JPH0353859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は発泡成形品用表皮、特に凹状に陥没
した取付用筒状部を設けてなる表皮に関する。

（従来の技術） 発泡体を表皮で覆つてなる発泡成形品の中に
は、ボルト等を発泡成形品に挿通させ、そのボル
ト等を相手物品に固定することにより取り付けの
なされるものがある。

このような発泡成形品に用いられる従来の表皮
としては、ボルト等の挿通のためにおよびそのボ
ルト等の頭が発泡成形品表面から突出しないよう
にするために、凹状に陥没した取付用筒状部を設
けた軟質塩化ビニル樹脂等からなるものが用いら
れている。第４図の斜視図、およびそのＡ−Ａ断
面である第５図に示す表皮１０は、取付用筒状部
１２を有する従来の表皮の一例で、車両用アーム
レストの表皮として用いられるものである。

ところで、表皮で覆われてなる発泡成形品の製
造は作業性等の点から、表皮を成形型に装置して
その表皮内に発泡体原料を注入し、発泡させて発
泡体を表皮と一体として成形する、いわゆる一体
発泡成形法によるのが簡便とされており、前記表
皮１０を用いる発泡成形品の製造にも一体発泡成
形法が多用されている。第６図はその表皮１０を
用いる発泡成形品の一体発泡製造時における成形
型１４の断面図であり、１６は発泡体原料、１８
は形状保持、剛性増大のためのインサートであ
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら従来の表皮１０は、取付用筒状部
１２の端部１２ａの形状が、普通の筒状体を単に
切断したのと同一形状からなるもので、筒状部１
２の内周面と該筒状部１２に挿入された成形型の
筒状部保持部２０の外周面とが、弱い力で当接し
ているにすぎない。そのため、筒状部端部１２ａ
のシール性が不完全になり易く、第７図に示す要
部拡大断面図のように、発泡体原料１６の発泡に
伴う型内圧の増大により、発泡体原料１６が筒状
部端部１２ａからその筒状部内周面１２ｂと筒状
部保持部外周面２０ａの間に侵入して表皮１０外
に漏出し、表皮１０外面を汚すことがある。その
結果、得られる発泡成形品は表面が発泡体原料１
６で汚れたものとなつて、後加工を施さねば使用
可能な製品とならない場合があつた。

この考案は、従来の発泡成形品用表皮が有して
いる前記問題、即ち一体発泡成形時に取付用筒状
部から発泡体原料が漏出して表皮外面が汚れ易い
問題を解決せんとするものである。

（問題点を解決するための手段） この考案は、凹状に陥没した取付用筒状部を設
けてなる、発泡成形品用表皮において、該筒状部
の端部に筒状部の中心に向かうヒレ状片を設けた
ことを特徴とするものである。

（作用） この表皮は、発泡成形品を一体発泡成形する際
に、成形型に装置されて用いられる。その表皮の
装置は、筒状部に成形型の筒状部保持部を挿通さ
せて行われる。その際、筒状部の端部に設けてあ
る筒状部中心に向かうヒレ状片が、成形型の筒状
部保持部外周面によつて外方へ押し曲げられた状
態となり、ヒレ状片に働く復元力によつてヒレ状
片が筒状部保持部外周面に強く密着する。

その結果、表皮の筒状部端部のシール性が良好
となり、表皮内に注入された発泡体原料が筒状部
端部から漏出するのを防止することができる。

（実施例） 以下実施例に基づいてこの考案を説明する。

第１図の断面図は、この考案の一実施例である
表皮３０に関するものである。この表皮３０は、
車両用アームレストの表皮として用いられるもの
で、軟質塩化ビニル樹脂等のプラスチツクを射出
成形等により中空形状に成形したものである。こ
の表皮３０には、２つの取付用筒状部３２を有す
る。取付用筒状部３２は、凹状に陥没した形状か
らなり、かつその端部に筒状部３２の中心に向か
うヒレ状片３２ａを設けてなる。ヒレ状片３２ａ
は薄肉からなり、筒状部３２中心方向に張り出す
ようにして、筒状部３２の端部から略直角にある
いは傾斜して設けられたものである。なお、物品
の形状によつて取付側となる表皮３０ａを設けな
い場合もある。

次にこのようにしてなる表皮１０について、表
皮と一体となつた発泡成形品の製造時、即ちこの
例にあつては車両用アームレストの製造時におけ
る作用を説明する。

そのアームレストの製造は、表皮３０を成形型
に装置して、その表皮３０内にウレタンフオーム
原料等の発泡体原料を注入し、表皮内で発泡させ
ることによつて行われる。第２図は成形型１４に
装置された表皮３０の要部断面を示す。成形型１
４への表皮３０の装置は、成形型１４型面に設け
られた筒状部保持部２０を表皮の筒状部３２に挿
通させて行われる。その際、表皮の筒状部端部の
ヒレ状片３２ａが筒状部の中心方向に張り出して
いるため、そのヒレ状片３２ａが筒状部保持部２
０の挿通により、外方へ屈曲する。その結果その
ヒレ状片３２ａには外方への屈曲に対する復元力
が生じ、それによつてヒレ状片３２ａの先端が筒
状部保持部２０の外周面に強く密着し、該部で完
全にシールされることになる。

従つて、表皮内に注入された発泡体原料が発泡
して体積を増加させ、その発泡による表皮内圧の
増加によつて、表皮の筒状部３２端部からその筒
状部３２内面と筒状部保持部２０外周面間に侵入
して、表皮３０外面に漏出しようとしても、筒状
部３２端部がヒレ状片３２ａにより完全にシール
されているので、原料の漏出が阻止されることに
なる。そのため、筒状部３２からの原料の漏出、
およびそれによる表皮外面の汚れを生じることな
くアームレストの製造が可能となり、発泡後に脱
型して得られるアームレストの外観は汚れのない
極めて良好なものとなる。

第３図は、この表皮３０を用いて一体発泡成形
されたアームレスト３１の取付状態を示す要部断
面図である。図中１６は発泡体である。車両パネ
ル３４へのアームレスト３１の取付は、ボルト３
６を表皮の取付用筒状部３２に挿通して、あらか
じめパネル３４に固定してあるナツト等の締め具
３８にネジ止め等することによりなされる。４０
は取付用筒状部３２を塞ぐための蓋である。

（考案の効果） この考案は、発泡成形品用表皮の取付用筒状部
の端部に、該筒状部の中心に向かうヒレ状片を設
けたものであり、かかる構成としたために次のよ
うな効果を発揮することができたのである。

即ち、この考案による表皮を成形型に装置して
一体発泡成形法により発泡成形品を製造する際
に、成形型の筒状部保持部により表皮の筒状部端
部のヒレ状片が外方へ曲げられ、それによつて生
じたヒレ状片の復元力によりヒレ状片が成形型の
筒状部保持部外周面に密着するので、該部を完全
にシールすることができたのである。その結果、
表皮内に注入された発泡体原料の漏出およびそれ
による表皮外面の汚れを防止でき、表面に汚れの
ない発泡成形品の製造を可能にできたのである。
そして、その原料の漏出を防止できたことによ
り、漏出原料の除去のための後加工およびその加
工を容易とするための前処理、たとえば離型剤の
塗布作業等も省略でき、発泡成形品の製造を簡単
にできたのである。なお、表皮にヒレ状片を設け
るにしても射出成形等で容易に精度よく形成する
ことができるものであり、表皮の生産性を損なう
こともない。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案の実施例に関する
もので、第１図は表皮の断面図、第２図は一体発
泡成形時に成形型に装置された表皮の要部拡大断
面図であり、第３図はこの考案による表皮を用い
てなる発泡成形品の取付時における要部断面図で
ある。また、第４図ないし第７図は従来技術に関
するもので、第４図は表皮の斜視図、第５図は第
４図をＡ−Ａ線に沿つて切断した断面図、第６図
は一体発泡成形時の成形型の断面図、第７図は一
体発泡成形時の成形型の要部断面図である。 ３２……取付用筒状部、３２ａ……ヒレ状片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 凹状に陥没した取付用筒状部を設けてなる、発
   泡成形品用表皮において、該筒状部の端部に筒状
   部の中心に向かうヒレ状片を設けたことを特徴と
   する発泡成形品用表皮。