位量及び発生力、駆動電圧の諸特性を満足すると
ともに、用途等に応じた形状、寸法の要求をも満
足する必要があり、従来の圧電アクチユエータに
は、諸条件を任意選択できる構成は提案されてい
なかつた。

発明の目的この発明は、圧電横効果を利用する従来の圧電
バイモルフ構成の問題点に鑑み、新規な圧電バイ
モルフ構造からなり、小駆動電圧にて得られる機
械的変位を大幅に向上させた圧電アクチユエータ
を目的としている。

発明の構成と効果この発明は、小駆動電圧にて所要の大きな機械
的変位が得られる圧電アクチユエータを目的に
種々検討し、従来の圧電バイモルフ構造にて利用
する圧電横効果歪（圧電定数d₃₁）に比べて、ほ
ぼ倍の圧電すべり効果歪（圧電定数d₁₅）が活用
され得ることに着目し、さらに検討した結果、圧
電すべり効果を利用する構成からなる圧電磁器
を、可撓性板、または従来の圧電横効果を利用す
る圧電磁器板、あるいは前記両方の板と積層一体
化した構成とすることにより、小さな駆動電圧に
て大きな機械的変位が得られることを知見し、こ
の発明を完成したものである。

すなわち、この発明は、各々分極された複数の
角柱状圧電磁器を並列一体化した板状の両主面に
電極を被着した構成からなり、分極方向を並列方
向に配しかつ隣接する角柱状圧電磁器の各々の分
極方向を相互に逆方向となして、圧電すべり効果
にて変位する主圧電磁器板と、可撓性板および／
または厚み方向に分極方向を有し圧電横効果にて
変位する板状圧電磁器とを積層一体化したことを
特徴とする圧電アクチユエータである。

この発明による圧電磁器は、各分極方向を並列
方向に配しかつ隣接する角柱状圧電磁器の各々の
分極方向が相互に逆方向となるように配設してな
る角柱状圧電磁器を並列一体化した板状の両主面
に電極を被着した構成からなるが、これ単体では
並列方向に伸縮することなく、可撓性板、または
従来の圧電横効果を利用する圧電磁器板、あるい
は前記両方の板と積層一体化することにより機械
的変位が得られる。

さらに詳述すれば、各角柱状圧電磁器は印加さ
れる電界と直交方向に分極されて圧電すべり効果
を得ることになり、該分極方向が相互に逆方向
で、各々の歪方向が対向し、可撓性板と一体化さ
れて厚み方向の歪発生が抑止され、圧電磁器板全
体として長さ方向（並列方向）の歪発生が顕著化
され、一方向に大きく湾曲変位するものである。

すなわち、圧電すべり効果にて変位する圧電磁
器は、これに積層する可撓性板および／または分
極方向が板厚み方向である従来の圧電磁器板の長
さ方向に、歪を発生させて伸長することになるた
め、印加電界の極性に拘らず変位方向は一方向に
限られる。

また、この発明による圧電アクチユエータは、
片持梁構成のほか、公知のいずれの支持方法であ
つても、同様の効果が得られる。

この発明において、圧電すべり効果を得る圧電
磁器には、公知のいずれの組成の圧電磁器も利用
でき、複数の角柱状圧電磁器を一体化するための
接着剤等には、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレ
ン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等が
利用でき、弾性率など物質性状や該磁器間隔など
を適宜選定する必要がある。

また、可撓性板には、りん青銅などの金属板、
塩化ビニルなどの合成樹脂板、グラスあるいはカ
ーボンフアイバーと複合化した合成樹脂板、ある
いは前記金属、合成樹脂、フアイバーと複合化さ
れたセラミツクス板などが利用でき、圧電磁器と
の積層に際しては、エポキシ、アクリル、塩化ビ
ニル、フエノール等の樹脂やPVA等の接着物質
を、所要の弾性率等に応じて適宜選定できる。

発明の図面に基づく開示第１図はこの発明による圧電磁器の平面図と側
面説明図であり、第２図から第４図はこの発明に
よる圧電磁器を用いた圧電アクチユエータの説明
図である。第５図はこの発明による圧電磁器の製
造工程を示す斜視説明図である。

第１図に示すこの発明による主圧電磁器板１０
は、角柱状圧電磁器１１を複数本、図面では６本
を並列配置して一体化し、矩形板状になし、その
両面に電極１２，１３を着設したもので、図中矢
印に示す如く、各角柱状圧電磁器１１の分極方向
を並列配置方向に配し、かつ隣接する各々の分極
方向を相互に逆方向となしてある。

第２図に示す圧電アクチユエータは、前記の主
圧電磁器板１０の一主面に、可撓性金属板１４を
接着剤にて固着し、一方端を支持部材１５に固着
して、片持梁構成の圧電アクチユエータを形成し
ている。

上記構成からなる圧電アクチユエータは、外方
の電極１２と金属板１４間に、電界Ｅを印加する
ことにより、圧電すべり効果にて図の下方向（白
抜き矢印方向）に湾曲変位する。

かかる圧電すべり効果を有効に活用するには、
角柱状圧電磁器１１の厚みｔ（電界方向）と長さ
ｅ（分極方向）との関係が、2t≧ｅ≧ｔの範囲内
にあることが好ましく、ｔ＝ｅの場合が最も好ま
しく、可撓性板および／または厚電横効果を有す
る圧電磁器板の有無に関わらず、いずれの構成に
おいても同様である。

第３図に示す圧電アクチユエータは、第２図の
圧電バイモルフ構造に、さらに圧電横効果を付加
したもので、厚み方向に分極され、両主面に電極
１７，１８を着設した圧電横効果にて変位する他
の圧電磁器板１６の一方面に、上述した第２図の
構成の金属板１４と主圧電磁器板１０を順次積層
固着し、積層体の一方端を支持部材１５に固着し
て、片持梁構成の圧電アクチユエータを形成して
いる。

上記構成からなる圧電アクチユエータは、主圧
電磁器板１０の外方側電極１２と金属板１４間、
及び他方の圧電磁器板１６の外方側電極１７と金
属板１４間に、電界Ｅを印加することにより、圧
電すべり効果と圧電横効果にて図の下方向（白抜
き矢印方向）に湾曲変位する。

第４図に示す圧電アクチユエータは、第１図に
示した圧電すべり効果にて変位する主圧電磁器板
１０と、前記の圧電横効果にて変位する他の圧電
磁器板１６とを、電極１３，１８を介して直接積
層固着し、積層体の一方端を支持部材１５に固着
して、片持梁構成の圧電アクチユエータを形成し
ている。

第４図の圧電アクチユエータは、主圧電磁器板
１０の外方側電極１２と他方の圧電磁器板１６の
外方側電極１７間に、電界Ｅを印加することによ
り、圧電すべり効果と圧電横効果にて図の下方向
（白抜き矢印方向）に湾曲変位する。

この発明による圧電磁器を工業的量産規模にて
製造する場合、第５図に示す製造方法によると効
率よく製造できる。

詳述すると、厚み方向に分極処理された矩形板
状圧電磁器板２０を、例えば比較的弾性率の小さ
なエポキシ樹脂を介し、分極方向が相互に逆向き
となるよう配列して積層固着し、この積層体を２
点鎖線にて示す如く、所要厚みの集成材状の板と
なし、さらに、主面（切断面）を研摩て研摩面と
なし、この研摩面にスパツタ法、蒸着法、無電解
めつき法などの手段にて、電極１２，１３を被着
形成することにより、この発明による圧電磁器板
１０を得ることができる。

実施例下記条件にて、可撓性金属板に圧電磁器を貼着
した片持梁構成の圧電アクチユエータを製造し
た。

圧電磁器；ジルコン・チタン酸鉛系圧電磁器寸法；長さ30mm×幅６mm×厚み0.3mm（電極を
含む）電極；Ni−Au系合金、厚み0.5μｍ、蒸着法にて
形成可撓性金属板；りん青銅寸法；長さ30mm×幅６mm×厚み0.1mm 接着剤及び硬化剤；アラルダイトAW106、ハー
ドナーHV953U（チバ・ガイギー社製）本発明による圧電磁器（第２図相当）は、長さ
e0.3mm×幅６mm×厚みt0.3mmの角柱状圧電磁器を
100本使用して作製し、角柱状圧電磁器の接着及
び金属板との接着に際し、接着剤と硬化剤との混
合比を10：10と10：６に選定した。

従来の圧電磁器（第６図相当）には、前記寸法
の１枚板を用い、金属板との接着に際し、接着剤
と硬化剤との混合比10：８に選定した。

得られた２種の圧電アクチユエータの外側電極
と金属板間に、直流100Vの電界を印加したとこ
ろ、従来の圧電アクチユエータでは、0.41mmの変
位量であつたが、この発明による圧電アクチユエ
ータは、0.77mmの大変位量を得るこができた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による圧電磁器の平面図と側
面説明図であり、第２図から第４図はこの発明に
よる圧電磁器を用いた圧電アクチユエータの説明
図である。第５図はこの発明による圧電磁器の製
造工程を示す斜視説明図である。第６図は従来の
圧電アクチユエータの説明図である。１０……主圧電磁器板、１１……角柱状圧電磁
器、１２，１３，１７，１８……電極、１４……
可撓性金属板、１５……支持部材、１６，２０…
…圧電磁器板。

Claims

【特許請求の範囲】

１各々分極された複数の角柱状圧電磁器を並列
一体化した板状の両主面に電極を被着した構成か
らなり、分極方向を並列広向に配しかつ隣接する
角柱状圧電磁器の各々の分極方向を相互に逆方向
となして、圧電すべり効果にて変位する主圧電磁
器板と、可撓性板および／または厚み方向に分極
方向を有し圧電横効果にて変位する板状圧電磁器
とを積層一体化したことを特徴とする圧電アクチ
ユエータ。