JPH04106009U - 車両用ドアトリム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗用車等の車両のドアの室内側内装材として
使用される車両用ドアトリムにおいて、軽量化が可能
で、しかも簡単な構造で製造、組付けの容易な車両用ド
アトリムの構造を提供することを目的とする。 【構成】 ドアトリム表面を覆うシート状の表皮材２
と、この表皮材２の裏面に形成された発泡層３と、この
発泡層３の内部に設けた枠線４とによりドアトリム１を
一体に形成し、前記枠線４を取り付ける取付部材６をド
アパネル５に備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、乗用車等の車両のドアの室内側内装材として使用される車両用ドア トリムの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の車両用ドアトリムとして、ドアパネルに取り付けられる基材の 表面に軟質シート状の表皮材を被覆したものが一般に用いられている。図５は、 このような従来の車両用ドアトリムの一例の縦断面を示したものである。このド アトリム１１は、基材１２と表皮材１３とから成っている。基材１２は、適宜の 強度を有する硬質合成樹脂材で所要断面形状の板状体に形成されたもので、この 基材１２の表面（車両の室内側となる面）に軟質合成樹脂等のシートで形成され た表皮材１３が、接着、熱融着等適宜の方法で貼着されている。

【０００３】 図６は、上記のような車両用ドアトリムを車両のドアパネルに取り付ける手段 の一例を示した斜視図である。この取付け構造は、ブラケット１４とクリップ１ ５とから成り、ブラケット１４のベース部１４ａが、基材１２（本図では図示し ない）の裏面（ドアパネルに対向する側）に超音波溶着等により固着される。図 中、Ｂは溶着部である。ブラケット１４の中央部はドアパネル側に突出するよう にコ字形に曲げられており、その中央に上方に開口した円形切欠き１４ｂが設け られている。この切欠き１４ｂに、合成樹脂製クリップ１５の頭部１５ａに設け られた環状溝１５ｂを押し込んでクリップ１５をブラケット１４を介して基材１ ２に固定し、クリップ１５の脚部１５ｃをドアパネル（図示しない）の取付穴に 押し込むことにより、ドアトリム１１をドアパネルに取り付ける。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記のような従来の車両用ドアトリムの構造においては、基材１２ に強度を持たせねばならないため、これをかなりの厚みの硬質合成樹脂材等で形 成する必要がある。このためドアトリム１１の重量が大きくなる欠点がある。ま た、硬質の基材１２の表面を薄い表皮材１３で被覆したものであるから柔軟性が 少なく、乗員の身体の触れる機会の多い内装材として好ましくない。さらに、ク リップ１５、ブラケット１４等の取付部材をドアトリム１１側に設けるので、構 造が複雑となり、重量の大きいことと相まって組付けに手間を要する欠点もある 。

【０００５】 本考案は、上記のような従来の問題点を解消し、軽量化が可能で、しかも簡単 な構造で製造、組付けの容易な車両用ドアトリムを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

以上の目的を達成するため、本考案の車両用ドアトリムは、トリムの表面を覆 うシート状の表皮材と、この表皮材の裏面に形成された発泡層と、この発泡層の 内部に設けた枠線とにより構成し、前記枠線を取り付ける手段をドアパネルに備 えたものである。

【０００７】

【作用】

上記のように構成した本考案の車両用ドアトリムにおいては、表皮材の裏側に 形成された発泡層がドアトリムに柔軟性、クッション性を与え、発泡層内部に設 けられた枠線によりドアトリムに所要の強度が付与される。また、ドアパネル側 に設けた枠線取付手段により、簡単な構造で容易にドアパネルの組付けが行なわ れる。

【０００８】

【実施例】

（実施例１） 以下、図面を参照して、本考案の実施例につき説明する。

【０００９】 図１は本考案の車両用ドアトリムの一実施例の縦断面を示したものである。図 に見られるように、このドアトリム１は、その表面（車両室内側）を覆う表皮材 ２と、表皮材２の裏面（ドアパネル側）に形成された発泡層３と、発泡層３の内 部に設けられた枠線４とから構成されている。

【００１０】 表皮材２は、例えば熱可塑性合成樹脂シート、あるいは熱可塑性合成樹脂材シ ートにファブリック材を積層して成るシート材のような一般に車両用トリムの表 皮用として用いられるシート状材料を使用し、これを真空成形法等により所要の 形状に成形したものである。発泡層３は、ウレタン等の発泡性合成樹脂材料を発 泡型内等で表皮材２と接触した状態で発泡させ、表皮材２の裏面に所要形状に成 形したものである。

【００１１】 発泡層３の内部に設けられる枠線４は、複数本の鋼線等の金属線を発泡層３の 芯材となるように所要の形状に組んで形成したものである。図２は、本実施例に おけるこの枠線４の全体形状を示した斜視図で、実線で示した４ａ，４ｂ，４ｃ 等が枠線の素線であり、破線は表皮材２の概略外形形状を示している。素線４ａ ，４ｂ，４ｃ等の曲り部分は曲げ加工され、相互の接合部は溶接等の手段で結合 され、全体として所要形状の枠線４を形成する。この枠線４は、発泡層３を発泡 させる前に型内にセットしておき、発泡成形と同時に発泡層３に付着一体化させ るものである。なお、前記図１は、図２のＡ−Ａ部に対応する断面図である。

【００１２】 このドアトリムの製造は、例えば次のようにして行なわれる。すなわち、表皮 材２となるシート状材料を真空成形型の中にセットし、公知の真空成形法により 表皮材２の所要形状に成形する。一方、この真空成形型と対をなす他の型に前記 のように所要形状に組んだ枠線４をセットし、枠線４が所定位置になるように両 方の型を閉じ、表皮材２と他の型のキャビティとの間の空間にウレタン等の発泡 材を注入して発泡させ、所要形状の発泡層３を形成する。この発泡成形で発泡層 ３は表皮材２及び枠線４と一体化される。

【００１３】 図３は、本実施例のドアトリムの取付構造を示したもので、図３の（ａ）に示 したドアパネル５には、ドアトリム１に対向する面の複数箇所に取付部材６が設 けられている。各取付部材６は図３の（ｂ）に示すように、３個の取付片７，７ ，７を一組としたもので、各取付片７は金属板材で形成され、平板状のベース部 ７ａと、このベース部７ａの一端から折れ曲がりＵ字形の部分を有する保持部７ ｂとから成っている。ベース部７ａには取付穴７ｃがあけられており、ねじ等で ドアパネル５に固定される。図３の（ｂ）のように、上下の取付片７，７と中央 の取付片７とは互い違いに、すなわち、保持部７ｂで両側から枠線４の素線を押 え込む形に配置される。

【００１４】 一方、ドアトリム１の発泡層３は、図３の（ｃ）のようにドアパネル５の取付 部材６の設置箇所に対応する位置に凹所８が設けられ、その部分の枠線４の素線 ４ｎが露出している。ドアトリム１をドアパネル５に取り付けるには、この露出 した素線４ｎを前記のように互い違いに両側から向い合った取付片７の保持部７ ｂの間に押し込み、図３の（ｄ）に示すように、Ｕ字形の部分の内側で素線４ｎ を保持させる。保持部７ｂは金属板の弾性を有しているので、素線７ｎを押し込 む際には強制的に叩き込むようにしなければならないが、一旦素線７ｎを保持し た上はよほど強い力で引っ張らない限り容易に抜けることがない。

【００１５】 上記のように、このドアトリムは表皮材と発泡層と枠線とを一体に構成したの で、軽量で所要の強度を持ったドアトリムが得られ、しかも取付手段をドアパネ ル側に設けたので、構造が簡単となり、組付も容易となる。

【００１６】 （実施例２） 図４は本考案のドアトリムの他の実施例の一部断面を示したもので、本例は、 発泡層３の内部に設けられる枠線４の一部をプレート材９としたものである。

【００１７】 ドアトリム１の他の構成は前例と同様であるが、枠線４の一部にプレート材を 用いることにより、特に強度を要する部分の強度を増すことができる。

【００１８】

【考案の効果】 以上の説明から明らかな通り、本考案の車両用ドアトリムは、トリムの表面を 覆うシート状の表皮材と、この表皮材の裏面に形成された発泡層と、この発泡層 の内部に設けた枠線とにより構成したものであるから、重量の大きな基材を必要 とせず、軽量で安価なドアトリムを提供することができる。また、発泡層により ドアトリムに柔軟性、クッション性が与えられるので、感触の良いドアトリムが 得られる上、パネル面に発泡層が対向するので、車体振動等による異音の発生を 防ぐことができる。さらに、枠線を取り付ける手段をドアパネルに備えてトリム をパネルに取り付けるようにしたので、ドアトリムの構造が簡単となり、軽量化 と相まって組付けが容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の車両用ドアトリムの一実施例を示す縦
断面図である。

【図２】図１の車両用ドアトリムにおける枠線の斜視図
である。

【図３】図１の車両用ドアトリムの取付構造を示す図で
ある。（ａ）ドアパネルの斜視図である。（ｂ）取付部
材の斜視図である。（ｃ）ドアトリムの取付部の斜視図
である。（ｄ）取付状態の斜視図である。

【図４】本考案の車両用ドアトリムの他の実施例を示す
部分縦断面図である。

【図５】従来の車両用ドアトリムの一例を示す縦断面図
である。

【図６】図５の車両用ドアトリムの取付構造を示す図で
ある。

【符号の説明】

１ ドアトリム ２ 表皮材 ３ 発泡層 ４ 枠線 ５ ドアパネル ６ 取付部材 ７ 取付片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 トリムの表面を覆うシート状の表皮材
   と、この表皮材の裏面に形成された発泡層と、この発泡
   層の内部に設けた枠線とより成り、前記枠線を取り付け
   る手段をドアパネルに備えたことを特徴とする車両用ド
   アトリム。