JP2007031442A - コンドロイチン硫酸リアーゼiiに対するモノクローナル抗体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合するモノクローナル抗体、当該抗体を産生するハイブリドーマ株、当該抗体を用いることを特徴とするコンドロイチン硫酸リアーゼIIの測定方法、当該測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIを検出する工程を含む、以下の性質(1)及び(2)を有するコンドロイチナーゼABC画分の製造方法;(1)コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を用いた免疫測定法で測定することによりコンドロイチン硫酸リアーゼIIが検出されない、(2)高速液体クロマトグラフィーによりコンドロイチン硫酸リアーゼIIのピークが検出されない。
【選択図】なし
Description
さらに本発明は、本発明測定方法1によってリアーゼIIを検出する工程を含む本発明画分の製造方法、および本発明測定方法2によってC-ABCを検出する工程を含む本発明画分の製造方法(以下、これらをまとめて本発明製造方法2ともいう)を提供する。
本発明画分は、以下の性質を有する高純度C-ABC画分である。
(1)リアーゼII に対する抗体を用いた免疫測定法で測定することにより、リアーゼIIが検出されない。
(2)HPLCにより、リアーゼIIのピークが検出されない。
・カラム担体:カルボキシメチル(CM)基を有する担体
・カラムサイズ:7.5mmx7.5cm
・溶出液:(A溶液) 20 mM リン酸緩衝液(pH7.0)
(B溶液) 0.5 M NaClを含有するA溶液
直線濃度勾配(100% A溶液→50% B溶液)/15分
流速:1.0 mL/分
・カラム温度:35 ℃
・サンプルの注入量:100 μL
本発明画分は、このようなHPLCで分析することによっても、リアーゼIIのピークが検出されない点に特徴がある。また本発明画分は、医薬として混入が許されない物質を実質的に含まないものが好ましく、また300ユニット/mg蛋白以上の酵素活性を有する画分であることが好ましい。より具体的には、300ユニット/mg蛋白以上の比活性を有し、エンドトキシンを実質的に含まず、核酸、プロテアーゼ含量が検出限界以下である画分が特に好ましい。なお、本明細書においてC-ABCの「1ユニット(1U)」とは、pH8.0、37℃で、1分間にコンドロイチン硫酸Cから1マイクロモルの不飽和二糖を遊離させる酵素量を意味する。
<2>本発明医薬
本発明医薬は、本発明画分からなる医薬である。本発明医薬の用途は特に限定されないが、C-ABCの椎間板ヘルニア治療剤としての利用可能性が強く示唆されてきていることから(米国特許4,696,816号)、椎間板ヘルニア処置剤としての用途が好ましい。
<3>本発明製造方法1
本発明製造方法1は、以下の工程を少なくとも含む、本発明画分の製造方法である。
工程1:本発明抗体1(後述)を結合させた固相と、C-ABCとリアーゼIIとを含有する液相とを接触させ、リアーゼIIを本発明抗体1に結合させる工程。
工程2:固相と液相とを分離し、液相を回収する工程。
固相としてはゲル、ビーズ、メンブレン等が例示される。
<4>本発明細胞株、本発明抗体
本発明抗体は、リアーゼIIに対するモノクローナル抗体(本発明抗体1)およびC-ABCに対するモノクローナル抗体(本発明抗体2)である。
また本発明細胞株は、本発明抗体1を産生するハイブリドーマ株(本発明細胞株1)、および本発明抗体2を産生するハイブリドーマ株(本発明細胞株2)である。
Nature 256, p495-497(1975))により調製することができる。具体的には以下の方法で行うことができる。
抗原を、マウス、ラット、モルモット、ハムスター等の被免疫動物の腹腔内、皮下あるいは足蹠(footpad)に投与する。ここで、本発明細胞株1を取得するためには「抗原」としてリアーゼIIを用い、本発明細胞株2を取得するためには「抗原」としてC-ABCを用いる。
<5>本発明測定方法
本発明測定方法は、本発明抗体1を用いることを特徴とするリアーゼIIの測定方法(本発明測定方法1)、および本発明抗体2を用いることを特徴とする、C-ABCの測定方法(本発明測定方法2)である。ここでいう「測定」という概念には、単に目的物質の量を測定することのみならず、目的物質の存否(有無)を判定ないし検定することも包含される。
(1)抗リアーゼIIポリクローナル抗体を、マイクロタイターウェルに固相化する。なお抗リアーゼIIポリクローナル抗体の製造方法は、後述の実施例で説明する。
(2)このマイクロタイターウェルに検定する画分を入れてインキュベートする(リアーゼIIを、固相化した抗リアーゼIIポリクローナル抗体に結合させる)。
(3)洗浄後、ビオチン標識した本発明抗体1を入れてインキュベートする(固相化した抗リアーゼIIポリクローナル抗体に結合したリアーゼIIに、ビオチン標識した本発明抗体1を結合させる)。
(4)洗浄後、アビジン標識されたペルオキシダーゼを入れてインキュベートする(本発明抗体1が結合したビオチンとアビジンが結合する)。
(5)洗浄後、酵素基質を入れてインキュベートして発色させ、発色の程度を測定する。
<6>本発明製造方法2
本発明製造方法2は、本発明測定方法1によってリアーゼIIを検出する工程を含む本発明画分の製造方法、および本発明測定方法2によってC-ABCを検出する工程を含む本発明画分の製造方法の両方を包含する。
<1>本発明細胞株および本発明抗体の製造
(1)本発明細胞株1の作製
公知のリアーゼII画分(特開平10-262660号公報に記載の方法で製造したもの) 1mg/mlを、同量のフロイント完全アジュバント(Freund's Complete Adjuvant;Sigma社)と混合し、エマルジョン化した。この溶液約400μlを、Balb/cマウスに2〜3回に分けて皮下注射した。1週間後、同様に製造した公知のリアーゼII画分 1mg/mlを、同量のフロイント不完全アジュバント(Freund's Incomplete Adjuvant;Sigma社)と混合してエマルジョン化した溶液約400μlを皮下注射した。さらに1週間後、同様に、公知のリアーゼII画分とフロイント不完全アジュバントとのエマルジョン化溶液を皮下注射した。
(2)本発明細胞株2の作製
リアーゼIIに代えて公知のC-ABC画分(特開平6-153947号公報に記載の方法で製造したもの)を用い、上記(1)と同様の方法でハイブリドーマ株を得た。ハイブリドーマの培養上清を、上記(1)と同様に検定して、C-ABCに特異的に結合しリアーゼIIには結合しないモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株得た(7B11A株)。このハイブリドーマ株により産生されるモノクローナル抗体のタイプはIgG1であり、L鎖はκ型であった。7B11A株により産生されるモノクローナル抗体を7B11Aと命名した。
7B11A Kd=1.6 x 10−7 M
(3)ポリクローナル抗体の製造
公知のリアーゼII画分 1mg/mlを、同量のフロイント完全アジュバント(Sigma社)と混合し、エマルジョン化した。この溶液約2mlを、JWウサギに5〜6回に分けて皮下注射した。1週間後、同様に公知のリアーゼII画分をフロイント不完全アジュバント(Sigma社)と混合してエマルジョン化した溶液約2mlを皮下注射した。さらに1週間後、同様に、公知のリアーゼII画分とフロイント不完全アジュバントとのエマルジョン化溶液を皮下注射した。
(4)抗体固相化カラムの作製
抗体を固相化したアフィニティーカラム担体は、Protein G 結合ゲル(Pierce Chemical社)を用いて作製した。50mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH 8.2)(以下、B/W 緩衝液という) 5mlをカラムに2回添加して平衡化した。精製した抗リアーゼII抗体 1ml(12mg蛋白/ml)を、1mlのB/W 緩衝液で希釈してカラムに添加した。カラムを室温で30分間、穏やかに転倒攪拌して、カラム担体のProtein Gと抗体のFc部分を結合させた。B/W 緩衝液 5mlでカラムを2回洗浄し、次に6.6mg/mlのジメチルピメリミデート(Dimethylpimelimidiate)溶液を加えて、カラムを室温にて60分間穏やかに転倒攪拌し、カラム担体と抗体とを共有結合により架橋させた。カラム洗浄後、アミノ基のブロッキング緩衝液(0.1M エタノールアミン, pH 8.2) 5mlを添加して、室温で10分間穏やかに転倒攪拌した。その後、架橋していない抗体を、5mlの0.1M Glycine-HCl, pH2.8により溶出させた。カラムはB/W 緩衝液 5mlで2回洗浄し、この状態で次回の使用まで4℃で保存した。
<2>本発明画分の製造
本発明画分の製造は、全てエンドトキシンフリーの条件下で実施した。
<3>本発明画分の性質
上記で得られた各画分中に含まれるC-ABC およびリアーゼIIの含量を、免疫測定法およびHPLC法により測定した。測定方法は以下の通りである。
(1)免疫測定法
(1-1)ビオチン標識抗体の作製
前記で得られた抗C-ABCモノクローナル抗体および抗リアーゼIIモノクローナル抗体を、それぞれ50 mM 重炭酸緩衝液 (pH 8.3)で2 mg/mlに調製した。これらの溶液とSulfo-NHS-LC-LC-Biotin (Pierce Chemical社製)と混合し、室温で1時間、ゆるやかに攪拌した。得られたラベル化抗体から未反応のビオチンを除去するために、50 mM 重炭酸緩衝液に対して2日間透析した。
(1-2)サンドイッチ-免疫測定法による、C-ABCおよびリアーゼIIの測定
抗C-ABCポリクローナル抗体または抗リアーゼIIポリクローナル抗体を、炭酸-重炭酸緩衝液(pH 9.4)で20μg/mlに調製し、96ウエルのマイクロタイタープレート(Nunc immunoplate)に100μl/wellで添加して、37℃で1.5時間インキュベートした。次いでイムノスタビライザー(ABI社)をプレートに200μl/ウエル添加して、37℃で1.0時間インキュベートして抗体結合プレートを作製した。
(2)HPLC法
HPLCカラム、溶出溶媒、流速等の条件は以下の通りで行った。
・溶出液:(A溶液) 20 mM リン酸緩衝液( pH7.0 )
(B溶液) 0.5 M NaClを含有するA溶液
・直線濃度勾配( 100% A溶液→50% B溶液 )/15分
・流速:1.0 mL/分
・カラム温度:35 ℃
・サンプルの注入量:100 μL
(3)上記<2>で得られたC-ABC画分(本発明画分)の分析結果を以下に示す。なお「N.D.」は検出されなかったこと(検出限界以下)を示す。
(3-1)免疫測定法
この結果から、本発明方法は、精製目的物の収量をほとんど減ずることなく、リアーゼIIを効率よく検出限界以下まで除去できることが明らかとなった。
上記<2>で得られたリアーゼII画分の分析結果を以下に示す。
Claims (7)
- コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合するモノクローナル抗体。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ株。
- FERM P−18054で示される、請求項2に記載のハイブリドーマ株。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする、コンドロイチン硫酸リアーゼIIの測定方法。
- 請求項4に記載の測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIを検出する工程を含む、以下の性質(1)及び(2)を有するコンドロイチナーゼABC画分の製造方法。
(1)コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を用いた免疫測定法で測定することにより、コンドロイチン硫酸リアーゼIIが検出されない。
(2)高速液体クロマトグラフィーにより、コンドロイチン硫酸リアーゼIIのピークが検出されない。 - 以下の工程を少なくとも含む、請求項5に記載の製造方法。
工程1:コンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を結合させた固相と、コンドロイチナーゼABCとコンドロイチン硫酸リアーゼIIとを含有する液相とを接触させ、コンドロイチン硫酸リアーゼIIをコンドロイチン硫酸リアーゼIIに特異的に結合する抗体を結合させた固相に結合させる工程。
工程2:固相と液相とを分離し、液相を回収する工程。
工程3:回収した液相について、請求項4に記載の測定方法によってコンドロイチン硫酸リアーゼIIの検出を行う工程。 - 前記工程3において、請求項4に記載の測定方法によるコンドロイチン硫酸リアーゼIIの検出と、コンドロイチナーゼABCに特異的に結合するモノクローナル抗体を用いたコンドロイチナーゼABCの検出とを行うことを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
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