JPH0373465B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は版型可変オフセツト印刷機に関する。

従来技術 オフセツト印刷機は少くとも１本のインクロー
ラの表面にインク及び湿し液、即ち通常は水を供
給するためにインク装置及び湿し装置を有し、イ
ンクローラには版胴が接触することが知られてい
る。ゴム胴が版胴に接するように取付けられ、ゴ
ム胴とこれに圧接された圧胴との間を通るウエブ
又はシートに印刷を行うようになつている。

そのような印刷機は、同じウエブに継続的に数
色の印刷を行うために、複数個の重畳して配置さ
れる印刷アツセンブリを有し、アツセンブリの各
各は同一水平面内に相接して取付けられた版胴と
ゴム胴を有している。従つて、版胴とゴム胴の対
が重畳して配置されることになり、これらは全て
横方向、即ち印刷すべきウエブの進行方向に対し
て直角な方向に移動されるに適したユニツトに支
持され、よつて印刷機の基枠から取外され、次の
印刷作業に対応した版胴及びゴム胴を支持した同
様のユニツトに交換される。このような印刷機は
版胴交換の便利さに関しては明らかに利点を有し
ているが、所望の印刷版型の関数として版胴を比
較的頻繁に交換することを要求されるような異つ
た版型での印刷に適しているとは言い難い。

発明の概要 本発明の目的は上記問題点を解決して、簡単な
手段を設けることによつて版型交換の際に版胴及
びゴム胴を容易に素早く交換することができ、オ
フセツト面を容易に清浄にすることができ、オフ
セツト面を容易に取換えることができ、そして摩
耗が起こればゴム胴のブラケツトさえ容易に取換
ることができるようなオフセツト印刷機を提供す
ることにある。

この目的を達成するために、本発明による版型
可変オフセツト印刷機は、垂直長手方向に延びる
２個の基枠部材を有し、これらの基枠部材間に、
インク装置からインクを並びに湿し装置から湿し
液を受ける少くとも１本のインクローラと、イン
クローラに接する版胴と、版胴に接するゴム胴
と、ゴム胴に圧接されることができるように可動
支持装置に取付けられた圧胴とが配置され、印刷
すべきウエブがゴム胴と圧胴との間を通され、上
記版胴と上記ゴム胴とは、横断部材によつて結合
されてこれと共にカセツトを形成する２個の垂直
長手方向に延びる側部部材間に回転可能に取付け
られ、このカセツトは横方向即ち印刷すべきウエ
ブの進行方向に対して直角方向に動くことができ
るようにしたオフセツト印刷機において、上記２
個の基枠部材間を延びる２個の上方横断レールが
前面側基枠部材から前方に突出して設けられ、上
記カセツトはカセツト挿入又は取外し運動の際に
カセツト上方部に水平長手軸線を有するように取
付けた上方ローラを介して上記横断レールから吊
下がり、上記前面側基枠部材はその外側面から前
方に延びる２個の下方水平アームを有し、上記カ
セツトはカセツト挿入又は取外し運動の際にカセ
ツト下方部に水平長手軸線を有するように取付け
た下方ローラを介して上記アーム上を転動するよ
うにしたことを特徴とする。

本発明の１態様によると、上記２個の下方水平
アームは上記前面側基枠部材に枢着されて、アー
ムがカセツト挿入又は取外し運動に使用されない
ときは前面側基枠部材に沿つてほぼ垂直な位置に
引込められるようにされる。

本発明のさらに他の態様によると、印刷機は上
記圧胴の下方に、印刷機の前面側基枠部材から張
り出すように前方に引出すに適した横方向に可動
な支持装置と、この支持装置の前端部に固着され
てカセツトが印刷機から完全に引出されたときに
カセツトの上記前面側部材を支持する支持手段と
を具備している。

本発明によるオフセツト印刷機は版胴とゴム胴
を具えたカセツトを版型変更の際に非常に容易に
取外さしめるものである。このカセツトが機械か
ら取出されると、適切なホイスト装置によつてひ
き続いて操作されることができ、或いは又、前に
使用したカセツトと交換されるべき他のカセツト
を支持した可動台車上に支持されることもでき
る。従つて、カセツトは版胴及び／又はゴム胴を
素早く交換せしめ、又は洗浄せしめるように支持
されていることになる。本発明による印刷機はさ
らにカセツトの版胴が印刷機内に挿入されたとき
に自動的に係止する手段を具備している。

本発明のさらに他の態様によると、カセツトで
の運動の開始は後面後基枠部材に取付けたピニオ
ンによつて行なわれ、このピニオンはゴム胴の軸
に取付けた第２ピニオンと噛合し、第２ピニオン
は版胴の軸に取付けた第３ピニオンと噛合する。
このような特徴により、版胴はゴム胴に対して常
に制動作用を生じているので、常に同じ側にある
伝達用歯車のクリアランスの補正が行われ、印刷
精度が向上する。もし版胴側から駆動されるとす
ると、場合によつてはゴム胴が原動装置又は制動
装置として作用するかによつてバランスが欠除す
るためにウエブの上流及び下流で張力が生じ、こ
れが版胴とゴム胴の結合点で歯合する歯のクリア
ランスに相対的なスライドを起こさせ、精度の劣
る印刷となる。本発明における印刷機ではゴム胴
から運動が開始されるので、そのような精度低下
を避けることができる。さらに、これによつて、
版型が変つても駆動モータの定回転に対しては一
定なウエブ速度が得られることになる。言いかえ
れば、モータの設備容量が異つた版型に対して一
定ということになる。

本発明のさらに他の態様によると、カセツトの
版胴のインクローラに対する圧接は、カセツトを
枢軸線を形成する上方横断レールの一方の回りで
枢動させることによつて行われ、この枢動は２個
の基枠部材に支持され且つ他方の上方横断レール
に隣接したカセツト側部材垂直縁に力を及ぼす流
体作動アクチユエータの作用で行われる。カセツ
トの枢動運動は側部材の上端に当接する調節可能
なストツパによつて制限され、これらのストツパ
が版胴とインクローラの接触度、即ちインクロー
ラへのくいこみを規制する。いづれの場合にも、
版型の変化に応じたカセツト交換の際に、調節可
能なストツパが動かされていなければ、新らしい
版胴の精確な圧接が自動的に行われる。

実施例 以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第１図に示すオフセツト印刷機は２個の長手方
向に延びるフロント及びリヤ長手基枠部材１，２
から成る基枠を有している。これらの基枠部材の
間には、オフセツト印刷機の種々のシリンダが水
平に延びている。この明細書では、長手及び横方
向という字句は印刷物の進行方向に対してそれぞ
れ平行及び直角であることをさすものとする。上
方部には、基枠部材１，２はインクだめ３を支持
し、これは総括して４で示す適当な数の引き延ば
しローラを介してインクを供給する。これらのロ
ーラはインクを３個のインクローラ５，６，７に
送る。湿し装置１０も湿し液、一般に水、をイン
クローラを介して版胴に送るために設けられる。
３個のインクローラは版胴８に接触し、この版胴
８はゴム胴９に接している。２個のインクローラ
５，６は基枠に固定的に取りつけられ、他のイン
クローラ７はどのような版型に対しても３個のロ
ーラが版胴８に接するように可動に取りつけられ
る。版胴８及びゴム胴９はカセツト１１に回転可
能に取りつけられ、カセツト１１は独立のアツセ
ンブリを形成し且つ機械の基枠部材１，２に対し
て横方向に動くことができる。このカセツト１１
は２個の垂直長手側部部材、即ち、横断部材２０
（第３図）に支持されたフロント側部材１２及び
リヤ側部材１３を有していて、これら間に版胴８
及びゴム胴９が延びる。版型がかわればそのカセ
ツトに取りつけられる横断部材２０の位置が異な
る。版胴８及びゴム胴９はフロント及びリヤ側部
材１２，１３にとりつけた軸受に支承された軸に
支持され、リヤ側部材１３の外側に位置するピニ
オン１４，１５で相互に結合される。

各カセツト１１は選択された版型に従つた一対
の版胴８及びゴム胴９を有している。本発明によ
る印刷機は以後に説明されるように版型を換える
ときにカセツト１１を他のものと容易に交換せし
めるものである。第１図及び第２図には、大きな
版型に対する版胴８及びゴム胴９が実線で、又、
小さな版型に対する版胴８ａ及びゴム胴９ａが一
点鎖線でそれぞれ示されている。これらの胴８，
９及び８ａ，９ａの中間の直径をもつ胴体を有す
るカセツト１１が当然無数に準備されることがで
きる。駆動ピニオン１４，１５は版胴８，９の直
径に相当する直径を有していて、第１図及び第２
図においては、胴体の外周に相当する円と重な
る。

各カセツト１１は版胴８の前面側に目盛を付け
たデイスクをもつていて版胴の角度位置が設定で
き、機械がどのような位置で停止してもこれが可
能である。

版胴８及びゴム胴９は、リヤ側基枠部材２に回
転可能に取りつけられて且つ一般的な制御モータ
により伝達機構（図示せず）を介して駆動される
ピニオン１６によつて駆動される。この駆動ピニ
オン１６は版型の如何にかかわらずゴム胴９に固
着されたピニオン１５と噛合し、ピニオン１５は
版胴８に固着されたピニオン１４と噛合してい
る。ピニオン１６は常に同一のものであつて、ピ
ニオン１４及び１５はピニオン１６が常に正確に
噛合するように螺旋に切られている。

下方部には、印刷機は空転圧胴１７を有し、そ
の軸が可動な２個の支持部材１８間に延びる。こ
の支持部材１８は横方向スピンドル１９（第１
図）に枢着されていて、支持部材１８と圧胴１７
が版型の関数として幾つかの位置を占めることが
できる。第２図では、圧胴１７は最下位置に示さ
れており、カセツト１１を取り外し又は取りつけ
のために引つ込められている。この位置におい
て、圧胴１７はカセツト１１のフロント及びリヤ
側部材１２，１３の下方でゴム胴９から離され
る。第２図には、大きな版型に相当するゴム胴９
に接してより高い位置にある圧胴１７ａ、小さな
版型に相当するゴム胴９ａに接してさらに高い位
置にある圧胴１７ｂが示されている。

印刷されるべき紙のウエブ２１が従来同様に圧
胴１７とゴム胴９との間を通され、これらの胴は
印刷中に相圧接される。

圧胴１７の位置は、支持部材１８の下方で基枠
の一部をなす基部２３上に配置された例えばベロ
ーズ形の空気式又は油圧式作動のアクチユエータ
２２により調節される。アクチユエータ２２に圧
力流体が供給されると、その膨張により支持部材
１８及び圧胴１７が第２図に矢印ｆで示される時
計回り方向に動く。圧胴１７は偏心して取付られ
たローラ軌を具え、このローラをゴム胴９に取付
けたローラ軌道に接して動かすことによつて、印
刷用紙及び実施すべき作業の種類に応じて両胴
９，１７間の間隔を調節することができるように
なつている。

版胴８及びゴム胴９を支持する各カセツト１１
は、版型を交換するときに水平横方向に移動され
ることができる。この目的のために、フロント及
びリヤ基枠部材１，２にはそれぞれ開口部１ａ，
２ａが設けられ、その形状はカセツト１１のフロ
ント及びリヤ側部材１２，１３に対応しそれより
わずかに大きい寸法とされる。フロント及びリヤ
側部材１２，１３の各々は上方部に２個のローラ
２４，２５を有し且つ下方部にさらに２個のロー
ラ２６，２７を有し、これらのすべてのローラは
各部材１２，１３の対向する垂直縁に支持された
水平長手ピボツトに回転可能に取りつけられる。
第２図の上方右側のローラ２４は、フロント及び
リヤ基枠部材１，２間を延長してフロント枠部材
１から前方に突き出た上方横断レール２８上に位
置している。このレール２８は円筒状棒材の上方
部分が水平な平坦部分２８ａとされたもので、こ
の上をローラ２４がころがる。さらに、上方ロー
ラ２５は２個の基枠部材１，２間を延長してフロ
ント基枠部材１から前方に突き出た支持レール２
９上方に配置される。ローラ２５は双円鍾形であ
り、支持レール２９の上面にローラ２５の形状に
合わせて形成した三角形断面の溝２９ａに係合し
てその上を転がる。

カセツト１１の側部部材１２，１３の各々は、
その右側垂直縁に円弧形状のノツチ３１を具え、
その半径は右側支持レール２８の円筒部分の半径
に相当する。このノツチ３１の側部部材１２，１
３の下端部からの高さは、カセツト１１が機械に
挿入されたときに右側支持レール２８のレベルに
ほぼ適合するようにされる。

さらに、側部部材１２，１３の各々は、その左
側垂直縁にＶ状ノツチ３２を具え、その先端は側
部部材の内側に向かつて延び、水平に対して傾斜
したその上端３２ａは流体作動アクチユエータ３
４のロツド３３先端部の支持面となる。各アクチ
ユエータ３４は、対応する側部部材１２，１３の
支持面３２ａに対して直角となるように傾斜して
それぞれの基枠部材１，２に取付けられる。

側部部材１２，１３の各々は水平な上端部にＶ
状断面１３ａのような溝を具え、これに調節可能
なストツパ３５の同様なＶ状断面の下端部が係合
する。このストツパ３５の位置は、支持部材４３
に回転自在に取付けられたロツド３６のねじを切
つた先端部３６ａをストツパ３５のタツプ穴に螺
合させることによつて調節される。調節可能なロ
ツド３６の軸線は水平に対してわずかに傾斜し、
ストツパ３５の下端部３５ａはロツド軸線に対し
て同角度傾斜しているのでこの下端部３５ａは水
平に延びることになる。従つて、ロツド３６をい
づれかの方向に回転させると、ストツパが長手方
向に移動してその下端部３５ａを側部部材１３の
溝１３ａに深く又は浅く配置せしめ、従つてカセ
ツト１１の位置及び２個のインクローラ５，６へ
の接触度を調節する。変形例としては、側部部材
１２，１３の一方にのみＶ状溝を具えて同形状の
ストツパと協働して中心を定める作用をもたせ、
他方の側部部材は平坦面として平坦な調節可能な
ストツパと協働させることもできる。

カセツト１１を前面側に部分的に取外すため
に、本発明による印刷機はフロント基枠部材１に
２個の支持アーム３７（第４図及び第５図）を具
え、これらは長手方向に延びるピン３８に枢着さ
れ、ピン３８はフロント基枠部材１に固着された
支持体３９に支持される。各支持アーム３７は第
５図に一点鎖線で示されたような引込み位置と、
フロント基枠部材１に対して直角に外側に延びる
水平位置との間の動くことができる。各支持アー
ム３７の水平位置に向かう枢動は、支持アーム３
７に取付けたフインガー４１がストツパを形成す
るノツチ４２に係合することによつて制限され
る。

本発明による印刷機はさらにカセツトの下方に
横方向に延びる可動支持装置４４を具えている。
第２図に示されるように、この可動支持装置はＩ
形断面部材４５を有し、その下側フランジ部分が
水平台板４６に固着され、この水平台板４６はそ
の両側部が２個のローラ４７間に支えられて支持
装置４４が水平方向に案内されるようになつてい
る。可動支持装置４４の前面側端部には、その上
面にノツチ４９を具えた垂直ブラケツト４８が固
着される。ノツチ４９には結合アーム５１が係合
し、これはカセツト１１のフロント側部材１２の
中高位置に取付けられた横方向軸線を有するピボ
ツト５２に枢着される。

本発明によるオフセツト印刷機の上記実施例の
作用は次の通りである。

印刷機に大きな版型の版胴８及びゴム胴９が使
用されていて、小さな版型の版胴８ａ及びゴム胴
９ａに交換する場合を説明する。大きな版型で印
刷する際には圧胴１７は第２図に１７ａに示され
る位置にある。そして、流体作動アクチユエータ
３４はそのロツド３３を介して上向き斜め方向の
力Ｆをもたらすようにされている。この力Ｆは各
側部部材１２，１３を右側支持レール２８及び調
節可能なウエツジ状ストツパ３５に当接される。
この位置において、版胴８は基枠に取付けられて
いるインクローラ５，６，７にあてがわれる。調
節可能なストツパ３５によつて、固定のインクロ
ーラ５，６と版胴８との接触度を調節する、即
ち、インクローラの柔軟な表面層のくいこみ具合
を調節する。力Ｆによつて、上方のローラ２４及
び２５はそれぞれの支持レール２８及び２９から
持上げられる。

第１例として、カセツトの交換は、機械の上方
に延びるローラ軌道に沿つて往復動するチエーン
ブロツクのようなホイスト装置によつて行なわれ
ると仮定されている。この場合には、カセツト１
１は第６図に略図的に示されている方法で取外さ
れる。

版胴８及びゴム胴９を支持したカセツト１１を
取外す前に、流体作動アクチユエータ２２への作
動流体供給が停止されて、圧胴１７が側部部材１
２，１３の下端より下方の最低位置にもたらされ
る。次いで、流体作動アクチユエータ３４への供
給が停止され、カセツト１１は自身の重量で２個
の支持レール２８，２９上に落付く。このとき
に、ローラ２５が溝２９ａに接触するまでは、右
側の支持レール２８の円筒部分の回りを枢動す
る。次いで、ローラ２５が溝の底部に達するまで
わずかに左方に滑るようになり、右側のローラ２
４が右側の支持レール２８の平坦部分２８ａに当
接するようになる。前面の支持アーム３７が引込
められ垂直位置から第５図の実線で示されるよう
な水平位置に枢動される。結合アーム５１は常に
第４図に示されるような垂直位置にあり、その下
端がノツチ４９に係合している。このときに、フ
ロント側部材１２、従つて、カセツト１１全体が
ブラケツト４８及び下方の可動支持装置４４に結
合されて共に動くことができるようになる。続い
て、カセツト１１を引出すことによつて印刷機か
ら取外すことができるようになる。この運動によ
つて、下方の可動支持装置４４は第６図の一点鎖
線によつて示されるような引出された位置を占め
るようになる。この運動の初期において、４個の
上方ローラ２４，２５は２個の支持ガイドレール
２８，２９によつて支持され、しばらく経つとフ
ロント側部材１２に支持された方の上方ローラ２
４，２５はレールを離れ、リヤ側部材１２に支持
された方の上方ローラ２４，２５のみがレールに
支持されるようになる。この瞬間から、カセツト
の重量は下方の可動支持装置４４の前端部に部分
的にかけられることになる。カセツトが第６図の
一点鎖線で示されるように完全に印刷機から引出
されると、リヤ側部材１３に支持された方の下方
ローラ２６，２７が支持アーム３７と接触するよ
うになり、従つて、このようにしてカセツトの後
側が支持される。カセツトの前側は可動支持装置
の前端部に固着されたブラケツト４８によつて支
持される。カセツト１１は次いで完全に機械から
引出されることになるが、カセツト１１を持上げ
て小さな版型の版胴８ａ及びゴム胴９ａを支持し
た別のカセツトに交換する作業はチエーンブロツ
クのようなホイスト装置を用いて簡単に行うこと
ができる。

新らしいカセツト１１を印刷機に挿入する作業
は上述と逆に行われる。可動集合体が印刷機内に
押込まれ、可動支持装置４４とカセツト１１が完
全に収められる。カセツト１１挿入の際の不意の
衝撃を避けるために、可動支持装置４４に取付け
た衝撃吸収装置５０が、印刷機のベースに取付け
たストツパ５０ａと接触するようになる。流体作
動アクチユエータ３４に作動流体が供給されて新
しい版胴８ａをインクローラ６，７に押付ける。
側部部材１２，１３が先ず上方レール２８の方向
に移動してこれらの側部部材１２，１３の各々の
ノツチ３１が円筒表面に接触するようになる。続
けて力Ｆを加えることによつて、カセツト１１全
体が右上方のレール２８の軸線の回りを枢動し、
新しい版胴８ａがインクローラ５，６に圧接され
るようになる。これらのローラの左側の第３ロー
ラ７が、図示しない流体作動ジヤツキによつて挿
入したばかりのカセツトに設定したストツパに係
止される。調節可能なストツパ３５は位置をその
まま保つていたので前と同じ接触圧を得ることが
できるようになる。

第７図は、カセツト交換が可動台車５３によつ
て行われる例を示すものである。この台車はその
上部に垂直軸線５５の回りを旋回可能な水平回転
板５４を支持し、カセツト１１は回転板５４に放
射状に配置されることができ、カセツトが一点鎖
線で示されている。この場合には、下方の可動支
持装置は使用されない。そのために、結合アーム
５１は垂直位置から水平位置にもたらされる。他
方、外側に水平に延びる支持アーム３７と回転板
５４との間の水平結合が、回転板５４の先端部に
軸線５７の回りに枢着された係止部材５６を支持
アーム３７に設けた係止部５８に止めることによ
つて行われる。この場合に、カセツト１１が印刷
機から取外されるときには、下方前面のローラ２
６，２７が水平となつた支持アーム３７を転動し
て回転板５４の上面に至り、この運動は下方後側
のローラ２６，２７が支持アーム３７から回転板
５４の上面に転動するまで続く。

印刷にそれまで使用されていたカセツト１１が
回転板５４に放射状に定められた位置に置かれる
と、回転板５４は180度回転されて新らしいカセ
ツト１１が基枠部材１，２の開口部に対向する位
置にもたらされ、次いで、この新らしいカセツト
１１が前述したようにして基枠部材１，２間に挿
入される。結合アーム５１が水平位置から第４図
に示されるような垂直位置に戻され、そこで結合
アーム５１の下端部がノツチ４９に係合する。

可動台車５３の上部に設けた水平な回転板５４
を使用する代りに、この台車に長手方向に間隔を
おいたカセツト収容場所を設けることも可能であ
る。この場合には、それまで使用されていたカセ
ツト１１を定められた収容場所に置いた後で、台
車を動かして基枠部材１，２間の開口部に対向さ
せれば良いことになる。

以上説明したように、本発明によれば、カセツ
トに設けたローラをそれぞれ上方横断レール及び
下方の水平アームに沿つて転動させながらカセツ
トを引き出し又は押し込むことができ、特に下方
の水平アームはカセツトが引き出された位置にお
いてカセツトの後端部分を支持しつつ補助移動手
段と連携してカセツトの操作を容易にすることが
でき、よつてカセツトを容易に且つ素早く交換で
きるようになる効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるオフセツト印刷機の部分
切欠正面図、第２図は第１図の印刷機の拡大部分
縦断面図、第３図は第２図の部分横断面を含む側
面図、第４図はカセツトの下方部分及び基枠に取
付けられたカセツトと協働する部材を示す拡大正
面図、第５図は基枠のフロント枠部材の下方部分
及びカセツトのフロント側部材の横断面図、第６
図は印刷機の略横断面図であつて一点鎖線でカセ
ツトがホイスト手段によつて移動されるに適した
位置に取外されたあるところを示し、第７図は印
刷機の略横断面図であつて一点鎖線で２個のカセ
ツトが台車上に対向して配置されているところを
示す図である。 １…フロント基枠部材、２…リヤ基枠部材、３
…インクだめ、５，６，７…インクローラ、８…
版胴、９…ゴム胴、１０…湿し装置、１１…カセ
ツト、１２…フロント側部材、１３…リヤ側部
材、１７…圧胴、２０…横断部材、２１…紙のウ
エブ、２４，２５…上方ローラ、２６，２７…下
方ローラ、２８，２９…上方支持レール、３１，
３２…ノツチ、３４…流体作動アクチユエータ、
３５…調節可能なストツパ、３７…支持アーム、
４４…可動支持装置、４８…ブラケツト、５１…
結合アーム、５３…可動台車。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 垂直長手方向に延びる２個の基枠部材を有
   し、これらの基枠部材間に、インク装置からイン
   クを並びに湿し装置から湿し液を受ける少くとも
   １本のインクローラと、該インクローラに接する
   版胴と、該版胴に接するゴム胴と、ゴム胴に圧接
   されることができるように可動支持装置に取付け
   られた圧胴とが配置され、印刷すべきウエブがゴ
   ム胴と圧胴との間を通され、上記版胴と上記ゴム
   胴とは、横断部材によつて結合されてこれと共に
   カセツトを形成する２個の垂直長手方向に延びる
   側部部材間に回転可能に取付けられ、該カセツト
   は横方向即ち印刷すべきウエブの進行方向に対し
   て直角方向に動くことができるようにしたオフセ
   ツト印刷機において、上記２個の基枠部材間を延
   びる２個の上方横断レールが前面側基枠部材から
   前方に突出して設けられ、上記カセツトはカセツ
   ト挿入又は取外し運動の際にカセツト上方部に水
   平長手軸線を有するように取付けた上方ローラを
   介して上記横断レールから吊下がり、上記前面側
   基枠部材はその外側面から前方に延びる２個の下
   方水平アームを有し、上記カセツトはカセツト挿
   入又は取外し運動の際にカセツト下方部に水平長
   手軸線を有するように取付けた下方ローラを介し
   て上記アーム上を転動するようにしたことを特徴
   とする版型可変オフセツト印刷機。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、上記２個の下方水平アーム
   は上記前面側基枠部材に枢着されて、該アームが
   カセツト挿入又は取外し運動に使用されないとき
   は前面側基枠部材に沿つてほぼ垂直な位置に引込
   められるようにしたことを特徴とする版型可変オ
   フセツト印刷機。 ３ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、制御モータによつて駆動さ
   れるピニオンが後面側基枠部材に取付けられ、該
   ピニオンはあらゆる版型に対してゴム胴の軸に取
   付けた第２ピニオンと噛合し、該第２ピニオンは
   同じカセツトの版胴の軸に取付けた第３ピニオン
   と噛合することを特徴とする版型可変オフセツト
   印刷機。 ４ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、上記圧胴は横方向軸線回り
   に枢動可能に取付けた可動支持装置を構成する２
   個の側部部材間に空転するように取付けられ、支
   持装置の下方に配置され且つ基枠部材の基部に当
   接する流体作動アクチユエータによつてその位置
   が調節されるようにされていることを特徴とする
   版型可変オフセツト印刷機。 ５ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、上記２個の上方横断レール
   の第１レールはその上部が水平な平坦部分とされ
   た部分円筒棒材によつて形成され、このレールに
   配置された上方ローラはこの平坦部分を転動し、
   カセツトの上記側部部材の各々は第１レールに対
   面するその垂直縁に円弧状ノツチを有し、該ノツ
   チの円弧を形成する円の半径は第１レールの円筒
   部分の半径に相当し、該ノツチのその側部部材下
   端からの高さはカセツトが印刷機に挿入されると
   きに実質的に第１レールの水準にあるようにさ
   れ、さらに、上記２個の上方横断レールの第２レ
   ールはその上面に三角形断面の溝を有し、このレ
   ールに配置される上方ローラは双円鍾形とされ、
   カセツトの上記側部部材の各々は第２レールに近
   いその垂直縁にノツチを有し、該ノツチの水平に
   対して傾斜上面は、基枠部材のそれぞれに取付け
   られた流体作動アクチユエータのロツド端部を受
   ける支持面を形成し、流体作動アクチユエータの
   軸線は対応する側部材の上記支持面に対してほぼ
   直角となつていることを特徴とする版型可変オフ
   セツト印刷機。 ６ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、カセツトの上記側部部材の
   各々の水平上端面は調節可能なストツパに当接
   し、該ストツパの位置はストツパに設けたタツプ
   穴に螺合されるねじ付端部を有するロツドにより
   調節されることを特徴とする版型可変オフセツト
   印刷機。 ７ 特許請求の範囲第６項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、カセツトの上記側部部材の
   少くとも１つはその水平上端面に水平なＶ形溝を
   具え、該Ｖ形溝に同様にＶ形とされた上記ストツ
   パの下端部が係合し、上記調節ロツドの軸線は水
   平に対してわずかに傾斜し、上記ストツパの下端
   部もロツド軸線に対して同角度だけ傾斜して該ス
   トツパ下端部は水平となつていることを特徴とす
   る版型可変オフセツト印刷機。 ８ 特許請求の範囲第１項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、印刷機は上記圧胴の下方
   に、印刷機の前面側基枠部材から張り出すように
   前方に引出すに適した横方向に可動な支持装置
   と、該支持装置の前端部に固着されてカセツトが
   印刷機から完全に引出されたときにカセツトの上
   記前面側部材を支持する支持手段とを具備してい
   ることを特徴とする版型可変オフセツト印刷機。 ９ 特許請求の範囲第８項記載の版型可変オフセ
   ツト印刷機において、上記可動支持装置は水平な
   台板を具備し、その両側端はガイドローラ間を通
   り且つその前端部には垂直なブラケツトが固着さ
   れ、該ブラケツトの上面にはノツチが形成されて
   カセツトの上記前面側部材の中高部に横方向軸線
   を有する水平ピポツト軸に枢着されたアーム端部
   に係合し、これによつてカセツトを完全に取外す
   ことができるとともにその他の外部手段を用いる
   ことなくカセツト取外し位置においてカセツトを
   上記可動支持装置に支持せしめるようにしたこと
   を特徴とする版型可変オフセツト印刷機。