JPH0365110B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は環状固定子の各スロツト毎に、継鉄部
に直交するように巻線を巻回する、いわゆるトロ
イダル形巻線を施す電動機固定子の巻線方法に関
するものである。

環状固定子の各スロツト毎に、継鉄部に直交す
るように巻線を巻回する場合、固定子を分割せず
に巻く方法として、一般にトロイダル巻線機が知
られているが、この巻線方法は、巻線スピードを
早く出来ない、固定子鉄心の取付け取外し時間を
要するといつた欠点に加え、巻線リングに予め貯
線しなければならず生産能率が悪いものであつ
た。この生産能率の悪い点を解消する手段として
固定子鉄心を複数に分割して巻線を巻回した後、
分割された固定子鉄心を何らかの手段で結合する
ことが考えられるが、電動機のような固定子のス
ロツトに巻線を巻回する場合、スロツトの開口部
が非常に狭いため、巻線を施すことが非常にむつ
かしかつた。又、複数に分割された電動機の固定
子のスロツト毎に、継鉄部に直交するように巻線
を巻回するには、球心状に伸びる歯部を覆う、い
わゆるワイヤーガイドを用いて巻回する方法と、
ワイヤーガイドを用いずに直接スロツトの中に巻
回する方法が考えられるが、前者においては、第
１図に示すようにワイヤーガイド３を取付ける構
造、特に、巻回するための巻回具、いわゆるフラ
イヤー４側に設ける固定子鉄心１の球心状に伸び
る歯部１ａを覆うワイヤーガイド３ａは、フライ
ヤー４の軌跡内に入つてしまうため、固定子鉄心
１に取り付けるか、フライヤー４の回転中心から
相対的に固定された構造となるようなガイド機構
を設けるかせねばならず、いずれの場合も、機構
が非常に複雑になる欠点を有している。又、後者
は、第２図に示すように前者のようなワイヤーガ
イド３が必要でないため、巻線機への固定子鉄心
１の取付け取外しが容易である反面、ワイヤーガ
イド３がないため、固定子鉄心１の球心状に伸び
る歯部１ａの側面に接融し、コイル５を傷つけた
り、切断したりする危険性をもつている。又、誘
導電動機の場合、各スロツト１ｂに数十ターンか
ら数百ターン巻回せねばならず、コイル５を均一
に巻回するためには、固定子鉄心１とフライヤー
４とを相対的に移動させるいわゆる揺動させる必
要があるが、前者においては広範囲に揺動範囲を
とることが出来、均一な巻線状態が可能である
が、後者においては第２図に示すように幾何学的
にみて、スロツト１ｂの開口部の中心Ａ点を中心
にして、固定子鉄心１を円周状に揺動させること
しか出来ず、完全な均一状態の巻線が出来ないば
かりか、ますます、歯部側面にコイル５が接触す
る危険性を増すことになり、品質的に採用のしに
くい方法である。なお、第１図、第２図におい
て、１ｃは継鉄部、２は固定子鉄心１を巻線中に
保持するチヤツクホルダー、２ａはチヤツクホル
ダー２に埋め込まれたマグネツトである。

本発明は上記従来の欠点に鑑みてなされたもの
で、複数に分割された固定子鉄心の継鉄部にトロ
イダル状に巻線を施すための極めて効率の良い巻
線方法を提供することを目的とする。

この目的を達成するために本発明の電動機固定
子の巻線方法は、スロツト開口部の中心を歯部側
壁近傍に偏らせた概Ｌ形歯部を有する分割固定子
鉄心の継鉄部にコイルを巻回するフライヤーと、
巻回直前のコイルに対し該フライヤーの基部とは
反対側に位置する前記鉄心歯部の内径面に内接し
て前記フライヤーから供給されるコイルを前記鉄
心のスロツト部に案内するワイヤーガイドとを備
え、前記ワイヤーガイド付き鉄心または前記フラ
イヤーを揺動させながら鉄心継鉄部に直交するよ
うにコイルを巻回するものである。

この巻線方法によれば、鉄心とワイヤーガイド
を一体的にフライヤーに対して揺動し、かつ回転
するフライヤーから鉄心継鉄部に直交するように
巻線が供給されるから、概Ｌ形歯部の反スロツト
開口部側の面に巻線がきた場合でもワイヤーガイ
ドによりスロツト開口部に案内されることとな
り、鉄心の継鉄部にトライダル状の巻線を高速か
つ高密度で均一に巻回できることとなる。

以下、本発明の実施例を第３図、第４図に基い
て説明する。図において、１は分割された固定子
鉄心、２は固定子鉄心を巻線中に保持するチヤツ
クホルダー、２ａはチヤツクホルダー２に埋め込
まれたマグネツト、３はコイル５を案内するため
のワイヤーガイド、４はコイル５を固定子鉄心１
のスロツト１ｂに巻回するためのフライヤーであ
る。固定子鉄心１の球心状に伸びる歯部１ａは、
歯部１ａで囲まれるスロツト１ｂの開口部中心を
スロツト１ｂの中心線よりも歯部１ａの側面近傍
にずらせた概Ｌ形に形成されている。

このような構成において、巻線の状態を説明す
ると、フライヤー４より出たコイル５の先端を適
当な位置でクランプし、（図示せず）、フライヤー
４を回転させると、フライヤー４が後退の時はダ
イレクトにスロツト１ｂ内にコイル５が入り、固
定子鉄心１の継鉄部１ｃにコイル５が巻回され、
フライヤー４が段々と前進していくにつれてコイ
ル５はワイヤーガイド３に接触しながらスロツト
１ｂにすべり込むようになる。ここで、ワイヤー
ガイド３からコイル５が離れる時には、フライヤ
ー４は既に固定子鉄心１のスロツト１ｂの軸心方
向の延長上に来ているため、コイル５は継鉄部１
ｃとフライヤー４との間で引つぱられた状態とな
り、ワイヤーガイド３に拘束されることなく継鉄
部１ｃに、揺動に応じた幅で均一に、ほぼ整列に
近い形で、巻回することが出来る。

巻回が進みスロツト１ｂの開口部にコイル５の
充填が進むにつれて、コイル５の充填状態は、概
三角状になるように予想されるが、巻回時のコイ
ル５のテシヨンにより、山くずれが生じ、ほぼス
ロツト１ｂ内の均一に巻回出来ることを実験によ
り確認している。これは第１図に述べた固定子鉄
心１の巻回するスロツト１ｂの両側の歯部１ａに
ワイヤーガイド３および３ａを取り付け、フライ
ヤー４を揺動し、巻回した時の巻回状態と何ら遜
色するものではない。

ちなみに、固定子鉄心１の歯部１ａを従来の状
態、すなわち、スロツト１ｂの開口部中心とスロ
ツト１ｄの中心線が一致する概Ｔ形として、巻回
するスロツト１ｂの片側のみにワイヤーガイド３
を設けて巻回した時は第５図に示すように揺動範
囲をスロツト１ｂの中央にとることが出来ず、ス
ロツト１ｂのコイル５の充填は概三角状の傾向が
強く、極端な場合、充填されるべきコイル５がス
ロツト１ｂの開口部よりはみ出してくる。

ワイヤーガイド３はコイル５をスロツト１ｂに
安全、確実にすべり込ませるためのものであり、
均一に巻回することはフライヤー４と固定子１の
継鉄部１ｃとの間に張られたコイル５の軌跡によ
るものであることに着眼し、固定子１の球心状に
伸びる歯部１ａの形状を概Ｌ形にすることによ
り、ワイヤーガイド３を巻回するべきスロツト１
ｂの片側歯部１ａと、巻回直前のコイルに対しフ
ライヤー基部とは反対側にある歯部とに設けるこ
とにより、均一な巻線を可能ならしめた。

又、同一の固定子鉄心１に対してフライヤー４
の入る方向を変える場合には、第６図に示すよう
に概Ｌ形の配置を変えれば容易に本方式を適用す
ることが出来る。第６図は、１６スロツト２極巻
線の場合の実施例である。このように、極の構成
により概Ｌ形の配置を変えることにより、本巻線
方式は簡単に適用可能である。

以上、実施例では、固定子鉄心の巻回すべきス
ロツトに対してフライヤーを前後方向に揺動させ
た場合で説明したが、フライヤーを固定して固定
子鉄心を適当な位置を中心として円周方向に揺動
させることにより同様の効果が出ることはいうま
でもなく、又、この時の揺動の中心は広範囲の中
から任意に選べるという利点も持つている。

このように、本発明によれば、固定子鉄心の球
心状に伸びる歯部を概Ｌ形とし、鉄心の継鉄部に
直交するよう巻線を巻回するフライヤーと、この
フライヤーの外側にある歯部の内径面に接するワ
イヤーガイドとを備え、このワイヤーガイド付き
鉄心をフライヤーに対し相対的に揺動させながら
鉄心の継鉄部にトロイダル状に巻回することによ
り、極めて簡単なワイヤーガイド構造で均一な巻
回が可能であり、巻線機の構造が簡単となり、安
価な巻線機を提供することが出来ると共に、生産
性も向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の固定子鉄心にワイヤーガイドを
用いて巻線をする場合の平面図、第２図は従来の
鉄心にワイヤーガイドを用いずに巻線をする場合
の平面図、第３図は本発明の巻線状態を示す平面
図、第４図は第３図の拡大平面図、第５図は従来
の固定子鉄心を使つて片側ガイドのみで巻線した
時の状態を示す拡大平面図、第６図は他の実施例
を示す固定子鉄心の平面図である。 １……固定子鉄心、１ａ……歯部、１ｂ……ス
ロツト、１ｃ……継鉄部、３……ワイヤーガイ
ド、４……フライヤー、５……コイル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スロツト開口部の中心を歯部側壁近傍に偏ら
   せた概Ｌ形歯部を有する分割固定子鉄心の継鉄部
   にコイルを巻回するフライヤーと、巻回直前のコ
   イルに対し、該フライヤーの基部とは反対側に位
   置する前記鉄心歯部の内径面に内接して、前記フ
   ライヤーから供給されるコイルを前記鉄心のスロ
   ツト部に案内するワイヤーガイドとを備え、前記
   ワイヤーガイド付き鉄心または前記フライヤーを
   揺動させながら鉄心継鉄部に直交するようにコイ
   ルを巻回することを特徴とする電動機固定子の巻
   線方法。 ２ 分割固定子鉄心の概Ｌ形歯部はすべてフライ
   ヤー基部方向に配列されていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の電動機固定子の巻線
   方法。 ３ 分割固定子鉄心の概Ｌ形歯部のうち半分はフ
   ライヤー基部方向に、他の半分はフライヤー基部
   とは反対の方向に配列されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の電動機固定子の巻
   線方法。