JPH0344916B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はインパクト方式のプリンタの印字ヘツ
ドに係り、特に永久磁石の吸引力で蓄えられたば
ね部材の歪エネルギーを、電磁石の磁束による永
久磁石の吸引力の打消しにより、吸引部材に与え
るキヤンセル型のプリンタの印字ヘツドに関する
ものである。

インパクト方式のプリンタの印字ヘツドは、大
略的に電磁石の吸引力によりばね部材を偏倚させ
て、このばね部材に歪エネルギーを蓄え、電磁石
の吸引力の解除により、ばね部材の歪エネルギー
を印字動作力として作用させる形式のもの、所謂
電磁石駆動形式のものと、永久磁石による吸引力
によりばね部材を偏倚させて、このばね部材に歪
エネルギーを蓄え、電磁石の磁束による永久磁石
の吸引力を打消すことにより、ばね部材の歪エネ
ルギーを印字動作力として作用させる形式のも
の、所謂キヤンネル形のものとがある。

前述したキヤンネル形の印字ヘツドは、電磁石
駆動形式のものにくらべて種々の利点を有するの
で、近年多用化されている。

この種の印字ヘツドにおいては、ばね部材の偏
倚により蓄えられた歪エネルギーによつて印字ワ
イヤやこれを備える吸引部材を飛行させている。
すなわち、ばね部材のばね力が即印字ワイヤの印
字エネルギーとなるので、このばね部材のばね力
の大小が印字品質に大きな影響を与える。

しかし、従来のこの種の印字ヘツドにおいて
は、ばね部材の一方端は固定支持されている。こ
のため、このばね部材のばね力は永久磁石の磁束
量あるいは電磁石の励磁力により調整しなければ
ならず、その調整管理が非常に難しいという憾み
があつた。

本発明は上述の事柄にもとづいてなされたもの
で、ばね部材のばね力調整管理が容易であり、し
かもこのばね部材とこれに当接するばね力調節手
段との接合部の耐摩耗性を向上し得る印字ヘツド
を提供することを目的とする。

本発明は上記の目的を達成するために、磁気的
吸引力によつて吸引部材を移動せしめ、この吸引
部材に設けたばね部材の偏倚によつて得られる歪
エネルギーを衝撃印字動作とする印字ヘツドにお
いて、前記吸引部材はこれとの間で磁気回路を形
成するヨークの磁極面に回転支点を有し、前記ば
ね部材の端部の相対する位置に、これに当接して
ばね部材のばね力を調節するためのばね力調節手
段を設け、このばね力調節手段によるばね部材の
偏倚時に、ばね力調節手段の先端をばね部材に直
交するように係合せしめたものである。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。第１図および第２図は本発明の印字ヘツドの
一実施例を示すものである。これらの図に示すよ
うに、本発明の印字ヘツドは、ガイドフレーム
１、ヘツドフレーム２およびアウタプレート３を
備える外枠構造で構成されている。ガイドフレー
ム１は印字ワイヤ４のガイド５Ａおよびそのセン
タガイド５Ｂを備えている。アウタプレート３の
外周には放熱を良好にするための突部６が形成さ
れている。

ヘツドフレーム２とアウタプレート３とによつ
て画成される空間内には、印字ワイヤ４を備える
レバー部７およびそのレバー部７の駆動機構７Ａ
が設けられている。レバー部７は第２図に示すよ
うにヘツドフレーム２内において半径方向にかつ
周方向に複数個設けられている。このレバー部７
はレバー体８、吸引部材９および板状のばね部材
１０で構成されている。レバー体８はその先端に
印字ワイヤ４を固着している。吸引部材９は透磁
性材料で作られており、その一方にレバー体８を
固着しており、また他端に板状のばね部材１０を
固着している。ばね部材１０の端部には第３図に
示すように、そのばね力調整に供されるための孔
１１を備えている。

このレバー部７の駆動機構７Ａの構成は第１図
に示すように第１のヨーク１２、第２のヨーク１
３、これらのヨーク１２，１３間に配置した永久
磁石１４および第１のヨーク１２に設けたコイル
１５を備えている。第２のヨーク１３は第１のヨ
ーク１２の磁極面１２Ａに接近して配置された磁
極面１３Ａを有している。これらの磁極面１３
Ａ，１２Ａは吸引部材９に対向する。第１のヨー
ク１２、第２のヨーク１３、永久磁石１４および
吸引部材９は永久磁石１４およびコイル１５の磁
気回路を形成する。永久磁石１４は吸引部材９を
ヨーク側に吸引する磁束を発生する。コイル１５
はその励磁により永久磁石１４の磁束を打消すよ
うに設定されている。

第１のヨーク１２、第２のヨーク１３、永久磁
石１４およびアウタプレート３はねじ１６によつ
てヘツドフレーム２に締め付け固定されている。
レバー部７は通常時その吸引部材９が永久磁束に
よる磁気吸引力によつて第１のヨーク１２および
第２のヨーク１３の磁極面１２Ａ，１３Ａに吸着
されることによつてヨーク１２，１３の前面に配
置されている。このレバー部７の回動支点は第２
のヨーク１３の磁極面１３Ａとこれに接触する吸
引部材９のエツジ部９Ａとによつて構成される。
第２のヨーク１３の印字用紙がわ面にはサーポー
ト１７が設けられている。レバー部７の回動時、
その揺動を防ぐために、ヘツドフレーム２はレバ
ー部７のレバー体８を案内するレバーガイド１８
を備えている。

ばね部材１０のばね力を調節する手段は、ヘツ
ドフレーム２にねじ込んだ押込部材１９を備えて
いる。この押込部材１９はその先端にテーパ部２
０を備えている。このテーパ部２０は第３図に示
すようにばね部材１０の端部に設けた孔１１に係
合している。この押込部材１９の押込みおよび引
込みにより、ばね部材１０の端部を偏倚させ、そ
のばね力を調節することができる。押込部材１９
はその押込みによりばね部材１０の端部を偏倚さ
せたときに、押込部材１９の先端とばね部材１０
とが直交して係合するように配置されている。さ
らに詳しく述べると、押込部材１９は第１図、第
３図に示すようにばね部材１０の端部が偏倚した
ときに、この端部の撓みに対する法線方向に設け
られている。換言するならば、押込部材１９は第
３図に示すようにその軸線１９Ａが印字ヘツドの
軸線と平行な線Ｘに対して角度αをもつて傾斜し
て設けられている。

次に上述した本発明の印字ヘツドの一実施例の
動作を説明する。

印字開始前においては、吸引部材９は第１図に
示すように永久磁石１４の磁気的吸引力により、
第１のヨーク１２および第２のヨーク１３の磁極
面１２Ａ，１３Ａに吸着されている。このとき、
ばね部材１０は偏倚し、歪エネルギーを蓄えてい
る。この歪エネルギーに関連するばね力は押込部
材１９の押込みおよび引込みにより、調整するこ
とができる。

次にコイル１５に電流を流すと、永久磁石１４
の磁束が打消されるので、吸引部材９はばね部材
１０のばね力により磁極面１３Ａと吸引部材９の
エツジ部９Ａとによつて構成される回動支点を中
心にして回動変位する。このため、印字ワイヤ４
はガイドフレーム１のガイド４およびセンタガイ
ド５により案内され、その先端をインクリボン、
印字用紙を介してプラテンに打撃させる。この結
果、印字用紙には文字を構成するドツトが印字さ
れる。

上述した印字動作において、ばね部材１０は吸
引部材９との連結部と押込部材１９との係合部と
の間で片持ちばり状のたわみ曲線を呈するので、
必要以上の応力が作用しないものである。またレ
バー部７の回動支点は前述したように吸引部材９
のエツジ部９Ａとなるため、レバー部７の回転半
径はこのエツジ部９Ａと印字ワイヤ４との長さと
なり、従来のものにくらべて小さくなる。その結
果、レバー部７の慣性モーメントが小さくなり、
高速化が可能となる。

上述した押込部材１９のテーパ部２０とばね部
材１０の孔１１との係合構造の例によつて、ばね
部材１０のばね力を十分に調節し得ると共に、レ
バー部７の位置決め保持を表現することができる
が、印字動作の際は、ばね部材１０のばね力が受
動して、そのたわみ曲線が変化し、ばね部材１０
の孔１１とこれに対接する押込部材１９のテーパ
部２０との接触面間に相対すべりが生じ、この接
触面が片当り摩耗する。この片当り摩耗量が増す
と、押込部材１９の押込み、引込みによつても、
ばね部材１０のばね力の変動を調節することがで
きない。しかし、本発明によれば、押込部材１９
は軸Ｘに対して傾斜して設けられているので、押
込部材１９によるばね部材１０のばね力設定時、
ばね部材１０の端部のたわみ変形に応じて、押込
部材１９のテーパ面２０はばね部材１０の孔１１
と全面的に接触し、片当り接触しない。このた
め、両者の極部的な摩耗が防止され、ばね部材１
０のばね力は長期にわたつて安定化する。

第４図および第５図は本発明の印字ヘツドの他
の実施例を示すもので、これらの図において第１
図〜第３図と同符号のものは同一部分である。こ
の実施例は押込部材１９を印字ヘツドの軸線と平
行な軸Ｘに沿つてヘツドフレーム２に設け、この
押込部材１９によるばね部材１０の偏倚時に、こ
の押込部材１９のテーパ面２０とばね部材１０の
孔１１とが直交して係合するように、ばね部材１
０に予め変形を与えたものである。その変形はば
ね部材１０における吸引部材９との接合部に屈曲
部Ｂを設け、この屈曲部からばね部材１０の端ま
での部分を第５図の２点鎖線で示すように、押込
部材１９がわへ曲げて形成してある。

このように構成したことにより、押込部材１９
の押込みにより、ばね部材１０が偏倚したとき
に、押込部材１９のテーパ部２０は第５図の実線
で示すように、ばね部材１０の孔１１に均一に接
触し係合する。この結果、前述した実施例と同様
な効果を発揮することができる。

また、ばね部材１０の変形は上述の例に限ら
ず、第６図に示すように、ばね部材１０の吸引部
材９の接合部とその端部との間に屈曲部Ｂ１を設
け、ばね部材１０の端部がわを押込部材１９がわ
へ曲げて形成してもよい。

第７図は本発明の印字ヘツドのさらに他の実施
例を示すものである。この実施例は第５図、第６
図に示す実施例のように、ばね部材１０に屈曲部
Ｂ，Ｂ１を設けずに、ばね部材１０における吸引
部材９への接合部となる段差面９Ａを、傾斜面に
形成し、この傾斜面にばね部材１０を接合して、
ばね部材１０全体を押込部材１９がわに傾斜させ
たものである。

このように構成したことにより、前述した実施
例と同様に、ばね部材１０の偏倚時に、押込部材
１９のテーパ部とばね部材１０の孔１１とを均一
に接合させることができるものである。

なお、上述の実施例においては、押込部材１９
とばね部材１０との係合を、テーパ部２０と孔１
１との係合の場合について説明したが、第８図に
示すようなテーパ部２０とテーパ孔２１との係
合、また第９図に示すように押込部材１９の円柱
部１９Ａの先端に小径の軸体２３を形成し、この
軸体２３をばね部材１０の孔２４に挿入したも
の、さらに第１０図に示すように押込部材１９の
円柱部１９Ａの端面に対向するばね部材１０の面
に耐摩耗体２５を設けた係合についても、本発明
を適用することができるものである。またこれ以
外の係合についても同様である。

以上述べたように、本発明によれば、ばね部材
のばね力調節管理を容易に行えるので、印字品質
を向上させることができると共に、ばね力調節手
段とばね部材との係合を均一な接触とし得るの
で、ばね部材のばね力を長期にわたつて安定化さ
せることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の印字ヘツドの一実施例を示す
縦断側面図、第２図は第１図に示す本発明の印字
ヘツドの一実施例を一部断面に示す正面図、第３
図は第１図に示す本発明の印字ヘツドの一実施例
の要部を示す縦断側面図、第４図は本発明の印字
ヘツドの他の実施例を示す縦断側面図、第５図は
その要部の縦断側面図、第６図は本発明の印字ヘ
ツドのさらに他の実施例の要部を示す縦断側面
図、第７図は本発明の印字ヘツドの他の実施例の
要部を示す縦断側面図、第８図〜第１０図は本発
明に用いられるばね力調節手段とばね部材との係
合の他の例を示す縦断側面図である。 １……ガイドフレーム、２……ヘツドフレー
ム、３……アウタプレート、４……印字ワイヤ、
７……レバー部、７Ａ……レバー部７の駆動機
構、８……レバー体、９……吸引部材、１０……
ばね部材、１１……孔、１２……第１のヨーク、
１３……第２のヨーク、１２Ａ，１３Ａ……磁極
面、１４……永久磁石、１５……コイル、１９…
…押込部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁気的吸引力によつて吸引部材を移動せし
   め、この吸引部材に設けたばね部材の偏倚によつ
   て得られる歪エネルギーを衝撃印字力とする印字
   ヘツドにおいて、前記吸引部材は、これとの間で
   磁気回路を形成するヨークの磁極面に回動支点を
   有し、前記ばね部材の端部の相対する位置に、こ
   れに当接してばね部材のばね力を調節するための
   ばね力調節手段を設け、このばね力調節手段によ
   るばね部材の偏倚時に、ばね力調節手段の先端を
   ばね部材に直交するように係合せしめたことを特
   徴とする印字ヘツド。 ２ ばね力調節手段は、偏倚時に生じるばね部材
   端部の撓み部に対して法線方向に配置されている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の印
   字ヘツド。 ３ ばね部材は、印字ヘツドの軸線と平行に配置
   したばね力調節手段に対して、ばね部材の偏倚時
   にばね部材の端部とばね力調節手段とが直交する
   ように、予変形を与える屈曲部を備えたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツ
   ド。 ４ 屈曲部は、ばね部材における吸引部材の接合
   部に形成されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第３項記載の印字ヘツド。 ５ 屈曲部はばね部材におけるばね力調節手段と
   の係合部と吸引部材への接合部との間に形成され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第３項記
   載の印字ヘツド。 ６ ばね部材は印字ヘツドの軸線と平行に配置し
   たばね力調節手段による偏倚時にばね部材の端部
   とばね力調節手段とが直交するように、吸引部材
   に傾斜して接合固定されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の印字ヘツド。