JPH036688Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は浴槽の上縁を越えて水が溢流するのを
防止する溢流防止装置に関する。

（従来の技術） 一般に浴槽は、オーバーフロー孔を設け、該孔
から溢流させることにより浴槽の上縁を越えて湯
が溢れ出ないようにしている。

しかし乍ら、浴槽へ湯（混合水）を供給すると
きの流量が多く、オーバーフロー孔の排水能力を
大幅に上回つているような場合供給停止が遅れる
ようなことがあると、浴槽の上縁より湯が溢れ、
洗い場を濡らすことがある。

バスルームに浴槽だけが設置されているような
場合には浴槽上縁より湯が溢れ洗い場が濡れても
あまり問題になることはないが、ホテルのバスル
ーム等のようにバスルーム内に浴槽、便器、洗面
器、化粧台等が設置されている場合には床面が濡
れると便器や洗面器等の使用に支障を来たすこと
がある。

また、多量の湯が溢れれば最悪の場合溢れ出た
湯がバスルーム以外の部屋にも流れ出すことも考
えられる。

そこで、このような問題を解決するためにオー
バーフロー孔に液面スイツチを設けて、この液面
スイツチの液面検出信号により給水、給湯管に設
けた電磁弁を閉弁し、浴槽への給水、給湯を停止
する溢流防止装置が提案されている（特開昭59−
222117号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） しかし、斯る溢流防止装置は所定の水位（オー
バーフロー孔の装置）まで湯が貯ると給湯を停止
してしまうため、何等かの事情により入浴が遅れ
給湯停止から入浴まで時間が空くと湯が冷めてし
まうという問題がある。特に上記装置のように自
動的に給湯を停止するものにあつては、給湯が停
止したのに気付き難く、また使用者に溢水に対す
る安心感があるため給湯していることすら忘れて
しまうことがあり、とかく給湯停止から入浴まで
時間が空き易く、湯が冷めてしまうケースが多発
することが考えられる。

しかも所定水位に達すると必ず給湯を停止して
しまうので、所定水位まで湯が貯つているときに
は湯が冷めた後熱い湯を注ぎ足して湯温を回復し
ようとしても、すぐに給湯が停止してしまい湯温
の回復ができない。

本考案は従来技術が有する上記問題点に鑑みて
なされたもので、その目的とする処は、浴槽への
給湯停止を忘れても浴槽上縁から湯を溢れさせる
ことがないのは勿論、給湯された湯が入浴に適し
た所定水位に達した後、入浴するまでに時間が空
いても湯を適温に維持したり、冷めた湯を適温に
回復することができる溢水防止装置を提供するこ
とにある。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の溢水防止
装置では、浴槽に混合水を供給する給水系統に設
けられ、電気的に駆動されて混合水の流量を、浴
槽のオーバーフロー孔の排水能力以上の大流量と
排水能力以下の小流量の二段階に切換え可能な流
量切換装置と、浴槽の水位を検出する水位スイツ
チと、上記流量切換装置及び水位スイツチに電気
的に連絡し、水位スイツチの検出する浴槽内の水
位がオーバーフロー孔と同位置若しくはそれより
下位に設定された所定水位に達すると流量切換装
置をオーバーフロー孔の排水能力以上の大流量か
ら排水能力以下の小流量に切換え駆動する制御器
とを備えるものである。

（作用） 以上のように構成した溢流防止装置にあつて
は、浴槽の水位が一定以上になつた後は、浴槽へ
の湯の供給量が自動的にオーバーフロー孔の排水
能力以下の流量に絞られるので、給湯停止が遅れ
ても又給湯停止後更に湯を注ぎ足してもオーバー
フロー孔を越えて水位が上昇することはない。

しかも給湯の停止操作をしない限り給湯は継続
するので、浴槽内の湯は冷めることなく適温に維
持される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図に基づいて説明す
る。

図中１は、浴室Ａに設置した浴槽で、槽壁１ａ
の適宜高さ位置にオーバーフロー孔２が開穿され
ており、このオーバーフロー孔２は、浴槽１外側
において浴槽１底部の排水金具６にオーバーフロ
ー管７を介して連絡している。

８は吐水口で、浴槽１に臨ませて浴室Ａ内の適
宜個所（図示例では浴槽の上縁面）に設置され給
水管９及び給湯管１０に混合水管１１を介して連
絡する。上記給水管９、給湯管１０、混合水管１
１は浴槽１への給水系統ａを構成する。

給水管９と給湯管１０には、夫々ハンドル１
２，１３の手動操作により流路を開閉する給水バ
ルブ１４と給湯バルブ１５が設けられ、混合水管
１１には流量切換装置３が設けられる。

流量切換装置３は混合水管１１を流動する混合
水の流量を大小２段階に切換えるもので、この実
施例の場合流量切換弁３’により構成されてい
る。

流量切換弁３′はボデー１６に相対開設した流
入口１７と流出口１８を連絡する通路１９途中に
球面状周面を有する弁室２０が形成され該弁室２
０にボール状弁体２１が回転自在に配備されてお
り、該弁体２１が正逆回転モーター２２により
90゜正逆回転されるようになつている。

そして、上記弁体２１には回転軸と直交する同
一平面上に大流量用通孔２３と小流量用通孔２４
が直交して開穿されており、モーター２２の正回
転により小流量用通孔２４がボデー１６の通路１
９に整合し、逆回転により大流量用通孔２３が通
路１９に整合する。

上記大流量用通孔２３は浴槽１のオーバーフロ
ー孔２の排水能力を大幅に上回る量の混合水を通
過せしめるに足る大きさの孔径を有し、小流量用
通孔２４は、オーバーフロー孔２の排水能力以下
の量の混合水しか通過させることができない程度
の口径を有する。

尚、弁体２１を回転させるモーター２２の駆動
は水位スイツチ４の検知水位に基づいて、後述の
制御器５により制御される。

水位スイツチ４は、圧力スイツチからなり、浴
槽１内の水位を検出して制御器５に検出信号を送
るものであり、浴槽１の槽壁１ａ最下部に設けら
れている。

制御器５は、水位スイツチ４及び流量切換装置
３のモーター２２に電気的に連絡し、水位スイツ
チ４が検知する浴槽１内に水位が、予め設定され
た所定の水位に達すると、モーター２２にこれを
正回転させる信号を発生し、所定の水位以下にな
るとモーター２２にこれを逆回転させる信号を発
生する。

尚、上記設定水位は、オーバーフロー孔２と同
位置若しくはそれより若干下位に設定する。

ここで、第５図に従つて、本溢流防止装置の作
動を説明する。

給水バルブ１４、給湯バルブ１５夫々のハンド
ル１２，１３を操作して両バルブ１４，１５を所
望の開度比をもつて開弁すれば、吐水口８からは
所望温度に混合された混合水が浴槽１へ供給され
始める。

このとき流量切換弁３′の弁体２１は大流量用
通孔２３が通路１９に整合しており、従つて浴槽
１へは大流量で混合水が供給される。

上記混合水の供給による浴槽１内の水位上昇は
水位スイツチ４により検出される。

制御器５は水位スイツチ４が検出する水位デー
ターを取り込んで、所定水位に達したかどうかを
判断し、所定水位に達したら流量切換弁３′のモ
ーター２２を駆動させ弁体２１の小流量用通孔２
４を通路１９に整合させる。

従つてれ以後混合水の供給量はオーバーフロー
孔２の排出能力より小流量となるをもつて、供給
を停止するのが遅れても浴槽１内の水位はオーバ
ーフロー孔２を越えて上昇することはない。

そして、給水バルブ１４、給湯バル１５夫々の
ハンドル１２，１３を操作して両バルブ１４，１
５を閉弁すれば混合水の供給は停止する。

次に、入浴後、排水栓２５を開けて浴槽１の湯
を排水すると、それに伴う水位の下降は水位スイ
ツチ４に検知され制御器５に入力される。

制御器５は水位スイツチ４が検出した水位が所
定水位以下になつたかどうかを判断し、所定水位
以下になると、流量切換弁３′のモーター２２を
上記とは逆方向に駆動させ、弁体２１の大流量用
通孔２３を通路１９に整合させる。

従つて、次に浴槽１への混合水供給を行うとき
には、必ず大流量で供給が開始される。

第６図は他の実施例を示すものである。

前述した実施例（第１の実施例）は流量を絞つ
た時、混合比率が圧力により狂う恐れがあるが、
この実施例（第２の実施例）は流量切換弁３′を
給水バルブ１４、給湯バルブ１５の上流側におい
て、給水管９と給湯管１０の夫々に設けることに
より、第１の実施例の上記欠点を解消したもので
ある。

次に第７図は更に他の実施例（第３の実施例）
を示すものであり、流量切換装置３の構造が前示
第１，第２実施例とは相違している。

即ちこの第３実施例において、流量切換装置３
は、給水バルブ１４、給湯バルブ１５の上流側に
おいて給水管９、給湯管１０の夫々に制御器５に
より開閉を電気的に制御される開閉弁２６，２７
を設けると共にこの開閉弁２６，２７を迂回する
バイパス管２８，２９を設け、該バイパス管２
８，２９には開度を小流量用に固定した小流量用
弁３０，３１を設けて構成し、水位スイツチ４の
検知水位が所定水位に達するとそれまでは開弁し
ていた開閉弁２６，２７が閉弁し、浴槽１へは小
流量用弁３０，３１で流量を小流量に規制された
バイパス管２８，２９を介してのみ湯水を供給す
る。上記小流量用弁３０，３１はバイパス管２
８，２９そのものの径を小径となして小流量用に
固定することによりこれに替えることができる。

（効果） 本考案は上記の構成であるから以下の利点を有
する。

(1) 浴槽に混合水を供給する際浴槽の水位がオー
バーフロー孔と同位置若しくはそれより下位に
設定された所定水位に達すると供給水量がオー
バーフロー孔の排水能力以下に自動的に絞られ
るので、水位が所定水位に達した後給湯を停止
せずに継続してもオーバーフロー孔を越えて水
位が上昇し、浴槽の上縁から溢れて床を濡らす
ようなことがない。従つて入浴に適した水位ま
で湯が貯つた後も入浴する迄給湯を継続させて
浴槽内湯温を適温に維持することができ、浴槽
へのお湯張り後何等かの事情により入浴が遅れ
た場合でも適温の湯で入浴することが可能であ
る。

(2) 所定の水位に達するまでは、大流量で混合水
を供給するので、素早く湯を貯めることがで
き、入浴準備に要する時間を著しく軽減でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す溢流防止装置
の模式的側面図、第２図は給水系統のみを示す模
式図、第３図，第４図は本考案の重要な構成要素
である流量切換装置の一例を示す断面図で、第３
図は大流量供給時、第４図は小流量切換時の状態
を夫々示す。第５図は本考案装置の作動を説明す
るフローチヤートである。第６図，第７図は他の
実施例を示す模式図で給水系統のみを示してあ
る。 １…浴槽、２…オーバーフロー孔、３…流量切
換装置、４…水位スイツチ、５…制御器、ａ…給
水系統。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 浴槽に混合水を供給する給水系統に設けられ、
   電気的に駆動されて混合水の流量を、浴槽のオー
   バーフロー孔の排水能力以上の大流量と排水能力
   以下の小流量の二段階に切換え可能な流量切換装
   置と、浴槽の水位を検出する水位スイツチと、上
   記流量切換装置及び水位スイツチに電気的に連絡
   し、水位スイツチの検出する浴槽内の水位がオー
   バーフロー孔と同位置若しくはそれより下位に設
   定された所定水位に達すると流量切換装置をオー
   バーフロー孔の排水能力以上の大流量から排水能
   力以下の小流量に切換え駆動する制御器とを備え
   ることを特徴とする溢流防止装置。