JPH0364113B2 - - Google Patents

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JPH0364113B2
JPH0364113B2 JP7967788A JP7967788A JPH0364113B2 JP H0364113 B2 JPH0364113 B2 JP H0364113B2 JP 7967788 A JP7967788 A JP 7967788A JP 7967788 A JP7967788 A JP 7967788A JP H0364113 B2 JPH0364113 B2 JP H0364113B2
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JP
Japan
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dhfr
pbk1
coli
bradykinin
dihydrofolate reductase
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JP7967788A
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JPH01252286A (ja
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Masahiro Iwakura
Shinichi Oohashi
Tsukasa Sakai
Yoshio Tanaka
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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Publication of JPH0364113B2 publication Critical patent/JPH0364113B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/0004Oxidoreductases (1.)
    • C12N9/0012Oxidoreductases (1.) acting on nitrogen containing compounds as donors (1.4, 1.5, 1.6, 1.7)
    • C12N9/0026Oxidoreductases (1.) acting on nitrogen containing compounds as donors (1.4, 1.5, 1.6, 1.7) acting on CH-NH groups of donors (1.5)
    • C12N9/0028Oxidoreductases (1.) acting on nitrogen containing compounds as donors (1.4, 1.5, 1.6, 1.7) acting on CH-NH groups of donors (1.5) with NAD or NADP as acceptor (1.5.1)

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野 本発明は、血圧降下作用を有し、興味深い生理
活性ペプチドであるブラジキニン(アルギニン
(Arg)−プロリン(Pro)−プロリン(Pro)−グ
リシン(Gly)−フエニルアラニン(Phe)−セリ
ン(Ser)−プロリン(Pro)−フエニルアラニン
(Phe)−アルギニン(Arg)の9個のアミノ酸配
列よりなるペプチド、以下、BKと略す。)を含
む融合タンパク質を大量に生産可能とする新規組
換えプラスミドpBK1−11、pBK1−11を含有す
る大腸菌、BKを酵素のカルボキシ末端側に有す
るジヒドロ葉酸還元酵素−BK融合タンパク質
(以下、DHFR−BKと略す。)、DHFR−BKの分
離精製方法、およびBKの製造方法に関するもの
である。本発明の新規組換えプラスミドpBK1−
11は、第1図において示されるDNA配列を有す
る。本発明は、発酵工業、医薬品工業等の分野に
好適である。 従来の技術 BKは、血中ペプチドの一種であり、血圧降下
作用(血管拡張作用)、腸管収縮作用、血管透過
性作用などの作用を有することが知られている。
BKは、Arg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro
−Phe−Argの9個のアミノ酸配列より構成され
ていることが明らかにされている。BKは、これ
自体が活性なペプチドであり、N末端にリジン
(Lys)がついたカルリジン(Kallidin)、また、
メチオニン(Met)−リジン(Lys)のついたMet
−Lys−ブラジキニンは、BKよりも低いが活性
を有することが知られている。BKは短いペプチ
ドであり、既にBoissonnasら(Boissonnas et
al.,Helv.Chim.Acta,vol.43,p1349(1960))に
よつて化学合成が行われている。 本発明の技術的背景としては、いわゆる遺伝子
操作がある。遺伝子操作を利用した効率のよい
BKの製造方法としては、本発明者らが開発した
枯草菌のジヒドロ葉酸還元酵素還元酵素(以下、
DHFRと略す。)遺伝子を利用する方法(特開昭
63−245679号公報、特開平1−38099号公報、特
開平1−71497号公報)があるだけで、他には知
られていない。枯草菌のDHFR遺伝子を利用し
た方法は、枯草菌由来のDHFR遺伝子の大腸菌
での発現効率を高め、DHFR遺伝子中のEcoRI切
断部位に化学合成LEK遺伝子を導入し、枯草菌
由来のDHFR(以下、DHFRbsと略す。)のカル
ボキシ末端側にBKが融合した融合タンパク質と
して、大腸菌に生産させ、融合タンパク質を分離
精製した後、カルボキシ末端側のBKを特異的に
切断し、高速液体クロマトグフイー(以下、
HPLCと略す。)を用いて分離精製することを骨
子とする方法である。この方法の問題点は、大腸
菌で作られるDHFRbs−BKの菌体内蓄積量が、
菌体タンパク質のせいぜい数パーセントであり、
生産効率上改善すべき点があることである。 一方、既に、本発明者らは、大腸菌由来の
DHFR遺伝子に関しては、その遺伝子の改変の
結果、異種遺伝子発現用プラスミドベクター
bTP70−1(特開昭63−46193号公報)と、それ
ら発現ベクターを利用した融合遺伝子の作成方法
(特開平1−144992号公報)を開発している。こ
れらの方法を利用した場合、融合遺伝子の発現の
結果得られる融合タンパク質の大腸菌菌体の蓄積
量は、全菌体タンパク質の約20%が期待される。
しかしながら、BKの生産に上記発現ベクターを
用いた例はない。 発明の目的 本発明の目的は、生産効率の面で問題のあつた
DHFRbs遺伝子を用いたBKの生産方法を改善
し、遺伝子操作の手法を用いたBKの大量生産方
法を開発することにある。 既に、本発明者らは(1)大腸菌のDHFRを大量
に発現する発現プラスミドを構築していること
(特開昭62−69990号公報)、(2)大腸菌のDHFRの
カルボキシ末端側の配列を変化させても、酵素活
性が失われないこと、(3)大腸菌のDHFRのカル
ボキシ末端側に異種ペプチドを融合させることを
可能とするプラスミドベクターpTP70−1を構
築していること(特開昭63−46193号公報)、(4)
pTP70−1上の改変DHFRは、大腸菌で効率良
く発現すること、を明らかにしている。 本発明者らは、上記の知見を利用し、鋭意研究
の結果、BK遺伝子を化学合成し、pTP70−1に
組み込むことにより、BK遺伝子とDHFR遺伝子
の融合遺伝子を作成し、融合遺伝子を大腸菌で発
現させることにより、DHFR−BKを大量に生産
できることを見いだし、さらに、DHFR−BKを
用いることにより効果的にBKを作成できること
を明らかにし、本発明を完成させた。 発明の構成 本発明は、(1)DHFR−BKの大量発現を可能に
する新規組換えプラスミドpBK1−11、(2)pBK1
−11を含有する大腸菌菌体、(3)pBK1−11を含有
する大腸菌が生産するDHFR−BK、(4)pBK1−
11を含有する大腸菌からのDHFR−BKの分離精
製方法、および(5)DHFR−BKを用いたBKの製
造方法から成る。 (1) 新規組換えプラスミドpBK1−11 第1図は、本発明のpBK1−11の全塩基配列
を示している。図は、2本鎖環状DNAのうち
片方のDNA鎖配列だけを、プラスミド中に2
箇所存在する制限酵素ClaI部位のうちHind
部位に近い方の切断認識部位、5′−ATCGAT
−3′、の最初の“A”を1番として数えて、
5′末端から3′末端の方向に記述している。本発
明のpBK1−11は、新規な組換えプラスミドで
ある。pBK1−11は、4645塩基対の大きさであ
り、宿主である大腸菌にトリメトプリムおよび
アンビシリン耐性を付与することができる。
pBK1−11は、pTP70−1のBamHI部位にBK
を暗号化する配列を含む37塩基対の化学合成
DNAが結合した構造をしていてる。第1図に
おいて、533番目から569番目迄の配列が化学合
成DNA由来の配列である。それ以外の配列が
pTP70−1由来の配列である。 第1図の57番目から566番目まで配列が、
DHFRのカルボキシ末端側にBKがメチオニン
(Met)を介して結合したDHFR−BKを暗号
化している。 DHFR−BKを暗号化する配列の上流には、
DHFR−BK遺伝子の発現を効率良く行わせる
配列が存在する(特開昭63−46193号公報)。即
ち、43番目から50番目までの配列がSD配列と
呼ばれるもので、効率の良い翻訳に、また、
4602番目から4631番目までが、コンセンサス転
写プロモーターであり、効率の良い転写に貢献
する。このことから、pBK1−11は、大腸菌に
導入された場合、多量のDHFR−BKを作る。
作られたDHFR−BKは、菌体内に可溶性の状
態で、菌体タンパク質の約20%程度蓄積する。
このことによつて、pBK1−11を含有する大腸
菌はトリメトプリム耐性を示すようになる。ま
た、pBK1−11は、pTP70−1由来の、アンピ
シリン耐性遺伝子を有している。このことか
ら、pBK1−11が導入された大腸菌は、アンピ
シリン耐性をも示す。pBK1−11は、大腸菌に
導入されて安定状態に保たれ、pBK1−11を含
有する大腸菌は、微工研にFERMBP−1817と
して寄託されている。 このような特長を有するpBK1−11は、実施
例1に従つて作成することができるが、組換え
プラスミドの作成方法によつて本発明が制限さ
れるものではない。 (2) pBK1−11を含有する大腸菌 pBK1−11を含有する大腸菌は、トリメトプ
リム及びアンピシリンに対して耐性を示す。
pBK1−11を含有する大腸菌は、DHFR−BK
遺伝子の効率のよい発現の結果、DHFR−BK
を菌体内に可溶性の状態で大量に蓄積する。
pBK1−11を含有する大腸菌をYT+Ap培地
(培地1l中に、5gのNaCl、8gのトリプト
ン、5gのイーストエキス、及び50mgのアンピ
シリンナトリウムを含む液体培地)を用いて、
37℃で定常期まで培養した場合、蓄積する
DHFR−BKは、菌体タンパク質の約20%に達
する。培養菌体を、リン酸緩衝液などの適当な
緩衝液に懸濁し、フレンチプレス法もしくは音
波破砕法で破砕し、これを遠心分離法により上
清と沈澱に分離した場合、ほとんど全ての
DHFR−BKは上清中に回収される。pBK1−
11を含有する大腸菌は、微工研にFERMBP−
1817として寄託されている。 (3) DHFR−BK 第2図は、DHFR−BKを暗号化する部分の
DNA配列とそれから作られると予想されるタ
ンパク質のアミノ酸配列を示している。
DHFR−BKは、170アミノ酸よりなる新規な
タンパク質である。アミノ末端側から数えて、
1から159番目までの配列が、大腸菌の野生型
DHFRに1箇所アミノ酸置換置換が起こつた
(Cys−152(wild type)→Glu−152)配列であ
り、162番目から170番目までがBKの配列であ
る。BKの配列の直前のアミノ酸はメチオニン
(Met)である。このことにより、DHFR−
BKをブロムシアンで処理することにより、
BKを特異的に切り出すことができる。160番
目のイソロイシン(Ile)は、pTP70−1の
BamHI部位にBKを暗号化するDNAを導入す
る際に、遺伝暗号の読み取り枠を合わせるため
に生じた配列である。pTP70−1が作る
DHFRは、162個のアミノ酸よりなり、第2図
のDHFR−BKのアミノ酸配列のうち、アミノ
末端側から数えて、1から160番目までの配列
に、Gln−lleの2個のアミノ酸配列が結合した
配列をしている。DHFR−BKの分子量は、
19、311である。 DHFR−BKは、新規なタンパク質である。
DHFR−BKはDHFRのカルボキシ末端側に、
BKが融合した構造をしているにもかかわら
ず、DHFR酵素活性を有する。このため、大
腸菌がDHFR−BKを多量につくると、DHFR
の阻害剤であり抗細菌剤であるトリメトプリム
に対して、耐性を示すようになる。 (4) DHFR−BKの分離精製 本発明のDHFR−BKの分離精製法は、菌
体の培養、菌体の破砕、DEAE−トヨパー
ルカラム処理、メソトリキセート(MTX)
結合アフイニテイクロマトグラフイー、および
DEAE−トヨパールカラムクロマトグラフイ
ーの過程より成り立つている。 菌体の培養 pBKを含有する大腸菌の培養は、YT+
Ap培地(培地1l中に、5gのNaCl、8gの
トリプトン、5gのイーストエキスおよび50
mgのアンピシリンナトリウムを含む液体培
地。)で培養することができる。培地として
は、この他にST+Ap培地(培地1l中に、2
gのグルコース、1gのリン酸2カリウム、
5gのポリペプトン、5gのイーストエキス
および50mgのアンピシリンナトリウムを含む
液体培地。)など、菌体が成長する培地であ
れば、どの様な培地でも用いることができる
が、調べた限りでは、DHFR−BKの生産に
はYT−Ap培地が最適であつた。 pBKを含有する大腸菌を、培地に接種し、
37℃で対数成長期の後期もしくは定常期まで
培養する。培養温度により菌体中のDHFR
−BKの蓄積量が変動し、調べた限りでは、
培養温度が高いほど蓄積量が大であつた。培
養した菌体は、5000回転/分の遠心分離によ
り集める。培地11より湿重量2から4gの菌
体が得られる。 集菌およびこれ以降の操作は、特に断わら
ない限り低温(0から10℃の間、4℃が望ま
しい)で行う。 菌体の破砕 培養して得られた菌体を、湿重量の3倍の
緩衝液1(0.1mMエチレンジアミン4酢酸ナ
トリウム(EDTA)を含む10mMリン酸カ
リウム緩衝液、PH7.0)に懸濁し、フレンチ
プレスを用いて菌体を破砕する。菌体破砕液
を5000回転、10分間遠心分離し、上清を得
る。さらに、上清を、35000回転、1時間超
遠心分離し上清を得る(無細胞抽出液)。 DEAE−トヨパールカラム処理 この操作は、次の精製過程の前処理の目的
で行う。無細胞抽出液を、あらかじめ0.1M
のKClを含む緩衝液1で平衡化したDEAEト
ヨパールカラムにかけ、0.1MのKClを含む
緩衝液1でカラムを洗う。酵素の溶出は、
0.3MのKClを含む緩衝液1を用いて行う。
溶出液を一定量ずつフラクシヨンコレクター
を用いて分画する。分画した溶出液について
DHFR活性を測定し、酵素活性が含まれる
画分を集める。 MTX結合アフイニテイクロマトグラフイ
ー 上記の操作により得られた酵素液を、あら
かじめ緩衝液1で平衡化したMTX結合
Sepharoseアフイニテイカラムに吸着させ
る。吸着後、1MのKClを含む緩衝液2(0.1
mM EDTAを含む10mMリン酸カリウム
緩衝液、PH8.5)で洗う。洗いは、カラムか
らの溶出液の280nmの吸光度を測定し、吸
光度が0.1以下になるまで同緩衝液を流し続
ける。酵素の溶出は、1MのKClと3mMの
葉酸を含む緩衝液2を用いて行い、溶出液を
一定量ずつフラクシヨンコレクターを用いて
分画する。分画した溶出液についてDHFR
活性を測定し、酵素活性が含まれる画分を集
める。得られた酵素液を、緩衝液1に対し
て、3回透析する。この段階で、純度90%以
上のDHFR−BKが得られる。 DEAE−トヨパールカラムクロマトグラフ
イー 透析した酵素液を、あらかじめ緩衝液1で
平衡化したDEAE−トヨパールカラムに吸着
させる。吸着後、0.1MKClを含む緩衝液1
で洗う。洗いは、カラムからの溶出液の
280nmの吸光度を測定し、吸光度が0.01以下
になるまで同緩衝液を流し続ける。酵素の溶
出は、緩衝液1を用いて0.1Mから0.3Mの
KClの直線濃度勾配を用いて行い、溶出液を
一定量ずつフラクシヨンコレクターを用いて
分画する。分画した溶出液について280nm
の吸光度とDHFR活性とを測定する。酵素
活性/280nmの吸光度の値が、一定な画分
を集める。 以上の操作により、DHFR−BKの光度精製
均一化を、再現性良く行うことができる。 本発明に従うと、DHFR−BKの精製は、培
養を含めて一週間以内に行うことができ、回収
率45%以上で、均一な酵素標品を得ることがで
きる。 DHFR酵素活性は、反応液(0.05mMのジヒ
ドロ葉酸、0.06mMのNADPH、12mMの2−
メルカプトエタノール、50mMのリン酸緩衝液
(PH7.0))を、1mlのキユベツトとり、これに
酵素液を加え、340nmの吸光度の時間変化を
測定することにより行う。酵素1ユニツトは、
上記反応条件において、1分間に1マイクロモ
ルのジヒドロ葉酸を還元するのに必要な酵素量
として定義する。この測定は、分光光度計を用
いて容易に行うことができる。 (5) DHFR−BKを用いたBKの製造 精製したDHFR−BKからのBKの切断・分
離は、ブロムシアン処理することにより行う。
精製したDHFR−BKを凍結乾燥し、これに1
から10mgタンパク質/mlとなるように70%蟻酸
を加え、溶解した後、タンパク質量の約20倍量
の結晶ブロムシアンを加え密栓し、窒素雰囲気
下、室温で撹拌しながら24時間反応させる。反
応液を10倍量の水で希釈した後、凍結乾燥し過
剰の試薬等を除く。凍結乾燥試料を1から10mg
タンパク質/mlとなるように30%酢酸に溶か
す。溶かした試料を、HPLC装置(島津LC−
4A、inertsil−ODSカラム)を用いて、0.1%ト
リフルオロ酢酸中、15%から50%のアセトニト
リルの濃度勾配を用いて溶出・分離することが
できる。溶出物は、220nmにおける吸光度の
測定により検出することができる。第3図は、
ブロムシアン処理したDHFR−BK試料の高速
液体クロマトグラムを示している。試料注入後
約15.5分後のピークがBKである。このピーク
画分を分離する。分離した溶出液をエバホレー
ターで乾燥後、少量の水を加え凍結乾燥し溶媒
を除き、BKを得ることができる。また、得ら
れたペプチドの酸加水分解後、アミノ酸分析す
ることによりアミノ酸組成を確かめることがで
きる。 本発明の実施例においては、3lの培地から湿
重量約14gの菌体が得られ、この菌体(計算
上、約75mgのDHFR−BK、約4.1mgのBKを含
む。)から、約34mgのDHFR−BK(収率、45.3
%、計算上約1.9mgのBKを含む。)を精製して
得ることができ、このうち、10mgのDHFR−
BKをブロムシアン処理後、HPLCで分離・精
製することにより、約0.13mgのBKを得ること
ができた。 次に本発明の実施例および参考例を示す。 実施例 1 pBK1−11の作成 BKを暗号化するDNAとしては、 1 5′−
GATCATGCGCCCACCGGGTTTCTCACCG
T TCCGCTAA−3′ 2 5′−
GATCTTAGCGGAACGGTGAGAAACCCG
GT GGGCGCAT−3′ の2本の37ヌクレオチドからなるDNAをホスホ
アミダイト法に従つて化学合成し、精製後、ポリ
ヌクレオチドキナーゼを用いて、各DNAの5′末
端をリン酸化した。リン酸化したDNAを約0.1ml
(約0.01μgのDNAを含んでいる。)ずつ取り、こ
れを60℃でインキユベートすることによつて両
DNAをアニールさせた(これをDNA1と呼ぶ)。 約1μgのpTP70−1を、BamHIで切断した
後、アルカリホスフアターゼ処理をした。アルカ
リホスフアターゼ処理したDNAをフエノール処
理することにより、共存する酵素タンパク質を変
性除去し、その後エタノールでDNAを沈澱させ
た。沈澱したDNAを70%エタノールで洗つた後、
エタノールを除き、減圧下に沈澱を乾燥させた。
BamHIによるDNAの切断、アルカリホスフアタ
ーゼ処理、フエノール処理、およびエタノール沈
澱の各操作はいずれも“Mole−cular Cloning
A Loboratory Manual”(T.Mania−tis,E.F.
Fritsch,J.Sambrook,eds.Cold Spring
Harbor Laboratory(1982)、以下、文献1と呼
ぶ。)に記載している方法に従つて行つた。乾燥
させたDNAを50μlのリガーゼ用反応液(10m
MTris−HCl、PH7.4、5mM MgCl2、10mM
ジチオトレイトール、5mM ATP)に溶解後、
5μlのDNA1を加え、これに1ユニツトのT4−
DNAリガーゼを加えて、10℃で、12時間DNAの
連結反応を行わせた。この反応物を、形質転換法
(trans−formation method、上記文献1に記載)
に従つて、大腸菌に取り込ませた。この処理をし
た菌体を、50mg/のアンピシリンナトリウムお
よび10mg/のトリメトプリムを含む栄養寒天培
地(培地1中に、2gのグルコース、1gのリ
ン酸2カリウム、5gのイーストエキス、5gの
ポリペプトン、15gの寒天を含む。)上に塗布し、
37℃で24時間培養することにより、21個のコロニ
ーを得ることができた。これらのコロニーから適
当に8個選び、1.5mlのYT+Ap培地(培地1
中に、5gのNaCl、5gのイーストエキス、8
gのトリプトン、50mgのアンピシリンナトリウム
を含む。)で、37℃、1晩、菌体を培養した。培
養液を、各々エツペンドルフ遠心管にとり、
12000回転/分で10分間遠心分離し、菌体を沈澱
として集めた。これに、0.1mlの電気泳動用サン
プル調製液(0.0625MのTris−HCl、PH6.8、2%
のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、10%のグリ
セリン、5%の2−メルカプトエタノール、
0.001%のブロムフエノールブルーを含む。)を加
え、菌体を懸濁し、これを沸騰水中に5分間保
ち、菌体を溶かした。この処理をしたサンプルを
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(U.
K.Lammli;Nature、vol.227、p.680(1970))に
従つて分析した。標準サンプルとしてpTP70−
1を含有する大腸菌に同様な処理をしたもの、お
よび分子量マーカーとしてラクトアルブミン(分
子量14200)、トリプシンインヒビター(分子量
20100)、トリプシノーゲン(分子量24000)、カル
ボニツクアンヒドラーゼ(分子量29000)、グリセ
ロアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(分子
量36000)、卵アルブミン(分子量45000)、および
牛血清アルブミン(分子量66000)を含むサンプ
ルをポリアクリルアミド濃度の10から20%濃度勾
配ゲルで泳動した。その結果、8個のコロニーの
うち、5個ではpTP70−1のDHFRのバンドが
消失し、それより明らかに分子量が大きくなつた
タンパク質(分子量約22500と推定される。)を新
たに生産していること、また、残りの3個では、
DHFRとほぼ同じ大きさのタンパク質を生産す
ること、pTP70−1のDHFR(分子量18379)は、
この条件で分子量約21000のタンパク質として泳
動することが明らかになつた。分子量の大きい新
たなタンパク質を生産するコロニーのうちから、
適当に一株選び、各々、これをYT+Ap培地で
培養し、TanakaとWeisblumの方法(T.
Tanaka、B.Weisblum;J.Bacteriology、
vol.121、p.354(1975))に従つて、プラスミドを
調製した。得られたプラスミドをpBK1−11と名
づけた。pBK1−11は、PTP70−1のBamHI部
位に、化学合成したDNA配列が挿入した構造を
しているはずである。pBK1−11のEcoRI(第1
図の471−476番目の配列)とSalI(第1図の862−
867番目の配列)による切断によつて得られる約
400ヌクレオチド長のDNAについて、M13フアー
ジを用いたジデオキシ法(J.Messing;Mehtods
in Enzymology,vol.101、p.20(1983))に従つ
て、塩基配列を決定した。その結果、第1図に示
す配列の471番目から約867番目迄の配列が確かめ
られた。 pTP70−1の塩基配列は、本発明者らによつ
て明らかにされている(特開昭63−46193号公
報)。pBK1−11のEcoRI−Salの配列は、
pTP70−1のEcoRI−Salの間にあるBamHI部
位に、37ヌクレオチド長の配列が挿入された配列
である。 また、pBK1−11のEcoRI−Sal切断によつ
て得られる約4.2キロ塩基対のDNAは、Pst、
Hind、Hpa、Aat、Pvu、Bgl、およ
びClaを用いた制限酵素による切断実験の結
果、pTP70−1のEcoRI−Sal切断によつて得
られる約4.2キロ塩基対のDNAと全く同一である
ことが示された。 以上の結果から、pBK1−11の全塩基配列が第
1図に示した配列であることが決められた。 実施例 2 pBK1−11を含有する大腸菌が作るDHFR−
BK pBK1−11を含有する大腸菌が作るDHFR−
BKのアミノ酸配列は、DHFR−BK遺伝子の塩
基配列から予想することができる。第1図の57番
目から566番目の配列がDHFR−BKを暗号化し
ていることから、トリプレツト暗号表を用いて、
アミノ酸配列を推定した。その結果第2図に示す
アミノ酸配列が得られた。 pBK1−11を含有する大腸菌から、DHFR−
BKを分離精製し、精製したタンパク質の性質を
調べた。 DHFR−BKの精製 A 用いた菌体量:湿重量 14g B 酵素精製表 表における精製過程は無細胞抽出液、
DEAE−トヨパールカラム処理、メソトリキ
セート結合アフイニテイクロマトグラフイー、
およびDEAE−トヨパールカラムクロマトグ
ラフイーを表す。
【表】 DHFR酵素活性は、反応液(0.05mMのジヒド
ロ葉酸、0.06mMのNADPH、12mMの2−メル
カプトエタノール、50mMのリン酸緩衝液(PH
7.0))を、1mlのキユベツトとり、これに酵素液
を加え、340nmの吸光度の時間変化を測定する
ことにより行つた。酵素1ユニツトは、上記反応
条件において、1分間に1マイクロモルのジヒド
ロ葉酸を還元するのに必要な酵素量として定義し
た。 得られた酵素タンパク質をSDS電気泳動法(上
記実施例に記載の方法)により分析したところ、
約22500の単一なタンパク質バンドが示され、得
られた酵素標品が均一であることが示された。 分離精製したDHFR−BKの性質 精製したDHFR活性を示すタンパク質をエン
ザイムイムノアツセイにより検討したところ、
BKに対する抗体と反応することが示された。即
ち、精製して得られたタンパク質は免疫学的に
BKと同等の構造を有することが明らかとなつ
た。 精製して得られたタンパク質のカルボキシ末端
側のアミノ酸配列を明らかにするために、カルボ
キシペプチダーゼYを、精製タンパク質に時間を
変化させて作用させ、遊離してくるアミノ酸を定
量した(カルボキシペプチダーゼ法によるカルボ
キシ末端側のアミノ酸配列の決定法)。その結果、
−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg(カルボキシ末端)
であることが予想された。また、精製して得られ
たタンパク質を酸加水分解した後、アミノ酸分析
したところ、塩基配列の結果予想されるアミノ酸
組成と一致した結果が得られた。 実施例 3 精製分離したDHFR−BKからのBKの分離 実施例2で得られた精製タンパク質(約10mg、
約517nmoleのDHFR−BK)を凍結乾燥し、これ
を2mlの70%蟻酸に溶かし、これに約200mgのブ
ロムシアンを加え溶かし、窒素雰囲気下に密栓
し、室温で24時間撹拌しながら反応させた。反応
後、20mlの水を加え、その後、凍結乾燥した。凍
結乾燥して得られた標品を、10mlの30%酢酸に溶
かした。そのうちの0.5mlを(約26nmoleの
DHFR−BKを含むはず)をとり、HPLC装置
(島津LC−4A)を用い、Inertsil−ODS5μmカラ
ムで分離した。溶出は、0.1%トリフルオロ酢酸
中、アセトニトリルの濃度勾配(15%から50%)
をかけることにより行つた。0から2分までは、
15%のアセトニトリルを用い、2分から32分まで
は、15%から50%のアセトニトリルの直線濃度勾
配をかけた。その結果、第3図に示すような溶出
曲線が得られた。試料注入後約15.5分後のピーク
(第3図の矢印Aで示している。)を分取し、分離
した溶出液をエバポレーターで乾燥後、少量の水
を加え凍結乾燥し溶媒を除き、ペプチドを得た。
得られたペプチドを酸加水分解し、アミノ酸分析
に用いた。その結果、セリン(Ser)、グリシン
(Gly)、フエニルアラニン(Phe)、アルギニン
(Arg)、およびプロリン(Pro)が、それぞれ、
5.5、6.1、10.9、12.0、および20.0nmoleずつ検出
された。アミノ酸組成は、BKのそれと一致した
値であり、またアミノ酸分析に用いた標品は、約
6.1nmole(約6.5μg)のBKを含んでいたことが明
かとなつた。この結果を用いると、0.5mlのブロ
ムシアン処理して得られた標品をHPLCを用いて
分離することにより、収率約25%(6.5nmole/
26nmole)でBKを回収できること、またこの操
作を20回繰り返すことにより、10mgのDHFR−
BKから約130μgのBKが得られることが示され
る。 また、DHFR−BKの精製の収率が約45%であ
り、DHFR−BKからBKの分離の収率が約25%
であることから、大腸菌がつくるBKペプチド部
分の単離収率が、約11%程度であると算出され
る。この値は、予想より相当低い値であつた。第
3図で、試料注入後約16.5分後のピーク(第3図
の矢印Bで示している。)を分取し、アミノ酸分
析したところ、BKからアルギニンが一個欠落し
た組成のペプチドであることが明らかとなつた。
これは、DHFR−BKの精製過程もしくは、
DHFR−BKのブロムシアン処理の過程でアルギ
ニンが一個脱落したために生じたこと、またこの
ことによりBKの分離の収率が低下したことが考
えられる。 発明の効果 上記のように、新規組換えプラスミドpBK1−
11は、DHFR−BKを暗号化しており、かつ
pBK1−11を含有する大腸菌は、DHFR−BKを
可溶性の状態で大量に蓄積生産する。さらに、生
成したDHFR−BKは、DHFR酵素活性を保持し
ており、精製を容易に行うことができる。また、
DHFR−BKをブロムシアン処理後、HPLCで分
離することにより、BKを容易に単離することが
できる。このような性質を有することから、本発
明は、DHFR−BKとそれを利用したBKの生産
に有益である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、pBK1−11の全塩基配列を示した図
であり、2本鎖DNAのうち片方のDNA鎖配列だ
けを、5′末端から3′末端の方向に記述している。
図中符号は、核酸塩基を表し、Aはアデニンを、
Cはシトシンを、Gはグアニンを、Tはチミンを
示している。図中番号は、pBK1−11に2箇所存
在する制限酵素Claのうち、Hind部位に近い
方のCla切断認識部位、5′−ATCGAT−3′、の
最初の“A”を1番として数えた番号を示してい
る。第2図は、pBK1−11中に存在するDHFR−
BKを暗号化する部分の塩基配列およびタンパク
質のアミノ酸配列を示す図である。図中符号は、
核酸塩基およびアミノ酸を表し、Aはアデニン
を、Cはシトシンを、Gはグアニンを、Tはチミ
ンを、Alaはアラニンを、Argはアルギニンを、
Asnはアスパラギンを、Aspはアスパラギン酸
を、Cysはシステインを、Glnはグルタミンを、
Gluはグルタミン酸を、Glyはグリシンを、Hisは
ヒスチジンを、Ileはイソロイシンを、Leuはロイ
シンを、Lysはリジンを、Metはメチオニンを、
Pheはフエニルアラニンを、Proはプロリンを、
Serはセリンを、Thrはトレオニンを、Trpはト
リプトフアンを、Tyrはチロシンを、Valはバリ
ンを示している。図中番号は、1番目のアミノ酸
であるメチオニンを暗号化するATGコドンの
“A”を1番として数えた番号を示している。第
3図は、ブロムシアン処理したDHFR−BK試料
の高速液体クロマトグラムを示している。横軸
は、試料注入後の時間を分単位で、縦軸は、
220nmの吸光度を任意単位で表現している。矢
印Aで示したピークがBKの、また、矢印Bで示
したピークがBKからアルギニンが一個脱落した
と示唆されるペプチドの溶出ピークである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 大腸菌において安定に複製され、宿主である
    大腸菌にトリメトプリム耐性およびアンピシリン
    耐性を与えることができ、4645塩基対の大きさを
    有し、下記に示すDNA配列を有する新規組換え
    プラスミドpBK1−11。 【表】 【表】 【表】 【表】 【表】 2 請求項1記載のpBK1−11を含有する大腸
    菌。 3 請求項1記載のpBK1−11を含有する大腸菌
    が生産し、下記に示すアミノ酸配列を有するジヒ
    ドロ葉酸還元酵素−ブラジキニン融合タンパク
    質。 【表】 4 請求項1記載のpBK1−11を含有する大腸菌
    を培養し、ジヒドロ葉酸還元酵素活性を目安に、
    ジヒドロ葉酸還元酵素−ブラジキニン融合タンパ
    ク質を、培養菌体の無細胞抽出液から、イオン交
    換カラム処理、メソトリキセート結合アフイニテ
    イカラムクロマトグラフイー、および陰イオン交
    換カラムクロマトグラフイーを用いて精製するこ
    とを特徴とするジヒドロ葉酸還元酵素−ブラジキ
    ニン融合タンパク質の分離精製方法。 5 請求項1記載のpBK1−11を含有する大腸菌
    の生産するジヒドロ葉酸還元酵素−ブラジキニン
    融合タンパク質をブロムシアン分解法により分解
    した後、ブラジキニンを分離精製することを特徴
    とするブラジキニンの製造方法。
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