JPH0356127Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、例えば、自動車のフロアパネル上
に載置して用いられ、フロアパネルとは別体の車
両用防音材に関する。

（従来技術） 従来、この種の車両用防音材としては、発泡ウ
レタン製の防音材が知られているが、この防音材
を例えばフロアパネル上に敷設した時に、防音材
とフロアパネルとの間に隙間が生じて充分なダン
ピング効果が得られず、特に低周波、中周波の遮
音性が悪い問題点があつた。

また、特開昭57−126633号公報に記載の如く、
粘弾性物質を含浸させた圧縮ウレタンフオーム材
を、二重構造のインシユレータダツシユ内に介設
し、上述の圧縮ウレタンフオーム材を膨化させる
防音材があるが、この防音材では高周波の遮音性
が悪く、何れにしても低周波から高周波に至る全
周波の良好な防音効果が得られない問題点を有し
ていた。

（考案の目的） この考案は、低周波から高周波に至る全周波の
良好な防音効果を得ることができるのは勿論のこ
と、フロアパネルと防音材との間に隙間が生じる
のを圧縮ウレタンフオーム材の熱膨張により、確
実に防止して、遮音効果のより一層の向上を図る
ことができ、加えて防音材の車体に対する密着性
（沿い性）がよく、さらにフロアシートを構成す
る発泡ウレタンが上層側のカーペツトおよび下層
側の圧縮ウレタンフオーム材に含浸されるのを防
止することができる車両用防音材の提供を目的と
する。

（考案の構成） この考案は、車両のフロアパネルの上面に沿う
形状面を備え、上記フロアパネル上に載置される
車両用防音材であつて、発泡ウレタンにより構成
されたフロアシートを設け、上記フロアシートの
上面にはポリ塩化ビニールシートを介してカーペ
ツトを一体形成し、上記フロアシートの下面には
接着性向上フイルムを介して、熱膨化可能で粘弾
性物質が含浸された圧縮ウレタンフオーム材を接
合した車両用防音材であることを特徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、上述の発泡ウレタンにより
構成されたフロアシートは高周波の遮音性に、ま
た粘弾性物質は低、中周波の遮音性にそれぞれ優
れているため、全体として低周波から高周波に至
る全周波域の良好な遮音効果が得られる。

しかも、粘弾性物質を含浸した圧縮ウレタンフ
オーム材は50℃前後で復元膨化するため、車体の
走行中、駐車中にも膨化して、フロアパネルと防
音材との間の隙間をなくすことができる。

この結果、遮音効果のより一層の向上を図るこ
とができると共に、防音材の車体に対する密着性
（沿い性）がよくなる効果がある。

加えて発砲ウレタン製のフロアシートの上面に
はポリ塩化ビニールシートを、下面には接着性向
上フイルムをそれぞれ配設したので、発砲ウレタ
ンが上層側のカーペツトおよび下層側の圧縮ウレ
タンフオーム材に含浸されるのを、上述のポリ塩
化ビニールシート、接着性向上フイルムにより確
実に防止することができる効果がある。

さらに、車体とは別体構造であるため、フロア
パネルへの施工に際しても、従来の如き焼付け工
程が不要となり、車体に対する施工も極めて簡単
となる効果がある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述
する。

図面は車両用防音材を示し、第１図、第２図に
おいて、車体とは別体に形成されたこの車両用防
音材１は車両のフロアパネル２（第４図参照）の
上面に沿う形状面３を備えている。

そして、この車両用防音材１は第２図に示す如
く、発泡材としての発泡ウレタンによつて構成さ
れたフロアシート４の上面に、ポリ塩化ビニルシ
ート５を介してカーペツト６を一体形成し、また
上述のフロアシート４の下面には、ホツトメルト
やポリエチレン等の接着性を向上させるフイルム
７（以下単に接着性向上フイルムと略記する）を
介して、粘弾性物質含浸の圧縮ウレタンフオーム
材８を接合している。ここで粘弾性物質としては
アスフアルト等を用いる。

上述の車両用防音材１は第３図の如くして製造
される。

すなわち、下型１０に厚さ約１mmに圧縮した粘
弾性物質含浸の圧縮ウレタンフオーム材８と接着
性向上フイルム７とを配設し、上型１１にはポリ
塩化ビニールシート５とカーペツト６とを加熱成
形により一体化した成形品を配設して、この成形
品と上述の接着性向上フイルム７との間に所定の
キヤビテイ（いわゆる空所）を形成し、このキヤ
ビテイに連通する上型１１内の注入口１２，１２
から、２液性ウレタン樹脂を上述のキヤビテイに
注入し、型温を約70℃に保つて同ウレタン樹脂を
発泡させて、フロアシート４を成形する。

このとき、発泡剤の種類や量を制御して上述の
ウレタン樹脂を密度約0.1ｇ／cm以下に発泡させ
ると、第２図に示す如き車両用防音材１を構成す
ることができる。

このようにして構成した上述の車両用防音材１
を車両組立工程ラインにおける内装材組付け工程
時に、第４図に示す如く、フロアパネル２上に搭
載する。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、
以下作用を説明する。

車両始動乃至走行中においてエンジン、ミツシ
ヨンあるいは排気管等からの放射熱が前述の粘弾
性物質含浸の圧縮ウレタンフオーム材８に伝熱さ
れる。また炎天下での車両駐車中、太陽熱がルー
フ等を介して上述の粘弾性物質含浸の圧縮ウレタ
ンフオーム材８に伝熱される。

このようにして、圧縮ウレタンフオーム材８に
約50℃前後の熱が伝達されると、この圧縮ウレタ
ンフオーム材８は熱膨化して圧縮時の厚さ約１mm
から約７mmに復元膨化するため、車両用防音材１
とフロアパネル２との間の隙間がなくなり、この
隙間からエンジン騒音、振動音その他の音が車室
内に伝播するのを防止することができ、同時に車
両用防音材１のフロアパネル２に対する密着性
（沿い性）の向上を図ることができる。

また、発泡ウレタンにより構成された上述のフ
ロアシート４は主として高周波数の音を遮音し、
粘弾性物質は低、中周波数の音を遮音するから、
全体として低周波から高周波に至る全周波数帯域
の良好な遮音効果が得られる。

加えて、発泡ウレタン製のフロアシート４の上
面にはポリ塩化ビニールシート５を、下面には接
着性向上フイルム７をそれぞれ配設したので、フ
ロアシート４構成用の発泡ウレタンが上層側のカ
ーペツト６および下層側の圧縮ウレタンフオーム
材８に含浸されるのを上述のポリ塩化ビニールシ
ート５、接着性向上フイルム７により確実に防止
することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は車
両用防音材の外観斜視図、第２図は車両用防音材
の断面図、第３図は車両用防音材の製造工程を示
す断面図、第４図は車両用防音材の施工例を示す
概略図である。 １……車両用防音材、２……フロアパネル、３
……形状面、４……フロアシート、５……ポリ塩
化ビニールシート、６……カーペツト、７……接
着性向上フイルム、８……圧縮ウレタンフオーム
材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車両のフロアパネル２の上面に沿う形状面３を
   備え、上記フロアパネル２上に載置される車両用
   防音材であつて、 発泡ウレタンにより構成されたフロアシート４
   を設け、 上記フロアシート４の上面にはポリ塩化ビニー
   ルシート５を介してカーペツト６を一体形成し、 上記フロアシート４の下面には接着性向上フイ
   ルム７を介して、熱膨化可能で粘弾性物質が含浸
   された圧縮ウレタンフオーム材８を接合した 車両用防音材。