JPH039584Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、ソレノイドに印加される制御電流に
応じて高圧側流路から低圧側流路に流れる圧力流
体をリニアに制御する電磁制御弁に関するもので
ある。

〈従来の技術〉 一般に車速等に応じて操舵力をリニアに制御す
る車速感応形動力舵取装置は、第３図で示すよう
に、自動車エンジンによつて駆動される供給ポン
プ１からの吐出圧油流量をメータリングオリフイ
ス３の前後圧に応じて作動される流量制御弁２に
より一定流量に制御し、この一定流量に制御され
た圧油Ｐを動力舵取装置のサーボ弁４と電磁制御
弁６とに分流し、サーボ弁４とパワーシリンダ５
の左右室のポートＡ，Ｂとを接続し、また、電磁
制御弁６と前記パワーシリンダ５のポートＡ，Ｂ
への流路並びに低圧側のタンクＴとを接続して車
速等の信号をコンピユータ７を介して前記電磁制
御弁６のソレノイドに車速等に応じた制御電流を
印加することにより、高圧側流路から低圧側流路
に流れる圧力流体をリニアに制御している。

前記電磁制御弁６は、例えば第４図で示すよう
に、バルブ本体１０の内孔１１内に筒状のスプー
ル２０を摺動可能に嵌装し、このスプール２０の
一端にバイパス用スリツト２１を半径方向に切欠
いて形成し、バルブ本体１０には、第１流路Ｐ１
と連通する第１ポート１２と、第２流路Ｐ２と連
通する第２ポート１３とが設けられ、前記スプー
ル２０を前記第１、第２ポート１２，１３の連通
を閉止する方向に付勢するスプリング２５と、車
速等に応じた制御電流が印加され、その制御電流
に応じてスプール２０を第１、第２ポート１２，
１３を連通する方向に吸引するソレノイド２９と
を備えた構造である。

〈考案が解決しようとする問題点〉 このような電磁制御弁においては、スリツト２
１を流れる圧力流体の影響により、圧力流体が第
１流路Ｐ１から第２流路Ｐ２に流れる場合にも、
また第２流路Ｐ２から第１流路Ｐ１に流れる場合
にも、スリツト２１の開度を狭める方向にフロー
フオースが作用し、第５図で示すように、開度一
定01のときに、前記フローフオースの作用により
開度02に狭まり制御電流に対するバイパス流量Ｑ
が影響され、ハンドルの左切時と右切時の発生圧
力（操舵力）に不平衡が生ずる。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は、上記した従来の問題点を解決するた
めになされたもので、２つのポートの何れか一方
に連通され、高圧流体をスプールの径方向の片側
外周面に付与する圧力導入穴をバルブ本体及びス
プールの何れか一方又は両方に設けたものであ
る。

〈作用〉 本考案は、圧力導入穴よりスプールの径方向の
片側に付与される高圧流体の圧力により、スプー
ルをバルブ本体の内孔の片側の壁面に圧接し、ギ
ヤ発生圧力に応じた力でスプールに摺動抵抗を発
生させ、一定の開度にロツクさせるものである。

〈実施例〉 以下本考案の実施例を第１図及び第２図に基づ
いて説明する。第１図は本考案の第１実施例を示
すものであり、１０は磁性体からなるバルブ本体
である。このバルブ本体１０の内孔１１内に筒状
のスプール２０が摺動可能に嵌装されている。ま
た、バルブ本体１０には第１流路Ｐ１と連通する
第１ポート１２と、第２流路Ｐ２と連通する第２
ポート１３が設けられ、スプール２０の一端に前
記第１ポート１２と第２ポート１３とを連通させ
るバイパス用のスリツト２１が半径方向に切欠い
て形成されている。２５は前記スプール２０を前
記第１ポート１２と第２ポート１３の連通を閉止
する方向に付勢するスプリングであり、２９は車
速等に応じた制御電流が印加され、その制御電流
に応じて前記スプール２０を吸引し、第１ポート
１２と第２ポート１３を連通させるソレノイドで
ある。

上記の構成において、第１流路Ｐ１が高圧流体
側であり、この第１流路Ｐ１から第２流路Ｐ２に
圧力流体が流れる場合、第１ポート１２の近傍の
バルブ本体１０に、スプール２０の外径面に向け
た圧力導入穴３０を設ける。

また、圧力流体は前記第１流路Ｐ１から第２流
路Ｐ２に流すばかりでなく、その逆方向の第２流
路Ｐ２から第１流路Ｐ１に流す場合もある。この
ような場合には第２図で示す第２実施例のように
前記バルブ本体１０に設けた圧力導入穴３０の他
に、スプール２０にバルブ本体１０の内孔１１に
向つて圧力導入穴３１を半径方向に設ける。この
圧力導入穴３１は第２ポート１３と連通している
スプール２０の中心部に貫通された内穴１８と通
じている。

上記のように構成した電磁制御弁は、ソレノイ
ド２９に電流が印加されない場合は、ソレノイド
２９によるスプール２０の吸引力はゼロであり、
スプリング２５の付勢力にて第１ポート１２と第
２ポート１３との間は閉じられている。ソレノイ
ド２９に制御電流が印加されると、その電流値に
応じてスプール２０は第１ポート１２と第２ポー
ト１３とを通ずる開く方向に吸引され、第１ポー
ト１２とスプール２０のスリツト２１とにより開
度がリニアに制御される。

ここで、第１図で示す第１実施例の場合、第１
流路Ｐ１から第２流路Ｐ２に流れる圧力流体の第
１流路Ｐ１側の高圧流体の一部が圧力導入穴３０
に導かれ、その圧力がスプール２０の外径面に作
用する。これによりスプール２０に径方向の押圧
力が働き、スプール２０を内孔１１の壁面に圧接
し、スプール２０に摺動抵抗を発生させてロツク
状態とするものである。

また、圧力流体が第２流路Ｐ２から第１流路Ｐ
１に流れる場合は、第２図の第２実施例で示す圧
力導入穴３１に高圧流体の一部が導かれ、バルブ
本体１０の内孔１１の壁面に圧力が当てられる。
これによりスプール２０は反作用を受けて径方向
に押圧され、圧力導入穴３１が開設されている側
とは反対側のスプール２０の外径が内孔１１の壁
面に圧接し、スプール２０に摺動抵抗を発生させ
てロツク状態とし、制御電流値に応じて開口した
一定の開度を保持する。

〈考案の効果〉 以上のように本考案は、バイパスさせる高圧側
の圧力流体、殊に動力舵取装置におけるギヤ発生
圧力を圧力導入穴によりスプールの径方向の片側
に導き、その圧力に応じた力にてスプールをバル
ブ本体の内孔の片側の壁面に圧接して、その力で
発生した摺動抵抗でスプールをロツクさせるよう
にしたものであるから、フローフオースがスプー
ルの開度を狭める方向に作用してもスプールは移
動することがなく、一定の開度が保持され、バイ
パス流量の影響は受けなくなり制御特性が安定
し、左、右切時の操舵力を平衡にする利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す断面図、第
２図は同第２実施例を示す断面図、第３図は本考
案による電磁制御弁が用いられる動力舵取装置の
油圧系統図、第４図は従来の電磁制御弁の要部断
面図、第５図は従来の電磁制御弁による問題点を
説明するグラフである。 １０……バルブ本体、１１……内孔、１２……
第１ポート、１３……第２ポート、２１……スリ
ツト、２５……スプリング、２９……ソレノイ
ド、３０，３１……圧力導入穴。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高圧流体と低圧流体が選択的に流通する２つの
   流路にそれぞれ流通する２つのポートを有し、こ
   れら２つのポートが開口する内孔を形成したバル
   ブ本体と、この内孔内に摺動可能に嵌装され一端
   に前記２つのポートを連通させるバイパス用スリ
   ツトを半径方向に切欠いて形成した筒状のスプー
   ルと、このスプールを前記２つのポートの連通を
   閉止する方向に付勢するスプリングと、車速等に
   応じた制御電流が印加されその制御電流に応じて
   前記スプールを２つのポートを連通する方向に吸
   引するソレノイドとを備えた電磁制御弁におい
   て、前記２つのポートの何れか一方に連通され、
   前記高圧流体を前記スプールの径方向の片側外周
   面に付与する圧力導入穴を前記バルブ本体及び前
   記スプールの何れか一方又は両方に設けて成る電
   磁制御弁。