JPH0364114B2 - - Google Patents

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JPH0364114B2
JPH0364114B2 JP29551988A JP29551988A JPH0364114B2 JP H0364114 B2 JPH0364114 B2 JP H0364114B2 JP 29551988 A JP29551988 A JP 29551988A JP 29551988 A JP29551988 A JP 29551988A JP H0364114 B2 JPH0364114 B2 JP H0364114B2
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JP
Japan
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dhfr
pddm1
dimer
stands
enzyme
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JP29551988A
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JPH02142481A (ja
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Masahiro Iwakura
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野] 本発明は、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、
DHFRと略す)が2分子つながつたタンパク質
(以下、DHFRダイマーと称する)およびその生
産を可能とする新規組換えプラスミドpDDM1に
関するものである。 本発明の新規組換えプラスミドpDDM1は、第
1図において示されるDNA配列を有する。
DHFRダイマーは、第2図において示されるア
ミノ酸配列を有する。pDDM1、pDDM1を含有
する大腸菌、およびDHFRダイマーは、発酵工
業、医薬品工業等の分野に好適である。 [従来の技術および問題点] 大腸菌が生産するDHFRは、アミノ酸159個よ
りなる一本のポリペプチド鎖中に一つの酵素活性
単位を有するモノメリツクな酵素である。すで
に、本発明者らは、組換えDNA技術を駆使した
大腸菌のDHFRの大量発現および生産方法を確
立している(特開昭59−135889号公報、特開昭62
−69990号公報、特開平1−144974号公報)。本発
明のDHFRダイマーは、上記モノメリツクな
DHFRと異なり、一本のポリペプチド鎖中に2
つの酵素活性単位を有するまつたく新規なタンパ
ク質であり、本発明が完成するまでには知られて
いなかつた物質である。またDHFRダイマーを
暗号化するプラスミドpDDM1も同様に新規な組
換えプラスミドである。 本発明のDHFRダイマーを開発するための基
礎となる技術としては、本発明者が発明した融合
タンパク質の作製方法がある(特開平1−144992
号公報)。 [発明の目的] 本発明のDHFRダイマーは、一本のポリペプ
チド鎖中にDHFR酵素活性を発現する2つの酵
素活性単位を有するタンパク質であり、本発明が
なされるまではまつたく未知の物質であつた。 本発明者らは、新規なタンパク質である
DHFRダイマーの作製を目的に鋭意研究した結
果、本発明者が開発した融合タンパク質の作製方
法を利用して、DHFR遺伝子を結合することに
よりDHFRを2分子結合することを考案し、そ
れに基づき組換えプラスミドpDDM1の作製およ
びpDDM1の大腸菌での発現を行い、pDDM1を
有する大腸菌からのDHFRダイマーの分離精製
に成功し本発明を完成させるに至つた。 [発明の構成] 本発明は、(1)新規組換えプラスミドpDDM1、
(2)pDDM1を含有する大腸菌、(3)pDDM1が暗号
化する新規な酵素タンパク質であるDHFRダイ
マー、および(4)pDDM1を含有する大腸菌からの
DHFRダイマーの分離精製方法から構成される。 (1) 新規組換えプラスミドpDDM1 第1図は、本発明のpDDM1の全塩基配列を
示している。図は、2本鎖環状DNAのうち片
方のDNA鎖配列だけを、プラスミド中に2箇
所存在する制限酵素Cla部位のうち制限酵素
Hind部位に近い方の切断認識部位、5′−
ATCGAT−3′、の最初の“A”を1番として
数えて、5′末端から3′末端の方向に記述してい
る。図中符号、核酸塩基を表わし、はアデニン
を、Cはシトシンを、Gはグアニンを、Tはチ
ミンをそれぞれ示している。図中番号は、
pDDM1に唯一存在する制限酵素Cla切断認
識部位、5′−ATCGAT−3′、の最初の“A”
を1番として数えた番号である。また、第3図
にpDDM1を構成する各ユニツトの位置関係を
示す。本発明のpDDM1は、新規な組換えプラ
スミドである。pDDM1は、5779塩基対の大き
さであり、宿主である大腸菌にトリメトプリム
およびアンピシリン耐性を付与することができ
る。pDDM1は、実施例において示すように、
すでに本発明者らが作製しているpTP64−1
(特開昭62−69990号公報参照)の制限酵素Bgl
とBcl部位の間に、すでに本発明者らが開
発しているpTP70−1(特開昭63−46193号公
報参照)の制限酵素Bgl切断によつて得られ
る約500塩基対のDNA断片を挿入することによ
つて作製することができる。しかしながら、一
旦配列が明らかにされた組換えプラスミドの作
製方法としては、種々の方法が可能であり、従
つて、組換えプラスミドの作製方法によつて本
発明が制限されるものではない。 DHFRダイマーを暗号化する配列は、第1
図の57番目から1013番目までの配列である。
DHFRダイマーを暗号化する配列の上流には、
遺伝子の発現を効率良く行わせる配列が存在す
る(特開昭62−69990号公報)。即ち、43番目か
ら50番目までの配列がSD配列と呼ばれるもの
で、効率の良い翻訳に、また、5737番目から
5765番目までが、コンセンサス転写プロモータ
ーであり、効率の良い転写に貢献する。このこ
とから、pDDM1は、大腸菌に導入された場
合、多量のDHFRダイマーを作らせることが
できる。作られたDHFRダイマーは、菌体内
に可溶性の状態で、菌体タンパク質の約20%程
度蓄積する。ことことによつて、pDDM1を含
有する大腸菌はトリメトプリム耐性を示すよう
になる。また、pDDM1は、pTP64−1由来
の、アンピシリン耐性遺伝子を有している。こ
のことから、pDDM1が導入された大腸菌は、
アンピシリン耐性をも示す。pDDM1は、大腸
菌に導入されて安定状態に保たれ、pDDM1を
含有する大腸菌は、微工研にFERM BP−
2150として寄託されている。 (2) pDDM1を含有する大腸菌 pDDM1を含有する大腸菌は、トリメトプリ
ム及びアンピシリンに対して耐性を示す。
pDDM1を含有する大腸菌は、DHFRダイマー
遺伝子の効率のよい発現の結果、DHFRダイ
マーを菌体内に可溶性の状態で大量に蓄積す
る。pDDM1を含有する大腸菌をYT+Ap培地
(培地1中に、5gのNaCl、8gのトリプト
ン、5gのイーストエキス、及び50mgのアンピ
シリンナトリウムを含む液体培地)を用いて、
37℃で定常期まで培養した場合、蓄積する
DHFRダイマーは、菌体タンパク質の約20%
に達する。培養菌体を、リン酸緩衝液などの適
当な緩衝液に懸濁し、フレンチプレス法もしく
は音波破砕法で破砕し、これを遠心分離法によ
り上清と沈澱に分離した場合、全てのDHFR
ダイマーは上清中に回収される。pDDM1を含
有する大腸菌は、微工研にFERM BP−2150
として寄託されている。 (3) DHFRダイマー 第2図は、DHFRダイマーを暗号化する部
分のDNA配列とそれから作られるタンパク質
のアミノ酸配列を示している。図中符号は、核
酸塩基およびアミノ酸を表わし、Aはアデニン
を、Cはシトシンを、Gはグアニンを、Tはチ
ミンを、Alaはアラニンを、Argはアルギニン
を、Asnはアスパラギンを、Aspはアスパラギ
ン酸を、Cysはシステインを、Glnはグルタミ
ンを、Gluはグルタミン酸を、Glyはグリシン
を、Hisはヒスチジンを、Ileはイソロイシン
を、Leuはロイシンを、Lysはリジンを、Met
はメチオニンを、Pheはフエニルアラニンを、
Proはプロリンを、Serはセリンを、Thrはト
レオニンを、Trpはトリプロフアンを、Tyrは
チロシンを、Valはバリンをそれぞれ示し、図
中番号は、1番目のアミノ酸であるメチオニン
を暗号化するATGコドンの“A”を1番とし
て数えた番号を示している。DHFRダイマー
は、319アミノ酸よりなる新規なタンパク質で
ある。DHFRダイマーの分子量は、それぞれ
36、116である。DHFRダイマーは、まつたく
新規なタンパク質である。DHFRダイマーは、
pTP70−1由来のDHFR(第2図の1番目から
162番目までのアミノ酸配列)と、pTP64−1
由来のDHFRからN末端のメチオニン−イソ
ロイシンが取り除かれたタンパク質(第2図の
163番目から319番目までのアミノ酸配列)と
が、2分子直列に結合した構造である
(pTP70−1由来のDHFRは、162個のアミノ
酸よりなり、またpTP64−1由来のDHFRは、
159個のアミノ酸よりなる)このような構造に
もかかわらず、DHFRダイマーは、DHFR酵
素活性を有する。DHFRダイマーの1分子当
りの酵素活性は、DHFRの1分子当りの活性
の2倍である。また、ダイマー1分子当り、阻
害剤であるメソトリキセートが2分子結合した
ときにDHFRダイマーが完全に阻害される。
このように、本発明のDHFRダイマーは、一
本のポリペプチド鎖中にDHFR酵素活性を発
現する2つの酵素活性単位を有するタンパク質
である。 また、大腸菌がDHFRダイマーを多量につ
くると、DHFRの阻害剤であり抗細菌剤であ
るトリメトプリムに対して、耐性を示すように
なる。 (4) DHFRダイマーの分離精製 本発明の融合タンパク質の分離精製法は、
菌体の培養、菌体の破砕、DEAE−トヨパ
ールカラムクロマトグラフイー、トヨパール
HW55カラムクロマトグラフイー、および
DEAE−トヨパールカラムクロマトグラフイー
の過程より成り立つている。 菌体の培養 pDDM1を含有する大腸菌の培養は、YT
+Ap培地(培地1中に、5gのNaCl、8
gのトリプトン、5gのイーストエキスおよ
び50mgのアンピシリンナトリウムを含む液体
培地。)で培養することができる。培地とし
ては、この他にST+Ap培地(培地1中
に、2gのグルコース、1gのリン酸2カリ
ウム、5gのポリペプトン、5gのイースト
エキスおよび50mgのアンピシリンナトリウム
を含む液体培地。)など、菌体が成長する培
地であれば、どの様な培地でも用いることが
できるが、調べた限りでは、YT+Ap培地
が最適であつた。 pDDM1を含有する大腸菌を、培地に接種
し、37℃で対数成長期の後期もしくは定常期
まで培養する。培養した菌体は、5000回転/
分の遠心分離により集める。培地1より湿
重量2から5gの菌体が得られる。 集菌およびこれ以後の操作は、特に断わら
ない限り低温(0から10℃の間、4℃が望ま
しい)で行う。 菌体の破砕 培養して得られた菌体を、湿重量の2倍の
緩衝液1(0.1mM エチレンジアミン4酢酸
ナトリウム(EDTA)を含む10mMリン酸
カリウム緩衝液、PH7.0)に懸濁し、フレン
チプレスを用いて菌体を破砕する。菌体破砕
液を、35000回転、1時間超遠心分離し、上
静を得る(無細胞抽出液)。 DEAE−トヨパールカラムクロマトグラフ
イー 無細胞抽出液を、あらかじめ50mMのKCl
を含む緩衝液1で平衡化したDEAEトヨパー
ルカラムにかけ、カラム容量と同容量の50m
MのKClを含む緩衝液1でカラムを洗う。酵
素の溶出は、緩衝液1を用いて0.1Mから
0.3MのKClの直線濃度勾配を用いて行い、
溶出液を一定量ずつフラクシヨンコレクター
を用いて分画する。分画した溶出液について
DHFR活性を測定し、酵素活性が含まれる
画分を集める。 トヨパールHW55カラムクロマトグラフイ
ー 上記の操作により得られた酵素液を、限外
濾過膜を用いて1〜4mlにまで濃縮し、あら
かじめ緩衝液1で平衡化したトヨパール
HW55カラムにかけ、同緩衝液を用いて酵素
を溶出する。溶出液を一定量ずつフラクシヨ
ンンコレクターを用いて分画する。分画した
溶出液についてDHFR活性を測定し、酵素
活性が含まれる画分を集める。 DEAE−トヨパールカラムクロマトグラフ
イー 上記の操作により得られた酵素液を、あら
かじめ緩衝液1で平衡化したDEAE−トヨパ
ールカラムに吸着させる。吸着後、50m
MKClを含む緩衝液1で洗う。酵素の溶出
は、緩衝液1を用いて50mMから0.3Mの
KClの直線濃度勾配を用いて行い、溶出液を
一定量ずつフラクシヨンコレクターを用いて
分画する。分画した溶出液について280nm
の吸光度とDHFR活性とを測定する。酵素
活性/280nmの吸光度の値が、一定な画分
を集める。 以上の操作により、融合タンパク質の高度精製
均一化を、再現性良く行うことができる。 本発明に従うと、融合タンパク質の精製は、菌
体の培養を含めて一週間以内に行うことができ、
回収率35%以上で、均一な酵素標品を得ることが
できる。 DHFR酵素活性は、反応液(0.05mMのジヒド
ロ葉酸、0.06mMのNADPH、12mMの2−メル
カプトエタノール、50mMのリン酸緩衝液(PH
7.0))を、1mlのキユベツトとり、これに酵素液
を加え、340nmの吸光度の時間変化を測定する
ことにより行う。酵素1ユニツトは、上記反応条
件において、1分間に1マイクロモルのジヒドロ
葉酸を還元するのに必要な酵素量として定義す
る。この測定は、分光光度計を用いて容易に行う
ことができる。 次に本発明の実施例を示す。 実施例 1 pDDM1の作成 DHFRを2分子直列に結合したタンパク質を
暗号化するDNA配列を作製するために、pTP64
−1(特開昭62−69990号公報参照)の制限酵素
Bgl(第1図の12番目から18番目のに相当する
配列)とBcl部位(第1図の538番目から543番
目に相当する配列)の間に、pTP70−1(特開昭
63−46193号公報参照)の制限酵素Bgl切断に
よつて得られる約500塩基対のDNA断片(第1図
の14番目から538番目の間の配列に相当する)を
挿入することを考えた。 約1μgのpTP64−1の制限酵素Bclおよび
Bglで切断した後、アルカリホスフアターゼ処
理をした。アルカリホスフアターゼ処理した
DNAのフエノール処理することにより、共存す
る酵素タンパク質を変性除去し、その後エタノー
ルでDNAを沈澱させた。沈澱したDNAを70%エ
タノールで洗つた後、エタノールを除き、減圧下
に沈澱を乾燥させた。制限酵素によるDNAの切
断、アルカリホスフアターゼ処理、フエノ―ル処
理、およびエタノール沈澱の各操作は、いずれ
も、“Molecular Cloning A Loboratory
Manual”(T.Maniatis、E.F.Fritsch、J.
Sambrook、eds.Cold Spring Harbor
Laboratory(1982)、以下、文献1と呼ぶ)に記
載している方法に従つて行つた。約1μgの
pTP70−1の制限酵素Bglで切断した後、フエ
ノール処理することにより、共存する酵素タンパ
ク質を変性除去し、その後エタノールでDNAを
沈澱させた。沈澱したDNAを70%エタノールで
洗つた後、エタノールを除き、減圧下に沈澱を乾
燥させた。このように処理した2種類のDNAを
それぞれ25μのリガーゼ用反応液(10mM
Tris−HCl、PH7.4、5mM MgCl2、10mMジ
チオトレイトール、5mM ATP)に溶解し、
両者を混ぜ合わせ、これに1ユニツトのT4−
DNAリガーゼを加えて、10℃で、12時間DNAの
連結反応を行わせた。この反応物を、形質転換法
(trans−formation method、上記文献1に記載)
に従つて、大腸菌HB101株に取り込ませた。こ
の処理をした菌体を、50mg/mlのアンピシリンナ
トリウムおよび10mg/mlのトリメトプリムを含む
栄養寒天培地(培地1中に、2gのグルコー
ス、1gのリン酸2カリウム、5gのイーストエ
キス、5gのポリペプトン、15gの寒天を含
む。)上に塗布し、37℃で24時間培養することに
より、100個以上のコロニーを得ることができた。
これらのコロニーから適当に40個選び、それぞれ
を1.5mlのYT+Ap培地(培地1中に、5gの
NaCl、5gのイーストエキス、8gのトリプト
ン、50mgのアンピシリンナトリウムを含む。)で、
37℃、1晩、菌体を培養した。培養液を、各々エ
ツペンドルフ遠心管にとり、12000回転/分で10
分間遠心分離し、菌体を沈澱として集めた。これ
に、0.1mlの電気泳動用サンプル調製液
(0.0625MのTris−HCl、PH6.8、2%のラウリル
硫酸ナトリウム(SDS)、10%のグリセリン、5
%の2−メルカプトエタノール、0.001%のブロ
ムフエノールブルーを含む。)を加え、菌体を懸
濁し、これを沸騰水中に5分間保ち、菌体を溶か
した。この処理をしたサンプルをSDS−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動法(U.K.Laemmli;
Nature、vol、227、p.680(1970))に従つて分析
した。標準サンプルとしてpTP64−1および
pTP70−1をそれぞれ含有する大腸菌に同様な
処理をしたもの、および分子量マーカーとしてラ
クトアルブミン(分子量14200)、トリプシンイン
ヒビター(分子量20100)、トリプシノーゲン(分
子量24000)、カルボニツクアンヒドラーゼ(分子
量29000)、グリセロアルデヒド3−リン酸デヒド
ロゲナーゼ(分子量36000)、卵アルブミン(分子
量45000)、および牛血清アルブミン(分子量
66000)を含むサンプルをポリアクリルアミド濃
度の10から20%濃度勾配ゲルで泳動した。その結
果、40個のうち、2個のコロニーにおいては、分
子量約37000と推定されるタンパク質を大量に生
産することが明らかとなつた。得られた2個のコ
ロニーから適当に一株を選び、これをYT+Ap
培地で培養し、TanakaとWisblumの方法(T.
Tanaka、B.Weis−blum;J.Bacteriology、
vol.121、p.345(1975))に従つて、プラスミドを
調製した。得られたプラスミドをpDDM1と名づ
けた。 pDDM1は、pTP64−1にpTP70−1由来の配
列が挿入している構造をとるはずであるので、こ
のことを確かめるために、第1図の4954番目から
4959番目に位置するPst1部位から第1図の951番
目から956番目に位置するEcoR部位に至る、約
1.7キロ塩基対のDNA部分についてM13フアージ
を用いたジデオキシ法(J.Messing;Mehtods in
Enzymology、vol.101、p.20(1983))に従つて、
塩基配列を決定した。その結果、第1図に示す配
列の4954番目から5780番目迄の配列および1番目
から956番目までの配列が確かめられた。また、
すでに、pTP64−1の全塩基配列は明かであり
((特開昭62−69990号公報参照)、また、残りの部
分は、制限酵素Aat、Pvu、およびTaqに
よる切断実験の結果、pTP64−1を制限酵素
EcoRおよびPst切断によつて得られる約4キ
ロ塩基対のDNA断片と全く同一であることが示
された。 以上の結果から、pDDM1の全塩基配列が第1
図に示した配列であることが決められた。 実施例 2 pDDM1を含有する大腸菌が作るDHFRダイマ
ー pDDM1を含有する大腸菌が作るDHFR融合タ
ンパク質のアミノ酸配列は、遺伝子の塩基配列か
ら予想することができる。第1図の57番目から
1013番目の配列が融合タンパク質を暗号化してい
ることから、トリプレツト暗号表を用いて、アミ
ノ酸配列を推定した。その結果第2図に示すアミ
ノ酸配列が得られ、DHFRダイマーは、319個の
アミノ酸よりなり、分子量が36、116ダルトンで
あつた。 pDDM1を含有する大腸菌から、DHFRダイマ
ーを分離精製し、タンパク質の性質を調べた。 [DHFRダイマーの精製] A 用いた菌体量:湿重量 10g B 酵素精製表 表における精製過程は無細胞抽出液、DEAE
−トヨパールカラムカラムクロマトグラフイー、
トヨパールHW55カラムクロマトグラフイー、
およびDEAE−トヨパールカラムクロマトグラ
フイーを表す。
【表】 得られた酵素タンパク質をSDS電気泳動法(上
記実施例に記載の方法)により分析したところ、
分子量約37000の単一なタンパク質バンドが示さ
れ、得られた酵素標品が均一であることが示され
た。 [分離精製したDHFRダイマーの性質] 精製したDHFRダイマーの活性およびその際
に用いた酵素ののタンパク質濃度をそれぞれ測定
し、タンパク質1mg当りの活性(比活性)を求め
たところ、35.2ユニツト/mgタンパク質の値であ
つた。同様にして、野生型のDHFR(pTP64−1
を含有する大腸菌がつくるDHFR)の比活性を
求めたところ、34.8ユニツト/mgタンパク質の値
であり、DHFRダイマーと野生型DHFRの酵素
活性の比活性は同じ値を示した。DHFRダイマ
ーの分子量は、野生型DHFRの分子量の約2倍
であることから、この結果は、DHFRダイマー
1分子当りの酵素活性が、野生型DHFRの2倍
であることを示している。また、DHFRダイマ
ー0.74μMおよび野生型DHFR1.02μMの酵素に、
DHFRの阻害剤であるメソトリキセートを種々
の濃度加えて酵素活性に及ぼす影響を調べたとこ
ろ、それぞれDHFRダイマーでは、0.145μMのメ
ソトリキセートおよび野生DHFRでは1.19μMの
メソトリキセートによつて完全に阻害されること
が明かとなつた。この結果はDHFRダイマー1
分子に2分子のメソトリキセートが、また野生型
DHFR1分子に1分子のメソトリキセートが結合
することを示している。以上の結果により、
DHFRダイマーは、一本のポリペプチド鎖中に
DHFR酵素活性を発現する2つの酵素活性単位
を有するタンパク質であることが示された。 [発明の効果] 上記のように、新規組換えプラスミドpDDM1
は、新規な酵素タンパク質であるDHFRダイマ
ーを暗号化しており、かつpDDM1を有する大腸
菌は、DHFRダイマーを大量に蓄積生産する。
さらに、生成したDHFRダイマー一本のポリペ
プチド鎖中に2個の酵素活性単位を有し、新規な
DHFR酵素タンパク質である。このような、物
質は本発明がなされるまでは、存在しなかつたも
のであり、これからの用途開発が期待される。 また、DHFRは、葉酸補酵素合成のための重
要な酵素であり、また、この酵素活性を用いるこ
とにより、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸の定
量化も可能であり、少なくともこのような分野で
の利用に貢献することは明かである。
【図面の簡単な説明】
第1図はpDDM1の全塩基配列を示した図、第
2図はpDDM1中に存在するDHFRダイマーを暗
号化する部分の塩基配列及びタンパク質のアミノ
酸配列を示す図、第3図はpDDM1を構成する各
ユニツトの位置関係を示す地図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 以下に示すDNA配列を有する新規組換えプ
    ラスミドpDDM1。 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 (ただし、この配列は2本鎖DNAのうち片方
    のDNA鎖配列だけを5′末端から3′末端の方向に
    示したもので、図中符号Aはアデニン、Cはシト
    シン、Gはグアニン、Tはチミンを意味し、図中
    番号は、唯一存在する制限酵素ClaI切断認識部位
    5′−ATCGAT−3′の最初のAを1番として数え
    た番号を示す。) 2 請求項1記載の新規組換えプラスミド
    pDDM1を含有する大腸菌。 3 以下に示すアミノ酸配列を有するジヒドロ葉
    酸還元酵素。 【表】 【表】 (ただし、図中符号Aはアデニン、Cはシトシ
    ン、Gはグアニン、Tはチミン、Alaはアラニ
    ン、Argはアルギニン、Asnはアスパラギン、
    Aspはアスパラギン酸、Cysはシステイン、Gln
    はグルタミン、Gluはグルタミン酸、Glyはグリ
    シン、Hisはヒスチジン、Ileはイソロイシン、
    Leuはロイシン、Lysはリジン、Metはメチオニ
    ン、Pheはフエニルアラニン、Proはプロリン、
    Serはセリン、Thrはトレオニン、Trpはトリプ
    トフアン、Tyrはチロシン、Valはバリンを示
    し、図中番号は、1番目のアミノ酸であるメチオ
    ニンを暗号化するATGコドンのAを1番として
    数えた番号を示す。) 4 請求項2記載の大腸菌を培養し、得られた菌
    体を破砕し、次いでカラムクロマトグラフイによ
    り分画し、酵素活性を有する画分を捕集すること
    を特徴とするジヒドロ葉酸還元酵素の分離精製方
    法。
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