JPH038553Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動二輪車の冷却水リザーブタンク
に関するものである。

（従来の技術） 自動二輪車のエンジンの冷却性を向上させる
為、水冷エンジンを採用することが多い。水冷エ
ンジンではラジエータを設けて、そのラジエータ
で冷却水を冷却して循環使用している。自動二輪
車の場合、ラジエータは装置場所、大きさ等に制
約があり、またフアンを取付ける場所も無いの
で、水冷エンジンの前方に配設し、走行風を当て
て冷却している。従つて、悪路等を長時間低速走
行すると、走行風が少ないので温度上昇すること
がある。

これを回避する為、従来より冷却水リザーブタ
ンクを設けて冷却水の収容量を増やしている。

またラジエータを通過した走行風の熱気は、水
冷エンジンの前方上部に上がり、燃料タンクを温
めるとか、燃料タンクの両側及び前方から洩れて
乗車中のライダーに不快感を与える。これを防止
する為、従来はラジエータの後方にカバーを設け
て熱気が燃料タンク側に流れるのを防いでいる。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、一般に第５図に示されるように冷却
水リザーブタンク１はラジエータ２に近い燃料タ
ンク３の前部下方に配設されるのでスペース的に
小型にさざるを得ない。従つて、スポーツ車のよ
うにラジエータ２が小型の場合は、冷却水リザー
ブタンク１が備わつていても冷却水が不足し、水
冷エンジン４の冷却効率が悪い場合があつた。ラ
ジエータ２を通過した走行風の熱気が燃料タンク
３側に流れるのを防ぐカバー５を水冷エンジン４
の前方上部に配設しているが、熱気を完全に遮断
することは難しく、特にカウリング付の自動二輪
車にあつては熱気が左右両外側に逃げないので、
燃料タンク３や水冷エンジン４の周辺部から洩れ
てきて乗車中のライダーに不快感を与えている。

そこで本考案は上記課題を解決する為に、充分
な冷却水量を確保できると共にラジエータを通過
した走行風の熱気を水冷エンジンの下方に導いて
燃料タンク側に流れないようにしたカバーと一体
の冷却水リザーブタンクを提供しようとするもの
である。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決する為の本考案による自動二輪
車の冷却水リザーブタンクは、ラジエータ後方上
部で左右のダウンチユーブ上端部に結合せる左右
のメインアツパパイプの前端部間に、ラジエータ
からの熱風を遮断するカバーと一体形成した偏平
な冷却水リザーブタンクを張架したことを特徴と
するものである。

（作用） 上記のように構成された冷却水リザーブタンク
は、形状の自由度を生かしてラジエータ後方上部
にて左右のダウンチユーブ上端部に結合せる左右
のメインアツパパイプの前端部間のスペースを有
効に利用して張架されているので、その冷却水容
量は大きく、従つてスポーツ車のようにラジエー
タが小型であつても冷却水不足を解消でき、水冷
エンジンの冷却効果を向上できる。

またこの冷却水リザーブタンクは、偏平形状に
なされてその下面がカバーとなつていて、しかも
左右のメインアツパパイプ間に張架されているの
で、ラジエータを通過した走行風の熱気が燃料タ
ンク側に上昇するのが阻止されて水冷エンジンの
下方に導かれるので、乗車中のライダーに熱気が
当るこてが少なくなる。

（実施例） 本考案の冷却水リザーブタンクの一実施例を第
１図乃至第３図によつて説明する。第１図に示す
如く水冷エンジン４を搭載した自動二輪車に於い
て、水冷エンジン４の前方の車体フレームを構成
する左右のダウンチユーブ６の上部前側にラジエ
ータ２が配されて取付金具７にて左右のダウンチ
ユーブ６に支持されている。このラジエータ２の
後方上部で、左右のダウンチユーブ６の上端部に
結合せる左右の水平なメインアツパパイプ８の前
端部間に冷却水リザーブタンク９が張架されてい
る。この冷却水リザーブタンク９は、第２図に示
す如く車体の長手方向でダウンチユーブ６の位置
から水冷エンジン４のヘツドカバー４ａの位置ま
で長くして、その端部をヘツドカバー４ａに沿わ
せてある。しかも第２図のＡ−Ａ線断面を示す第
３図において、車体の左右方向でメインアツパパ
イプ８間のスペース一杯に幅をとつてあり、その
両側面の合せフランジ１０にはシール１１が嵌着
されて、このシール１１がメインアツパパイプ８
に密着されている。そして冷却水リザーブタンク
９は両側面上端部に設けた取付金具１２がメイン
アツパパイプ８上に固設したナツト１３に載せら
れ、ボルト１４にて締着されて支持されている。
第２図中１５は冷却水リザーブタンク９とラジエ
ータ２とを連通しているホース、１６はメインパ
イプ、１７はヘツドパイプである。

尚、上記実施例の冷却水リザーブタンク９は、
左右のメインアツパパイプ８間に取付金具１１に
て支持しているが、第４図に示す如く冷却水リザ
ーブタンク９の両側面形状をメインアツパパイプ
８の上半部に沿つた形状になして直接冷却水リザ
ーブタンク９をメインアツパパイプ８間に嵌合載
置して図示省略のバンドリングにて固定するよう
にしても良い。要は冷却水リザーブタンク９を左
右のメインアツパパイプ８間に張架できればいか
なる支持手段でも良い。

（考案の効果） 上記実施例に示されるように本考案は、冷却水
リザーブタンク９を偏平形状になしてラジエータ
２の後方上部で左右のメインアツパパイプ８の前
端部間のスペース一杯に配しているので、該スペ
ースを無駄なく有効に使用して得られて充分な冷
却水容量を確保できて、水冷エンジン４の冷却効
率を向上できる。とりわけスポーツ車のようにラ
ジエータ２が小型の場合には、冷却水不足を解消
できるので、水冷エンジン４の冷却を充分行うこ
とができる。また冷却水リザーブタンク９をメイ
ンアツパパイプ８間に架設しているので、燃料タ
ンク３を跨架するメインアツパパイプ８の上側の
傾斜したメインパイプ１６の前端下側にこれまで
の冷却水リザーブタンク分のスペースの余裕がで
き、従つて燃料タンク３を大きくしたり、部品装
置ができるようになり、レイアウトの自由度の向
上に寄与できる。さらに本考案の冷却水リザーブ
タンク９は偏平形状になされてメインアツパパイ
プ８の前端部間に張架されているので、該部分の
上下は仕切られて、ラジエータ２を通過した走行
風の熱気が燃料タンク３側に上昇するのが阻止さ
れて、水冷エンジン４の下方に流れ、乗車中のラ
イダーに熱気が当ることが少なく、快適な走行が
できる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の冷却水リザーブタンクを備え
た自動二輪車の概略側面図、第２図は本考案の冷
却水リザーブタンクの取付状態を示す側面図、第
３図は第２図のＡ−Ａ線断面図、第４図は他の実
施例の断面図、第５図は従来の冷却水リザーブタ
ンクとラジエータを通過した走行風の熱気を阻止
するカバーを備えた自動二輪車の概略側面図であ
る。 ２……ラジエータ、４……水冷エンジン、６…
…ダウンチユーブ、８……メインアツパパイプ、
９……冷却水リザーブタンク。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 水冷エンジン搭載の自動二輪車に於いて、ラジ
   エータ後方上部で左右のダウンチユーブ上端部に
   結合せる左右のメインアツパパイプの前端部間
   に、ラジエータからの熱風を遮断するカバーと一
   体形成した偏平な冷却水リザーブタンクを張架し
   たことを特徴とする自動二輪車の冷却水リザーブ
   タンク。