【発明の詳細な説明】
組換えタンパク質を対応の宿主細胞タンパク質から精製する方法発明の分野
本発明は組換えタンパク質を関連宿主細胞タンパク質から精製する方法に関する
。また、本発明はこの精製に用いるモノクローナル抗体、および関連宿主細胞タ
ンパク質の検定に関する。
発明の背景
真核細胞において組換えタンパク質を製造すると、関連宿主細胞タンパク質を同
時精製する結果になることがある。即ち、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CH
O)細胞においてヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)を製造する
と、CHO細胞が産生ずるチャイニーズ・ハムスクープラスミノーゲン活性化因
子(群)(CHO−PA)を同時精製する結果になることがある。
ヒトt−PAは、インビボで血餅を溶解するその強力な能力およびその高い特異
性のゆえに、血管障害の治療において非常に有望であることが示された極めて重
要かつ新規な生物学的医薬である。従つて、t−PAは、血管閉塞疾患、特に心
臓障害の治療に最近の歴史の中で最も顕著な新規薬物の1つとして医学界によっ
て歓迎された。
これらおよびその他の理由により、t−PAは重篤な血管障害の臨床的処置に革
命をもたらすものと考えられている。
ヒトt−PAタンパク質ならびにそれをコードしている基本の遺伝子配列は、こ
れまでの数年間にわたる移しい数の科学的開示の対象であった。例えば、その天
然の供給源からの単離はRijken等[ξBi。
+、chem、 256.7035(1981)]および欧州特許出願公開No
、(141766が開示している。さらに、組換え供給源からのt−PAの単離
およびその構造を詳しく記載する特許および種々の特許出願が公表されている[
例えば、UK特許2.119.804 ;および欧州特許出願公開N o、 0
93619を参照]。
ヒトt−PAには結合するがブタt−P Aには結合しないモノクロ−〜ナル抗
体が製造されていた;例えば、欧州特許出願190711は、正常なヒト組織由
来細胞の組織培養液から得たヒト組織プラスミノーゲン活性化因子に特異的なモ
ノクローナル抗体に関する。これらのモノクローナル抗体を用いるヒトt−PA
の精製およびヒトt−PAの検定が開示されている。モノクローナル抗体X−2
1およびX−23はブタ心臓から抽出したプラスミノーゲン活性化因子あるいは
ウロキナーゼとは交差反応しなかった。
欧州特許出願210870は、E rythrina latissimaおよ
びその他のE rythrina植物の種子中に生成される固定化クニッツ阻害
剤を含有する親和試薬を開示している。この親和試薬は、ヒト細胞由来のt−P
Aおよび宿主細胞由来のプラスミノーゲン活性化因子を互いから分離することが
できると言われている。
V erhei jen等[EMBOJournal、 Mo1.5. No、
13. pp3525−3530(1986)l]は、CHO細胞においてヒ
トt−PAを発現させたときのCHO−PAの存在を開示している。
本発明の目的は、組換えタンパク質(例えば、ヒ)t−PA)を、宿主細胞の対
応する内生タンパク質(例えば、チャイニーズ・/%ムスタープラスミノーゲン
活性化因子)を実質的に減少させることによって、極めて高いレベルまで精製す
る方法を提供することである。
本発明の別の目的は、チャイニーズ・ハムスタープラスミノーゲン活性化因子に
対するモノクローナル抗体を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、チャイニーズ・ノ\ムスタープラスミノーゲン活性
化因子の検定法を提供することである。
本発明のその他の目的、態様および特徴は、以下の記述および添付した請求の範
囲を考慮すれば明らかとなるであろう。
発明の要約
本発明は、組換えタンパク質を、宿主細胞の対応の内生タンt<9質から精製す
る方法であって、組換えタンノくり質を含有する液を、対応の内生タンパク質と
特異的に結合する抗体と接触させる工程、および該組換えタンパク質を回収する
工程を特徴とする方法に関する。また、本発明は、該対応の内生タンパク質の検
定法、および該対応の内生タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に
関する。
発明の詳細な説明
モノクローナル抗体を用いる免疫精製法によって、組換えタンノくり質を関連の
宿主細胞タンパク質から単離しうろことがわかった。
本発明は、組換えタンパク質ならびに宿主細胞の対応の内生タンBり質を発現し
ている宿主細胞を培養することによって得られる液体を、該対応の内生タンパク
質と特異的に結合する抗体と接触させる方法に関する。このモノクローナル抗体
は対応の内生タン)<り質と結合し、次いでヒト組換えタンパク質が回収される
。さらに詳しくは、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)が組換え
法ζこよってチャイニーズ・ノ\ムスター卵巣(CHO)細胞中に産生されると
きには、本発明の方法によって内生のチャイニーズ・ハムスタープラスミノーゲ
ン活性化因子(群)(CHO−P A、)カらヒ)t−PAを単離することがで
きる。
本発明は、ヒトt−PAならびにチャイニーズ・ハムスタープラスミノーゲン活
性化因子(P A)を発現するCHO細胞を培養することによって得られる液体
を、チャイニーズ・ハムスターPAと結合する抗体(モノクローナル抗体が有利
である)と接触させる方法を提供するものである。ヒ) t−P Aは結合せず
、分離が行わ4する。また、本発明はチャイニーズ・ハムスターPAに特異的な
モノクローナル抗体、およびチャイニーズ・ハムスターPAの存在を検出するた
めに検定法に関する。
本発明の方法はヒ)t−PAと特異的に結合する抗体を使用するよりも好ましい
が、これは、ヒ)t−P’Aの濃度がCHO−PAの1lAfXよりも数オーダ
ー高いので、後者の方法が本発明の方法よりも数オーダー高い精製手段、例えば
カラムを必要とするからである。さらに、本発明の方法では、所望の産物を変性
剤または他の過酷な条件で処理して抗体から産物を溶離することがない。
本明細書中で用いる「ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子」、[ヒトt−PA
Jあるいはrt−PAJは、例えば天然供給源の抽出および精製によって(Co
llen等、上記を参照)、ならびに本明細書中に記載したような組換え細胞培
養系によって得られる、ヒト外因性(組織型)プラスミノーゲン活性化因子を指
す。その配列および特徴は、例えば、1982年5月5日の最初の出願を基礎と
する欧州特許出願公開N o、 93619(1983年11月9日公開)に記
載されている。また、Rijken等[JournsI of Biol、Ch
em、 256,7035(1981)]および1198066月11の最初の
出願を基礎とする欧州特許出願公開N o、 41766(1981年12月1
6日公開)も参照。さらに、この用語は、全配列中の1またはそれ以上のアミノ
酸が、またはグリコジル化パターンが異なっている生物学的に活性なヒト組織プ
ラスミノーゲン活性化因子等個物をも包含している。また、本出願で用いるこの
用語は、翻訳後修飾あるいはt−PAの置換、削除および挿入アミノ酸変異体を
も包含しているものとする。
ヒトt−P Aは、種々の真核細胞、例えば幼ハムスター腎細胞、ミエローマ細
胞、昆虫細胞、3T3細胞、およびその他の有用なトランスフェクション後寿命
を有するトランスフェクションが可能な細胞をトランスフェクションすることに
よって産生させることができる。チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞
を用いるのが好都合である。
本発明によれば、CHO−PAと特異的に結合するモノクローナル抗体は、抗原
−プライムした免疫リンパ球とミエローマ細胞の融合によって得た連続ハイブリ
ッドセルラインから単離した。本発明の別の態様では、CHO−FAに特異的に
結合するポリクローナル抗体を用いる。
モノクローナル抗体は特異性が高く、単一の抗原性部位に指向性である。さらに
、別の決定基(エピトープ)に指向性である別の抗体を含むのが普通である通常
の抗体(ポリクローナル)調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体
は抗原上の単一の決定基に対して指向性である。モノクローナル抗体は、抗原−
抗体結合を利用する診断および分析検定法の選択性および特異性を改善するのに
有用である。モノクローナル抗体の第2の利点は、それらが他の免疫グロブリン
によって汚染されないハイブリドーマ培養によって合成接種することによって誘
導した腹水から調製することができる。
KohlerおよびMilstein[Eur、J、In+muno1.6,5
11(1976)コによって初めて記載されたハイブリドーマ法が広く適用され
、多くの特異的抗原に対して高レベルのモノクローナル抗体を分泌するハイブリ
ッドセルラインが調製されていた。
宿主動物あるいはこれら由来の培養された抗体産生細胞の免疫化の経路およびス
ケジュールは、通常、抗体刺激および産生の確立された常法に一致する。本発明
者等は試験モデルとしてマウスを用いたが、ヒト対象を含むあらゆる哺乳動物対
象またはそれら由来の抗体産生細胞を本発明の方法に従って操作して、ヒトを含
む哺乳動物のハイブリ・7ドセルラインの調製のために用いることができる。
免疫化の後に、免疫リンパ様細胞をミエローマ細胞と融合させ、無限に培養およ
び継代培養が可能なハイブリッドセルラインを得、大量のモノクローナル抗体を
産生させた。本発明のためには、融合用に選択した免疫リンパ様細胞はリンパ球
およびそれらの通常の分化した子孫であり、免疫した動物由来のリンパ腺組織ま
たは肺臓組織のいずれかから採取した。本発明者等は免疫肺臓細胞を好んで用い
たが、これは、これらがマウスの系についてはより濃縮された都合の良い抗体産
生細胞の供給源を与えるためである。ミエローマ細胞は融合ハイブリッドの連続
増殖の基礎を与える。ミニロー−7細胞は血漿細胞由来の腫瘍細胞である。
ある種の細胞を別の種のものと融合させることができる。しかし、免疫した抗体
産生細胞とミエローマの供給源は同一の種であるのが好ましい。
ハイブリッドセルラインは細胞培養培地中、インビトロの培養で維持することが
できる。本発明のセルラインは、既知のヒボキサンチン−アミ/プテリン−チミ
ジン(HAT)培地中に連続セルラインを含有している組成物において実質的に
変わることなく維持し、モして/または選択することができる。実際のところ、
ハイブリドーマセルラインが一度樹立されると、これを種々の栄養が満たされて
いる培地で維持することができる。さらに、液体窒素下での凍結と貯蔵を含むす
べての通常の方法でハイブリッドセルラインを貯蔵および保存することができる
。凍結セルラインを生き返らせ°、これを変えることなく培養することができ、
再びモノクローナル抗体を合成および分泌させることができる。分泌された抗体
は、沈澱、イオン交換、アフィニティークロマトグラフィーなどの常法によって
組織培養上清から回収することができる。
細胞融合法に代わるものとしては、EBV永久化B細胞を用いて本発明のモノク
ローナル抗体を産生させる。組換えD N Aなどのモノクローナル抗体を産生
させるその他の方法も考えられる。
CHO−PAの存在を測定するために本明細書中に記載されているのは血清学的
方法である。本質的に、本発明の方法は、被験試料をモノクローナル抗体とイン
キュベートするか、またはその他の方法で接触させ、そして反応生成物の存在を
検出することからなる。
これらの基本的な方法に多数の変法が存在することは当業者の認めるところであ
ろう。例えば、これらにはRIA、ELISA、沈澱法、凝集法、補体固定法、
および免疫蛍光法が含まれる。現在での好ましい方法では、モノクローナル抗体
を適切にラベルする。この検定用の好都合なラベルは放射活性同位体、特にIt
Siである。しかし、酵素、特にペルオキシダーゼも有用である。
抗体を放射活性要素、酵素または蛍光物質でラベルする。この放射ラベルを現在
利用可能な計測法のいずれかで検出することができる。好ましい同位体ラベルl
;!”CS”I、+251,1l)(およびssSである。酵素ラベルは現在利
用されている比色法、分光光度法、蛍光分光光度法または気体定量法のいずれか
で検出することができる。
カルボジイミド、過ヨウ素酸、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどの架
橋分子を用いて酵素を抗体に結合させる。これらの方法に用いることができる多
数の酵素が既知であり、利用可能である。
その例を挙げると、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−グルクロ
ニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシターセ、ウレアーゼ、
グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ+ペル
オキシダーゼおよび酸ホスファターゼである。使用することができる蛍光物質に
は、例えばフルオレセイン、ローダミンおよびオーラミンが含まれる。様々なラ
ベル法が、Morrison[Methods in Enzymology
32b、103(1974)]、5yvanen等[J、Biol、Chem、
284.3762(1973)コ、ならびにBoltonおよびHunter
[Bi以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら
に限定されるものではない。
ヒ) t−P A遺伝子を欠く宿主細胞から精製した実質的にチャイニーズ・ハ
ムスタープラスミノーゲン活性化因子に富むタンパク質溶液を用いて、雌性Ba
1b/cマウスを12週間にわたって免疫した。
それぞれ約30μ9からなる5回の注射を行った。最初の注射は完全ソロインド
アジニを幻、/ トで乳化し、1カ所の皮下部位に投与した。
1.5週間後の第2の注射は不完全フロインドアジュバントで乳化し、半分を皮
下投与し、半分を腹腔的投与した。残りの3回の注射は、リン酸緩衝食塩水(P
BS)中、3.6および12週ロー1カ所の腹腔中部位に投与した。
B、融合およびC1(O−PA特異的なモノ多口−ナル抗体の選択13週ロー免
疫したマウスから肺臓を取り出し、S、FazekasSdeSt、 Grot
hおよびり、 Scheidegger[J、Immunol、Metbods
35,1(1980)コ、ならびにLane、 R,D、 [J、 Immu
nol、 Methods 81.223(1985)コの一般的な方法を用い
て肺細胞をマウスのミエローマセルラインNP3X63−Ag8.653と融合
させた。融合した細胞を、それぞれが96ウエルの10枚の微量滴定プレー1に
分配した。それぞれのウェルを、2種類のELTSA(酵素結合の免疫吸着検定
)における示差反応性を用いて特異的な抗体産生についてスクリーニングした。
第1のELISAはCHO−PAに対する抗体を特異的に検出し、第2のものは
組換えヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)と交差反応する抗体を
検出した。
CHO−PA特異的なELISAのためには、50mM炭酸緩衝液(pH9,6
)中の50n9/xi2CHO−PAを、4°Cで一晩、微量滴定ウェルに吸着
させた。抗原を除去し、ウェルを0905%T ween 20を含むリン酸緩
衝食塩水(PBS−TW20)で洗浄した。このウェルにトリス緩衝食塩水[T
BS ; 0.15M NaCQ、0.05M トリス(pH7,4)]中の1
%ゼラチンを加え、室温で1時間インキュベートすることによって、さらに吸着
するのを阻害した。内容物を吸い出した後、5x9/xQのウシ血清アルブミン
(B S A)を含むPBS(0,05112)をそれぞれのウェルに加え、続
いて、融合プレートのそれぞれのウェルからの上清(0,1zff)を加えた。
室温で2時間インキュベートした後、それぞれのウェルの内容物を吸い出し、P
BS−TW20で3回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼに結合させたヤギ
抗−マウス免疫グロブリンを加え、次いで室温で1時間インキュベートした。こ
のウェルをPBS−TW20で3回洗浄し、0−フェニレンジアミンを基質とし
て加え、次いで室温で30分間インキュベートした。2.5M H,So、で反
応を停止させ、それぞれのウェルの吸収を4921111で測定した。
ヒトt−PA特異的なELISAは、最初の工程においてCHO−PA特異的な
ELISAとは異なっていた。pH9,6の50mM炭酸緩衝液中の200 n
9/RQ t−P Aを4℃で一晩、微量滴定ウェルに吸着させた。ELISA
の残りは同一であった。
HO−PAおよびヒトt−PAと反応した。CHO−2PA特異的な抗体を含有
しているウェルからのハイブリドーマ細胞を増殖させ、限界希釈法によってクロ
ーンした[0; V、T、およびHerzenbergr L、 A、 + (
1980)、1mIIlunoglobin−Producing Hybri
d Ce1l Lines、 351−372頁、江佳ected Metho
ds in Ce1lular Immunolog)’+ Mishell、
B、B、およびShiigi+s、M、m、 Y、H,Freeman and
Co、]。/\イブリドーマ細胞の細胞培養によって、またはマウスにハイブ
リドーマ細胞を注射して腹水症腫瘍を生成させることによって、大量の特異的な
モノクローナル抗体を得た。
Il、CHO−PA特異的なEL、 I SAまた、本発明は、チャイニーズ・
ハムスター卵巣細胞プラスミノーゲン活性化因子(CHO−PA)の定量のため
の、モノクローナル抗体に基づく検定法に関する。特異的なモノクローナル抗体
を用いる免疫検定法は、存在している少量のタンパク質不純物を、大過剰の生化
学的に関連した組換え産物の存在下で定量するための1つの手段を与える。CH
O−PAを特異的に検出し、ヒトt−P Aは検出しないE、L I S Aを
、335および361と命名した2種類のCHO−PA特異的なモノクローナル
抗体(M A b)を用いて開発した。これらのMAbは、+5■−ラベルした
CHO−PAと結合するそれらの能力、それらのヒトt−PAとの最少の交差反
応性、およびそれらがCl0−PA上の別のエピトープにそれぞれ結合するとい
うことに基づいて選択した。これらの抗体はCHO−PAとはポジティブ応しな
かった。CHO−PAと結合するそれぞれのMAbの能力は、微量滴定ウェルに
非特異的lこ吸着させたそれぞれのMAbに結合する1t5I−ラベルしたCH
O−PAの量を測定することによって調べた。MAb361および335が別の
エピトープに結合することを証明するために 1151−ラベルしたCHO−P
Aを1つのMAbの溶液とプレーインキュベートし、次いでこの混合物を第2の
MAbを含有している微量滴定ウェルに加えた。第1のMAbは+15■−ラベ
ルしたCHO−PAの第2のMAbへの結合を阻害せず、これらは別のエピトー
プに対するものとみなされた。
MAbのヒトt−P Aとの交差反応性をELISAによって調べた。
CHO−PAまたはt−PAのいずれか100n9を微量滴定ウェルに吸着させ
た。様々に希釈した精製MAbをそれぞれの抗原と反応させ、西洋ワサビペルオ
キシダーゼコンジュゲートしたヤギ抗−マウス抗体を用いて、結合した抗体の量
を測定した。交差反応性は、あるMAbについて、CHO−PAおよびヒトt−
PAに対して同一の吸収になる希釈から算出した。
これらの結果に基づき、微量滴定ウェルを被覆するためにMAb335を用い、
結合CHO−P’Aを検出するためにMAb361を西洋ワサビペルオキシダー
ゼにコンジユゲートさせて、CHO−PA特異的な「サンドイッチJELrSA
を開発した。検定標準は、CHO細胞中に発現されたクローンCHO−PAであ
る。この検定法は、CHO−PAの検出および定量に対して特異的であり、精密
かつ正確である。このELISAの感度(検出限界)は約3 、9 ng/ z
(1のCHO−PAであり、ヒトt−PAとの交差反応性は約0.002%以下
である。
検定それ自体の特異性を試験するため、CHO−PAを含有するヒトt−PAを
、CHO−PAに特異的なモノクローナル抗体341と結合させたS epha
rose4 Bのカラムに通した。このカラムから流出する物質はCHO−PA
が減少したヒトt−P Aであり、従って検定の特異性を調べるための適切な試
料であった。抗体341は、抗体335または361とは別のCHO−PA上の
抗原決定基に指向している。従って、この抗体によるヒトt−PAの精製は、同
一の抗体(即ち、同一の抗原決定基に指向している)によるCHO−PAの精製
および後に行う測定を回避する。第1表は、この抗体を用0るヒトt−PAから
のCHO−PAの免疫アフィニティー精製について得られる検定値を示すもので
ある。
第1表モノクローナル抗体カラム(F341)を用いるCHO−PAからのヒト
L−PAの精製1
1A、カラム溶出液中のCHO−PAilの減少す溶出液 CHO−PA ヒト
t−PA CHO−PA量6 0.38 74゜0 193
30 0.77 69.2 90
64 <0.05 8.8 >184
1B、0.2Mグ’) シン−HC(!(pH2,4)−1コヨルモ/ りo−
ナル抗体カラムからのCHO−PAの溶離0
試 料 CHO−PA ヒ)t−PA CHO−PA(μy) (u9) の純
度(%)
a:ヒ) t−P Aを含有する溶液(1001のをカラムに通し、溶出液の分
画(各1.677!のを集めた。分画51のところで1MNacI2を含むPB
Sで洗浄を開始した。分画100のところでグリシン−HCQによる溶離を始め
、分画の量を2.5dに増やした。
b=溶出液の3つの代表分画をCHO−PAについて試験した。ヒトt−PAの
濃度は、ヒ)t−PAの消衰係数を1.9と仮定して280nmでの吸収によっ
て測定した。
c:cHo−PAの特異的な除去が、CHO−PAおよびヒトt−PAに対する
グリシン−HCQ溶離の検定によって示された。ヒトt−PA含量は、ヒトt−
PAに対するモノクローナル抗体に基づ<ELISAによって測定した。
この結果から、出発物質中のCHO−PAの割合(%)をピーク流出分画中のも
のと比較することによって決定すると、CHO−PAの量は約100倍またはそ
れ以上に減少したことが明らかである。
さらに、0.1Mグリシン−HCffまたは3MNa5CNを用いてこのカラム
から溶離させた吸着CHO−PAは67〜94%の純度であり、グリシン−HC
Qプールは95%のCHO−PAを含有していた。流出液中の反応性のすべてが
検定における交差反応性の結果であると仮定する保守的な方法を採用すると、こ
れは、多くとも0゜002%の交差反応性に相当する。
精度を調べるために、免疫アフィニティークロマトグラフィーによって内生のC
HO−PAを減少させておいたrt−PAの試料に組換えCHO−PAを加えた
。11.5および31 、5 n9/z(lの濃度でそれぞれ加えたCHO−P
Aの添加回収分析は、それぞれ103および105%の平均回収率を示した。こ
れらの結果は、この検定によってヒトt−PAの存在下でCHO−PAを正確に
検出することができることを示すものである。
箪又老 ヒトt−PAに加えたCHO−PAの回収内生の 添加した 予想され
る 回収した 回収率1゜(HO−PA CHO−PA C1(O−PA” C
[1O−PA(n9/ X(り (n9/ x(2) (n9/ zの (ng
/zの (r+g/i+ff)33.7 11.5 45.2 46.5 10
333.7 31.5 65.2 68.5 105a:予想値−内生士添加
b:回収値=回収/予想x io。
モデル実験においては、固定化したモノクローナル抗体#354はCHO−PA
量を1回のカラムの通過で約100倍以上に低下させた。この抗体は、いくつか
の別の固定化の化学および過酷な洗浄条件に安定である。適切に配置したMAb
354アフイニテイーカラムを多数回にわたって再使用して、結合活性を有意に
損失することなく組換えヒトt−PA収穫液からCHO−PAを除去することが
できる。即ち、MAb354カラムは、以下に示すように、ヒト1−PAから痕
跡量のCHO−PAを除去するための再使用が可能な生物持異的なフィルターと
して用いるのに適している。
C’HO−PAに指向性である8種類の異なる腹水液を、CHO−P人被覆への
直接結合についてELISAによって試験した。ポリスチレンELISAプレー
トを、炭酸緩衝液(pH9,6)中、4°Cで一晩、ウェルあたり1μ9のアフ
ィニティー精製したCHO−PAで受動被覆し、次いでPBS中の0.5%BS
Aでブロックした。プロティンA精製したMAbをCHO−PA結合について滴
定し、順位をつけた。それぞれのMAbを最初のウェルで1/200に希釈し、
続いて連続2倍希釈し、室温で2時間インキュベートした。次いで、ヤギ抗−マ
ウスIgGHRPコンジニゲートを用いて、結合した抗体を検出した(RTで1
時間、1/40,000希釈でインキュベート)。OPD基質を30分間加え、
酸の添加によって反応を停止させることによって発色させた。次に、oD4□を
ELISAプレートリーダーを用いて読み取った。EL I SA力価が濃度に
ついて調節されているときには、次の順位が得られた: CHO−PA MAb
354=359=361=335(区別できない);シかじ、327>360>
341>325よりも強固にCHO−PA被被覆プレートに結合した。
また、ELISAに基づく溶離試験を行った。種々のMAbに対する溶離挙動の
分析を、いくつかの緩衝液について調べた;用いた緩衝液には、低(0,15M
)および高(1,5M)NaCQを含むpH3゜0およびpH2,0酢酸;3M
チオシアン酸ナトリウム(pH8,5、pH10,0); 2Mチオシアン酸ナ
トリウム(pH8,5およびpH5゜2); 2.OM MgCQ、(pH5,
2);およびグリシン(pH5,2)が含まれる(すべてが強力なアフィニティ
ーカラム溶離液)。モノクローナル抗体はこれらの試薬に対して異なるパターン
または感度を示した。例えば、354および361は酸の条件下でプレート被覆
したCHO−PAから容易に除去され、359および361は3MNa5CN(
pH8,5)緩衝液に耐性であった。354MAbは広スペクトルの溶離液で除
去された。
組換えt−PA収穫液からのCHO−PA除去のために調製したものの中で最良
のMAbを決めるために、7種の異なるCHO−MAbを、CNBr活性化した
S epharose CL 4 Bに、IIQの樹脂あたり1戻9の結合量で
固定化した(MAb固定化のための一般的な方法)。
反応しなかった部位はエタノールアミンでブロックした。7つの別々の小さなカ
ラムをそれぞれが1ffCのアフィニティー樹脂を含むように詰めた。次いで、
このアフィニティーカラムを0,1M酢酸、0、15M NaC4<pH3,0
)で、続いて0.5M L−vルギニンを含むPBS(pH7,4)で前洗浄し
た。次に、それぞれのカラムを、細胞培養由来のt−PA収穫液からCHO−P
A不純物を除去する能力について試験した。t−PA収穫液(2M)をそれぞれ
のカラムにかけ、それぞれを30カラム容量のPBSで洗浄した。溶出したt−
PA収穫液をクロマトグラフィー後にCHO−PAについて検定した。種々のア
フィニティーカラムを、流出液中に残存しているCHO−PAの量にiづいて順
位をつけた(第3表)。対照の実験では、t−pA収穫液を、抗体を含有しない
エタノールアミンブロックしたS epharoseCL 、 4 Bカラムに
付した。以下に示すように、MAb354はCHO−PAの除去について優れて
いた。また、それぞれのカラムからの酢酸溶離液をSDSゲル分析にかけ、t−
PA収穫液および精製組換えCHO−PA標準と比較したことについてふれるの
も重要である。アフィニティーカラムの大部分から得られる溶離タンパク質は組
換えCHO−PA標準と一緒に移動するが、これは、試験したMAbがCHO−
PA痕跡不純物に対して選択性が高く、ヒ) t−P Aとは交差反応性でない
ことを示すものである。
順 位 固定化した 流出液中の
(1が最良) CHO−PA MAb 全CHO−PA(%)2 361 0.
61
3 335 0.86
4 359 3.2
5 360 9.4
6 341 13.2
7 327 54.6
対照 エタノールアミン
でブロック 100
別の固定化の化学、カオトロピズム溶離液、低pHおよび複数のカラム再使用に
対する354.MAbの安定性ついての知見を、3種の別タイプのクロマトグラ
フィー実験において得た。第1に、MAb354をCNBr活性化したS ep
harose CL 4 Bに固定化し、これをアフィニティーカラム実験に用
いて、細胞培養液から組換えCHO−PAを精製した。2M Na5CN (p
H8,5)およびグリシン(pH3,0)がCHO−PAの溶離およびカラムの
再生に用いられるときには、MAb354は複数の精製サイクルに対して安定で
あるようである。
第2に、MAb354を、Bethel 1等[J、Biol、Chem、 2
54(8)、2572−2574(1979)]の方法によってカルボニルジイ
ミダゾールで活性化しておいた5epharose 6 Fast Flowに
固定化した。この樹脂を用いてヒ)t−PAの一部精製した調製物からCHO−
PAを除去した。
CHO−PAの量は少なくとも100倍減少し、この樹脂は3MのNa5CN(
pH8)を再生剤として用いると少なくとも60サイクルにわたってその機能に
変化を示さなかった。
第3に、MAb354をB ioRadからのN−ヒドロキシスクシンイミド活
性化したAffiPrep樹脂に固定化し、t−PA収穫液からCHO−PAを
除去する能力について4°Cで試験した。また、354アフイニテイーカラムの
再使用能力についても試験した。モノクローナル抗体を樹脂lxQあたり3貫?
で結合させた。カラムの流速は1時間あたり20カラム容量に固定した。このカ
ラムに25カラム容量の未濃縮のt−PA収穫液を入れ、20カラム容量のPB
S緩衝液で洗浄し、0.2M酢酸(pH3,0)中の2.0MグアニジンHCj
(5カラム容量)で再生し、次いで10カラム容量のPBSで再平衡化した。出
発のt−PA収穫液中のCHO−PA量は、100カラム再使用後の結合活性に
検出可能な損失がなく、1回のカラム通過で100倍以上に低下した。即ち、3
54 MAbは、同様の工程条件下でのCHO−PA除去のための再使用可能な
生物特異的フィルターとして成功裏に用いられた。
例示した態様はヒトt−p AからのCHO−PAの分離に関するものであるが
、本発明の方法は、トランスフェクションされた宿主細胞が組換えタンパク質に
対応する内生のタンパク質を産生じ、この対応の内生タンパク質に特異的に結合
する抗体を得ることができるすべての場合に用いることができる。さらに、本発
明はその好ましい態様と考えられるものについて説明が為されているが、本発明
は開示された態様に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の思想および
範囲内に含まれる種々の修飾形および等価なものが包含され、その範囲はこのよ
うな修飾形および等価なもののすべてを包含するように最も広く解釈されるべき
である。
X際調査報告