JPH0372467B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインパクト方式のプリンタの印字ヘツ
ドに係り、特に永久磁石の吸引力で蓄えられたば
ね部材の歪エネルギーを、電磁石の磁束による永
久磁石の吸引力の打消しにより、吸引部材に与え
るキヤンセル型のプリンタの印字ヘツドに関する
ものである。

インパクト方式のプリンタの印字ヘツドは、大
略的に電磁石の吸引力によりばね部材を偏倚させ
て、このばね部材に歪エネルギーを蓄え、電磁石
の吸引力の解除により、ばね部材の歪エネルギー
を印字動作力として作用させる形式のもの、所謂
電磁石駆動形式のものと、永久磁石による吸引力
によりばね部材を偏倚させて、このばね部材に歪
エネルギーを蓄え、電磁石の磁束による永久磁石
の吸引力を打消すことにより、ばね部材の歪エネ
ルギーを印字動作力として作用させる形式のも
の、所謂キヤンネル形のものとがある。

前述したキヤンネル形の印字ヘツドは、電磁石
駆動形式のものにくらべて種々の利点を有するの
で、近年多用化されている。

この種の印字ヘツドにおいては、ばね部材の偏
倚により蓄えられた歪エネルギーによつて印字ワ
イヤやこれを備える吸引部材を飛行させている。
すなわち、ばね部材のばね力が即印字ワイヤの印
字エネルギーとなるので、このばね部材のばね力
の大小が印字品質に大きな影響を与える。

しかし、従来のこの種の印字ヘツドにおいて
は、ばね部材の一方端は固定支持されている。こ
のため、このばね部材のばね力は永久磁石の磁束
量あるいは電磁石の励磁力により調整しなければ
ならず、その調整管理が非常に難しいという憾み
があつた。 また、従来の印字ヘツドにおいて、
コイルばねにより可動体を駆動し、コイルばねの
吸引時の圧縮力を調整するようにしたものがあ
る。しかし、コイルばねを可動体と別個に設け、
印字ヘツドの中心部にばね機構を配するため全体
としてヘツドが大型化する。また、可動体の質量
が大きくなり高速化に適さない。

本発明は、ばね部材のばね力調整管理が容易で
あり、生産性が良好で、高速化に適した印字ヘツ
ドを提供することを目的とする。

本発明は、上記の目的を達成するために、永久
磁石および励磁した際に該永久磁石の吸引力を打
消す方向の磁界を発生するコイルを備えたヨーク
と、一端に印字ワイヤを備え該ヨーク側に吸引さ
れる吸引部材および該吸引部材の反印字ワイヤ取
付端側に板ばね部材を有するレバー部とを有し、
該永久磁石の吸引力により該ヨークの磁極面に吸
引され、該吸引の際の変位により該板ばね部材を
偏倚させ、該コイルの励磁による吸引解除時に該
板ばね部材の反発力を受けて該印字ワイヤを駆動
する印字ヘツドにおいて、該レバー部の回動支点
を該ヨークの磁極面と前記吸引部材の板ばね部材
との接続部とし、前記板ばね部材端部には孔また
は陥没部が形成されており、該板ばね部材の該孔
または陥没部と係合し前記コイルの非励磁時に前
記板ばね部材を前記ヨーク側に偏倚せしめると共
に前記板ばね部材の偏倚量を調節する押込み部材
を設けることとしたものである。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。第１図および第２図は本発明の印字ヘツドの
一実施例を示すものである。これらの図に示すよ
うに、本発明の印字ヘツドは、ガイドフレーム
１、ヘツドフレーム２およびアウタプレート３を
備える外枠構造で構成されている。ガイドフレー
ム１は印字ワイヤ４のガイド５Ａおよびそのセン
タガイド５Ｂを備えている。アウタプレート３の
外周には放熱を良好にするための突部６が形成さ
れている。

ヘツドフレーム２とアウタプレート３とによつ
て画成される空間内には、印字ワイヤ４を備える
レバー部７およびそのレバー部７の駆動機構７Ａ
が設けられている。レバー部７は第２図に示すよ
うにヘツドフレーム２内において半径方向にかつ
周方向に複数個設けられている。このレバー部７
は第３図に示すようにレバー体８、吸引部材９お
よびばね部材１０で構成されている。レバー体８
はその先端に印字ワイヤ４を固着している。吸引
部材９は透磁性材料で作られており、その一方に
レバー体８を固着しており、また他端に板状のば
ね部材１０を固着している。ばね部材１０の端部
にはそのばね力調整に供されるための孔１１を備
えている。

このレバー部７の駆動機構７Ａの構成は第１図
に示すように第１のヨーク１２、第２のヨーク１
３、これらのヨーク１２，１３間に配置した永久
磁石１４および第１のヨーク１２に設けたコイル
１５を備えている。第２のヨーク１３は第１のヨ
ーク１２の磁極面１２Ａに接近して配置された磁
極面１３Ａを有している。これらの磁極面１３
Ａ，１２Ａは吸引部材９に対向する。第１のヨー
ク１２、第２のヨーク１３、永久磁石１４および
吸引部材９は永久磁石１４およびコイル１５の磁
気回路を形成する。永久磁石１４は吸引部材９を
ヨーク側に吸引する磁束を発生する。コイル１５
はその励磁により永久磁石１４の磁束を打消すよ
うに設定されている。

第１のヨーク１２、第２のヨーク１３、永久磁
石１４およびアウタプレートはねじ１６によつて
ヘツドフレーム２に締め付け固定されている。レ
バー部７は通常時その吸引部材９が永久磁束によ
る磁気吸引力によつて第１のヨーク１２および第
２のヨーク１３の磁極面１２Ａ，１３Ａに吸着さ
れることによつてヨーク１２，１３の前面に配置
されている。このレバー部７の回動支点は第２の
ヨーク１３の磁極面１３Ａとこれに接触する吸引
部材９のエツジ部９Ａとによつて構成される。第
２のヨーク１３の印字用紙がわ面ににはサーポー
ト１７が設けられている。レバー部７の回動時、
その揺動を防ぐために、ヘツドフレーム２はレバ
ー部７のレバー体８を案内するレバーガイド１８
を備えている。

ばね部材１０のばね力を調整する手段は、ヘツ
ドフレーム２にねじ込んだ押込部材１９を備えて
いる。この押込部材１９はその先端にテーパ部２
０を備えている。このテーパ部２０は第４図に示
すようにばね部材１０の端部に設けた孔１１に係
合している。この押込部材１９の押込みおよび引
込みにより、ばね部材１０を偏倚させ、そのばね
力を調節することができる。

次に上述した本発明の印字ヘツドの一実施例の
動作を説明する。

印字開始前においては、吸引部材９は第１図に
示すように永久磁石１４の磁気的吸引力により、
第１のヨーク１２および第２のヨーク１３の磁極
面１２Ａ，１３Ａに吸着されている。このとき、
ばね部材１０は偏倚し、歪エネルギーを蓄えてい
る。この歪エネルギーに関連するばね力は押込部
材１９の押込みおよび引込みにより、調整するこ
とができる。

次にコイル１５に電流を流すと、永久磁石１４
の磁束が打消されるので、吸引部材９はばね部材
１０のばね力により磁極面１３Ａと吸引部材９の
エツジ部９Ａとによつて構成される回動支点を中
心にして回転変位する。このため、印字ワイヤ４
はガイドフレーム１のガイド４およびセンタガイ
ド５により案内され、その先端をインクリボン、
印字用紙を介してプラテンに打撃させる。この結
果、印字用紙には文字を構成するドツトが印字さ
れる。

上述した印字動作において、ばね部材１０は吸
引部材９との連結部と押込部材１９との係合部と
の間で片持ちばり状のたわみ曲線を呈するので、
必要以上の応力が作用しないものである。またレ
バー部７の回動支点は前述したように吸引部材９
のエツジ部９Ａとなるため、レバー部７の回転半
径はこのエツジ部９Ａと印字ワイヤ４との長さと
なり、従来のものにくらべて小さくなる。その結
果、レバー部７の慣性モーメントが小さくなり、
高速化が可能となる。

なお上述の実施例において押込部材１９とばね
部材１０の端部との係合を、押込部材１９の先端
に設けたテーパ部２０を、ばね部材１０の端部の
孔１１に挿入して構成したが、第５図に示すよう
にばね部材１０の端部にテーパ孔２１を設け、こ
のテーパ孔２１に押込部材１９のテーパ部２０を
接触係合させてもよい。さらに第６図に示すよう
に押込部材１９の先端に小径の軸体２２を形成
し、この軸体２２をばね部材１０の端部の孔２３
に挿入すると共に、押込部材１９の背面１９Ａを
ばね部材１０に接触させて構成してもよい。この
ように構成することにより、軸体２２と孔２３と
はレバー部７を案内保持するので、レバー部７の
回動支点や吸引部材９の位置決めを確実に行うこ
とができる。

上述した押込部材１９とばね部材１０との係合
構造の例によつて、ばね部材１０のばね力を十分
に調節し得ると共に、レバー部７の位置決め保持
を実現することができるが、印字動作の際は、ば
ね部材１０のばね力が受動して、そのたわみ曲線
が変化し、ばね部材１０とこれに対接する押込部
材１９の背面１９Ａとの接触面間に相対すべりが
生じ、この接触面が摩耗する。この摩耗量が増す
と、ばね力が変動することになる。このようなば
ね力の変動を生起させる前述した接触面の摩耗を
軽減するために、第７図に示すように、ばね部材
１０と押込部材１９の背面１９Ａとの間に耐摩耗
体２４を挿入したり、また第８図に示すようにば
ね部材１０と押込部材１９の背面１９Ａとにそれ
ぞれ耐摩耗体２４Ａ，２４Ｂを固着することが有
効である。

またばね部材１０と押込部材１９との係合部の
摩耗量を少なくするための係合部の構造として、
第９図に示すように押込部材１９の先端に突出部
２５を形成し、この突出部２５を、ばね部材１０
の端部に形成した陥没部２６に挿入させるように
構成してもよい。またこの第９図に示す例におい
て、接触面の減少や加工誤差を生じた場合には、
第１０図に示すように、接触部にポリイミド等の
耐摩耗性の薄膜２７を設けることが有効である。
さらに第１１図に示すようにばね部材１０の端部
に形成する陥没部２６Ａを、半円球状に形成し、
この半円状の陥没部２６Ａに押込部材１９の先端
を部分接触させるように構成してもよい。上述し
た押込部材１９はねじ体で構成したが、これに限
られるものではない。

また、上述の実施例において、ばね部材１０の
ばね力調整手段は、押込部材１９によりばね部材
１０の端部をヨーク側に押込むように構成した
が、第１２図に示すようにばね部材１０の端部と
第２のヨーク１３とを連結したねじ部材２８によ
つて、ばね部材１０の端部をヨーク側に引込むよ
うに構成することも可能である。またエツジ部９
Ａに微小の丸みを付けることも有効である。

以上述べたように、本発明によれば、可動体で
あるレバー体の一部が板ばね部材となつており、
しかもこの板ばね部材端部に孔または陥没部を設
け、押圧部材がこれと係合しばね力を調整してい
る。このため、構造が簡単でばね力調整も容易と
なり生産性を高めることができる。また、可動体
全体の軽量化により、高速化実現できる。更に、
押圧部材が可動体全体の位置を拘束することとな
り、位置ずれ等の問題がなくなり、生産性を高め
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の印字ヘツドの一実施例を示す
縦断側面図、第２図は第１図に示す本発明の印字
ヘツドの一実施例を一部断面に示す正面図、第３
図は本発明の印字ヘツドを構成するレバー部の斜
視図、第４図〜第１１図は本発明の印字ヘツドに
用いられるばね力調整手段のばね部材を押込部材
の係合構造の実施例を示す縦断側面図、第１２図
は本発明に用いられるばね力調整手段の他の例を
示す縦断側面図である。 １……ガイドフレーム、２……ヘツドフレー
ム、３……アウタプレート、４……印字ワイヤ、
７……レバー部、７Ａ……レバー部７の駆動機
構、８……レバー体、９……吸引部材、１０……
ばね部材、１１……孔、１２……第１のヨーク、
１３……第２のヨーク、１２Ａ，１３Ａ……磁極
面、１４……永久磁石、１５……コイル、１９…
…押込部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 永久磁石および励磁した際に該永久磁石の吸
   引力を打消す方向の磁界を発生するコイルを備え
   たヨークと、一端に印字ワイヤを備えた該ヨーク
   側に吸引される吸引部材および該吸引部材の反印
   字ワイヤ取付端側に板ばね部材を有するレバー部
   とを有し、該永久磁石の吸引力により該ヨークの
   磁極面に吸引され、該吸引の際の変位により該板
   ばね部材を偏倚させ、該コイルの励磁による吸引
   解除時に該板ばね部材の反発力を受けて該印字ワ
   イヤを駆動する印字ヘツドにおいて、 該レバー部の回動支点を該ヨークの磁極面と前
   記吸引部材の板ばね部材との接続部とし、 前記板ばね部材端部には孔または陥没部が形成
   されており、 該板ばね部材の該孔または陥没部と係合し、前
   記コイルの非励磁時に前記板ばね部材を前記ヨー
   ク側に偏倚せしめると共に、前記板ばね部材の偏
   倚量を調節する押込み部材を設けたことを特徴と
   する印字ヘツド。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツドにお
   いて、前記押込み部材の前記板ばね部材端部との
   係合は、前記押込み部材の先端に設けた小径の軸
   体に耐摩耗性部材を挿入し、該軸体を前記孔に挿
   入して得られることを特徴とする印字ヘツド。