JPH0375794B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は合成樹脂、金属などからなる内管の外
周面に耐火性無機質材料からなる被覆層を形成し
た複合継手管の製造法に関するものである。

周知のように高層建築物においては、防災効果
を高めるため給排水管、空調管、電気その他の各
種配管に複合管を使用している。この複合管は硬
質塩化ビニルその他の合成樹脂又は金属からなる
内管の外周に耐火性無機質材料からなる被覆層を
設けたもので、耐火性無機質材料としては一般に
ポルトランドセメントで代表される水硬性材料に
各種の補強材、骨材等を混入したものが用いられ
ることが多い。

この複合管を配管する場合にはＬ字状、Ｕ字
状、Ｓ字状、その他の形状の継手管を使用する必
要があり、この継手管も上記同様に複合管にしな
ければ防災効果が著しく低減する。

複合管からなる継手管を製造する場合には、支
持された継手管の外周面に位置する片半窪部を有
する上割型と下割型とを使用し、両割型を組合せ
るとき窪部内に継手管の内管をその開口端面を割
型内面に密着させ、且つ割型外部から内管開口端
を支持して取付け、両割型を組合せて圧着したら
一方の割型の注入口から水で混練した耐火性無機
質材料を圧入し充満させ、無機質材料が一定の段
階まで反応したら脱型するのが一般的である。

この製造法は生産性が良いが、無機質材料の被
覆層に厚さむらを生じることがある。即ち、製造
時に割型の窪部内に位置する内管の形状が前述の
ごとく、Ｌ字状、Ｕ字状、Ｓ字状等の場合は両端
部の２ケ所でしか支持されず、しかもこれらの内
管の中心軸が上記支持ケ所を結ぶ直線上にないの
で内管中央部分が前記圧入充満される材料の流れ
に押されて変位することがある。この状態で耐火
性無機質材料を固化すると内管の中央部分の上側
と下側の被覆層に厚み差が生ずる。

この現象は前記形状の内管が長くなる程顕著と
なり、被覆層による防災機能が損われることにな
る。

本発明は上記に鑑み提案されたもので、被覆層
と同一材質であらかじめ硬化させた支持片を割型
の窪部の内面と内管の外面との間で、且つ耐火性
無機質材料を充填するときの圧力により変位を防
止しうる部位に介在させた後、耐火性無機質材料
を注入することにより被覆層の全面をほゞ同一厚
さにするようにしたものである。

以下に本発明を図面の実施例について説明す
る。

第１図は本発明の方法により製造された複合継
手管１を示すもので90゜エルボ管として示されて
いる。

この継手管１は合成樹脂、金属などからなる内
管２の両端に拡径部３，３を有し、該内管２の外
周面に前記した耐火性無機質材料の被覆層４を設
けたもので、拡径部３の外周面にも拡径被覆層５
が設けられ、上記各拡径部３が直管等との接続用
雌部となる。

第２図は上記した複合継手管１の製造法におい
て使用する割型１１を示すもので、該割型１１は
金属、合成樹脂、セラミツクスなどからなる下型
と上型とを有するが、複数個に分割することがで
きればどのような構造の型枠でもよい。なお第２
図では上型１２を下方から見たものを示してい
る。

上記した上型１２にはＬ字状で断面が半円形の
窪部１３が形成され、第３図で示すように上型１
２を下型１４に重合すると、上記窪部１３と下型
１４の窪部１５とによりＬ字状で断面が円形の空
洞部が構成され、この空洞部は内管２より被覆層
４の厚さだけ拡径である。

内管の両端が位置する窪部１３，１５の両端に
は拡径被覆層５を形成するための拡径窪部１６，
１７を設けるとともに、拡径窪部１６，１７に連
通して型の外面に開口する縮径した開口部１８，
１９を設ける。

また下型１４には窪部１５の下面外部から内部
に通じる注入孔２０を形成し、上型１２には窪部
１３の内部から上面外部に通じる排気及びオーバ
ーフロー用の通孔２１を開設する。

本発明による複合継手管の製造法では上記した
割型と、内管の端部を支持する支持具２２を使用
する。該支持具２２は支持部２３の一端に円板材
２４を設け、該円板材２４の外周縁に円環状の嵌
着部２５を設けたもので、嵌着部２５を内管２の
拡径部３の内側又は外側に嵌め付けて内管２の端
部を支える。

上記した割型と支持具とを使用して複合継手管
１を製造するには、あらかじめ成形した内管２の
開口端部に支持具２２を臨ませ、嵌着部２５を拡
径部３の内側又は外側に嵌着する。この状態で内
管２の下半部分を下型１４の窪部１５内に収納
し、該内管の上面に支持片２６を介在させて上型
１２を接合する。次に注入孔２０から流動状の耐
火性無機質材料を上記空間に注入充満し、通孔２
１から溢れ出たら無機質材料の注入を止めるので
あるが、上記注入充満時に内管２は上方向への力
を受けても支持片２６に支えられて上方への変位
は起きない状態、即ち空洞内に同心状に保持され
たままで充満は終わる。そして養生により無機質
材料がある程度硬化したら脱型する。これにより
内管２の外周面には耐火性無機質材料の被覆層４
が形成され、該被覆層４はほゞ全面が均一な厚さ
となつて厚さむらを生じることがない。

該支持片２６はその後注入充満する耐火性無機
質材料と同一材質からなる硬化物で、形成させる
被覆層と同一厚さである。また支持片２６は窪部
１３のほゞ中央であつて通孔２１を閉塞しない位
置が望ましく、あらかじめ窪部１３内面に仮止め
して置いてから上型１２を重合してもよいし、あ
らかじめ内管２の上面に接着剤などで固定して窪
部１３内に収納してもよい。更に内管２の上面又
は下面に介在させる支持片は、内管が短かければ
１個でよいが、内管が長ければ２個又はそれ以上
設けて内管を安定に支持するようにしてもよい。
この支持片の形状は特に限定されるものではない
が上記充填材料の流れを妨害して空洞を生じたり
しないよう、小形にしたり、円柱状とか流線形状
を選んだりすることもできる。

なお上記実施例では継手管を90゜エルボとした
が、Ｕ字状、Ｓ字状、ハンガー形状等、特に端部
の２ケ所で支持し、且つ中心軸が直線でないもの
にも当然に応用することができるし、継手管の長
さにより介在される支持片の数を適宜に定めれば
よい。また、上記例では、充満時の流れによる変
位を防止するものであるが、自重による垂れ下り
がある場合は、下型と内管との間に支持片を介在
させることで内管の変位を防止できる。

したがつて本発明によれば極めて簡単に、従来
の方法とほとんど変ることなく周面の被覆層の厚
さが均一な複合継手管を製造することができる
し、製造された複合継手管は被覆層の厚さがほゞ
均一なので、仮に火災による火災に接しても亀裂
が生じたり剥離することがない。また支持片は被
覆層の耐火性無機質材料と同一材質なので製造時
に被覆層と一体化され、剥離することもなく、ま
た耐火性に差もないので長期間の使用に耐えるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により製造される複合継手管の
一例を示す一部を欠截した斜視図、第２図は本発
明で使用する割形の平面図、第３図は割型を接合
した場合の第２図−線の断面図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内管の外周面に耐火性無機質材料の被覆層を
   形成する複合継手管の製造法において、上記内管
   を収納する窪部と内管に形成した拡径部を収納す
   る拡径窪部を有する割型の窪部に内管を収納する
   とき、上記耐火性無機質材料からなる硬化した支
   持片を窪部の内面と内管の外面との間で、且つ耐
   火性無機質材料を充填するときの圧力により変位
   を防止しうる部位に介在させ、割型の窪部内面と
   内管の外面との間に耐火性無機質材料を充填して
   養生したとき上記支持片により耐火性無機質材料
   の被覆層をほぼ均一な厚さとするようにしたこと
   を特徴とする複合継手管の製造法。