JPH0360920B2 - - Google Patents
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- JPH0360920B2 JPH0360920B2 JP59105401A JP10540184A JPH0360920B2 JP H0360920 B2 JPH0360920 B2 JP H0360920B2 JP 59105401 A JP59105401 A JP 59105401A JP 10540184 A JP10540184 A JP 10540184A JP H0360920 B2 JPH0360920 B2 JP H0360920B2
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Classifications
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23G—CLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
- C23G1/00—Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
- C23G1/02—Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
- C23G1/08—Iron or steel
- C23G1/086—Iron or steel solutions containing HF
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D6/00—Heat treatment of ferrous alloys
- C21D6/002—Heat treatment of ferrous alloys containing Cr
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
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- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/46—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for sheet metals
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
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- C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
- C21D2211/001—Austenite
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は表面光沢の優れたオーステナイト系ス
テンレス鋼冷延板の製造方法に関するものであ
る。 〔従来の技術〕 一般的なステンレス冷延鋼板の製造方法を述べ
ると、連続鋳造スラブを均熱処理し、熱間圧延に
より2〜8mmの厚さの熱延板を製造し、次に熱延
板を必要に応じて焼鈍した後脱スケールし、製品
板厚まで冷間圧延する(1CR)か途中の板厚で中
間焼鈍して冷間圧延し(2CR)、さらに、最終焼
鈍酸洗しスキンパス圧延して2B製品を製造する
か、または最終光輝焼鈍しスキンパス圧延して
BA製品を製造する。 熱延板の脱スケールは、シヨツトブラストなど
の機械的処理を行つた後、硝酸とふつ酸の混酸で
酸洗することにより行われ、通常用いられる酸濃
度はオーステナイト系(Cr−Ni系)の場合硝酸
(HNO3)が5〜15%、ふつ酸(HF)が1〜5%
である(「ステンレス鋼便覧」昭和48年版P.842)。 このようにして脱スケールした熱延板を冷間圧
延すると、冷延板の表面に「肌荒」と呼ばれる幅
5〜50μm、長さ50〜500μm程度の微小欠陥が全
面に生じ、特にBA製品では製品の価値を著しく
損ねる。したがつて、従来は熱延板を1〜2パス
冷間圧延したのち、ベルトグラインダーで表面を
研削し、表面を均一にし、引続き冷間圧延を行つ
ていた。 近年、ステンレス鋼板の製造コスト低減のた
め、ベルトグラインダーによる表面の研削工程の
省略が要望されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、SUS304、SUS316等一般的な用途
向けの18Cr系オーステナイト系ステンレス鋼冷
延鋼板のBA製品の製造において、ベルトグライ
ンダーによる表面の研削工程を省略し、かつ製品
板厚まで中間焼鈍なしに冷間圧延(1CR)して、
肌荒のない表面光沢の優れた製品を製造すること
を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、18Cr系オーステナイト系ステンレ
ス鋼の熱延板を、例えばシヨツトブラストなどに
より機械的予備脱スケール処理した後、硝ふつ酸
水溶液1当り、硝酸100〜400gとふつ酸75〜
400gを含む硝ふつ酸水溶液を用いて連続脱スケ
ールすることにより、溝状腐食がなく且つエツチ
ピツトのない全面腐食状態となし、ついで製品板
厚まで冷間圧延し、光輝焼鈍することを特徴とす
るオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法を
要旨とする。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明における18Cr系オーステナイト系ステ
ンレス鋼は、SUS304、SUS316等一般的な用途
向けのステンレス鋼である。機械的予備脱スケー
ル処理としては、シヨツトブラストの他、リキツ
ドホーニング、ロールベンデイング、軽圧下圧延
などを行うことができる。硝ふつ酸水溶液の濃度
として、HNO3が100g/(以下、本明細書に
おいて、g/は硝ふつ酸水溶液1当りの硝酸
またはふつ酸のg数を意味する)未満あるいは
HFが75g/未満では、連続脱スケール後の熱
延板に溝状腐食およびエツチピツトが発生し、こ
れを表面研削せずに製品板厚まで冷間圧延する
と、ステンレス鋼板の表面に肌荒が発生する。ま
た、HNO3が400g/を越えるとNOxの発生が
激しく脱硝が困難となる。更にふつ酸は元来高価
な酸液であり、400g/を越える濃度では工業
的に実施する意味がない。したがつて、HNO3を
100〜400g/、HFを75〜400g/と限定し
た。このような高濃度の硝ふつ酸水溶液を用いた
連続脱スケールは、酸洗槽内の該液中に熱延板を
連続的に通過させるか、または、連続的に移送さ
れる熱延板に該液をスプレーすることにより、該
液と熱延板の短時間の接触で脱スケールする処理
である。脱スケールした熱延板に対しては、ベル
トグラインダーによる表面研削を行わず、製品板
厚まで中間焼鈍なしに冷間圧延し、光輝焼鈍す
る。 〔作 用〕 SUS304の熱延板をシヨツトブラストしたの
ち、従来一般に行われている条件のHNO3100
g/、HF30g/、浴温50℃、浸漬時間60秒
で硝ふつ酸酸洗したときの表面は、第2図aの走
査型電子顕微鏡像に示すように、結晶粒界が溝状
に侵食され(通常粒界腐食と呼ばれる)、しかも
結晶粒内には方位性のエツチピツトと呼ばれるミ
クロ的な穴が無数に発生している。このような熱
延板をベルトグラインダー研削せずに冷間圧延す
ると、ホツトコイル表面の結晶粒界の溝状部、お
よび結晶粒内のエツチピツトが冷間圧延時につぶ
され、かぶさり状になる。 この欠陥は第2図b(圧下率30%)、同c(圧下
率60%)、同d(圧下率80%)の顕微鏡写真(×
200)に示されるように冷延圧下率が増加すると
徐々に消えるが、第2図dから明らかな如く通常
の酸洗法では圧下率が80%になつても無数の疵が
全面に存在する事が判る。 この製品を肉眼で観察すると全体に白つぽく曇
り、微小欠陥も確認され製品として不合格とな
る。これを「肌荒」と呼ぶ。 第2図dの黒くみえる欠陥部が肌荒であり、大
きな肌荒で幅10μm、長さ150μmになる。未だ冷
延圧下率の低い第2図cでは肌荒が網目状に連な
つている事が判る。 肌荒の大きさは冷延圧下率、ホツトコイルの性
状であり、第2図で示したものより更に大きなも
のが生ずる事が経験されている。 これに対して、硝ふつ酸の濃度を本発明の範囲
内のHNO3150g/、HF100g/とし、その
他は前記従来法と同様の条件で製造した例を第3
図に示す。酸洗後の熱延板の表面には、第3図a
に示すように、結晶粒界の溝状腐食および結晶粒
内のエツチピツトは見られず、全面腐食となつて
いる。 この様な熱延板をベルト・グラインダー研削せ
ずに冷間圧延すると、第3図b(圧下率30%)、同
c(圧下率60%)、同d(圧下率80%)の顕微鏡写
真(×200)に示す様に第2図の同じ圧下率での
比較において明らかな様に表面性状が格段に異な
り美麗な表面である事が判る。 圧下率80%の第3図dにおいて微かに黒くみえ
る点は元来ホツトコイルの持つ凹凸と、冷延ロー
ルの凹凸により生じた欠陥であり200倍の顕微鏡
で観察されるものであり実際の肉眼での製品判定
では全く問題とならない。 つぎにSUS304の熱延板をシヨツトブラストし
たのち5の各種濃度に調整した硝ふつ酸混合液
を50℃の温度に保持し、該混合液を用いて60秒間
脱スケール処理した。 次にこの試片を走査型電子顕微鏡で観察し溝状
腐食、エツチピツトの有無を確認した。更にこの
酸洗処理した試片を80%冷間圧延し「肌荒」の有
無を顕微鏡(200倍および500倍)で調査した。 その結果を第1図に示す。第1図中〇印は冷延
後肌荒、光沢不良ともにないもの、×印は冷延後
肌荒、光沢不良ともにあるものを示す。硝酸100
g/以上、ふつ酸75g/以上を含む濃度範囲
においては、酸洗後溝状腐食、エツチピツトとも
に発生せず、このような試片を冷間圧延したとき
には肌荒れの発生が全くみられず、溝状腐食、エ
ツチピツトの発生しない領域と肌荒の発生しない
領域が良く一致した。なお、温度を30、70、90℃
の3水準につき第1図で示した硝酸+ふつ酸の各
種の濃度範囲について実験を行なつた結果、硝酸
100g/以上、ふつ酸75g/以上の50℃にお
いて良好であつた濃度範囲と同様の適正範囲が存
在する事が判明した。また脱スケール完了後更に
長い時間浸漬しても溝状腐食、エツチピツトは発
生しない。したがつて第1図で示した適正濃度範
囲内であれば温度に関係なく、また脱スケール完
了後の時間に関係なく溝状腐食、エツチピツトは
発生しないといえる。 肌荒の発生していない冷延板を光輝焼鈍して
BA製品を製造すれば、肌荒のない光沢良好な製
品が得られる。また、このような冷延板を酸化性
雰囲気で焼鈍し酸洗して2B製品を製造しても、
表面性状の優れた製品が得られる。 〔実施例〕 シヨツトブラスト処理したSUS304の熱延板を
硝酸(HNO3)50〜400g/、ふつ酸(HF)50
〜400g/の各濃度範囲で合計42種類の濃度を
組み合わせて50℃×60secの条件下で酸洗後、ベ
ルトグラインダー研削せずに冷間圧延し、光輝焼
鈍し、「肌荒」発生の有無を調査した。結果は表
1に示すように、本発明法によるものはいずれも
良好な表面の製品が得られた。また「肌荒」発生
のない製品は光沢も良く表面性状が改善されてい
る。
テンレス鋼冷延板の製造方法に関するものであ
る。 〔従来の技術〕 一般的なステンレス冷延鋼板の製造方法を述べ
ると、連続鋳造スラブを均熱処理し、熱間圧延に
より2〜8mmの厚さの熱延板を製造し、次に熱延
板を必要に応じて焼鈍した後脱スケールし、製品
板厚まで冷間圧延する(1CR)か途中の板厚で中
間焼鈍して冷間圧延し(2CR)、さらに、最終焼
鈍酸洗しスキンパス圧延して2B製品を製造する
か、または最終光輝焼鈍しスキンパス圧延して
BA製品を製造する。 熱延板の脱スケールは、シヨツトブラストなど
の機械的処理を行つた後、硝酸とふつ酸の混酸で
酸洗することにより行われ、通常用いられる酸濃
度はオーステナイト系(Cr−Ni系)の場合硝酸
(HNO3)が5〜15%、ふつ酸(HF)が1〜5%
である(「ステンレス鋼便覧」昭和48年版P.842)。 このようにして脱スケールした熱延板を冷間圧
延すると、冷延板の表面に「肌荒」と呼ばれる幅
5〜50μm、長さ50〜500μm程度の微小欠陥が全
面に生じ、特にBA製品では製品の価値を著しく
損ねる。したがつて、従来は熱延板を1〜2パス
冷間圧延したのち、ベルトグラインダーで表面を
研削し、表面を均一にし、引続き冷間圧延を行つ
ていた。 近年、ステンレス鋼板の製造コスト低減のた
め、ベルトグラインダーによる表面の研削工程の
省略が要望されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明は、SUS304、SUS316等一般的な用途
向けの18Cr系オーステナイト系ステンレス鋼冷
延鋼板のBA製品の製造において、ベルトグライ
ンダーによる表面の研削工程を省略し、かつ製品
板厚まで中間焼鈍なしに冷間圧延(1CR)して、
肌荒のない表面光沢の優れた製品を製造すること
を目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、18Cr系オーステナイト系ステンレ
ス鋼の熱延板を、例えばシヨツトブラストなどに
より機械的予備脱スケール処理した後、硝ふつ酸
水溶液1当り、硝酸100〜400gとふつ酸75〜
400gを含む硝ふつ酸水溶液を用いて連続脱スケ
ールすることにより、溝状腐食がなく且つエツチ
ピツトのない全面腐食状態となし、ついで製品板
厚まで冷間圧延し、光輝焼鈍することを特徴とす
るオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法を
要旨とする。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明における18Cr系オーステナイト系ステ
ンレス鋼は、SUS304、SUS316等一般的な用途
向けのステンレス鋼である。機械的予備脱スケー
ル処理としては、シヨツトブラストの他、リキツ
ドホーニング、ロールベンデイング、軽圧下圧延
などを行うことができる。硝ふつ酸水溶液の濃度
として、HNO3が100g/(以下、本明細書に
おいて、g/は硝ふつ酸水溶液1当りの硝酸
またはふつ酸のg数を意味する)未満あるいは
HFが75g/未満では、連続脱スケール後の熱
延板に溝状腐食およびエツチピツトが発生し、こ
れを表面研削せずに製品板厚まで冷間圧延する
と、ステンレス鋼板の表面に肌荒が発生する。ま
た、HNO3が400g/を越えるとNOxの発生が
激しく脱硝が困難となる。更にふつ酸は元来高価
な酸液であり、400g/を越える濃度では工業
的に実施する意味がない。したがつて、HNO3を
100〜400g/、HFを75〜400g/と限定し
た。このような高濃度の硝ふつ酸水溶液を用いた
連続脱スケールは、酸洗槽内の該液中に熱延板を
連続的に通過させるか、または、連続的に移送さ
れる熱延板に該液をスプレーすることにより、該
液と熱延板の短時間の接触で脱スケールする処理
である。脱スケールした熱延板に対しては、ベル
トグラインダーによる表面研削を行わず、製品板
厚まで中間焼鈍なしに冷間圧延し、光輝焼鈍す
る。 〔作 用〕 SUS304の熱延板をシヨツトブラストしたの
ち、従来一般に行われている条件のHNO3100
g/、HF30g/、浴温50℃、浸漬時間60秒
で硝ふつ酸酸洗したときの表面は、第2図aの走
査型電子顕微鏡像に示すように、結晶粒界が溝状
に侵食され(通常粒界腐食と呼ばれる)、しかも
結晶粒内には方位性のエツチピツトと呼ばれるミ
クロ的な穴が無数に発生している。このような熱
延板をベルトグラインダー研削せずに冷間圧延す
ると、ホツトコイル表面の結晶粒界の溝状部、お
よび結晶粒内のエツチピツトが冷間圧延時につぶ
され、かぶさり状になる。 この欠陥は第2図b(圧下率30%)、同c(圧下
率60%)、同d(圧下率80%)の顕微鏡写真(×
200)に示されるように冷延圧下率が増加すると
徐々に消えるが、第2図dから明らかな如く通常
の酸洗法では圧下率が80%になつても無数の疵が
全面に存在する事が判る。 この製品を肉眼で観察すると全体に白つぽく曇
り、微小欠陥も確認され製品として不合格とな
る。これを「肌荒」と呼ぶ。 第2図dの黒くみえる欠陥部が肌荒であり、大
きな肌荒で幅10μm、長さ150μmになる。未だ冷
延圧下率の低い第2図cでは肌荒が網目状に連な
つている事が判る。 肌荒の大きさは冷延圧下率、ホツトコイルの性
状であり、第2図で示したものより更に大きなも
のが生ずる事が経験されている。 これに対して、硝ふつ酸の濃度を本発明の範囲
内のHNO3150g/、HF100g/とし、その
他は前記従来法と同様の条件で製造した例を第3
図に示す。酸洗後の熱延板の表面には、第3図a
に示すように、結晶粒界の溝状腐食および結晶粒
内のエツチピツトは見られず、全面腐食となつて
いる。 この様な熱延板をベルト・グラインダー研削せ
ずに冷間圧延すると、第3図b(圧下率30%)、同
c(圧下率60%)、同d(圧下率80%)の顕微鏡写
真(×200)に示す様に第2図の同じ圧下率での
比較において明らかな様に表面性状が格段に異な
り美麗な表面である事が判る。 圧下率80%の第3図dにおいて微かに黒くみえ
る点は元来ホツトコイルの持つ凹凸と、冷延ロー
ルの凹凸により生じた欠陥であり200倍の顕微鏡
で観察されるものであり実際の肉眼での製品判定
では全く問題とならない。 つぎにSUS304の熱延板をシヨツトブラストし
たのち5の各種濃度に調整した硝ふつ酸混合液
を50℃の温度に保持し、該混合液を用いて60秒間
脱スケール処理した。 次にこの試片を走査型電子顕微鏡で観察し溝状
腐食、エツチピツトの有無を確認した。更にこの
酸洗処理した試片を80%冷間圧延し「肌荒」の有
無を顕微鏡(200倍および500倍)で調査した。 その結果を第1図に示す。第1図中〇印は冷延
後肌荒、光沢不良ともにないもの、×印は冷延後
肌荒、光沢不良ともにあるものを示す。硝酸100
g/以上、ふつ酸75g/以上を含む濃度範囲
においては、酸洗後溝状腐食、エツチピツトとも
に発生せず、このような試片を冷間圧延したとき
には肌荒れの発生が全くみられず、溝状腐食、エ
ツチピツトの発生しない領域と肌荒の発生しない
領域が良く一致した。なお、温度を30、70、90℃
の3水準につき第1図で示した硝酸+ふつ酸の各
種の濃度範囲について実験を行なつた結果、硝酸
100g/以上、ふつ酸75g/以上の50℃にお
いて良好であつた濃度範囲と同様の適正範囲が存
在する事が判明した。また脱スケール完了後更に
長い時間浸漬しても溝状腐食、エツチピツトは発
生しない。したがつて第1図で示した適正濃度範
囲内であれば温度に関係なく、また脱スケール完
了後の時間に関係なく溝状腐食、エツチピツトは
発生しないといえる。 肌荒の発生していない冷延板を光輝焼鈍して
BA製品を製造すれば、肌荒のない光沢良好な製
品が得られる。また、このような冷延板を酸化性
雰囲気で焼鈍し酸洗して2B製品を製造しても、
表面性状の優れた製品が得られる。 〔実施例〕 シヨツトブラスト処理したSUS304の熱延板を
硝酸(HNO3)50〜400g/、ふつ酸(HF)50
〜400g/の各濃度範囲で合計42種類の濃度を
組み合わせて50℃×60secの条件下で酸洗後、ベ
ルトグラインダー研削せずに冷間圧延し、光輝焼
鈍し、「肌荒」発生の有無を調査した。結果は表
1に示すように、本発明法によるものはいずれも
良好な表面の製品が得られた。また「肌荒」発生
のない製品は光沢も良く表面性状が改善されてい
る。
【表】
【表】
【表】
○印:良、×印:否
〔発明の効果〕 本発明はオーステナイト系ステンレス鋼板の表
面欠陥として重要な「肌荒」「光沢不良」の原因
が熱延板の溝状腐食、エツチピツトであることを
明らかにし、その発生を防止することによつて、
従来不可欠とされていたベルトグラインダー工程
を省略して表面光沢の優れた冷延薄板BA製品を
製造することが可能となつた。 またベルトグラインダー工程の省略により経済
的利点大となり、資源消費の抑制、更には製造工
期の大幅短縮を達成できた。
〔発明の効果〕 本発明はオーステナイト系ステンレス鋼板の表
面欠陥として重要な「肌荒」「光沢不良」の原因
が熱延板の溝状腐食、エツチピツトであることを
明らかにし、その発生を防止することによつて、
従来不可欠とされていたベルトグラインダー工程
を省略して表面光沢の優れた冷延薄板BA製品を
製造することが可能となつた。 またベルトグラインダー工程の省略により経済
的利点大となり、資源消費の抑制、更には製造工
期の大幅短縮を達成できた。
第1図は硝ふつ酸酸洗の酸濃度と肌荒れの関係
を示す図、第2図は従来法によるオーステナイト
系ステンレス鋼板の表面の組織を示す顕微鏡写真
図、第3図は本発明による光沢良好なオーステナ
イト系ステンレス鋼板の表面の組織を示す顕微鏡
写真図である。
を示す図、第2図は従来法によるオーステナイト
系ステンレス鋼板の表面の組織を示す顕微鏡写真
図、第3図は本発明による光沢良好なオーステナ
イト系ステンレス鋼板の表面の組織を示す顕微鏡
写真図である。
Claims (1)
- 1 18Cr系オーステナイト系ステンレス鋼の熱
延板を、機械的予備脱スケールした後、硝ふつ酸
水溶液1当り、硝酸100〜400gとふつ酸75〜
400gを含む硝ふつ酸水溶液を用いて連続脱スケ
ールすることにより、溝状腐食がなく且つエツチ
ピツトのない全面腐食状態となし、ついで製品板
厚まで冷間圧延し、光輝焼鈍することを特徴とす
るオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10540184A JPS60248889A (ja) | 1984-05-24 | 1984-05-24 | オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10540184A JPS60248889A (ja) | 1984-05-24 | 1984-05-24 | オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60248889A JPS60248889A (ja) | 1985-12-09 |
JPH0360920B2 true JPH0360920B2 (ja) | 1991-09-18 |
Family
ID=14406603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10540184A Granted JPS60248889A (ja) | 1984-05-24 | 1984-05-24 | オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60248889A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0796922A3 (en) * | 1996-03-22 | 1998-08-12 | Kawasaki Steel Corporation | Austenite stainless steel plate with excellent surface brightness and corrosion resistance and method for producing same |
JP4562901B2 (ja) * | 2000-12-01 | 2010-10-13 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | オーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62250200A (ja) * | 1986-04-23 | 1987-10-31 | Kawasaki Steel Corp | オ−ステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 |
JPS63230892A (ja) * | 1987-03-20 | 1988-09-27 | Kawasaki Steel Corp | 二相ステンレス鋼の酸洗方法 |
DE4423664A1 (de) * | 1994-07-07 | 1996-05-15 | Bwg Bergwerk Walzwerk | Verfahren zum Herstellen von kaltgewalzten Stahlbändern aus nichtrostendem Stahl und Metallbändern, insbesondere aus Titanlegierungen |
US6149744A (en) * | 1997-10-28 | 2000-11-21 | Kawasaki Steel Corporation | Method of making austenitic stainless steel sheet |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5472728A (en) * | 1977-11-22 | 1979-06-11 | Kawasaki Steel Co | Production of cold rolling stainless steel band or plate with good surface appearance |
JPS54112728A (en) * | 1978-02-24 | 1979-09-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Descaling method for high ni high cr stainless steel products |
JPS5791816A (en) * | 1980-11-26 | 1982-06-08 | Nippon Steel Corp | Descaling method for hot rolled stainless steel strip |
-
1984
- 1984-05-24 JP JP10540184A patent/JPS60248889A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60248889A (ja) | 1985-12-09 |
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