JPH0367490B2 - - Google Patents

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JPH0367490B2
JPH0367490B2 JP20578683A JP20578683A JPH0367490B2 JP H0367490 B2 JPH0367490 B2 JP H0367490B2 JP 20578683 A JP20578683 A JP 20578683A JP 20578683 A JP20578683 A JP 20578683A JP H0367490 B2 JPH0367490 B2 JP H0367490B2
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sheet
stretching
polymer
film
modulus
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Tomoyuki Minami
Kunyoshi Itoyama
Takamichi Yamakawa
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、新規な超弾性率一軸延伸結晶性高分
子フイルムあるいはシートの製造法に関するもの
である。さらに詳細には、公知の高結晶性ポリマ
からなり可能な限りからみ合いの少ない原ゲルあ
るいは単結晶シートを、規定された条件で押圧
後、延伸、熱処理することによつて超延伸され
た、結晶性、弾性率及び寸法安定性が極めて高い
超弾性率一軸延伸結晶性高分子フイルムあるいは
シートの製造方法に関するものである。 〔従来技術〕 従来の高分子シートあるいはフイルム工業にお
いては、結晶弾性率値に対して著しく低い弾性率
値の一軸延伸成形品しか製造できていなかつた。 例えば、市販されている一軸高延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフイルムの配向方向の引張弾性
率は800Kg/mm2であり、これは結晶弾性率値10800
Kg/mm2の7.4%にしか相当しない。市販ポリプロ
ピレンフイルムの引張弾性率は、最も高い弾性率
の方向を選んだとしても400Kg/mm2で、ポリプロ
ピレンの結晶弾性率値3400Kg/mm2の11.8%にしか
相当しない。市販ナイロン6フイルムの配向方向
の引張弾性率は170Kg/mm2でナイロン6の結晶弾
性率値16500Kg/mm2の僅か1%にしか過ぎない。
また市販高密度ポリエチレンフイルムの配向方向
の引張弾性率は150Kg/mm2で、これは側鎖のない
ポリエチレンの結晶弾性率値23500Kg/mm2の僅か
0.64%にしか過ぎない。このように従来技術によ
る延伸フイルムあるいはシートは、本来有する高
分子結晶の弾性率値と比べて著しく低位で、分子
の性質がバルクの性質に十分に発現していなかつ
た。 一方、金属とプラスチツク溶融射出成形品につ
いて、引張強度、引張弾性率、熱膨脹係数を比較
すると表1に示したように差異があり、構造材料
として二次元、三次元成形品として高分子材料単
独で金属材料を代替することが期待できなかつ
た。また、共有結合の繰り返しからなる線状高分
子の本質から、理想的に分子鎖を伸張し、これを
よく引き揃え結晶化した高分子を得ることができ
れば、一軸方向において高い弾性率を示すことは
既に理論的に知られている。例えば、高分子化
学、26、817(1969);J.Polymer.Sci.、C、15
75(1966)、31、57(1970);Polymer.J.、226
(1970);化学、37 7、534(1982)などに細い繊
維について結晶弾性率の計算値、実際値が示され
ている。全ての公知の高結晶性高分子について結
晶弾性率値が知られているわけではないが、計算
および実測ができるものである。このことから、
理論上では、広幅のフイルムの一軸方向、より厚
物であるシートの一軸方向について金属に匹敵す
る弾性率が得られると予想されるが、具体的に知
られていない。 〔発明の目的〕 本発明の目的は、上記の従来技術では達成でき
なかつた金属箔や板もしくは部品に代替可能、ま
たは、電気絶縁材として小形化可能な弾性率の高
い一軸延伸結晶性高分子フイルムあるいはシート
の製造方法を提供せんとするものである。 〔発明の構成〕 本発明は、上記目的を達成するため、次の構成
すなわち、 (1) 結晶性高分子重合体溶液から、脱溶媒自由ゲ
ルシートあるいは単結晶沈澱マツトシートを形
成し、該シートを線圧10〜5000Kg/cmで圧延あ
るいは面圧100〜10000Kg/cm2で圧縮成形して押
圧シートとし、該シートを一軸延伸し、次いで
熱処理する超弾性率一軸延伸結晶性高分子フイ
ルムあるいはシートの製造方法、 を特徴とするものである。 本発明における結晶性高分子とは、熱可塑性樹
脂であつて、X線的にみて結晶性の回析を示す高
分子であり、具体的には、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリ4−メチルペンテン1などのポリ
オレフイン、アイソタクチツク状のポリスチレ
ン、アイソタクチツク状あるいはシンジオクタチ
ツク状ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エ
チレンテレフタレート)、ポリ(ヒドロキシブチ
ラート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ
(ブチレンテレフタレート)、ポリエチレン−α、
β−ビス(フエノキシ)エタン4,4′−ジカルボ
キシレート、ハイドロキノン、レゾルシンを含む
全芳香族ポリアリレート、およびこれらのハロゲ
ン基、メチル基、芳香環基による核置換ポリ(エ
ステル)を含むポリ(エステル)、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12およびテレ
フタル酸、ビフエニルジカルボン酸、ナフタリン
ジカルボン酸とジアミンからなるポリ(アミド)
およびこれらのハロゲン基、メチル基、芳香環基
による核置換ポリ(アミド)を含むポリ(アミ
ド)、ジカルボン酸とジアルデヒドからなるポリ
(アゾメチン)およびハロゲン基、メチル基、芳
香環基による核置換ポリアゾメチン、ポリビニル
アルコール、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(ア
クリロニリトリル)、ポリ(テトラフルオロエチ
レン)、ポリフツ化ビニリデン、ポリフツ化ビニ
ル、フツ化エチレン−プロピレン共重合体、ポリ
クロロトリフロロエチレン、4フツ化エチレンと
6フツ化プロピレン共重合体あるいはパーフロロ
アルコキシ共重合などのフツ素系共重合体などを
含むものである。 これらの結晶性高分子のうち、好ましいものは
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフ
ルオロエチレン)、ポリ(アクリロニトリル)、ポ
リビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、全
芳香族ポリアミドである。 本発明のフイルムの製造方法は、前記の結晶性
高分子の重合体溶液から、脱溶媒自由ゲルシート
あるいは単結晶沈澱マツトシートを形成し、その
シートを線圧10〜5000Kg/cmで圧延あるいは面圧
100〜10000Kg/cm2で圧縮成形して押圧シートと
し、該シートを一軸延伸し、次いで熱処理するこ
とにより超弾性率一軸延伸フイルムを得ることが
できる。 以下に、上記の方法の詳細を説明するが、これ
に限定されるものではない。 前記した結晶性高分子と溶媒からなる重合体溶
液を準備する。ただし、この溶液に用いられる溶
媒は、溶液の沸点近くにおいて完全に均一溶液に
なるものを公知の溶媒の中から選定したものであ
る。 この結晶性高分子重合体から、公知の方法で脱
溶媒自由ゲルシート(以下、重合体ゲルシートと
いう)あるいは単結晶沈澱マツトを形成する。 「ゲル」は、異種液体に包囲された分子鎖の3
次元網状構造体であつて、重合体鎖のうち多数が
別の重合体鎖と結合点を含んでいることを意味す
る。 本発明でいう重合体ゲルシートは重合体鎖間の
結合点は化学結合でもよいけれども、結合点の一
部分、または全部ではないにしても大部分は結晶
化による鎖の結合によるものである。結晶がばら
ばらに相互の結合のない場合は高分子単結晶であ
るが、この単結晶の多重層を形成する単結晶沈澱
マツトシートも好ましく使用できる。ゲルシート
と単結晶マツトの混合物も本発明では使用され得
る。ゲルは実質的に密着的であり、壊すことなく
積み上げられ、単結晶マツトは比較すれば壊れ易
いが、後記の圧延あるいは圧縮成形により有効に
使用できる。 本発明の重合体ゲルあるいは重合体結晶沈澱
は、溶液または膨潤塊のいずれかとして均一溶液
系から調整することができる。重合体が少なくと
も一部を結晶状態で含有する重合体ゲルを形成す
る好ましい方法は、重合体を溶媒に添加し、溶媒
の沸点近くで加熱し、撹拌し、重合体が、溶解前
の結晶状態の根跡を全く失うまで均一に溶解させ
た後、撹拌と加熱を中止し、重合体溶液が過飽和
になる温度まで冷却し、ゲル状あるいは単結晶状
の重合体を沈澱させることができる。溶媒の選択
は極めて重要で、ポリマの種類により異なる。も
ちろん溶媒を飛散させてもよく、非溶媒の添加あ
るいは非溶媒への添加によつてゲル化シートある
いは単結晶状重合体シートを形成してよい。後に
続く延伸工程の延伸倍率向上から、重合体ゲルあ
るいは単結晶状重合体形成時には撹拌をしない方
が好ましい。これらの方法によるゲルは、溶剤を
容易に絞り出し可能な状態で調整できる脱溶媒自
由ゲルであり、濾紙にはさんだり、軽いニツプロ
ールで脱溶媒可能である。さらに非溶媒に浸漬
し、溶媒を抽出してもよい。 重合体溶液の濃度は、重合体の種類と分子量、
溶媒の種類によつて異なるが、ある種の高分子量
重合体では約10重量%より多量含有する溶液をつ
くることは困難であるが、その他のある重合体で
は約50重量%含有する膨潤塊を調整することもで
きる場合がある。工業的に生産性を向上する上で
は、少なくとも0.5重量%以上で、できるだけ高
濃度の重合体溶液を使用することが勧められてい
る。比較的低分子量(1×105より小さい平均分
子量)の重合体からもゲルを生成することは可能
であるけれども、比較的高分子量の重合体の方
が、結晶度の高いゲルを生成し、後工程でより延
伸倍率を向上し、弾性率のより高い成形品を得る
とができる故に好ましい。重合体の種類や分子量
により、溶解性が困難な場合に、圧力容器内で加
熱することにより溶媒の沸点を高め溶解性を向上
させることは好ましい。 本発明における脱溶媒自由ゲルシートあるいは
単結晶沈澱マツトシートの形成に用いられる重合
体は、前記した結晶性高分子重合体である。ただ
し使用される重合体鎖の全部が高分子量である必
要はなく、低分子量物質と較べてわずかに10重量
%の高分子量重合体で満足なゲルを製造可能であ
ることが見出されている。超高分子量重合体とし
ては、ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)、ポ
リ(テトラフルオロエチレン)などでは商業的に
市販されており、その分子量は本発明を満たすに
十分に高い。すなわち、上記高分子では1×105
より好ましくは5×105またはそれより大きい平
均分子量で一般に入手可能であり、本発明に使用
するのはすぐれて適当である。他方において、ポ
リ(アミド)例えばナイロン6あるいはポリ(エ
ステル)例えばポリ(エチレンテレフタレート)
の品種は、繊維、フイルム、成形品用に入手可能
であるが、一般的には1×105より小さい平均分
子量を有しており、本発明のフイルムあるいはシ
ートに使用するのに不十分な特性しか発現しない
場合がある。そのため後固相重合による高分子量
化、二官能性物質、三官能性物質、四官能性物質
添加による高分子量化、星状高分子の形成など、
より高分子量化されることが好ましい。 脱溶媒自由ゲルシートあるいは単結晶沈澱マツ
トシートは湿式法及び乾湿式法によつてシート化
することができる。 湿式法で製膜する場合は該原液は賦型口金から
出ると直ちに製膜用浴中に導入されるか又はその
まま空気層を通じて該浴中へ導入されるか、又は
該浴中で賦型口金から該原液を押し出す方法など
がある。 乾湿式法で製膜する場合は該原液は賦型口金か
ら適当なロール等の支持体上に押し出し被膜に形
成される。また被膜形成方法としては上記の他に
ロールコーテイング法、ナイフコーテイング法、
アプリケータ、口金による方法及びこれらを併合
した方法等がある。 かかる被膜層を次いで乾式過程に供給する。そ
して、かかる被膜層から溶媒を飛散させて濃縮
し、被膜を自己支持性のものにする。 次に、脱溶媒自由ゲルシートあるいは単結結晶
沈澱マツトシートを線圧10Kg/cm〜5000Kg/cmで
圧延あるいは面圧50Kg/cm2を越えた値、好ましく
は100Kg/cm2〜10000Kg/cm2で圧縮成形することに
より押圧シートを形成する。なお、圧延は、少な
くとも一対のロールでシートをはさみ、両ロール
の軸芯間に付与される力(線圧)でシートに押圧
力を付与し延伸するものである。また圧縮成形
は、シートに面圧を付与し成形するものである。 なお、本発明の手順による結晶性重合体から形
成したゲルあるいは単結晶は、通常溶媒を含有し
ており、溶媒を排出させる程度の極めて低い押圧
を予めかけて実質的に溶剤を除去することが好ま
しい。 本発明の脱溶媒自由ゲルシートあるいは単結晶
沈澱マツトシートでは、シートの平面からの広角
X線回析パターンはシヤープな回析リングが現わ
れ、通常の溶融押出シートの広角X線回析パター
ンであるハローなリングが現われることと異な
る。本発明の例をポリエチレチンで示すならば、
正斜方晶形の(110)、(200)面に起因するシヤー
プな回析リングが現われ、結晶性が高くなる。ま
た本発明の原シートの端面から見た広角X線回析
パターンもシヤープな回析リングが現われる。本
発明の強度の圧延あるいは圧縮成形で形成した押
圧シートにおいては、平面からの広角X線回析パ
ターンはシヤープな回析リングが現われるが、端
面からの広角X線回析パターンは、赤道方向より
子午線方向に回析強度が高くなる。このことは、
本発明における強押圧によりシート面に結晶面が
配列することである。 一般に、高分子固体や融体のように分子が密集
した状態では、分子鎖相互の交絡により「からみ
合い点」と呼ばれるある種の分子間の結合点が存
在する。延伸という工程で長大な分子鎖が複雑に
からみ合い、かつ不均質な組織から分子を解きほ
ぐし、理想的な分子配列の組織に再編成すること
は至難である。 一方、全くからみ合いのない原シートでは、延
伸時に分子間のすべりにより延伸性が劣る。本発
明の強押圧は適当なからみ合いを生成する点で有
利である。すなわち本発明は上記までの工程で、
からみ合いを小さくコントロールし、分子が伸長
しやすい分子凝集組織を作り出すものである。こ
れにより、従来より延伸倍率を格段に大きくし、
高配向、高結晶化できる。 押圧シート化は常温から融点の範囲内の最適温
度を選ぶことができるが、ガラス転移点以上で結
晶融解温度以下が好ましい。押圧を円滑に実施す
るために、予熱後、温度を高温に段階的に上昇す
るとか、弱い押圧後に強押圧を多数に実施すると
か、潤滑液を補助的に使用するなどの手段を採用
してもよい。 押圧シートは、続いて一軸延伸される。延伸法
としては幅固定一軸延伸法と幅自由一軸延伸法と
があるが、長さ方向の弾性率をより高めるには、
幅自由一軸延伸法がより好ましい。各延伸方式
は、次式のように体積(長さ×幅×厚さ)Sの変
化率が異なることにより、区別される。 幅自由一軸延伸;S=λ×λ-0.5×λ-0.5≦1 幅固定一軸延伸;S=λ×1×λ-1≦1 (λ;延伸倍率を示す。S=1は密度変化のない
場合を示すが、結晶性高分子では、一般の場合結
晶化度が増加するので密度変化がありS<1とな
る。) 本発明では、押圧シートを延伸する。延伸倍率
は特に限定されないが、25倍以上、より好ましく
は50倍以上の超延伸が望ましい。延伸は、少なく
とも一段延伸すればよいが、多段階に延伸するこ
とが好ましい。特に幅自由一軸延伸では25倍〜
200倍の超延伸倍率により長さ方向に超弾性率の
フイルムあるいはシートが得られる特徴がある。
延伸温度は、使用される結晶高分子の種類によつ
て異なるが、ガラス転移点以上、融点以下、好ま
しくはガラス転移点以上、結晶化温度近傍以下の
温度で延伸をする。二段階以上の延伸において
は、延伸温度を段階的に上昇するなど任意に条件
を選ぶことができる。 延伸後、フイルムあるいはシートは熱処理され
るが、その温度は、特に限定されないが結晶化温
度以上、融点以下の温度範囲であることが好まし
い。熱処理の方法としては、ある一定の温度で処
理することができるが、異なる温度で数段階に分
けて多段処理することもできる。熱処理は、フイ
ルムあるいはシートを制限収縮下または緊張状態
で施すが、長さ方向に高度の緊張を加えて熱処理
するのが好ましい。ある場合には減圧下、気体流
通下、あるいは長時間熱処理も採用される。 本発明においては、上記の一軸延伸、熱処理に
ゾーン延伸、ゾーン熱処理法を用いるのがより好
ましい。このゾーン延伸、熱処理は、非常に高い
張力とせまい加熱ゾーンとに特徴づけられること
は知られている(例えば、繊維と工業、Vol.38、
No.6、P−257(1982)、特公昭57−50175号公報な
ど)。ゾーン延伸とゾーン熱処理は、スリツト状
の狭い加熱炉を採用し、好ましくは複数個所一定
の間幅をおいて設け、それぞれの加熱炉の温度
を、上記の延伸、熱処理温度範囲の適当な温度と
しそれぞれの張力を周知の方法で制御することに
より、ゾーン延伸とゾーン熱処理とを連続的に行
なうことができる。 なお、スリツト状の加熱炉は、赤外線ヒータか
らの熱線を反射鏡で集め、これをスリツトを通し
てフイルムに照射するもの、あるいは、スリツト
内に熱板(棒)等を設けてその熱板からの熱線を
フイルムに照射するものなどを利用することがで
き、そのスリツト幅は1cm以下、好ましくは3mm
以下のものが望ましい。 本発明の方法によつて得られるフイルムあるい
はシートの厚さは、0.5ミクロン〜4ミリメート
ルに及ぶが、好ましくは1.5ミクロン〜600ミクロ
ン、さらに好ましくは4ミクロン〜100ミクロン
である。 なお、本発明では、ポリマ分子が独立したコイ
ル状態あるいはホールデイング結晶として存在す
るポリマ溶液を、この状態を維持しながら分子を
凝集固化し分子間からみ合い密度の非常に小さい
原シートとした後、強い押圧により、延伸時の分
子のほぐれ性に適した構造に変形することにより
超延伸可能としたものである。 そして、このようにして本発明の方法によつて
得られたフイルムあるいはシートの非晶領域につ
いて、複屈折と結晶化度から求めた非晶配向係数
は、少なくとも 0.6以上に達し、非晶部の分子鎖の凝集状態も、
高度の緊張、拘束状態にあるということができ
る。特にゾーン延伸、ゾーン熱処理の場合、得ら
れるフイルムあるいはシートは、弾性率が最高値
に達し、ポリエチレンの場合、18000Kg/mm2(約
180GPa)以上の極めて高い値を示す。 さらにゾーン延伸で押圧シートの結晶化を可能
なかぎり防ぎ、理想的に分子鎖を引きそろえ高配
列でき、ゾーン熱処理で、高配向を保持したま
ま、高結晶性の高次構造を形成することができ
る。以上の説明から明らかな通り、本発明からな
るフイルムあるいはシートの微細構造は、長さ方
向にほぼ完全に配向した結晶部と十分に長さ方向
に伸び切つた非晶部からなる高次構造を実質的に
形成していると思われる。 その結果として、フイルムの機械特性として、
長さ方向の弾性率は、分子鎖の結晶理論弾性率値
に近づき、延伸方向の引張弾性率が結晶弾性率値
の30〜98%、好ましくは40〜95%のものが得ら
れ、従来のフイルム、シートに比べ飛躍的に高い
ものとなり、さらに非晶部が少なく、しかも非晶
部の分子鎖が十分に伸びきり密に充填しているの
で、常温近くでの温度膨脹係数が2×10-5/℃以
下、好ましくは1×10-5/℃以下と極めて小さ
い。このような特性は、フイルムあるいはシート
状で金属材料の代替とする場合に特に有効であ
る。 また、本発明によつて得られる結晶性高分子フ
イルムあるいはシートは、X線回折による結晶配
向係数が0.97以上とすることができるために弾性
率に優れ、また、結晶化度が65〜98%のものが可
能となることで寸法安定性に優れたものである。 (発明の効果) 本発明は、結晶性高分子溶液から、脱溶媒自由
ゲルシートあるいは単結晶沈澱マツトシートを形
成し、特定条件で押圧後、一軸延伸し、熱処理す
る方法としたので、超高弾性率を有し、かつ寸法
安定性の優れた一軸延伸フイルムが製造可能にな
つた。 その結果、本発明の方法により得られたフイル
ムあるいはシートは、一方向について金属に匹敵
する力学的特性を有し、金属箔あるいは鉄板、
Al板のような金属シート、または、機器の金属
部品などの代替として利用することにより小型軽
量化が可能となり、また、電気絶縁材として利用
することにより機器の小形化が可能となる。な
お、本発明の方法によつて得られたフイルムある
いはシートの用途はこれらに限定されるものでは
なく、セラミツクや通常用いられるフイルムある
いはシートの代替としても用いることができる。 〔実施例〕 本発明の一実施態様を具体的に説明する。な
お、実施例中の各測定項目は、下記の方法によつ
た。 (1) 結晶弾性率値: Macromolecules、10、413(1977)11、908、
914(1978)化学37 7、534(1982)などの文献
による。 (2) 結晶化度:ASTM D1505により密度を測定
し、計算する。 (3) 結晶配向係数:J.PolymerSci.Phys.、18
751(1980)文献によるX線回析による結晶配向
係数に準じた。 (4) 温度膨脹係数(α) 恒温恒湿槽に試長150mm、試幅10mmのサンプ
ルをセツトして定荷重(10g)を加える。湿度
15%RH一定で、温度20℃で原長L(mm)を求
め、温度を30℃に変更させて変化した寸法
(ΔL)(mm)を測定する。寸法変化は差動トラ
ンスを利用して電気量に変換し記録することに
よつて求める。 α=ΔL/(L×ΔT) ここで、ΔTは、温度の変化量、すなわち30
−20=10℃である。 (5) 引張弾性率 引張試験機による方法、動的粘弾性測定装置
による方法、可聴周波発振器(振動リード法)
を用いて行なつた。 引張試験による方法は、JIS C 2318−72に
準じ、23℃、60%湿度の条件で引張試験機(東
洋ボールドウイン(株)製“テンシロン”UTM−
形)を用い、試長25mm、歪み速度0.2mm-1
応力−歪み曲線を求め、その0.2%歪みでの接
線の勾配から弾性率を求めた。また振動リード
法による測定は、試料の一端を固定し、振動に
よる他端の振幅を顕微鏡で観察し、振幅が最大
となる周波数から弾性率を求めた。動的弾性率
は動的粘弾性測定装置((株)東洋ボールドウイン
製“レオバイブロン”)を用い、周波数3.5、
11、35、110Hzの4段正弦波、等温昇温2℃/
minで求めた。 次に本発明の実施例を説明する。 実施例 1 デカリン中における高分子量ポリプロピレン
(分子量5×105)の1%(重量/容積)溶液(全
量100ml中1g重合体)を完全に溶液になるまで
還流して調整した。ポリマ溶解後、溶液の撹拌と
加熱を中止し、溶液をビーカーに移し、室温で自
然放冷しポリマゲルを析出させた。温度が90℃か
らゲルが形成され始め、静止状態で析出したゲル
はビーカーの底にゆつくりと沈降する。ゲルの析
出と沈降が終了した時点で、金網で沈降ゲルを軽
くおさえ、上澄の液を除去した。さらに“テトロ
ン”125メツシユの網ではさみながら含まれてい
る溶媒を除いていき、最後に濾紙にはさんでガラ
ス板の間に放置する。こうしてできたゲルシート
に少量溶媒が含まれるため、これを取り除くため
アセトン中に2日間浸した。アセトンから取り出
したゲルシートは濾紙上で室温で風乾した。風乾
後のゲルシートを圧縮機にかけて、室温で2000
Kg/cm2の圧力下、30分間処理して延伸用試料とし
た。延縮成形前と後の広角X線回析パターンを比
較すると、本文で述べたように、Through方向
のパターンに比べて、End方向のパターンは大き
く変化している。 このようにして得られたポリプロピレンのゲル
シートを6cm×6cmに切断して延伸した。延伸方
式は均一加熱幅自由一軸延伸を行なつた。延伸
は、95℃で行ない、延伸倍率は試料を延伸前にあ
らかじめインクでマーキングして、延伸後のその
拡がりから求めた。超延伸性を示すものは、2段
階、3段階にわけて破断するまで延伸した。熱処
理は205℃で熱風炉で行なつた。 限界延伸倍率は34倍であつた。また、得られた
一軸延伸フイルムの長さ方向の引張弾性率は、
1850Kg/mm2(約18.5GPa)で、結晶弾性率値
(3400Kg/mm2)の54%に相当した。結晶化度72%、
結晶配向係数0.977、温度膨脹係数は0.5〜10-5
℃以下を示し:長さ方向について高配向、高結晶
性であり、その結果として、化学特性について、
引張弾性率が極めて高く、温度膨脹係数が極めて
小さい特徴を有している。 実施例 2 実施例1において、延伸、熱処理をゾーン延
伸、ゾーン熱処理に変えた以外は、全く同様に実
施した。ゾーン部分は、1.5KWの赤外ランプを
使用し、3mm幅に集光した時、4秒の加熱時間で
400℃に昇温できるものを用いた。移動速度を2
〜200mm/分の無段可変正逆両方向およびくり返
し可能なものとした。このゾーン加工の条件を
種々変更した結果、限界延伸倍率は48倍であつ
た。また、得られたフイルムは、長さ方向の引張
弾性率が2400Kg/mm2(約24GPa、結晶弾性率の
70.5%に相当)、結晶化度が76%、結晶配向係数
が0.98、温度膨脹係数が0.5×10-5/℃であつた。 比較のために、延伸前の原シートを公知の溶融
押出機で融体キヤストシート化し、延伸、熱処理
を行なつた。延伸条件を変更して、最適延伸条件
を検討したがいずれも延伸倍率25倍以下で切断す
る。最高の引張弾性率は1400Kg/mm2(約14GPa)
であつた。融体キヤストシートを上記のゾーン延
伸で最適条件を探索し、得られた最高引張弾性率
は延伸倍率29倍のときに1560Kg/mm2(約
15.6GPa、結晶弾性率値の45.9%に相当)であ
り、結晶化度は59%、結晶配向係数は0.931、温
度膨脹係数は3×10-5/℃であつた。 すなわち、本発明品は、限界延伸倍率が向上
し、同時に引張弾性率が極めて高いことがわか
る。 第1図は、上記サンプルの動的弾性率を示す。
融体キヤストシート(曲線1;延伸倍率10倍、ク
リツプ延伸)の一軸延伸フイルムに比較して、本
発明のフイルム(曲線2;延伸倍率30倍クリツプ
延伸、曲線3;延伸倍率50倍ゾーン延伸)の動的
弾性率が、常温から高温に至るまで高品位である
ことがわかる。 実施例 3 実施例1、2におけるポリプロピレンの代り
に、分子量の異なる3種類のポリエチレンa、
b、cを使用した。(分量;a=7×105、b=19
×105、c=27×105) 溶液濃度を1%、5%、と変化させた。また延
伸温度、熱処理温度を130℃〜175℃の範囲で限界
延伸倍率、最高弾性率に到達する条件を検討し
た。 その結果、比較例として検討した融体キヤスト
ポリエチレンシートからのサンプルは、限界延伸
倍率20倍以下であつた。また、得られたフイルム
は、長さ方向の最高引張弾性率は2200Kg/mm2(約
22GPa)で、結晶弾性率値の10%以下であり、結
晶化度は61%、結晶配向係数は0.962、温度膨脹
係数は4×10-5/℃であつた。 一方、本発明の方法による強押圧ポリエチレン
ゲルシートをクリツプ延伸したものは限界延伸倍
率が50倍以上で、上記の分子量のものの特性は次
の通りであつた。 分子量a、溶液濃度5%のもの 限界延伸倍率;130倍 長さ方向の引張弾性率;130GPa 分子量b、溶液濃度1%のもの 限界延伸倍率;210倍 長さ方向の引張弾性率;170GPa 分子量c、溶液濃度1%のもの 限界延伸倍率;160倍 長さ方向の引張弾性率;140GPa また、本発明の強押圧ポリエチレンゲルシート
について、ゾーン延伸ゾーン熱処理を実施したと
ころ、限界延伸倍率は100倍以上で、上記の分子
量がb、溶液濃度1%のものの場合、限界延伸倍
率は220倍であつた。また、このフイルムの特性
を測定した結果、引張弾性率は18000Kg/mm2(約
180GPa、結晶弾性率値の77%に相当)、結晶化度
は82%、結晶配向係数は0.991、温度膨脹係数は
0.4×10-5/℃であつた。長さ方向の引張弾性率、
温度膨脹係数は、アルミニウムの特性を越え、軟
鋼、硬鋼の特性に匹敵する。 第2図は、上記サンプルの動的弾性率を示す。
融体キヤストシート(曲線1;延伸倍率20倍、ク
リツプ延伸)の一軸延伸フイルムに比較して、本
発明のフイルム(曲線2;延伸倍率62.5倍、クリ
ツプ延伸、曲線3;延伸倍率100倍、クリツプ延
伸、曲線4;延伸倍率220倍、ゾーン延伸)の動
的弾性率が、常温から高温に至るまで高品位であ
ることがわかる。 【表】
【図面の簡単な説明】
第1図はポリプロピレン、第2図はポリエチレ
ンを用いた場合の幅自由一軸延伸シートの動的弾
性率と温度との関係を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 結晶性高分子重合体溶液から、脱溶媒自由ゲ
    ルシートあるいは単結晶沈澱マツトシートを形成
    し、該シートを線圧10〜5000Kg/cmで圧延あるい
    は面圧100〜10000Kg/cm2で圧縮成形して押圧シー
    トとし、該シートを一軸延伸し、次いで熱処理す
    る超弾性率一軸延伸結晶性高分子フイルムあるい
    はシートの製造方法。
JP58205786A 1983-11-04 1983-11-04 超弾性率一軸延伸結晶性高分子フイルムあるいはシートの製造方法 Granted JPS6097835A (ja)

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