JPH035369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は筒状部分を有するワークを加工する
ため、ワークの筒状部分を支持するようにしたマ
ンドレルチヤツクに関するものである。

〔従来の技術〕

マンドレルチヤツクは旋盤のチヤツク本体にマ
ンドレルを固定し、このマンドレルをワークの筒
状部内に挿入し、マンドレルの周囲に設けた複数
のチヤツク爪をワークの筒状部の内面に押し付け
て固定し、筒状部に一体に形成してある軸部など
を旋削加工するものである。

このようなマンドレルチヤツクはマンドレルの
中心孔に進退自在に挿入した進退棒の外側の傾斜
面にチヤツク爪の内端を接触させ、進退棒の進退
に伴つて傾斜面がチヤツク爪の内端に沿つて摺動
することによりチヤツク爪を進退させるものであ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のような従来のマンドレルチヤツクは、チ
ヤツク爪の内端を常に進退棒の傾斜面に押し付け
ておく必要があるため、バネが必要であるが、こ
のバネを取付けるために、チヤツク爪に溝などを
設ける必要があるため工作に手数がかかり、ま
た、バネの弾力低下や切損による復元力の不足な
どの問題点もある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の問題点を解決するために、この考案はマ
ンドレルチヤツクにおける進退棒の各チヤツク爪
の内端に対する部分の外周に、傾斜状の蟻溝を設
け、この蟻溝に対するチヤツク爪取付孔は、蟻溝
に対して直角となるように傾斜させ、この傾斜し
たチヤツク爪取付孔に挿入した各チヤツク爪の内
端には、上記蟻溝に適合する台形横断面の突部を
設けて、この突部を上記蟻溝に摺動自在に係合さ
せたものである。

〔作用〕

この考案は上記の構成であるから、各チヤツク
爪を引つ込めた状態で所望のワークの筒状部をマ
ンドレルに被せる。

ついで、駆動手段によつてマンドレル内の進退
棒を軸方向に移動させると、各チヤツク爪の内端
の台形横断面の突部と、進退棒の傾斜状の蟻溝が
摺動して各チヤツク爪を押し出す。

こうして押し出された各チヤツク爪がワークの
筒状部の内面を圧迫してワークとチヤツクを結合
する。

上記のように、ワークをチヤツクに固定して、
旋削加工を行つたのち、進退棒を元の位置に戻す
と、蟻溝と台形横断面の突部との摺動により各チ
ヤツク爪は元の位置に戻される。

〔実施例〕

図面に示す実施例において、１は旋盤のチヤツ
ク本体２の前面に固定したマンドレルで、マンド
レル１の後端の大径部３をリング状のデイスタン
スピース４にボルト止めし、このデイスタンスピ
ース４を本体２にボルト止めしてマンドレル１の
中心孔５をチヤツク本体２の回転中心と同芯とす
る。

８は中心孔５に摺動自在に挿入した進退棒で、
その後端部にロツド９を固定し、このロツド９の
終端に、図示省略してある油圧シリンダなどの駆
動手段により進退するドローバー１１を連結す
る。

１２は大径部３内の空所にボルト止めしたガイ
ド筒で、このガイド筒１２内にロツド９が摺動自
在に嵌合し、このガイド筒１２にねじ込んだボル
ト１３の内端の突部がロツド９の軸方向の溝１４
に係合することにより回り止めとしている。

１７は進退棒８の前部外周に形成した斜面で図
示例では等間隔で３個所に設けてあり、かつ後端
が深くなるように傾斜させてある。

上記の各斜面１７の中央に蟻溝１８をそれぞれ
形成する。

２０は前記マンドレル１に設けたチヤツク爪取
付孔で、この孔は斜面１７に対して直角となるも
ので、この孔２０にチヤツク爪２１が進退自在に
装着されている。

このチヤツク爪２１は丸棒状であるが、その内
端には前記蟻溝１８に適合する台形横断面の突部
２２を前記蟻溝１８に摺動自在に係合させる。

２３はマンドレル１の一部に設けたワーク受
片、２４はマンドレル１の前端にボルト止めした
蓋板、２５はこの蓋板に固定したワークストツパ
である。

実施例のマンドレルは第２図のように加工され
るワーク２６の筒状部２７の形状に合わせてほぼ
３角形の正面形状となつているが、ワークにより
種々の形状にすることができる。

上記の実施例において図示の状態はワーク２６
をマンドレル１に固定した状態である。

この状態では筒状部２７の内周に受片２３が当
たり、同底部にワークストツパ２５が当たると同
時に各チヤツク爪２１の外端は筒状部２７の内端
に圧着している。

この状態でワーク２６の軸部などを旋削加工し
たのち、駆動手段を働かせて進退棒８を前進させ
ると、各チヤツク爪２１の内端の突部が蟻溝１８
の後部に向かつて移動しながら内方へ引き込むの
で各チヤツク爪２１の外端は筒状部の内面から離
れる。

この状態で加工ずみのワーク２６を除去し、つ
ぎのワーク２６の筒状部をマンドレル１の外側に
被せて筒状部２７の内周を受片２３で受け、ワー
クストツパ２５が筒状部２７の底面に当たつた条
件で進退棒８を後退させると各チヤツク爪２１の
内端の突部２２が蟻溝１８内を外端の方向へ移動
するので各チヤツク爪２１の外端が筒状部２７の
内面に圧着してワーク２６を固定する。

なお、斜面１７や蟻溝１８の傾斜方向は図の逆
でもよく、蟻溝１８の形状も図のように両側が３
角状に凹入するもの以外に、直角の凹凸状であつ
てもよい。

〔効果〕

この考案は上記のように、マンドレル内の進退
棒の各チヤツク爪の内端に対する部分の外周に、
傾斜状の蟻溝を設け、各チヤツク爪の内端には上
記蟻溝に適合する台形横断面の突部を設けて、こ
の突部を上記蟻溝に摺動自在に係合させたもので
あるから、チヤツク爪の突部は蟻溝に対して内外
方への移動が拘束されている。

従つて、各チヤツク爪は進退棒の進退運動に伴
つて内外方向に移動するので、従来のマンドレル
チヤツクのような復元バネは全く不用となり、バ
ネに基づく種々の不都合は全く解消する。

また、傾斜状の蟻溝に対して直角となるように
チヤツク爪取付孔を設けたので蟻溝に係合させる
突部はチヤツク爪に対して直角に形成すればよ
い。従つて製作が容易となり、また、ワークの把
握の際の把持力は蟻溝と突部の接触面から直角に
チヤツク爪に伝えられるから把持力は十分に発揮
される。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を実施したチヤツクの要部縦
断側面図、第２図は同上のチヤツク爪取付部の一
部を縦断した正面図である。 １……マンドレル、２……チヤツク本体、５…
…中心孔、８……進退棒、１７……斜面、１８…
…蟻溝、２０……チヤツク爪取付孔、２１……チ
ヤツク爪、２２……突部、２６……ワーク、２７
……ワークの筒状部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 旋盤チヤツクの本体に同芯に固定したマンドレ
   ルの中心孔に、適宜の駆動手段により駆動される
   進退棒を挿入し、マンドレルに設けた複数のチヤ
   ツク爪取付孔に進退自在に挿入したチヤツク爪
   を、前記進退棒の進退により駆動するようにした
   マンドレルチヤツクにおいて、前記進退棒の各チ
   ヤツク爪の内端に対する部分の外周に、傾斜状の
   蟻溝を設け、この蟻溝に対するチヤツク爪取付孔
   は、蟻溝に対して直角となるように傾斜させ、こ
   の傾斜したチヤツク爪取付孔に挿入した各チヤツ
   ク爪の内端には、上記蟻溝に適合する台形横断面
   の突部を設けて、この突部を上記蟻溝に摺動自在
   に係合させたことを特徴とするマンドレルチヤツ
   ク。