JPH0362835B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、刺繍部の連結方法に関するものであ
り、又所定長さのケミカルレースを順次連結して
長尺なケミカルレースを製造する長尺ケミカルレ
ースの製造方法に関するものである。

（従来技術及び発明が解決しようとする課題） ケミカルレースは、溶解性を有する基布に刺繍
機により刺繍を施した後該基布を溶解して刺繍部
だけを残し、透かし模様を形成する機械レースの
一種である。

ケミカルレースは、このように刺繍機による刺
繍を前提とするものであるため、製造されるケミ
カルレースの長さは、刺繍機の刺繍部幅に制約さ
れることとなる。

ところで、現在における刺繍機の刺繍部幅は15
ヤード（約13.7ｍ）が限度であるため、製造され
るケミカルレースの最大長さは15ヤードが限度で
あつた。

従来のケミカルレースは、その長さがこのよう
に制限されたものであつたため、以下のような問
題があつた。即ち、ケミカルレースを切断して例
えば５ｍ長さのカーテン地を量産せんとするばあ
い、ケミカルレースの長さの不足から、15ヤード
長のケミカルレース１枚に付き約４ｍ長さ分がロ
スとなる。そのため、かかるロス分が製造コスト
に上乗せされて製品価格を上昇させる問題があつ
た。又室内インテリアの設計上、15ヤードを超え
る長さのケミカルレースが必要となるばあいもあ
るが、従来の15ヤード長のケミカルレースでは、
その長さが不足するために一体感のあるインテリ
ア材料が得られない問題があつた。

かかるばあい、必要とされる長さの倍数長さに
ケミカルレースの長さが設定されているとするな
らば、材料ロスがなくなり又今日における多様化
したインテリアに対する要求にも応じうることと
なる。

本発明は、主としてケミカルレースに対するこ
のような長尺化の要請に応えるために開発され
た、刺繍部の連結方法及び該連結方法を含む長尺
ケミカルレースの製造方法の提供を目的するもの
である。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するため、本発明は以下のごと
き手段を採用する。即ち、 本発明に係る刺繍部の連結方法（以下連結方法
という）は、縫針を突刺し可能の刺繍幅に形成さ
れた連結部分を有する刺繍端部相互を連結する方
法であつて、刺繍端部の連結部分相互を突合わせ
て後、突合わされた連結部分相互を、該連結部分
に縫針を突刺して縫着することにより連結糸で連
結し、その後夫々の連結部分について、連結部分
の刺繍の運針方向に合わせてジグザグ縫いするこ
とにより該連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を
施すことを特徴とするものである。

又本発明に係る長尺ケミカルレースの製造方法
（以下製造方法という）の一は、単位の刺繍模様
をそれが基布の長さ方向に連続するように、且つ
基布の前端部分における刺繍端部と基布の後端部
分における刺繍端部とが単位の刺繍模様の連続部
を構成するように連なるごとく基布に刺繍を施し
てなる刺繍布において、刺繍端部は縫針を突刺し
可能の刺繍幅に形成された連結部分を有するもの
となし、又該基布の全体は水溶性素材を以て形成
されているものとなし、このような構成を有する
一の刺繍布の前端部分と他の刺繍布の後端部分と
を、刺繍端部に設けられた連結部分相互が連続す
るように突合わせて後、各突合わされた連結部分
相互を、該連結部分に縫針を突刺して縫着するこ
とにより連結糸で連結し、その後夫々の連結部分
について、連結部分の刺繍の運針方向に合わせて
ジグザグ縫いすることにより該連結糸を覆い隠す
ごとく連結部刺繍を施し、然る後基布を溶解する
ことを特徴とするものである。

又本発明に係る製造方法の他は、単位の刺繍模
様をそれが基布の長さ方向に連続するように、且
つ基布の前端部分における刺繍端部と基布の後端
部分における刺繍端部とが単位の刺繍模様の連続
部を構成するように連なるごとく基布に刺繍を施
してなる刺繍布において、刺繍端部は縫針を突刺
し可能の刺繍幅に形成された連結部分を有するも
のとなし、又該基布は、水溶性素材からなる経糸
と水溶性を有さない緯糸との製織によつて形成さ
れているものとなし、このような構成を有する一
の刺繍布の前端部分と他の刺繍布の後端部分と
を、刺繍端部に設けられた連結部分相互が連続す
るように突合わせて後、突合わされた連結部分相
互を、該連結部分に縫針を突刺して縫着すること
により連結糸で連結し、その後夫々の連結部分に
ついて、連結部分の刺繍の運針方向に合わせてジ
グザグ縫いすることにより該連結糸を覆い隠すご
とく連結部刺繍を施し、然る後基布における水溶
性素材からなる経糸を溶解させることを特徴とす
るものである。

なお本発明において、「長尺ケミカルレース」
とは、従来のケミカルレースの長さよりも長いケ
ミカルレースをいう。

（実施例） 以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。

連結方法の実施例 第１〜２図において本発明に係る連結方法は、
縫針を突刺し可能の刺繍幅に形成された連結部分
１，１を有する刺繍端部２，２の該連結部分１，
１相互を突合わせて後、突合わされた連結部分相
互を、該連結部分１，１に縫針を突刺して縫着す
ることにより連結糸３で連結し（第１図）、その
後、夫々の連結部分１，１について、その刺繍の
運針方向に合わせてジグザグ縫いすることにより
該連結糸３を覆い隠すごとく連結部刺繍４を施す
（第２図）ものである。

製造方法の第１実施例 本発明に係る製造方法の第１の工程は、連結さ
れる刺繍布を製作する工程である。該刺繍布は、
第３図に示すごとく、全体が水溶性素材例えば水
溶性ビニロンを以て形成された基布（例えば織
物）５に刺繍機により所要の刺繍６を施してなる
ものである。該刺繍６は、単位の刺繍模様をそれ
が基布５の長さ方向に連続するように、且つ基布
５の前端部分７における刺繍端部２と基布５の後
端部分９における刺繍端部２とが単位の刺繍模様
を構成するように連なるごとく施してなる。なお
第３図においては、便宜上、連続する刺繍模様は
基布の前端部分及び基布の後端部分においてのみ
現している。

このような構成を有する刺繍布Ａ１，Ａ２相互
を、第４図に示すごとく、一の刺繍布Ａ１の前端
部分７と他を刺繍布Ａ２の後端部分９とが、刺繍
端部２，２の各対応連結部分（縫針を突刺し可能
の幅を有する）１，１が突合わせ状態に連続する
ように位置合わせする。なお本実施例において
は、該位置合わせに先立ち、例えば第５図に示す
ごとく、刺繍布Ａ２の刺繍端部２の外側部分１０
を切除している。

その後第４図に示すごとく、各突合わされた連
結部分相互を、該連結部分に縫針を突刺して縫着
することにより連結糸３で連結された状態とす
る。然る後第６図に示すごとく、夫々の連結部分
について、刺繍の運針方向に合わせてジグザグ縫
いすることにより該連結糸３を覆い隠すごとく連
結部刺繍４を施す。

そして最後に、基布５を溶かして刺繍だけを残
し、透かし模様を形成すると、第７図に示すごと
き、一体に連結された長尺ケミカルレース１１が
得られることとなる。

製造方法の第２実施例 前記実施例において述べた基布５は、その全体
が水溶性素材を以て形成されているが、本実施例
に係る基布５は、水溶性素材からなる経糸と水溶
性を有さない緯糸とを製織して形成されている。
そして前記と同様にして、このような構成を有す
る刺繍布相互を、一の刺繍布の前端部分と他の刺
繍布の後端部分とが、刺繍端部の各対応連結部分
（縫針を突刺し可能の幅を有する）が突合わせ状
態に連続するように位置合わせした後、各突合わ
された連結部分相互を、該連結部分に縫針を突刺
して縫着することにより連結糸で連結された状態
とする。然る後夫々の連結部分について、刺繍の
運針方向に合わせてジグザグ縫いすることにより
該連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を施す。

然る後、基布における水溶性素材からなる経糸
を溶解させ、連結部分において生ずる重なり状態
にある緯糸のうちの一面側の緯糸を必要に応じて
切除すると、第８図に示すごとき、緯糸１２を有
する長尺ケミカルレース１１が得られることとな
る。

（発明の効果） 本発明は以上説明したように構成されているの
で、以下のごとき優れた効果を奏する。

本発明に係る連結方法においては、縫針を突
刺し可能の刺繍幅に形成された連結部分を有す
る刺繍端部の該連結部分相互を突合わせて後、
突合わされた連結部分相互を、該連結部分に縫
針を突刺して縫着することにより連結糸で連結
された状態としている。又連結糸による連結の
後、連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を施す
こととしている。

このような連結糸による連結及びそれに加え
ての連結部刺繍により、連結部分相互の連結は
非常に強固なものとなる。

又、連結糸を覆い隠すごとく施される連結部
刺繍は、刺繍の運針方向に合わせてジグザグ縫
いすることにより行うものであるため、連結部
は、殆ど目立たない状態に体裁よく仕上がる。

本発明に係る製造方法によるときには、ケミ
カルレースの長さを、刺繍機の幅に何等制約さ
れることなく自在に設定することができる。従
つて、所要長さのインテリア材料、例えばカー
テン地を量産するばあいには、ケミカルレース
の長さを該所要長さの倍数長さに設定すること
により、長さが限定されていた従来のケミカル
レースを切断するばあいとは異なりロスが生じ
ず、製造コストの低減を斯しうることとなる。
あるいは又、従来のケミカルレースの最大長さ
（15ヤード）を超えるインテリア材料であつて
も、それを一体物として製作することができ
る。このように本発明によるときには、今日の
多様化したインテリアに対する要求に応ずるこ
とができるものである。

加えて刺繍布相互の連結は、前記特徴を有す
る連結方法によるものであるため、連結部分相
互の連結は非常に強固なものとなる。又、連結
部は殆と目立たない状態に体裁よく仕上がり、
付加価値の高い長尺ケミカルレースが得られる
こととなる。

【図面の簡単な説明】

第１〜２図は連結方法を説明する説明図、第３
図は連結される刺繍布を示す正面図、第４図は連
結される刺繍布相互を刺繍端部が連続するように
位置合わせし対応連結部分相互を連結糸で連結し
た状態を示す正面図、第５図は連結される刺繍布
の一方における刺繍端部の外側部分を切除した状
態を示す正面図、第６図は連結糸を覆い隠すごと
く連結部刺繍を施した状態を示す正面図、第７図
は長尺ケミカルレースを示す斜視図、第８図は長
尺ケミカルレースの他の例を示す斜視図である。 １……連結部分、２……刺繍端部、２……連結
糸、４……連結部刺繍、５……基布、６……刺
繍、７……基布の前端部分、９……基布の後端部
分、１１……長尺ケミカルレース。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 縫針を突刺し可能の刺繍幅に形成された連結
   部分を有する刺繍端部相互を連結する方法であつ
   て、 刺繍端部の連結部分相互を突合わせて後、突合
   わされた連結部分相互を、該連結部分に縫針を突
   刺して縫着することにより連結糸で連結し、その
   後夫々の連結部分について、連結部分の刺繍の運
   針方向に合わせてジグザグ縫いすることにより該
   連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を施すことを
   特徴とする刺繍部の連結方法。 ２ 単位の刺繍模様をそれが基布の長さ方向に連
   続するように、且つ基布の前端部分における刺繍
   端部と基布の後端部分における刺繍端部とが単位
   の刺繍模様の連続部を構成するように連なるごと
   く基布に刺繍を施してなる刺繍布において、刺繍
   端部は、縫針を突刺し可能の刺繍幅に形成された
   連結部分を有するものとなし、又該基布の全体は
   水溶性素材を以て形成されているものとなし、 このような構成を有する一の刺繍布の前端部分
   と他の刺繍布の後端部分とを、刺繍端部に設けら
   れた連結部分相互が連続するように突合わせて
   後、突合わされた連結部分相互を、該連結部分に
   縫針を突刺して縫着することにより連結糸で連結
   し、 その後夫々の連結部分について、連結部分の刺
   繍の運針方向に合わせてジグザグ縫いすることに
   より該連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を施
   し、 然る後基布を溶解することを特徴とする長尺ケ
   ミカルレースの製造方法。 ３ 単位の刺繍模様をそれが基布の長さ方向に連
   続するように、且つ基布の前端部分における刺繍
   端部と基布の後端部分における刺繍端部とが単位
   の刺繍模様の連続部を構成するように連なるごと
   く基布に刺繍を施してなる刺繍布において、刺繍
   端部は、縫針を突刺し可能の刺繍幅に形成された
   連結部分を有するものとなし、又該基布は、水溶
   性素材からなる経糸と水溶性を有さない緯糸との
   製織によつて形成されているものとなし、 このような構成を有する一の刺繍布の前端部分
   と他の刺繍布の後端部分とを、刺繍端部に設けら
   れた連結部分相互が連続するように突合わせて
   後、突合わされた連結部分相互を、該連結部分に
   縫針を突刺して縫着することにより連結糸で連結
   し、 その後夫々の連結部分について、連結部分の刺
   繍の運針方向に合わせてジグザグ縫いすることに
   より該連結糸を覆い隠すごとく連結部刺繍を施
   し、 然る後基布における水溶性素材からなる経糸を
   溶解させることを特徴とする長尺ケミカルレース
   の製造方法。