JPH0350245B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 発明の技術分野 本発明は光フアイバの端末処理方法に係り、特
に光フアイバの端末をコネクタ接続用フエルール
の線材挿入孔内の中心に精度よく固着一体化する
方法に関するものである。

(b) 技術の背景 一般に光伝送システムにおいて、光伝送路とし
て用いられている光フアイバ同士を低損失に接続
することは極めて重要な接続条件であり、種々の
方法が提案されている。その接続方式の一種とし
て、接続すべき光フアイバの端面同士を互に直接
当接させて接続するコネクタ接続が知られてい
る。

(c) 従来技術と問題点 従来、光フアイバ同士を互いに直接当接せしめ
てコネクタ接続を行う方法としては、例えば接続
すべき光フアイバの各端末を、コネクタ接続用の
フエルール（中子）の中心部にあらかじめ穿設さ
れている線材挿入孔内に挿入すると共に、接着剤
等によつて固着する。しかる後、該フエルールの
端面と挿入固着された光フアイバの接続端面とを
一体接続端面となるように研磨仕上げを行い、こ
のように光フアイバの端末に固着されてなる前記
各フエルールを、例えばコネクタがガイドスリー
ブ内に挿入して互いに当接せしめて固定してい
る。

ところが上記のような光フアイバの接続方法に
おいては、コネクタ接続用フエルールにおける線
材挿入孔の直径が、挿入した光フアイバの端末を
接着剤で固着する分だけ大きく穿設されており、
その線材挿入孔内に上記したように光フアイバの
端末を接着剤によつて単に固着する方法がとられ
ている。このため前記線材挿入孔内の中心部に光
フアイバの端末を精度よく挿設することは容易で
なく、かかるフエルール付き光フアイバの端末を
相互に突き合せて接続すれば、その接続端末間に
中心ズレが生じて接続損失が増加する欠点があつ
た。また、上記接着剤による固着方法にあつて
は、該接着剤が乾燥硬化するのに長時間を要する
等、当該固着作業の能率が悪い不都合があつた。

(d) 発明の目的 本発明は上記従来の欠点を除去するため、光フ
アイバ端末とコネクタ接続用フエルールとの固着
に接着剤を用いず、線材挿入孔を有するコネクタ
接続用フエルールを、所定温度範囲に加熱するこ
とにより前記線材挿入孔の直径が収縮する特性を
有する部材で形成する。そして光フアイバ端末を
前記フエルールの線材挿入孔内に精度よく直接圧
着固定し得る新規な光フアイバの端末処理方法を
提供することを目的とするものである。

(e) 発明の構成 そしてこの目的は本発明によれば常温において
収縮する特性を有する形状記憶合金よりなるフエ
ルールの中心軸上に、光フアイバ先端の素線及び
それにつづく被覆を有する端末成形部の夫々の直
径よりわずかに小なる内径の素線挿入孔と芯線挿
入孔とを連通穿設し、該フエルールの遷移温度以
下の温度において素線挿入孔及び芯線挿入孔の内
径を光フアイバ素線及び端末成形部の夫々の外径
よりわずかに大なる如く変形し、光フアイバ素線
及び端末成形部を挿入した後に、該フエルールを
常温に戻し、続いて素線挿入孔のフエルール端面
と素線の先端面とを一体接続端面となるように研
磨仕上げすることを特徴とする光フアイバの端末
処理方法によつて達成される。

(f) 発明の実施例 以下図面を用いて本発明の好ましい実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図乃至第４図は本発明に係る光フアイバの
端末処理方法の工程を示す要部断面図である。

まず第１図に示すように光フアイバの端末を固
着するコネクタ接続用フエルール１を、例えば常
温で成形した形状を、該常温より低い遷移温度以
下で変形でき、該変形させた形状を再び該遷移温
度以上の常温にすることにより、常温で成型した
形状に復元が可能となるチタン（Ti）−ニツケル
（Ni）系の形状記憶合金材を用いて形成する。そ
して該フエルール１の中心に、図示の如く、光フ
アイバ素線の直径よりも僅かに小さい径の素線挿
入孔２ａと二次被覆光フアイバの端末成形部直径
より僅かに小さい径の芯線挿入孔２ｂとを２段に
連通した形の線材挿入孔２を穿設する。次いで前
記フエルール１をその形成材料、即ち前記形状記
憶合金材の遷移温度以下に、例えばドライアイス
または液体窒素等の冷媒、あるいは冷凍装置等に
よつて冷却する。引続いて上記冷却手段によつて
冷却された状態のフエルール１の前記線材挿入孔
２内に、第２図に示すように光フアイバ３の素線
３ｂ及び端末成形部３ａの夫々の外径よりも大き
い外径を有する針状拡大治具４を挿入してその孔
径を拡大する。この場合素線挿入孔と芯線挿入孔
の内径の拡大の程度を異ならせて、常温において
は素線は挿入孔中に適当な裕度を保ちながら固着
され、一方端末成形部は芯線挿入孔内に強固に保
持されるようにすることが出来る。この孔径拡大
処理は上記したように形成材料である形状記憶合
金材が、その遷移温度以下に冷却された状態にお
いて容易に実施することができる。次いで拡大し
た前記線材挿入孔２′内に、第３図に示すように
例えば２次被覆が施された光フアイバ３の端末部
の２次被覆を予め除去して光フアイバ素線３ｂを
部分的に露出させてなる光フアイバ３の端末成形
部３ａを挿入する。しかる後上記光フアイバ３の
端末成形部３ａが挿設されたフエルール１を、そ
の形成材料の遷移温度以上の例えば常温に加熱す
る。

かくすれば、前記線材挿入孔２が自動的に収縮
して成形当時の元の孔径に戻り挿設された光フア
イバ３の端末成形部３ａに締りばねが生じ、第４
図に示されるように光フアイバ３の端末成形部３
ａが前記フエルール１内の中心に精度よく圧着固
定することが可能となる。

なお上記した実施例では、コネクタ接続用フエ
ルールの成形材料として常温で成形した形状を、
該常温より低い遷移温度以下で変形でき、かつ該
変形形状を再び該遷移温度以上の常温にすること
により、元の成形形状に復元可能としたTi−Ni
系の形状記憶合金材を用いた場合の例について説
明したが、本発明はかかる形状記憶合金材に限定
されるものではなく、遷移温度以下で膨張し、か
つ該遷移温度以上で収縮する特性等を有する形状
記憶合金、例えば特公昭54−4898号公報に記載の
形状記憶合金、さらに銅−アルミニウム−ベリリ
ウム系の形状記憶合金等を光フアイバの材質、光
フアイバの端末形状等に合せて選択的に適用可能
なことはいうまでもない。また、両方向性形状記
憶合金を使用した場合は針状拡大治具４にて拡大
する必要は必らずしも必要としない。

(g) 発明の効果 以上の説明から明らかなように本発明に係る光
フアイバの端末処理方法によれば、光フアイバの
端末を、コネクタ接続用フエルールの線材挿入孔
内に挿入固着するのに従来の如き接着剤を用い
ず、遷移温度以上の常温において線材挿入孔が収
縮する特性を有する形状記憶合金によつてコネク
タ接続用フエルールを形成し、かかるフエルール
の線材挿入孔内に形状記憶合金の特性を利用して
直接圧着固定する方法がとられているので、光フ
アイバが前記フエルールの線材挿入孔内の中心に
容易に精度よく挿設することが可能となり、当該
端末処理工程が簡単化される。よつて光フアイバ
の端末が挿設された前記フエルールの接合端面を
一体に仕上げ研磨し、かかるフエルール付きの光
フアイバ端末同士を突き合せてコネクタ接続を行
うことにより低損失な光フアイバのコネクタ接続
が達成できるすぐれた利点を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は、本発明に係る光フアイバ
の端末処理方法の一実施例を工程順に示す要部断
面図である。 図面において、１は形状記憶合金材からなるコ
ネクタ接続用フエルール（中子）、２は線材挿入
孔、２ａは素線挿入孔、２ｂは芯線挿入孔、３は
光フアイバ、３ａは光フアイバ３の端末成形部、
３ｂは光フアイバ素線、４は針状拡大治具を示
す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 常温において収縮する特性を有する形状記憶
   合金よりなるフエルールの中心軸上に、光ファイ
   バ先端の素線及びそれにつづく被覆を有する端末
   成形部の夫々の直径よりわずかに小なる内径の素
   線挿入孔と芯線挿入孔とを連通穿設し、該フエル
   ールの遷移温度以下の温度において素線挿入孔及
   び芯線挿入孔の内径を光フアイバ素線及び端末成
   形部の夫々の外径よりわずかに大なる如く変形
   し、光フアイバ素線及び端末成形部を挿入した後
   に、該フエルールを常温に戻し、続いて素線挿入
   孔のフェルール端面と素線の先端面とを一体接続
   端面となるように研磨仕上げすることを特徴とす
   る光フアイバの端末処理方法。