JPH0367955B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、中高層建物を建築する場合に建物内
部に機材（鉄筋、コンクリート型枠、仮設足場
等）を搬入したり建物内部から外部へと搬出する
に好適な水平方向に伸縮可能な多段伸縮ブームを
有する荷役装置に関する。

本発明者らは既に第１図に示すような多段伸縮
ブームを有する荷役装置を開発している。この荷
役装置は、マスト１に対し、昇降装置２により昇
降可能に、かつ旋回輪１２を介してマスト１を中
心に旋回可能に旋回体３を取付け、該旋回体３に
多段伸縮ブーム４を取付けてなるものである。昇
降装置２は、マスト１に着脱可能にピン付けされ
かつピンを外せば上下に昇降させることのできる
ガイドフレーム１３およびストツパフレーム１４
と、両フレーム１３，１４間に取付けた昇降シリ
ンダ１５とからなり、旋回輪１２はガイドフレー
ム１３と旋回体３との間に介在させてある。ブー
ム４は複数本（本例においては４ａ〜４ｄの４
本）の筒状またはラチス状ブームを伸縮可能に組
合わせてなり、旋回体３に軸１０を中心として起
伏シリンダ１１により起伏自在に取付けてある。
該ブーム４は水平向きにして旋回体３に固設され
る場合もある。該ブーム４の伸縮装置については
図示していないが、ロープ式、シリンダ式、ねじ
式等の伸縮装置が用いられる。５は第１段ブーム
４ａ上の巻上ウインチ６に巻取り繰出しされる巻
上ロープであり、該巻上ロープ５はブーム４の内
部または図示のように外部を通してブーム先端の
ガイドシーブ８に掛け、吊荷１６を吊る吊具９を
垂下してなる。運転席は旋回体３上に設置される
が図示されていない。

このような荷役装置によれば、建物の側部開口
部１８を介して吊荷１６の出し入れができるか
ら、建物内へ吊荷を搬入したり建物外へ搬出した
い場合には、従来のように床１９に吊荷用開口部
を設け、該開口部を介して吊荷を上下させたり、
吊荷をたぐり寄せる必要がなく、作業者の労力の
軽減と安全性の向上に寄与し、また雨や雪のよう
な場合でも天井を予め設けておくことによつて荷
役作業を行うことが可能となり、かつ前記床１９
に設ける吊荷用開口部を塞ぐ必要もないため、工
期の短縮に寄与しうるものである。

本発明は上述のような多段伸縮ブームを有する
荷役装置において、建物内にブーム旋回動作の障
害となる柱や障害物がある場合にも支障なく作業
を行うことができ、しかも巻上ロープの仕込みも
容易となる構成の荷役装置を提供することを目的
とする。

この目的を達成するため、本発明においては、
前記多段伸縮ブームの最先端ブーム又は中間ブー
ムに、旋回装置および巻上装置を備えたジブを着
脱自在に取付け、前記ブームの先端およびジブの
先端よりそれぞれ巻上ロープを介して吊具を垂下
したことを特徴とする。

以下本発明の詳細を図面により説明する。第２
図ないし第６図は本発明の一実施例であり、第１
図と同じ符号は同じ機能を有するものを示す。中
間ブームにジブを備えた場合を示すが、第２図な
いし第４図に示すように、本実施例においては、
第３段ブームである中間ブーム４ｃの先端部にブ
ラケツト４１を固設し、該ブラケツト４１にピン
やボルト、ナツト等の取付け具４２により取付け
台４０を着脱自在に取付け、該取付け台４０に、
旋回装置２０により旋回自在にジブ２１を取付
け、該ジブ２１には巻上ウインチ２２と、該巻上
ウインチ２２により巻取り繰出しされる巻上ロー
プ２３と、ジブ２１の先端に取付けられて巻上ロ
ープ２３を掛けるガイドシーブ２４と、吊具２５
とからなる巻上装置を備える。ここでジブ２１を
取付ける中間ブームは第２段ブーム４ｂでも差支
えない。なお、旋回装置２０の詳細構造について
は図示していないが、該旋回装置は、巻上ロープ
５の通過部を有する取付台４０上に載設された内
輪２０ｂと、該内輪２０ｂにより回転可能に支持
される外輪２０ａと内輪または外輪に取付けられ
たピニオンを有する旋回用モータ（図示せず）と
外輪または内輪に取付けられて前記ピニオンと噛
合する内噛歯車（図示せず）とからなり、外輪に
ジブ２１を取付けてジブ２１が前記旋回用モータ
の作動によつて旋回するように構成される。外輪
により内輪を支持する構造も勿論採用しうる。巻
上ウインチ２２はモータとドラムからなるもので
あつて、モータとしては、旋回装置２０における
電気的接続および多段伸縮ブーム４の伸縮に伴な
う電気的接続を摺動子やケーブルリール等を用い
ることにより容易に行える点を考慮すれば、電気
モータを用いる方が有利ではあるが、油圧モータ
も用いることもできる。

このような構成とすれば、第５図に示すよう
に、建物の窓側の壁２６間の開口部１８の巾が狭
く、ブーム４の旋回範囲が狭い場合であつても、
ジブ２１の部分を建物内部に挿入し、旋回装置２
０の旋回用モータを作動させることにより、柱２
７等が障害にならない範囲内において、ジブを２
１′に示すように旋回させ、これによつて第１図
に示した荷役装置によつては行えなかつた場所の
荷役を行うことが可能となる。また、旋回装置２
０を作動させてジブ２１を旋回させることによ
り、建物内において機材のとりまとめやばらし作
業が行える。

さらに、第６図に示すように、ジブ２１または
ブーム４がその上方または下方を通過することが
できないような障害物２８の後方で荷役作業を行
おうとする場合、第１図に示した荷役装置によつ
ても全く不可能であつたが、本実施例によれば、
図示のように旋回装置２０によつてジブ２１を障
害物２８の後方に回り込ませることにより、前記
吊具２５を障害物２８の後方に位置させて荷役作
業を行うことが可能となる。

また、ジブ２１により垂下した吊具２５を上下
させるようにするには、ブーム４側に巻上ウイン
チを設け、旋回装置２０にはジブの旋回を許容す
るような特殊なガイドシーブを取付けてブーム側
からの巻上ロープを掛けるような構成も採用しう
るが、本発明のようにジブ２１上に巻上ウインチ
２２を設けることにより、ワイヤロープの仕込み
が簡素になる。また、前記機材のとりまとめやば
らし作業のように作業半径の小さい作業はジブ２
１上の巻上装置や旋回装置２０を用いて行えるた
め、本体側の旋回体３の旋回装置や巻上ウインチ
６を用いる必要がなく、省エネルギー効果があげ
られる。

また本発明によるジブ２１を取付ける場合、巻
上装置としては、ジブ２１に設けるもの以外に、
ブーム４に巻上ウインチ６を設けて最先端ブーム
４ｄから吊具９を垂下した構造とすることによ
り、第７図に示すように、２つの吊具９，２５か
らそれぞれ垂下したワイヤロープ２９，３０を長
物３１に掛けて２点吊りすることにより、長物の
荷役を行うことが可能であり、また、旋回体３の
旋回時に荷振れが生じることがなく、さらにブー
ム４の先端で吊荷である長物３１の向きを変更で
きるので、吊荷の位置合わせ等の荷役効率を上げ
ることができる。また、ジブ２１による作業が不
要である場合にはジブ２１を巻上装置と旋回装置
２０と共に取外して作業を行うことにより、ブー
ム４の吊り荷重を増大させることができる。ま
た、巻上ウインチ２２を含む巻上装置がブーム４
から完全に分離されてユニツト化されているた
め、ジブの取付へ取外し時に巻上ロープ２３を掛
ける作業が不要となる。

第８図は本発明の他の実施例であり、本実施例
は、旋回装置２０の被回転側となる外輪２０ａ上
に設けたブラケツト３２にピン３３を中心として
起伏自在にジブ２１を取付け、外輪２０ａとジブ
２１との間には起伏シリンダ（この代わりにスク
リユーロツドとモータによる伸縮装置も用いられ
る）３４を取付けたものである。このようにジブ
２１を起伏させることができるようにすれば、高
低方向の作業範囲を広げることができる。

以上は中間ブーム４ｃにジブ２１を設けた実施
例を示したがジブ２１は最先端ブーム４ｄに取り
付けてもよい。

以上述べたように、本発明の荷役装置は、多段
伸縮ブームをマストに沿つて昇降可能な旋回体に
取付けたものにおいて、最先端または中間ブーム
に旋回装置および巻上装置を備えたジブを着脱自
在に取付け、ブームの先端およびジブの先端より
それぞれ巻上ロープを介して吊具を垂下したもの
であるから、ブームにジブを取付けた状態におい
ては、ブームを差し込む建物の開口部が狭く、ブ
ームを旋回させることができないような場合でも
ジブを旋回させることによつて、広い作業範囲に
わたつて荷役作業を行うことができ、かつ途中に
障害物がある場合にも、その障害物の後方の荷役
を行うことが可能となり、作業性が向上し、作業
者の負担も軽減される。また、ジブ自体に巻上装
置を備えたので、吊荷の移動量の少ない作業はブ
ーム旋回用の旋回装置やブームから垂下した吊具
がある場合のいわば主巻ロープの巻上装置を使用
せずに作業を行えるので、省エネルギー効果があ
げられる。また、ジブ自体に巻上装置を備えたこ
とにより、本体側の巻上ウインチを用いる場合に
比べて巻上ロープの仕込みが簡素化できる。ま
た、ブームとジブよりそれぞれ吊具を垂下したの
で、両吊具により２点吊りし、長物を荷振れが生
じることなく安定に支持して荷役作業を行うこと
ができる。また、ブームの先端で吊荷である長物
の向きを変更できるので、吊荷の位置合わせ等の
荷役効率を上げることができる。

また、ジブは着脱自在であるから、ジブを取外
した状態で作業を行うことも可能であり、その場
合には、吊り荷重を増大させることができる。ま
た巻上装置はジブにも取付けられユニツト化され
るから、ジブの取付け取外し時にジブに巻上ロー
プを掛ける作業が不要となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明者らが既に開発している荷役装
置を作業状態にて示す側面図、第２図は本発明の
一実施例を第１図に対応して描いた側面図、第３
図は該実施例の要部を示す側面図、第４図は第３
図の平面図、第５図および第６図は該実施例の作
業状況を示す平面図、第７図は該実施例の他の作
業状況を示す側面図、第８図は本発明の他の実施
例を示す側面図である。 １……マスト、２……昇降装置、３……旋回
体、４……多段伸縮ブーム、２０……旋回装置、
２１……ジブ、２２……巻上ウインチ、２３……
巻上ロープ、２４……ガイドシーブ、２５……吊
具。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ マストに昇降可能に旋回体を取付け、該旋回
   体に水平方向に伸縮可能な多段伸縮ブームを取付
   けた荷役装置において、前記多段伸縮ブームの最
   先端ブーム又は中間ブームに、旋回装置および巻
   上装置を備えたジブを着脱自在に取付け、前記ブ
   ームの先端およびジブの先端よりそれぞれ巻上ロ
   ープを介して吊具を垂下したことを特徴とする荷
   役装置。 ２ 前記ジブを起伏させる起伏装置を付設したこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の荷役
   装置。