JPH0257354B2

JPH0257354B2 -

Info

Publication number: JPH0257354B2
Application number: JP61141656A
Authority: JP
Inventors: Hiromitsu Fujii
Original assignee: Sumitomo Special Metals Co Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1986-06-18
Filing date: 1986-06-18
Publication date: 1990-12-04
Also published as: JPS62298190A

Description

【発明の詳細な説明】利用産業分野この発明は、ワイヤードツトプリンターヘツド
やリレー等の駆動源として多用されている圧電ア
クチユエータの改良に係り、圧電すべり効果を利
用した圧電磁器を用いることにより、小駆動電圧
にて所要の大きな機械的変位が得られる圧電アク
チユエータに関する。

背景技術圧電アクチユエータは、電磁方式のアクチユエ
ータと比較して、エネルギ効率が良く、かつ、軽
量、小型化に最適なことから、ワイヤードツトプ
リンターヘツドや各種のスイツチ、リレー等の駆
動源として、多種の分野にて多用されている。

一般に、かかる圧電アクチユエータとして、第
５図に示す如き圧電バイモルフ構造が知られてお
り、例えば、両主面に電極２，３を被着形成した
円板状からなる圧電磁器板１と、りん青銅等から
なる円板上の可撓性金属板４とを積層固着し、そ
の両端部を支持部５にて支持した構成からなる。

圧電磁器板１は、厚み方向（図で下向き）に分
極された板状で、その両主面に電極２，３を被着
形成してあり、電極３と電気的に接続された金属
板４と上面の電極２との間に、電極２側を＋とし
て所要の電圧を印加することにより、上記構成の
圧電磁器板１は、中央部側を図で矢印方向（図の
上向き）に湾曲変位し、作用部材（図示せず）を
介して、当接あるいは接続される種々部材に機械
的変位を伝達し、種々用途の圧電アクチユエータ
として利用される。

上記の変位は、圧電磁器板１への電界Ｅの印加
にともない、分極方向に対して直交方向にd₃₁の
割りで縮む、所謂圧電横効果を利用して発生させ
るものであり、第５図において、圧電磁器板１の
分極方向を逆にすると、変位方向が逆になる。

圧電アクチユエータとしては、前記第５図の構
成のほか、可撓性金属板の両面に圧電磁器板を配
置し積層した構成、あるいは該金属板を用いるこ
となく、２枚の圧電磁器板を直接積層した構成が
知られており、いずれも圧電磁器板の厚み方向す
なわち駆動電界方向に分極方向を有し、第５図の
構成と同様に圧電横効果を利用して機械的変位を
得るものである。

今日、圧電アクチユエータには、その応答性向
上とともに、低電圧駆動にて大きな機械的変位が
得られる構成が望まれているが、上記の各構成か
らなる圧電アクチエータではかかる要求を充分満
すことができないものであつた。

すなわち、アクチユエータとしては、所要の変
位量及び発生力、駆動電圧の諸特性を満足すると
ともに、用途等に応じた形状、寸法の要求をも満
足する必要があり、従来の圧電アクチユエータに
は、諸条件を任意選択できる構成は提案されてい
なかつた。

発明の目的この発明は、圧電横効果を利用する従来の圧電
バイモルフ構成の問題点に鑑み、新規な圧電バイ
モルフ構造からなり、小駆動電圧にて得られる機
械的変位を大幅に向上させた圧電アクチユエータ
を目的としている。

発明の構成と効果この発明は、小駆動電圧にて所要の大きな機械
的変位が得られる圧電アクチユエータを目的に
種々検討し、従来の圧電バイモルフ構造にて利用
する圧電横効果歪（圧電定数d₃₁）に比べて、ほ
ぼ倍の圧電すべり効果歪（圧電定数d₁₅）が活用
され得ることに着目し、さらに検討した結果、圧
電すべり効果を利用する構成からなる圧電磁器
を、可撓性板、または従来の圧電横効果を利用す
る圧電磁器板、あるいは前記両方の板と積層一体
化した構成とすることにより、小さな駆動電圧に
て大きな機械的変位が得られることを知見し、こ
の発明を完成したものである。

すなわち、この発明は、各々分極された複数の
環状圧電磁器を同心状に配列一体化した円板状の
両主面に電極を被着した構成からなり、分極方向
を放射方向に配しかつ隣接する環状圧電磁器の
各々の分極方向を相互に逆方向となして、圧電す
べり効果にて変位する主圧電磁器板と、可撓性板
および／または厚み方向に分極方向を有し圧電横
効果にて変位する板状圧電磁器とを積層一体化し
たことを特徴とする圧電アクチユエータである。

この発明による圧電磁器は、各分極方向を放射
方向に配しかつ隣接する環状圧電磁器の各々の分
極方向が相互に逆方向となるように配設してなる
環状圧電磁器を並列一体化した円板上の両主面に
電極を被着した構成からなるが、これ単体では並
列方向に伸縮することなく、可撓性板、または従
来の圧電横効果を利用する圧電磁器板、あるいは
前記両方の板と積層一体化することにより機械的
変位が得られる。

さらに詳述すれば、各環状圧電磁器は印加され
る電界と直交方向に分極されて圧電すべり効果を
得ることになり、該分極方向が相互に逆方向で、
各々の歪方向が対向し、可撓性板と一体化されて
厚み方向の歪発生が抑止され、圧電磁器板全体と
して半径方向（放射方向）の歪発生が顕著化さ
れ、一方向に大きく湾曲変位するものである。
すなわち、圧電すべり効果にて変位する圧電磁器
は、これに積層する可撓性板および／または分極
方向が板厚み方向である従来の圧電磁器板の半径
方向に、歪を発生させて伸長することになるた
め、印加電界の極性に拘らず変位方向は一方向に
限られる。

この発明において、同心状に並列配置する複数
の環状圧電磁器は、一体構成のリング状のものの
ほか、多数個のブロツク状の圧電磁器を略環状に
配置してあつても同様の効果が得られる。

また、この発明による圧電アクチユエータは、
公知のいずれの支持方法及び固定方法であつて
も、同様の効果が得られる。

この発明において、圧電すべり効果を得る圧電
磁器には、公知のいずれの組成の圧電磁器も利用
でき、複数の環状圧電磁器を一体化するための接
着剤等には、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレ
ン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート等が
利用でき、弾性率など物質性状や該磁器間隔など
を適宜選定する必要がある。

また、可撓性板には、りん青銅などの金属板、
塩化ビニルなどの合成樹脂板、グラスあるいはカ
ーボンフアイバーと複合化した合成樹脂板、ある
いは前記金属、合成樹脂、フアイバーと複合化さ
れたセラミツクス板などが利用でき、圧電磁器と
の積層に際しては、エポキシ、アクリル、塩化ビ
ニル、フエノール等の樹脂やPVA等の接着物質
を、所要の弾性率等に応じて適宜選定できる。

発明の図面に基づく開示第１図ａ，ｂ図はこの発明による圧電磁器の上
面説明図と圧電アクチユエータの側面説明図であ
る。第２図と第３図はこの発明による圧電磁器を
用いた圧電アクチユエータの説明図である。第４
図ａ，ｂ図はこの発明による圧電磁器の製造工程
を示す斜視説明図と上面説明図である。

第１図ａ図に示すこの発明による主圧電磁器板
１０は、外径及び内径の異なる環状圧電磁器１１
を複数本、図面では６本を同心状に並列配置して
一体化し、円板状になしたもので（ａ図では電極
を図示せず）、図中矢印に示す如く、各環状圧電
磁器１１の分極方向を放射方向に配し、かつ隣接
する環状圧電磁器１１の分極方向を相互に逆方向
となしてある。

第１図ｂ図に示す圧電アクチユエータは、前記
の主圧電磁器板１０の両面に、電極１２，１３を
着設してあり、さらに、その一主面に可撓性金属
板１４を接着剤にて固着し、外周端部を支持部材
１５にて支持し、円板状圧電アクチユエータを形
成している。

上記構成からなる圧電アクチユエータは、外方
の電極１２と金属板１４間に、電界Ｅを印加する
ことにより、圧電すべり効果にて図の上方向（白
抜き矢印方向）に湾曲変位する。

かかる圧電すべり効果を有効に活用するには、
環状圧電磁器１１の厚みｔ（電界方向）と長さｌ
（分極方向）との関係が、2t≧ｌ≧ｔの範囲内に
あることが好ましく、ｔ＝ｌの場合が最も好まし
く、可撓性板および／または圧電横効果を有する
圧電磁器板の有無に関わらず、いずれのバイモル
フ構成においても同様である。

第２図に示す圧電アクチユエータは、第１図の
圧電バイモルフ構造に、さらに圧電横効果を付加
したもので、厚み方向に分極され、両主面に電極
１７，１８を着設した圧電横効果にて変位する他
の圧電磁器板１６の一方面に、上述した第２図の
構成の金属板１４と主圧電磁器板１０を順次積層
固着し、円板状積層体の一方外周端を支持部材１
５に支持して、圧電アクチユエータを形成してい
る。

上記構成からなる圧電アクチユエータは、主圧
電磁器板１０の外方側電極１２と金属板１４間、
及び他方の圧電磁器板１６の外方側電極１８と金
属板１４間に、電界Ｅを印加することにより、圧
電すべり効果と圧電横効果にて図の上方向（白抜
き矢印方向）に湾曲変位する。

第３図に示す圧電アクチユエータは、第１図に
示した圧電すべり効果にて変位する主圧電磁器板
１０と、前記の圧電横効果にて変位する他の圧電
磁器板１６とを、電極１３，１７を介して直接積
層固着し、円板状積層体の一方外周端を支持部材
１５に支持して、圧電アクチユエータを形成して
いる。

第３図の圧電アクチユエータは、主圧電磁器板
１０の外方側電極１２と他方の圧電磁器板１６の
外方側電極１８間に、電界Ｅを印加することによ
り、圧電すべり効果と圧電横効果にて図の上方向
（白抜き矢印方向）に湾曲変位する。

この発明による圧電磁器を工業的量産規模にて
製造する場合、第４図に示す製造方法によると効
率よく製造できる。

詳述すると、厚み方向（半径方向）に分極処理
された円筒状圧電磁器２０，２１，２２を、厚み
を同一として内嵌（あるいは外嵌）できるように
外径及び内径を変えて用意し、例えば、比較的弾
性率の小さなエポキシ樹脂を介して、分極方向が
相互に逆向きとなるよう同心状に内嵌配列して固
着し、得られた円柱体をスライスして所要厚みの
円板状となし、さらに、主面（切断面）を研摩し
て研摩面となし、この研摩面にスパツタ法、蒸着
法、無電解めつき法などの手段にて、電極を被着
形成することにより、この発明による円板状の圧
電磁器を得ることができる。

また、ｂ図に示す如く、厚み方向に分極処理さ
れた矩形板状圧電磁器板を複数枚用いて、エポキ
シ樹脂を介して、分極方向が相互に逆向きとなる
よう配列固着し、得られた圧電磁器板積層体から
三角柱体に切出し、ついでこの三角柱体３１〜３
８を８本用い、エポキシ樹脂を介して、８角柱状
体となし、所要厚みでスライスし、さらに、主面
（切断面）を研摩して研摩面となし、この研摩面
にスパツタ法、蒸着法、無電解めつき法などの手
段にて、電極１２，１３を被着形成することによ
り、この発明による圧電磁器板１０を得ることが
できる。

実施例下記条件にて、可撓性金属板に圧電磁器を貼着
した円板構成の圧電アクチユエータを製造した。

圧電磁器；ジルコン・チタン酸鉛系圧電磁器寸
法；外径40mm×厚み0.5mm（電極を含む）電極；Ni−Au系合金、厚み0.5um、蒸着法にて
形成可撓性金属板；りん青銅寸法；外径40mm×厚み
0.15mm 接着剤及び硬化剤；アラルダイトAW106、ハードナーHV953U（チ
バ・ガイギー社製）本発明による圧電磁器（第１図相当）は、幅
l0.5mm×厚みt0.5mmで外径の異なる環状圧電磁器
を39本使用して作製し、環状圧電磁器の接着及び
金属板との接着に際し、接着剤と硬化剤との混合
比を10：10と10：６に選定した。

従来の圧電磁器（第５図相当）には、前記寸法
の１枚板を用い、金属板との接着に際し、接着剤
と硬化剤との混合比を10：８に選定した。

得られた２種の圧電アクチユエータの外側電極
と金属板間に、直流100Vの電界を印加したとこ
ろ、従来の圧電アクチユエータでは、0.26mmの変
位量であつたが、この発明による圧電アクチユエ
ータは、0.49mmの大変位量を得ることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ図はこの発明による圧電磁器の上
面説明図と圧電アクチユエータの側面説明図であ
る。第２図と第３図はこの発明による圧電磁器を
用いた圧電アクチユエータの説明図である。第４
図ａ，ｂ図はこの発明による圧電磁器の製造工程
を示す斜視説明図と上面説明図である。第５図
ａ，ｂ図は従来の圧電アクチユエータの説明図で
ある。１０……主圧電磁器、１１……環状圧電磁器、
１２，１３，１７，１８……電極、１４……可撓
性金属板、１５……支持部材、１６，２０……圧
電磁器板。

Claims

【特許請求の範囲】

１各々分極された複数の環状圧電磁器を同心状
に配列一体化した円板状の両主面に電極を被着し
た構成からなり、分極方向を放射方向に配しかつ
隣接する環状圧電磁器の各々の分極方向を相互に
逆方向となして、圧電すべり効果にて変位する主
圧電磁器板と、可撓性板および／または厚み方向
に分極方向を有し圧電横効果にて変位する板状圧
電磁器とを積層一体化したことを特徴とする圧電
アクチユエータ。