JP2003036616A - 微小位置決め用アクチュエータに接着されるヘッドスライダ、該ヘッドスライダを備えたヘッドジンバルアセンブリ、該ヘッドスライダとアクチュエータとの接着方法、該ヘッドスライダの製造方法及びヘッドジンバルアセンブリの製造方法 - Google Patents

微小位置決め用アクチュエータに接着されるヘッドスライダ、該ヘッドスライダを備えたヘッドジンバルアセンブリ、該ヘッドスライダとアクチュエータとの接着方法、該ヘッドスライダの製造方法及びヘッドジンバルアセンブリの製造方法

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多聞 笠島
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)
  • Moving Of The Head To Find And Align With The Track (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータとヘッドスライダとの接着処
理が容易となり、接着強度、共振周波数及び変位量特性
に劣化が少なくかつそれらのばらつきが少ない、微小位
置決め用アクチュエータに接着されるヘッドスライダ、
このヘッドスライダを備えたHGA、ヘッドスライダと
アクチュエータとの接着方法、ヘッドスライダの製造方
法及びHGAの製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも1つのヘッド素子を有してお
り、この少なくとも1つのヘッド素子の微小位置決めを
行うためのアクチュエータに接着されるヘッドスライダ
が、アクチュエータとの接着部に、接着剤を流し込むた
めの少なくとも1つの凹部を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気ヘッド素
子又は光ヘッド素子等のヘッド素子の微小位置決め用ア
クチュエータに接着されるヘッドスライダ、このヘッド
スライダを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HG
A)、このヘッドスライダとアクチュエータとの接着方
法、ヘッドスライダの製造方法及びHGAの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置では、HGAのサスペ
ンションの先端部に取り付けられた磁気ヘッドスライダ
を、回転する磁気ディスクの表面から浮上させ、その状
態で、この磁気ヘッドスライダに搭載された薄膜磁気ヘ
ッド素子により磁気ディスクへの記録及び/又は磁気デ
ィスクからの再生が行われる。
【0003】近年、磁気ディスク装置の大容量化及び高
密度記録化に伴い、ディスク半径方向(トラック幅方
向)の密度の高密度化が進んできており、従来のごとき
ボイスコイルモータ(以下VCMと称する)のみによる
制御では、磁気ヘッドの位置を正確に合わせることが難
しくなってきている。
【0004】磁気ヘッドの精密位置決めを実現する手段
の一つとして提案されているのが、従来のVCMよりさ
らに磁気ヘッドスライダ側にもう1つのアクチュエータ
機構を搭載し、VCMで追従しきれない微細な精密位置
決めを、そのアクチュエータによって行う技術である
(例えば、特開平6−259905号公報、特開平6−
309822号公報、特開平8−180623号公報参
照)。
【0005】この種のアクチュエータとして、ピギーバ
ック構造のアクチュエータが存在する。このピギーバッ
ク構造のアクチュエータは、サスペンションに固定され
る一方の端部と、磁気ヘッドスライダに固定される他方
の端部と、これら端部を連結するピラー状の変位発生部
とをPZTによる圧電部材でI字形状に一体形成してな
るものであり、サスペンション上にアクチュエータと磁
気ヘッドスライダとが階段状に取り付けられる。即ち、
サスペンションと磁気ヘッドスライダとの間にアクチュ
エータが挟まれた積上げ式の構造となっている。
【0006】このようなピギーバック構造のアクチュエ
ータを用いたHGAは、(1)積上げた構造であるた
め、磁気ヘッドスライダ部分のHGAの厚みがアクチュ
エータの分だけ増大する、(2)アクチュエータ全体が
もろい材質のPZT等の圧電部材で構成されているこ
と、並びにアクチュエータ及び磁気ヘッドスライダが階
段状に積上げたカンチレバー構造となるため、モーメン
トで衝撃が働き、耐衝撃性が非常に低い、(3)磁気ヘ
ッドスライダの寸法によって、微小位置決め動作時のス
トロークが変わってしまい、十分なストロークを得られ
ないことがある、(4)立体的で複雑な取り付け構造を
有しているため、組み立て時の取り扱いが非常に困難で
あり、従来のHGA組み立て装置を適用できず、生産性
が非常に悪い、(5)アクチュエータの動きを阻害しな
いために、磁気ヘッドスライダ及びアクチュエータ間、
並びにアクチュエータ及びサスペンション間に間隙を置
いて組み立てる必要があるが、このような間隙を設ける
ことは、耐衝撃性をさらに悪化させるのみならず、組み
立てにあたって間隙を一定としなければならないので、
組み立て精度が低下する。特に、サスペンション、アク
チュエータ及び磁気ヘッドスライダの平行度が正確に保
つことが難しいので、ヘッド特性が悪化する、等の種々
の問題点を有している。
【0007】このような従来技術の問題点を解消するべ
く、本願発明者等は、駆動信号に従って変位可能な1対
の可動アーム部間にヘッドスライダを挟設するように構
成したヘッド素子の微小位置決め用アクチュエータ及び
HGAを既に提案している(特願2000−25393
0号)。また、同様の構造を有しており、可動アーム部
を含むアクチュエータの主要部を金属板部材で構成した
ヘッド素子の微小位置決め用アクチュエータ及びHGA
をも既に提案している(特願2000−332255
号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな可動アーム部間にヘッドスライダを挟みこんで固着
する構造においては、ヘッドスライダをアクチュエータ
に接着するためにその可動アーム部を広げると、可動ア
ーム部の付け根や可動アーム部に設けられている圧電素
子にダメージを与えてしまう。このため、アクチュエー
タの可動アーム部の間隔は、ヘッドスライダの側面間の
間隔(幅)よりも充分大きくして接着剤が両者間に回り
込むように構成することが必要となる。
【0009】しかしながら、このように可動アーム部の
間隔をヘッドスライダの幅より広くすると、(A)接着
剤の層が厚くなりすぎて共振特性の劣化及び変位量の減
少が起こる可能性があり、また、接着面間の中央部で接
着剤がくびれてしまうことから接着強度が低下し、かつ
共振周波数の低下及び変位量の減少が起こる可能性があ
る、(B)粘性の高い接着剤を用いると、可動アーム部
及びヘッドスライダ側面の接着面に接着剤が充分に回り
込まず、充分な接着強度が得られない、(C)可動アー
ム部とヘッドスライダ側面との間隔が左右等しくなるよ
うに制御することが非常に難しい、(D)接着剤を塗布
した後にアクチュエータとヘッドスライダとを組み付け
るため、接着剤が接着面からはみだして例えばヘッドス
ライダの浮上面(ABS)やアクチュエータの可動アー
ム部等に付着してしまい、このため、使用する接着剤の
量を正確に制御することが難しい、(E)上述した
(A)〜(D)に起因して、量産時における接着強度、
共振周波数及び変位量特性等にばらつきが発生する、と
いった種々の問題が発生する。
【0010】従って本発明は、従来技術の上述した問題
点を解消するものであり、その目的は、アクチュエータ
とヘッドスライダとの接着処理が容易となる、微小位置
決め用アクチュエータに接着されるヘッドスライダ、こ
のヘッドスライダを備えたHGA、ヘッドスライダとア
クチュエータとの接着方法、ヘッドスライダの製造方法
及びHGAの製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、接着強度、共振周波
数及び変位量特性に劣化が少なくかつそれらのばらつき
が少ない、微小位置決め用アクチュエータに接着される
ヘッドスライダ、このヘッドスライダを備えたHGA、
ヘッドスライダとアクチュエータとの接着方法、ヘッド
スライダの製造方法及びHGAの製造方法を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、少なく
とも1つのヘッド素子を有しており、この少なくとも1
つのヘッド素子の微小位置決めを行うためのアクチュエ
ータに接着されるヘッドスライダであって、アクチュエ
ータとの接着部に、接着剤を流し込むための少なくとも
1つの凹部を備えているヘッドスライダが提供される。
【0013】アクチュエータと接着される部分に、接着
剤を流し込むための少なくとも1つの凹部が設けられて
いるため、接着剤を接着部に確実に挿入することができ
るから、安定したかつ充分な接着強度を得ることができ
る。また、接着剤がその他の部分にはみだしたりしない
ので、その量を正確に制御することができるから、量産
時における接着強度、共振周波数及び変位量特性等にば
らつき発生を防止できる。さらに、ヘッドスライダを把
持するアクチュエータのアーム部の間隔を大きくとるこ
となく、ヘッドスライダの幅にほぼ等しいかこれより僅
かに大きい程度に設定できるため、接着剤の厚い層によ
る影響が少なくなり、しかもヘッドスライダとアクチュ
エータとの接着部における左右の間隔差を最小限とする
ことができるから、共振特性及び変位特性の劣化を防止
することができる。さらにまた、アクチュエータとヘッ
ドスライダとを組み付けた後に接着剤を流し込めば良い
ため、接着処理が非常に容易となる。
【0014】少なくとも1つの凹部が、少なくとも1つ
の溝であることが好ましい。
【0015】アクチュエータによって挟設支持される2
つの側面を有しており、少なくとも1つの溝が各側面
に、ABSに沿って形成されていることも好ましい。
【0016】少なくとも1つの溝が、各側面のABS側
のエッジに設けられた1つの溝であることが好ましい。
溝が、エッジの全長に渡って形成されていることも好ま
しい。
【0017】少なくとも1つのヘッド素子が少なくとも
1つの薄膜磁気ヘッド素子であることも好ましい。
【0018】本発明によれば、さらに、上述したヘッド
スライダと、少なくとも1つの溝に流し込まれた接着剤
によってこのヘッドスライダと接着されている微小位置
決め用アクチュエータと、このアクチュエータが固着さ
れた支持機構とを備えたHGAが提供される。
【0019】ヘッドスライダのアクチュエータと接着さ
れる部分に、接着剤を流し込むための少なくとも1つの
溝が設けられているため、接着剤が接着部に確実に挿入
されるので安定したかつ充分な接着強度を得ることがで
きる。また、接着剤がその他の部分にはみだしたりしな
いので、その量を正確に制御することができるから、量
産時における接着強度、共振周波数及び変位量特性等に
ばらつき発生を防止できる。さらに、ヘッドスライダを
把持するアクチュエータのアーム部の間隔を大きくとる
ことなく、ヘッドスライダの幅にほぼ等しいかこれより
僅かに大きい程度に設定できるため、接着剤の厚い層に
よる影響が少なくなり、しかもヘッドスライダとアクチ
ュエータとの接着部における左右の間隔差を最小限とす
ることができるから、共振特性及び変位特性の劣化を防
止することができる。さらにまた、アクチュエータとヘ
ッドスライダとを組み付けた後に接着剤を流し込めば良
いため、接着処理が非常に容易となる。
【0020】アクチュエータが1対の可動アーム部を備
えており、ヘッドスライダが1対の可動アーム部によっ
て挟設支持される2つの側面を有していることが好まし
い。
【0021】アクチュエータの1対の可動アーム部の間
隔が、ヘッドスライダの2つの側面間の距離にほぼ等し
いか僅かに大きいことも好ましい。
【0022】アクチュエータが基部を備えており、1対
の可動アーム部が基部から突出しており駆動信号に従っ
てABSに沿って変位するように構成されていることも
好ましい。
【0023】アクチュエータの可動アーム部及び基部
が、弾性を有するセラミック焼結体又は金属板部材で形
成されていることが好ましい。
【0024】アクチュエータの可動アーム部が、アーム
部材と、アーム部材の面上に積層又は接着された圧電素
子とを備えていることも好ましい。
【0025】本発明によれば、さらにまた、少なくとも
1つのヘッド素子を有するヘッドスライダと、少なくと
も1つのヘッド素子の微小位置決めを行うためのアクチ
ュエータとの接着方法であって、ヘッドスライダの側面
をアクチュエータの1対の可動アーム部で挟んだ後、ヘ
ッドスライダの各側面に設けられた少なくとも1つの溝
に接着剤を流し込むことにより、側面と可動アーム部と
を接着するヘッドスライダとアクチュエータとの接着方
法が提供される。
【0026】アクチュエータとヘッドスライダとを組み
付けた後に、ヘッドスライダの側面に設けた少なくとも
1つの溝に接着剤を流し込んでいる。このように接着剤
を後で付与しているため、接着処理が非常に容易とな
る。しかも、接着剤が接着部に確実に挿入されるので安
定したかつ充分な接着強度を得ることができ、接着剤が
その他の部分にはみだしたりしないのでその量を正確に
制御することができるから、量産時における接着強度、
共振周波数及び変位量特性等にばらつき発生を防止でき
る。また、接着剤を溝に流し込めるため、アクチュエー
タの可動アーム部の間隔を接着剤用に大きくとる必要が
なく、ヘッドスライダの幅にほぼ等しいかこれより僅か
に大きい程度に設定できる。その結果、接着剤の厚い層
による影響が少なくなり、しかもヘッドスライダとアク
チュエータとの接着部における左右の間隔差を最小限と
することができるから、共振特性及び変位特性の劣化を
防止することができる。
【0027】少なくとも1つの溝が、ヘッドスライダの
ABSに沿って形成されていることが好ましい。
【0028】少なくとも1つの溝が、ヘッドスライダの
各側面のABS側のエッジに設けられた1つの溝である
ことも好ましい。
【0029】本発明によれば、各々が少なくとも1つの
ヘッド素子を有するヘッドスライダが複数互いに連接し
て配列されたバーの各ヘッドスライダ間に非貫通溝を形
成し、非貫通溝の中央を非貫通溝の幅より狭い幅を有す
る切断刃によって切断してヘッドスライダを個々に分離
するヘッドスライダの製造方法が提供される。
【0030】バーの状態において、非貫通溝を形成する
のみで接着剤を流し込むための溝が得られるので、製造
工程をさほど変える必要がないから工程が複雑化するこ
とを防止できる。
【0031】非貫通溝をABS側に形成することが好ま
しい。
【0032】本発明によれば、また、少なくとも1つの
ヘッド素子を有しており、側面に接着剤を流し込むため
の少なくとも1つの溝を備えたヘッドスライダを形成
し、一方、基部及びこの基部から突出しており駆動信号
に従って変位する1対の可動アーム部を備えており、少
なくとも1つのヘッド素子の微小位置決め用のアクチュ
エータを形成し、アクチュエータの1対の可動アーム部
間にヘッドスライダを挟んだ後、少なくとも1つの溝に
接着剤を流し込むことにより、ヘッドスライダの側面と
アクチュエータの可動アーム部とを接着し、アクチュエ
ータの基部を支持機構に固着するHGAの製造方法が提
供される。
【0033】アクチュエータとヘッドスライダとを組み
付けた後に、ヘッドスライダの側面に設けた少なくとも
1つの溝に接着剤を流し込んでいる。このように接着剤
を後で付与しているため、接着処理が非常に容易とな
る。しかも、接着剤が接着部に確実に挿入されるので安
定したかつ充分な接着強度を得ることができ、接着剤が
その他の部分にはみだしたりしないのでその量を正確に
制御することができるから、量産時における接着強度、
共振周波数及び変位量特性等にばらつき発生を防止でき
る。また、接着剤を溝に流し込めるため、アクチュエー
タの可動アーム部の間隔を接着剤用に大きくとる必要が
なく、ヘッドスライダの幅にほぼ等しいかこれより僅か
に大きい程度に設定できる。その結果、接着剤の厚い層
による影響が少なくなり、しかもヘッドスライダとアク
チュエータとの接着部における左右の間隔差を最小限と
することができるから、共振特性及び変位特性の劣化を
防止することができる。
【0034】少なくとも1つの溝が、ヘッドスライダの
ABSに沿って形成されていることが好ましい。
【0035】少なくとも1つの溝が、各側面のABS側
のエッジに設けられた1つの溝であることも好ましい。
溝が、エッジの全長に渡って形成されていることも好ま
しい。
【0036】アクチュエータの1対の可動アーム部の間
隔を、ヘッドスライダの2つの側面間の距離にほぼ等し
いか僅かに大きくすることも好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態とし
て、磁気ディスク装置の要部の構成を概略的に示す斜視
図であり、図2はHGA全体を表す斜視図であり、図3
及び図4は本実施形態におけるHGAの先端部を互いに
異なる方向から見た斜視図である。
【0038】図1において、10は軸11の回りを回転
する複数の磁気ディスク、12は磁気ヘッドスライダを
トラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ
装置をそれぞれ示している。アセンブリキャリッジ装置
12は、軸13を中心にして角揺動可能なキャリッジ1
4と、このキャリッジ14を角揺動駆動する例えばボイ
スコイルモータ(VCM)からなる主アクチュエータ1
5とから主として構成されている。
【0039】キャリッジ14には、軸13の方向にスタ
ックされた複数の駆動アーム16の基部が取り付けられ
ており、各駆動アーム16の先端部にはHGA17が固
着されている。各HGA17は、その先端部に設けられ
ている磁気ヘッドスライダが、各磁気ディスク10の表
面に対して対向するように駆動アーム16の先端部に設
けられている。
【0040】図2〜図4に示すように、HGAは、サス
ペンション20の先端部に、磁気ヘッド素子を有する磁
気ヘッドスライダ21の側面を挟持している精密位置決
めを行うためのアクチュエータ22を固着して構成され
る。
【0041】図1に示す主アクチュエータ15はHGA
17を取り付けた駆動アーム16を変位させてアセンブ
リ全体を動かすために設けられており、アクチュエータ
22はそのような主アクチュエータ15では駆動できな
い微細な変位を可能にするために設けられている。
【0042】サスペンション20は、図2〜図4に示す
ように、第1及び第2のロードビーム23及び24と、
これら第1及び第2のロードビーム23及び24を互い
に連結する弾性を有するヒンジ25と、第2のロードビ
ーム24及びヒンジ25上に固着支持された弾性を有す
るフレクシャ26と、第1のロードビーム23の取り付
け部23aに設けられた円形のベースプレート27とか
ら主として構成されている。
【0043】フレクシャ26は、第2のロードビーム2
4に設けられたディンプル(図示なし)に押圧される軟
らかい舌部26aを一方の端部に有しており、この舌部
26a上には、ポリイミド等による絶縁層26bを介し
てアクチュエータ22の基部22aが固着されている。
このフレクシャ26は、この舌部26aでアクチュエー
タ22を介して磁気ヘッドスライダ21を柔軟に支える
ような弾性を持っている。フレクシャ26は、本実施形
態では、厚さ約20μmのステンレス鋼板(例えばSU
S304TA)によって構成されている。なお、フレク
シャ26と第2のロードビーム24及びヒンジ25との
固着は、複数の溶接点によるピンポイント固着によって
なされている。
【0044】ヒンジ25は、第2のロードビーム24に
アクチュエータ22を介してスライダ21を磁気ディス
ク方向に押えつける力を与えるための弾性を有してい
る。このヒンジ25は、本実施形態では、厚さ約40μ
mのステンレス鋼板によって構成されている。
【0045】第1のロードビーム23は、本実施形態で
は、約100μm厚のステンレス鋼板で構成されてお
り、ヒンジ25をその全面に渡って支持している。ただ
し、ロードビーム23とヒンジ25との固着は、複数の
溶接点によるピンポイント固着によってなされている。
また、第2のロードビーム24も、本実施形態では、約
100μm厚のステンレス鋼板で構成されており、ヒン
ジ25にその端部において固着されている。ただし、ロ
ードビーム24とヒンジ25との固着も、複数の溶接点
によるピンポイント固着によってなされている。なお、
この第2のロードビーム24の先端には、非動作時にH
GAを磁気ディスク表面から離しておくためのリフトタ
ブ24aが設けられている。
【0046】ベースプレート27は、本実施形態では、
約150μm厚のステンレス鋼又は鉄で構成されてお
り、第1のロードビーム23の基部の取り付け部23a
に溶接によって固着されている。このベースプレート2
7が駆動アーム16(図1)に取り付けられる。
【0047】フレクシャ26上には、積層薄膜パターン
による複数のリード導体を含む可撓性の配線部材28が
形成又は載置されている。配線部材28は、フレクシブ
ルプリント回路(Flexible Print Ci
rcuit、FPC)のごとく金属薄板上にプリント基
板を作成するのと同じ公知のパターニング方法で形成さ
れている。この配線部材28は、例えば、厚さ約5μm
のポリイミド等の樹脂材料による第1の絶縁性材料層、
パターン化された厚さ約4μmのCu層(リード導体
層)及び厚さ約5μmのポリイミド等の樹脂材料による
第2の絶縁性材料層をこの順序でフレクシャ26側から
順次積層することによって形成される。ただし、磁気ヘ
ッド素子、アクチュエータ及び外部回路と接続するため
の接続パッドの部分は、Cu層上にAu層が積層形成さ
れており、その上に絶縁性材料層は形成されていない。
【0048】本実施形態においてこの配線部材28は、
磁気ヘッド素子に接続される片側2本、両側で計4本の
リード導体を含む第1の配線部材28aと、アクチュエ
ータ22に接続される片側1本、両側で計2本のリード
導体を含む第2の配線部材28bとから構成されてい
る。
【0049】第1の配線部材28aのリード導体の一端
は、フレクシャ26の先端部において、このフレクシャ
26から切り離されており自由運動できる分離部26c
上に設けられた磁気ヘッド素子用接続パッド29に接続
されている。接続パッド29は、磁気ヘッドスライダ2
1の端子電極21aに金ボンディング、ワイヤボンディ
ング又はステッチボンディング等により接続されてい
る。第1の配線部材28aのリード導体の他端は外部回
路と接続するための外部回路用接続パッド30に接続さ
れている。
【0050】第2の配線部材28bのリード導体の一端
は、フレクシャ26の舌部26aの絶縁層26b上に形
成されたアクチュエータ用接続パッド31に接続されて
おり、この接続パッド31はアクチュエータ22の基部
22aに設けられたAチャネル及びBチャネル信号端子
電極22b及び22cにそれぞれ接続されている。第2
の配線部材28bのリード導体の他端は外部回路と接続
するための外部回路用接続パッド30に接続されてい
る。
【0051】本発明のHGAにおけるサスペンションの
構造は、以上述べた構造に限定されるものではないこと
は明らかである。なお、図示されていないが、サスペン
ション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着して
もよい。
【0052】図5は本実施形態におけるアクチュエータ
の構造を示す平面図であり、図6はこのアクチュエータ
の圧電素子部分の構造を示す断面図であり、図7はこの
アクチュエータの動作を説明するための斜視図である。
【0053】図5に示すように、アクチュエータ22
は、その平面形状が略コ字状となっており、サスペンシ
ョンに固着される基部50(22a)の両端から1対の
可動アーム部51及び52が垂直に伸びている。可動ア
ーム部51及び52の先端部には、磁気ヘッドスライダ
21の側面21b及び21cに固着されるスライダ固着
部53及び54がそれぞれ設けられている。スライダ固
着部53及び54間の間隔は、挟設すべき磁気ヘッドス
ライダの幅にほぼ等しいかこれより僅かに大きくなるよ
うに設定されている。アクチュエータ22の厚さは、ア
クチュエータ実装によりHGAの厚さを増大させないよ
うに、挟設すべき磁気ヘッドスライダの厚さ以下に設定
されている。逆にいえば、アクチュエータ22の厚さを
挟設すべき磁気ヘッドスライダの厚さまで大きくするこ
とによって、HGAの厚さを増大させることなくアクチ
ュエータ自体の強度を上げることができる。
【0054】スライダ固着部53及び54は、磁気ヘッ
ドスライダ21方向に突出しており、これによって、こ
の部分のみが磁気ヘッドスライダ21の側面と固着さ
れ、磁気ヘッドスライダ側面と可動アーム部51及び5
2との間の残りの部分が空隙となるようになされてい
る。
【0055】可動アーム部51及び52は、それぞれ、
アーム部材51a及び52aとこれらアーム部材51a
及び52aの側面に形成された圧電素子51b及び52
bとから構成されている。
【0056】基部50並びにアーム部材51a及び52
aは、弾性を有するセラミック焼結体、例えばZrO
で一体的に形成されている。このように、アクチュエー
タの主要部を剛性の高い即ちたわみに対して強いZrO
等のセラミック焼結体とすることにより、アクチュエ
ータ自体の耐衝撃性が向上する。
【0057】圧電素子51b及び52bの各々は、図6
に示すように、逆圧電効果又は電歪効果により伸縮する
圧電・電歪材料層60と信号電極層61とグランド電極
層62とが交互に積層された多層構造となっている。信
号電極層61は図3及び図4に示すAチャネル又はBチ
ャネル信号端子電極22b又は22cに接続されてお
り、グランド電極層62はグランド端子22d又は22
eに接続されている。
【0058】圧電・電歪材料層60がPZT等のいわゆ
る圧電材料から構成されており、通常、変位性能向上の
ための分極処理が施されている。この分極処理による分
極方向は、圧電素子の積層方向である。電極層に電圧を
印加したときの電界の向きが分極方向と一致する場合、
両電極間の圧電・電歪材料層はその厚さ方向に伸長(圧
電縦効果)し、その面内方向では収縮(圧電横効果)す
る。一方、電界の向きが分極方向と逆である場合、圧電
・電歪材料層はその厚さ方向に収縮(圧電縦効果)し、
その面内方向では伸長(圧電横効果)する。
【0059】圧電素子51b及び52bに、収縮又は伸
長を生じさせる電圧を印加すると、各圧電素子部分がそ
の都度収縮又は伸長し、これによって可動アーム部51
及び52の各々は、図7に示すようにS字状に撓みその
先端部が横方向に直線的に揺動する。その結果、磁気ヘ
ッドスライダ21も同様に横方向に直線的に揺動する。
このように、角揺動ではなく、直線揺動であるため、磁
気ヘッド素子のより精度の高い位置決めが可能となる。
【0060】両圧電素子に、互いに逆の変位が生じるよ
うな電圧を同時に印加してもよい。即ち、一方の圧電素
子と他方の圧電素子とに、一方が伸長したとき他方が収
縮し、一方が収縮したとき他方が伸長するような交番電
圧を同時に印加してもよい。このときの可動アーム部の
揺動は、電圧無印加時の位置を中央とするものとなる。
この場合、駆動電圧を同じとしたときの揺動の振幅は、
電圧を交互に印加する場合の約2倍となる。ただし、こ
の場合、揺動の一方の側では圧電素子を伸長させること
になり、このときの駆動電圧は分極の向きと逆となる。
このため、印加電圧が高い場合や継続的に電圧印加を行
う場合には、圧電・電歪材料の分極が減衰するおそれが
ある。従って、分極と同じ向きに一定の直流バイアス電
圧を加えておき、このバイアス電圧に上述の交番電圧を
重畳したものを駆動電圧とすることにより、駆動電圧の
向きが分極の向きと逆になることがないようにする。こ
の場合の揺動は、バイアス電圧だけを印加したときの位
置を中央とするものとなる。
【0061】なお、圧電・電歪材料とは、逆圧電効果ま
たは電歪効果により伸縮する材料を意味する。圧電・電
歪材料は、上述したようなアクチュエータの変位発生部
に適用可能な材料であれば何であってもよいが、剛性が
高いことから、通常、PZT[Pb(Zr,Ti)
]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,L
a)(Zr,Ti)O]、チタン酸バリウム(BaT
iO)等のセラミックス圧電・電歪材料が好ましい。
【0062】このように、アクチュエータ22は、可動
アーム部51及び52間に磁気ヘッドスライダ21の側
面を挟み込むように構成しているため、アクチュエータ
22を設けてもその部分でHGAの厚みが増大しない。
このため、アクチュエータ装着による磁気ディスク装置
の寸法変更等は不要となる。また、アクチュエータ22
及び磁気ヘッドスライダ21の複合体がカンチレバー構
造とはなっていないため、耐衝撃性が大幅に向上する。
しかも、可動アーム部51及び52間に磁気ヘッドスラ
イダ21を挟設する構造としているため、変位を実際に
与える可動アーム部51及び52の先端部が磁気ヘッド
スライダ21の先端まで伸ばせることとなる。このた
め、磁気ヘッドスライダ21の寸法が変った場合にも微
小位置決め動作時に同じ大きさのストロークを提供でき
るから必要十分なストロークを得ることができる。
【0063】本発明においては、磁気ヘッドスライダ2
1の形状に工夫が施されている。即ち、磁気ヘッドスラ
イダ21の両側面21b及び21cに、アクチュエータ
22との接着時に接着剤を流し込むための少なくとも1
つの凹部が設けられている。以下、この点について詳細
に説明する。
【0064】図8及び図9は本実施形態における磁気ヘ
ッドスライダ21をアクチュエータ22に接着した状態
を互いに異なる方向から見た斜視図であり、図10及び
図11は本実施形態における磁気ヘッドスライダ21及
びアクチュエータ22を互いに異なる方向から見た分解
斜視図であり、図12は本実施形態における磁気ヘッド
スライダ21をアクチュエータ22に接着した状態を磁
気ヘッドスライダ21の素子形成面側ら見た立面図であ
り、図13は本実施形態における磁気ヘッドスライダ2
1及びアクチュエータ22を磁気ヘッドスライダ21の
素子形成面側から見た分解立面図である。
【0065】これらの図、図1〜図5及び図7に示すよ
うに、磁気ヘッドスライダ21は、ABS21d、その
反対側の面21e、側面21b及び21c、前面21
f、磁気ヘッド素子21g及び端子電極21aが形成さ
れた素子形成面(後面)21hを備えた略直方体形状と
なっており、特に本実施形態では、側面21b及び21
cのそれぞれのABS21d側のエッジの全長に渡って
形成された溝21i及び21jを備えている。これら溝
21i及び21jは、磁気ヘッドスライダ21をアクチ
ュエータ22のスライダ固着部53及び54に接着する
際に接着剤を流し込むために設けられている。このよう
な溝21i及び21jを側面21b及び21cにそれぞ
れ設けることによって、種々の利点が得られる。以下こ
の点について説明する。
【0066】図14はこのような溝を持たない従来の磁
気ヘッドスライダ21´とアクチュエータとを接着する
状況を説明する図であり、図15は本実施形態の磁気ヘ
ッドスライダ21とアクチュエータ22とを接着する状
況を説明する図である。
【0067】図14(A)に示すように、従来技術によ
ると、接着剤を流し込むために、磁気ヘッドスライダ2
1´を把持するアクチュエータのスライダ固着部53´
及び54´の間隔をあらかじめ大きくとっておく必要が
ある。このため、磁気ヘッドスライダ21´の側面とス
ライダ固着部53´及び54´との左右の間隔140及
び141を均等に制御することが非常に難しく、また、
接着剤の層が厚くなりすぎて共振特性の劣化及び変位量
の減少が起こる可能性がある。さらに、同図(B)に示
すように、接着面間の中央部で接着剤によるくびれ14
2が生じてしまうことから接着強度が低下し、かつ共振
周波数の低下及び変位量の減少が起こる可能性がある。
さらにまた、粘性の高い接着剤を用いると、可動アーム
部及びヘッドスライダ側面の接着面に接着剤が充分に回
り込まず、充分な接着強度が得られない。また、同図
(B)に示すように、接着剤を塗布した後にアクチュエ
ータと磁気ヘッドスライダ21´とを組み付けるため、
接着剤が接着面からはみだして磁気ヘッドスライダのA
BSに付着143が生じたり、下方の面に付着144が
生じてしまう。このため、使用する接着剤の量を正確に
制御することが難しい。さらに、以上のことに起因し
て、量産時における接着強度、共振周波数及び変位量特
性等にばらつきが発生するといった問題が生じる。
【0068】これに対して、図15に示すように、接着
剤150及び151を流し込むための溝21i及び21
jを磁気ヘッドスライダ21の側面21b及び21cに
それぞれ設けることによって、接着剤が接着個所に確実
に挿入されるので安定したかつ充分な接着強度を得るこ
とができる。また、接着剤がその他の部分にはみだした
りしないので、その量を正確に制御することができるか
ら、量産時における接着強度、共振周波数及び変位量特
性等にばらつき発生を防止できる。さらに、磁気ヘッド
スライダ21を把持するアクチュエータ22のスライダ
固着部53及び54の間隔を大きくとることなく、磁気
ヘッドスライダ21の幅にほぼ等しいかこれより僅かに
大きい程度に設定できるため、接着剤の厚い層による影
響が少なくなり、しかも磁気ヘッドスライダ21とアク
チュエータ22との接着部における左右の間隔差を最小
限とすることができるから、共振特性及び変位特性の劣
化を防止することができる。さらにまた、アクチュエー
タ22と磁気ヘッドスライダ21とを組み付けた後に接
着剤を流し込めば良いため、接着処理が非常に容易とな
る。
【0069】なお、上述した実施形態では、溝21i及
び21jを磁気ヘッドスライダ21の側面21b及び2
1cのABS21d側のエッジの全長に渡って形成して
いるが、接着部であるアクチュエータ22のスライダ固
着部53及び54に対応する部分のみに溝を設けても良
いことは明らかである。また、溝に代えて、その他の形
状の凹部を設けても良い。さらに、各側面に設ける溝又
は凹部の数は、複数であっても良い。
【0070】図16は本実施形態における磁気ヘッドス
ライダの製造工程の一部を説明する斜視図である。
【0071】まず、薄膜技術によって多数の磁気ヘッド
素子がマトリクス状に形成されたウエハを切断すること
により、複数のバーを得る。各バー160は、同図
(A)に示すように、それぞれが磁気ヘッド素子161
を有する磁気ヘッドスライダが複数互いに連接して配列
されている。
【0072】次いで、同図(B)に示すように、砥石1
62によってバー160のABS側から溝加工を行う。
この溝加工は、同図(C)に示すように、バー160を
貫通させることなく途中で止めるように行い、これによ
って、砥石162の刃先形状に対応する形状の非貫通溝
163を形成する。
【0073】次いで、同図(D)に示すように、非貫通
溝163の中央をこの非貫通溝の幅より狭い幅を有する
砥石164で溝加工することにより、バー160を切断
し、同図(E)及び(F)に示すように、個々に分離さ
れた磁気ヘッドスライダ165を形成する。
【0074】従って、このようにして得られた磁気ヘッ
ドスライダ165は、その両側面のABS側のエッジの
全長に渡って溝166を有することとなる。
【0075】このように、本実施形態によれば、バー1
60の状態において、非貫通溝163を形成するのみで
接着剤を流し込むための溝166が得られるので、溝形
成のためにバー160を治具から張り替える等の工程が
不用となるから、製造工程を現行のものからさほど変え
る必要がなく、工程が複雑化しない。
【0076】図17は、本発明の他の実施形態において
磁気ヘッドスライダをアクチュエータに接着した状態を
示す斜視図である。
【0077】本実施形態における磁気ヘッドスライダ2
1の構成は、上述した図1の実施形態の場合と全く同様
である。
【0078】しかしながら、本実施形態においては、ア
クチュエータ22´の主要部が、1枚の金属板をコ字状
に切り抜いたものを立体的に折り曲げて形成されてい
る。即ち、コ字状に切り出した個々のアクチュエータ部
材を、図にて上側の面がサスペンションへの固着面とな
る平板状の基部170の両側端が略垂直に折り曲げ、そ
の部分から基部170に対して略垂直を保った状態で1
対の可動アーム部171及び172が前方に伸びている
ように形成している。可動アーム部171及び172
は、磁気ヘッドスライダ21の側面に平行となるような
平板状に形成されている。
【0079】可動アーム部171及び172の先端部
は、内側に(磁気ヘッドスライダ21の方向に)クラン
ク状に折り曲げられて磁気ヘッドスライダ21の側面に
固着されるスライダ固着部173及び174をそれぞれ
形成している。スライダ固着部173及び174間の間
隔は、挟設すべき磁気ヘッドスライダ21の幅とほぼ等
しいかこれより僅かに大きくなるように設定されてい
る。このように、スライダ固着部173及び174が磁
気ヘッドスライダ21方向に折り曲げられて突出してい
るので、この部分のみが磁気ヘッドスライダ21の側面
と固着され、磁気ヘッドスライダ側面と可動アーム部1
71及び172との間の残りの部分に空隙が生じる。
【0080】可動アーム部171及び172は、それぞ
れ、アーム部材(171a)とこれらアーム部材の側面
に形成された圧電素子(171b)とから構成されてい
る。
【0081】基部170並びにアーム部材は、弾性を有
する1枚の金属板、例えばステンレス鋼板、を折り曲げ
て一体的に形成されている。このように、アクチュエー
タの主要部を金属板とすることにより、アクチュエータ
が軽量化されかつアクチュエータ自体の耐衝撃性が大幅
に向上する。金属板としては、ステンレス鋼板等の合金
鋼ばねの他に、炭素鋼ばねや、銅チタン板、リン青銅板
又はベリリウム銅板等の銅合金ばねや、チタン板等、弾
性を有する板ばね部材が用いられる。なお、圧電素子を
印刷及び焼成によって形成する場合には、耐熱性の高い
板部材を用いることが望ましい。
【0082】このように、本実施形態におけるアクチュ
エータ22´は、主要部が金属板で形成されているた
め、アクチュエータ全体の軽量化を図ることができ、そ
の結果、機械的振動周波数を高めることができる。ま
た、強度があり軽量である金属板を基材として用いるこ
とにより、特に衝撃に弱い可動アーム部171及び17
2の耐衝撃性を大幅に向上させることができる。しか
も、強度の高い金属板を用いることから、HGAへの組
み立て時の取り扱いが非常に容易になる。さらに、金属
板を用いれば、その形状や寸法等で設計上の自由度が向
上するので、充分なストロークを確保することが可能と
なる。また、アクチュエータ形状や寸法等の設計上の自
由度が増すことによって、アクチュエータ22´の中心
位置に磁気ヘッドスライダ21の中心及び荷重点(ディ
ンプル位置)を合わせることが可能となり、その結果、
磁気ヘッドスライダ21の浮上特性が著しく安定化す
る。しかも、高精度に加工できる金属板を用いることに
よって、アクチュエータ22´自体の寸法精度を大幅に
高めることが可能となる。さらに、可動アーム部171
及び172間に磁気ヘッドスライダ21の側面を挟み込
むように構成しているため、アクチュエータ22´を設
けてもその部分でHGAの厚みが増大しない。このた
め、アクチュエータ装着による磁気ディスク装置の寸法
変更等は不要となる。また、アクチュエータ22´及び
磁気ヘッドスライダ21の複合体がカンチレバー構造と
はなっていないため、耐衝撃性が大幅に向上する。しか
も、可動アーム部171及び172間に磁気ヘッドスラ
イダ21を挟設する構造としているため、変位を実際に
与える可動アーム部171及び172の先端部が磁気ヘ
ッドスライダ21の先端まで伸ばせることとなる。この
ため、磁気ヘッドスライダ21の寸法が変った場合にも
微小位置決め動作時に同じ大きさのストロークを提供で
きるから必要十分なストロークを得ることができる。
【0083】磁気ヘッドスライダ21に接着剤を流し込
むための溝を設けることなど、本実施形態のその他の構
成及び作用効果、さらに変更態様は、図1の実施形態の
場合と全く同様であるため、説明を省略する。
【0084】以上、薄膜磁気ヘッド素子の微小位置決め
用アクチュエータ及びこのアクチュエータを備えたHG
Aを用いて本発明を説明したが、本発明は、このような
アクチュエータにのみ限定されるものではなく、薄膜磁
気ヘッド素子以外の例えば光ヘッド素子等のヘッド素子
の微小位置決め用アクチュエータ及びこのアクチュエー
タを備えたHGAにも適用可能である。
【0085】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的
に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明
は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することがで
きる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均
等範囲によってのみ規定されるものである。
【0086】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれ
ば、ヘッドスライダのアクチュエータと接着される部分
に、接着剤を流し込むための少なくとも1つの凹部が設
けられているため、接着剤を接着部に確実に挿入するこ
とができるから、安定したかつ充分な接着強度を得るこ
とができる。また、接着剤がその他の部分にはみだした
りしないので、その量を正確に制御することができるか
ら、量産時における接着強度、共振周波数及び変位量特
性等にばらつき発生を防止できる。さらに、ヘッドスラ
イダを把持するアクチュエータのアーム部の間隔を大き
くとることなく、ヘッドスライダの幅にほぼ等しいかこ
れより僅かに大きい程度に設定できるため、接着剤の厚
い層による影響が少なくなり、しかもヘッドスライダと
アクチュエータとの接着部における左右の間隔差を最小
限とすることができるから、共振特性及び変位特性の劣
化を防止することができる。さらにまた、アクチュエー
タとヘッドスライダとを組み付けた後に接着剤を流し込
めば良いため、接着処理が非常に容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、磁気ディスク装置
の要部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態におけるHGA全体を表す斜視
図である。
【図3】図1の実施形態におけるHGAの先端部の斜視
図である。
【図4】図1の実施形態におけるHGAの先端部を図3
とは異なる方向から見た斜視図である。
【図5】図1の実施形態におけるアクチュエータの構造
を示す平面図である。
【図6】図5のアクチュエータの圧電素子部分の構造を
示す断面図である。
【図7】図5のアクチュエータの動作を説明するための
斜視図である。
【図8】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダを
アクチュエータに接着した状態を示す斜視図である。
【図9】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダを
アクチュエータに接着した状態を図8とは異なる方向か
ら見た斜視図である。
【図10】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダ
をアクチュエータに接着した状態を示す分解斜視図であ
る。
【図11】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダ
をアクチュエータに接着した状態を図10とは異なる方
向から見た分解斜視図である。
【図12】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダ
をアクチュエータに接着した状態を磁気ヘッドスライダ
の素子形成面側ら見た立面図である。
【図13】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダ
をアクチュエータに接着した状態を磁気ヘッドスライダ
の素子形成面側ら見た分解立面図である。
【図14】接着剤を流し込むための溝を持たない従来の
磁気ヘッドスライダとアクチュエータとを接着する状況
を説明する図である。
【図15】図1の実施形態の磁気ヘッドスライダとアク
チュエータとを接着する状況を説明する図である。
【図16】図1の実施形態における磁気ヘッドスライダ
の製造工程の一部を説明する斜視図である。
【図17】本発明の他の実施形態において磁気ヘッドス
ライダをアクチュエータに接着した状態を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
10 磁気ディスク 11、13 軸 12 アセンブリキャリッジ装置 14 キャリッジ 15 主アクチュエータ 16 駆動アーム 17 HGA 20 サスペンション 21、21´、165 磁気ヘッドスライダ 21a 端子電極 21b、21c 側面 21d ABS 21e 反対側の面 21f 前面 21g、161 磁気ヘッド素子 21h 素子形成面(後面) 21i、21j、166 溝 22、22´ アクチュエータ 22a、50、170 基部 22b、22c 信号端子電極 22d、22e グランド端子電極 23 第1のロードビーム 23a 取り付け部 24 第2のロードビーム 24a リフトタブ 25 ヒンジ 26 フレクシャ 26a 舌部 26b 絶縁層 26c 分離部 27 ベースプレート 28 配線部材 28a 第1の配線部材 28b 第2の配線部材 29 磁気ヘッド素子用接続パッド 30 外部回路用接続パッド 31 アクチュエータ用接続パッド 51、52、171、172 可動アーム部 51a、52a、171a アーム部材 51b、52b、171b 圧電素子 53、54、53´、54´、173、174 スライ
ダ固着部 60 圧電・電歪材料層 61 信号電極層 62 グランド電極層 142、143、144、150、151 接着剤 160 バー 162、164 砥石 163 非貫通溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D042 LA01 MA15 5D059 AA01 BA01 CA01 CA03 DA04 DA19 DA26 EA02 EA08 5D096 NN03 NN07 (54)【発明の名称】 微小位置決め用アクチュエータに接着されるヘッドスライダ、該ヘッドスライダを備えたヘッド ジンバルアセンブリ、該ヘッドスライダとアクチュエータとの接着方法、該ヘッドスライダの製 造方法及びヘッドジンバルアセンブリの製造方法

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1つのヘッド素子を有してお
    り、該少なくとも1つのヘッド素子の微小位置決めを行
    うためのアクチュエータに接着されるヘッドスライダで
    あって、前記アクチュエータとの接着部に、接着剤を流
    し込むための少なくとも1つの凹部を備えていることを
    特徴とするヘッドスライダ。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも1つの凹部が、少なくと
    も1つの溝であることを特徴とする請求項1に記載のヘ
    ッドスライダ。
  3. 【請求項3】 前記アクチュエータによって挟設支持さ
    れる2つの側面を有しており、前記少なくとも1つの溝
    が該各側面に、浮上面に沿って形成されていることを特
    徴とする請求項2に記載のヘッドスライダ。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも1つの溝が、前記各側面
    の前記浮上面側のエッジに設けられた1つの溝であるこ
    とを特徴とする請求項2又は3に記載のヘッドスライ
    ダ。
  5. 【請求項5】 前記溝が、前記エッジの全長に渡って形
    成されていることを特徴とする請求項4に記載のヘッド
    スライダ。
  6. 【請求項6】 前記少なくとも1つのヘッド素子が少な
    くとも1つの薄膜磁気ヘッド素子であることを特徴とす
    る請求項1から5のいずれか1項に記載のヘッドスライ
    ダ。
  7. 【請求項7】 請求項2から6のいずれか1項に記載の
    ヘッドスライダと、前記少なくとも1つの溝に流し込ま
    れた接着剤によって該ヘッドスライダと接着されている
    微小位置決め用アクチュエータと、該アクチュエータが
    固着された支持機構とを備えたことを特徴とするヘッド
    ジンバルアセンブリ。
  8. 【請求項8】 前記アクチュエータが1対の可動アーム
    部を備えており、前記ヘッドスライダが該1対の可動ア
    ーム部によって挟設支持される2つの側面を有している
    ことを特徴とする請求項7に記載のヘッドジンバルアセ
    ンブリ。
  9. 【請求項9】 前記アクチュエータの前記1対の可動ア
    ーム部の間隔が、前記ヘッドスライダの前記2つの側面
    間の距離にほぼ等しいか僅かに大きいことを特徴とする
    請求項8に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
  10. 【請求項10】 前記アクチュエータが基部を備えてお
    り、前記1対の可動アーム部が該基部から突出しており
    駆動信号に従って前記ヘッドスライダの前記浮上面に沿
    って変位するように構成されていることを特徴とする請
    求項8又は9に記載のヘッドジンバルアセンブリ。
  11. 【請求項11】 前記アクチュエータの前記可動アーム
    部及び前記基部が、弾性を有するセラミック焼結体で形
    成されていることを特徴とする請求項10に記載のヘッ
    ドジンバルアセンブリ。
  12. 【請求項12】 前記アクチュエータの前記可動アーム
    部及び前記基部が、金属板部材で形成されていることを
    特徴とする請求項10に記載のヘッドジンバルアセンブ
    リ。
  13. 【請求項13】 前記アクチュエータの前記可動アーム
    部が、アーム部材と、該アーム部材の面上に積層又は接
    着された圧電素子とを備えていることを特徴とする請求
    項8から12のいずれか1項に記載のヘッドジンバルア
    センブリ。
  14. 【請求項14】 少なくとも1つのヘッド素子を有する
    ヘッドスライダと、該少なくとも1つのヘッド素子の微
    小位置決めを行うためのアクチュエータとの接着方法で
    あって、前記ヘッドスライダの側面を前記アクチュエー
    タの1対の可動アーム部で挟んだ後、前記ヘッドスライ
    ダの前記各側面に設けられた少なくとも1つの溝に接着
    剤を流し込むことにより、該側面と前記可動アーム部と
    を接着することを特徴とするヘッドスライダとアクチュ
    エータとの接着方法。
  15. 【請求項15】 前記少なくとも1つの溝が、前記ヘッ
    ドスライダの浮上面に沿って形成されていることを特徴
    とする請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記少なくとも1つの溝が、前記各側
    面の前記浮上面側のエッジに設けられた1つの溝である
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 各々が少なくとも1つのヘッド素子を
    有するヘッドスライダが複数互いに連接して配列された
    バーの各ヘッドスライダ間に非貫通溝を形成し、該非貫
    通溝の中央を該非貫通溝の幅より狭い幅を有する切断刃
    によって切断して前記ヘッドスライダを個々に分離する
    ことを特徴とするヘッドスライダの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記非貫通溝を浮上面側に形成するこ
    とを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 少なくとも1つのヘッド素子を有して
    おり側面に接着剤を流し込むための少なくとも1つの溝
    を備えたヘッドスライダを形成し、一方、基部及び該基
    部から突出しており駆動信号に従って変位する1対の可
    動アーム部を備えており前記少なくとも1つのヘッド素
    子の微小位置決め用のアクチュエータを形成し、該アク
    チュエータの前記1対の可動アーム部間に前記ヘッドス
    ライダを挟んだ後、前記少なくとも1つの溝に接着剤を
    流し込むことにより、前記ヘッドスライダの前記側面と
    前記アクチュエータの前記可動アーム部とを接着し、前
    記アクチュエータの前記基部を支持機構に固着すること
    を特徴とするヘッドジンバルアセンブリの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記少なくとも1つの溝が、前記ヘッ
    ドスライダの浮上面に沿って形成されていることを特徴
    とする請求項19に記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記少なくとも1つの溝が、前記各側
    面の前記浮上面側のエッジに設けられた1つの溝である
    ことを特徴とする請求項18又は19に記載の製造方
    法。
  22. 【請求項22】 前記溝が、前記エッジの全長に渡って
    形成されていることを特徴とする請求項21に記載の製
    造方法。
  23. 【請求項23】 前記アクチュエータの前記1対の可動
    アーム部の間隔を、前記ヘッドスライダの前記2つの側
    面間の距離にほぼ等しいか僅かに大きくすることを特徴
    とする請求項19から22のいずれか1項に記載の製造
    方法。
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