JPH0355335B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、自動車ルーフ上面の幅方向両側に、
ルーフモールを前後方向に連続して取り付ける取
付構造の改良に関するものである。

「従来の技術」 従来のこの種取付構造として、実開昭60−第
45155号公報に示すものが存する。

該従来の取付構造は、自動車ルーフ上面の幅方
向両側において、ルーフパネルとクオータパネル
の重合溶接部に取付構造を形成すると共に、該溝
条内に一定の間隔をおいて複数の固定用切欠を形
成したフランジ部を連続して立設し、該フランジ
部の各切欠に合成樹脂で一体成形されたクリツプ
を直接固定して、該各クリツプの両側に設けられ
ている係止部に、ルーフモールの背面部に設けら
れた両係合部を夫々係止することにより、ルーフ
モールを上記取付溝条に対して連続して取り付け
るものである。

「発明が解決しようとする問題点」 然し乍ら、斯る従来の取付構造にあつては、取
付溝条内に立設されるフランジ部に複数の固定用
切欠を形成し、該各切欠にクリツプを個々に固定
する構造となつているので、フランジ部の加工が
徒に大変となることは勿論のこと、特に固定用切
欠の形成は、取付溝条を画成するルーフパネルや
クオータパネルに、サビを発生させる大きな原因
となつていた。

又、クリツプを直接フランジ部の切欠に固定す
ることは、クリツプの固定作業時に、フランジ部
やパネルの塗膜を傷つけて、このことからもサビ
を発生させる問題を有していた。

「問題点を解決するための手段」 而して、本発明は上記従来の取付構造の問題点
を有効に解決するために開発されたもので、自動
車ルーフ上面の幅方向両側に取付溝条を形成する
と共に、該取付溝条内にフランジ部を立設し、該
立設フランジ部を利用して、ルーフモールを取付
溝条に取り付ける構造を前提として、ルーフモー
ルを係止する複数のクリツプと、取付溝条内に固
着される長尺フアスナーの２部品を備え、クリツ
プは、ルーフモールの係合部に係止する係止部と
両側脚片を有し、他方長尺フアスナーは、取付溝
条の底面に両面接着テープを介して接着される固
着片部と、フランジ部に被嵌される頭部を有し、
該長尺フアスナーの頭部に各クリツプを上記両側
脚片を介して固定する構成を採用した。

「作用」 依つて、本発明にあつては、ルーフモールを係
止するクリツプの他に、固着片部と頭部からなる
長尺フアスナーを備えているから、該長尺フアス
ナーの固着片部を両面接着テープを介して取付溝
条の底部に固着すると共に、長尺フアスナーの頭
部をフランジ部に被嵌して、該頭部にクリツプを
自身の両側脚片を介して固定すれば、ルーフモー
ルを確実に取付溝条に取り付けることが可能とな
るので、従来の如くクリツプを固定するための切
欠を、フランジ部に形成する必要が全くなくな
る。

「実施例」 以下、本発明を図示する各実施例に基づいて詳
述すれば、第一実施例に係る取付構造も、ルーフ
上面に形成された取付溝条内にフランジ部を連続
して立設し、該立設されたフランジ部を利用し
て、ルーフモールを取付溝条に取り付けるもので
はあるが、特徴とするところは、ルーフモールを
係止する複数のクリツプと、取付溝条内に固着さ
れる長尺フアスナーの２部品を用いて、ルーフモ
ールを取付溝条に取り付ける点に存する。

前者のクリツプ１は、合成樹脂成形の短尺体
で、第１図Ａ乃至Ｃに示す如く、上面部２と両側
脚片３ａ，３ｂとからなる断面略逆Ｕ字形を呈
し、上面部２の内面中央に、後述する長尺フアス
ナー側の凹部に嵌合するストツパー突起４を形成
して成る。

又、上記両側脚片中、一側脚片３ａを先端部が
内側上方に折曲した略Ｖ字形状に成形すると共
に、該一側脚片３ａの上部と上面部２の境に、ル
ーフモールの一の係合部を係止する係止部５ａを
形成し、且つ一側脚片３ａの内面に後述する長尺
フアスナー側の係入溝条に係入する係入突起６を
形成する一方、他側脚片３ｂの内面にも同じくフ
アスナー側の係入溝条に係入する係入突起７を形
成して成る。

更に、クリツプ１は、図示する如く、他側脚片
３ｂ外面の一端部寄りに、外方に突出する厚肉の
規制面部８を一体に形成すると共に、該規制面部
８が形成されていない他側脚片３ｂの残余上部域
に、ルーフモールの他の係合部と係止する係止部
５ｂを有する可動片９を一体に斜設し、該可動片
９を自身の内面と他側脚片３ｂ間に画成される空
部１０を介して揺動できる構成となす。尚、斯る
可動片９は上記規制面部８よりも若干外方に突出
させる状態で斜設するものとする。

後者の長尺フアスナー１１は、同じく合成樹脂
の一体形成品で、第２図に示す如く、後述する取
付溝条の底面に両面接着テープ１７を介して固着
される固着片部１２と、該固着片部１２の一端縁
に連設されてフランジ部に被嵌される断面略逆Ｕ
字形の頭部１３から成り、該頭部１３の上面に上
記クリツプ１側のストツパー突起４を嵌合する凹
部１４を所定間隔をおいて形成すると共に、頭部
１３の両側外面に上記クリツプ１側の係入突起
６，７を係入する係入溝条１５ａ，１５ｂを形成
し、且つ自由側片１３ａの内面にフランジ部の折
曲先端部下面に係合するロツク爪１６を形成する
構成と成す。

他方、ルーフ上面側の構造は、第３図に示す如
く、従来と同様ルーフパネル２１とクオータパネ
ル２２の重合溶接部に取付溝条２３を形成すると
共に、ルーフパネル２１の端部を上方に延在させ
て、取付溝条２３内にフランジ部２４を連続して
立設するものであるが、該フランジ部２４には先
端部２４ａを略水平に折曲するだけで、従来の如
きクリツプの固定用切欠は一切形成しないものと
する。

依つて、斯る構造の第一実施例において、ルー
フ上面に形成された取付溝条２３にクリツプ１と
長尺フアスナー１１を用いて、ルーフモール３０
を取り付ける場合には、まず第４図Ａに示す如
く、長尺フアスナー１１の頭部１３の末端縁か
ら、係入溝条１５ａ，１５ｂに対する係入突起
６，７の係入状態を得て、複数のクリツプ１をフ
アスナー１１の頭部１３に外嵌し、該各クリツプ
１を順に矢印方向にスライドして、頭部１３に形
成されている凹部１４毎に、クリツプ１の上面部
２に形成されているストツパー突起４を嵌合し
て、各クリツプ１を所定間隔をおいて頭部１３の
定位置に固定する。

次いで、クリツプ１を固定した長尺フアスナー
１１の固着片部１２を、両面接着テープ１７を介
して、取付溝条２３の底面に接着すると同時に、
頭部１３をフランジ部２４に被嵌すれば、該フラ
ンジ部２４の折曲先端部２４ａに頭部１３の自由
側片１３ａに形成されているロツク爪１６が係合
して、長尺フアスナー１１は抜け外れのない状態
をもつて、取付溝条２３内に確実に固着されるこ
ととなる。

従つて、後は頭部１３に所定間隔をおいて固定
されている各クリツプ１の係止部５ａと係止部５
ｂに、ルーフモール３０の背面部に設けられてい
る一と他の係合部３０ａ，３０ｂを夫々係止すれ
ば、第４図Ｂに示す如く、ルーフモール３０は取
付溝条２３に対して、確実に連続して取り付けら
れることとなる。

尚、斯るルーフモール３０の取り付けに際し、
該モール３０とクリツプ１間、詳しくはモール３
０の両係合部３０ａ，３０ｂ間の寸法と、クリツ
プ１の係止部５ａ，５ｂ間の寸法とに、誤差が生
じているような場合には、該誤差に応じて係止部
５ｂを有する可動片９が自動的に揺動して、モー
ル３０の他の係合部３０ｂとの係止位置を適宜変
更するので、これにより寸法誤差を効果的に吸収
できることとなつて、寸法誤差に起因してルーフ
モール３０がガタつく心配が全くなる。

しかも、各クリツプ１は、自身の他側脚片３ｂ
側に可動片９と並列する規制面部８を形成してい
るので、該規制面部８の表面でも取付状態にある
ルーフモール３０の他の係合部３０ｂの移動が規
制されるので、斯る点からもルーフモール３０の
ガタつきは、一層確実に防止されることとなる。

又、フランジ部２４の折曲先端部２４ａに、長
短寸法及び上下位置等において誤差が生じている
ような場合でも、クリツプ１の一側脚片３ａのＶ
字形先端部がロツク爪１６の外側に重合して、フ
ランジ部２４の折曲先端部２４ａに対するロツク
状態を補強しているので、上記誤差により頭部１
３がフランジ部２４の折曲先端部２４ａから不用
意に脱落することも、有効に防止できることとな
る。

更に、上記第一実施例は、各クリツプ１を長尺
フアスナー１１の頭部１３に固定する場合には、
該頭部１３の末端縁から順次スライドされるもの
であるが、第５図に示す如く、各凹部１４の近傍
に位置する頭部１３の両側に、自由側片１３ａを
含めてクリツプ１の嵌入を許容する切欠部１８
ａ，１８ｂを形成するか、或いは第６図に示す如
く、自由側片１３ａ側の切欠部１８ａのみを凹部
１４方向に更に延長して、該各切欠部１８ａ，１
８ｂからクリツプ１を頭部１３の途中から個々に
嵌入して、クリツプ１を所定の凹部１４方向にス
ライドさせることにより、クリツプ１をフアスナ
ー１１の頭部１３に固定するように構成とするこ
とも、実施に応じ任意である。

特に、この場合にあつては、クリツプ１の一側
脚片３ａのＶ字形状を嵌入支点として利用すれ
ば、切欠部１８ｂに対するクリツプ１の嵌入作業
が円滑に行なえることとなる。

次に、本発明の第二実施例を説明すると、該実
施例の取付構造も、第７図に示す如く、ルーフモ
ール３０を係止する複数のクリツプ１と、取付溝
条２３内に固着される長尺フアスナー１１の２部
品を備える点では、既述の第一実施例と同様であ
るが、異なるところは、図示する如く、クリツプ
１を上面部２と両側脚片３ａ，３ｂのみで構成
し、一側脚片３ａの上部と上面部２の境に、ルー
フモール３０の一の係合部３０ａを係止する係止
部５ａを形成すると共に、該一側脚片３ａの下部
内面に、長尺フアスナー１１の頭部１３の係入溝
条１５ａに係入する係入突起６を形成し、他側脚
片３ｂと上面部２の境に、ルーフモール３０の他
の係合部３０ｂを係止する係止部５ｂを直接形成
し、且つ他側脚片３ｂの下部内面に、頭部１３の
係入溝条１５ｂの係入する係入突起７を夫々形成
したものである。

従つて、斯る第二実施例において、ルーフ上面
に形成された取付溝条２３にクリツプ１と長尺フ
アスナー１１を用いて、ルーフモール３０を取り
付ける場合には、第一実施例と異なり、まず長尺
フアスナー１１の固着片部１２を、両面接着テー
プ１７を介して取付溝条２３の底面に接着すると
同時に、頭部１３をフランジ部２４に被嵌して、
該フランジ部２４の折曲先端部２４ａに頭部１３
の自由側片１３ａに形成されているロツク爪１６
が係合する状態を得て、長尺フアスナー１１のみ
を予め取付溝条２３内に固着する。

そして、係止部５ａ，５ｂと係合部３０ａ，３
０ｂの係止状態を得て、複数のクリツプ１をルー
フモール３０に一定の間隔をおいて装着した後、
各クリツプ１を既に固定されている長尺フアスナ
ー１１の頭部１３に、上方から押圧外嵌すれば、
各クリツプ１の両側脚片３ａ，３ｂに形成されて
いる係入突起６，７が、頭部１３の両側に形成さ
れている係入溝条１５ａ，１５ｂに弾性係入する
ので、これにより各クリツプ１が長尺フアスナー
１１の頭部１３に固定されて、ルーフモール３０
が取付溝条２３に対して、確実に連続して取り付
けられることとなる。

尚、いずれの実施例にあつても同様であるが、
図示する如く、ルーフモール３０の取り付け後、
ルーフパネル２１とルーフモール３０間に空間Ｓ
を画成する構成とすれば、該空間Ｓが雨水等の流
水路となり得るので、ルーフ構造の簡素化が期待
できることとなる。

「発明の効果」 以上の如く、本発明は、複数のクリツプと長尺
フアスナーの２部品を備え、クリツプは、ルーフ
モールの係合部に係止する係止部と両側脚片を有
し、長尺フアスナーは、取付溝条の底面に両面接
着テープを介して接着される固着片部と、フラン
ジ部に被嵌される頭部を有し、該長尺フアスナー
の頭部に各クリツプを両側脚片を介して固定する
ことを特徴とするものであるから、従来の如くク
リツプを固定するための固定用切欠を、フランジ
部に形成する必要が全くなくなつた。

従つて、本発明にあつては、取付溝条を画成す
るパネルにサビを発生させる心配が完全に一掃さ
れることとなる。

しかも、取付溝条の底面に長尺フアスナーの固
着片部を両面接着テープで接着する構成は、該接
着テープにより取付溝条の底面、即ちパネル面が
保護されることともなるので、この点からもパネ
ル面の損傷及びこれに起因するサビの発生をも、
併せて有効に防止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本発明の第一実施例に係る取付構造
に供されるクリツプを示す斜視図、同図Ｂは第１
図ＡのＡ−Ａ線断面図、同図Ｃは同Ｂ−Ｂ線断面
図、第２図は長尺フアスナーを示す要部斜視図、
第３図はルーフ上面側の構造を示す要部斜視図、
第４図Ａはクリツプを長尺フアスナーの頭部に固
定する作業状態を示す要部斜視図、同図Ｂはルー
フモールの取付状態を示す要部断面図、第５図
Ａ・第６図Ａは長尺フアスナーの他例を示す要部
斜視図、第５図Ｂは第５図ＡのＣ−Ｃ線断面図、
第６図Ｂは第６図ＡのＤ−Ｄ線断面図、第７図は
第二実施例に係る取付構造を示す要部断面図であ
る。 １……クリツプ、３ａ，３ｂ……両側脚片、５
ａ，５ｂ……係止部、１１……長尺フアスナー、
１２……固着片部、１３……頭部、１７……両面
接着テープ、２３……取付溝条、２４……フラン
ジ部、３０……ルーフモール、３０ａ，３０ｂ…
…係合部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 自動車ルーフ上面の幅方向両側に取付溝条を
   形成すると共に、該取付溝条内にフランジ部を立
   設し、該立設フランジ部を利用して、ルーフモー
   ルを取付溝条に取り付ける構造において、ルーフ
   モールを係止する複数のクリツプと、上記取付溝
   条内に固着される長尺フアスナーの２部品を備
   え、クリツプは、ルーフモールの係合部に係止す
   る係止部と両側脚片を有し、他方長尺フアスナー
   は、取付溝条の底面に両面接着テープを介して接
   着される固着片部と、上記フランジ部に被嵌され
   る頭部を有し、該長尺フアスナーの頭部に各クリ
   ツプを上記両側脚片を介して固定するように構成
   したことを特徴とするルーフモールの取付構造。