JPH0346237Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は２気筒回転式圧縮機に関するものであ
る。

〔従来の技術〕

第５図と第６図は実開昭56−50793号公報に示
された従来の２気筒形回転圧縮機を示すもので、
図において１は上部に電動機が、下部にガスを圧
縮して吐出する圧縮要素が配設され、底部に潤滑
油２が貯溜されている密閉容器、３はこの密閉容
器１内に設けた偏心部３ａ，３ｂを有する駆動
軸、４ａ，４ｂはこの駆動軸３が貫通しそれぞれ
内部に圧縮室５ａ，５ｂを形成したシリンダ、６
ａ，６ｂはこれらのシリンダ４ａ，４ｂの内壁に
沿つて、回転圧縮要素である偏心部３ａ，３ｂで
駆動されるローリングピストン、７ａ，７ｂはこ
れらのローリングピストン、６ａ，６ｂの外周面
にばね８ａ，８ｂで先端が圧接され、往復運動を
行ないシリンダ４ａ，４ｂ内を高圧室と低圧室に
分画するベーン、９，１０はこれらのベーン７
ａ，７ｂとともにシリンダ４ａ，４ｂ内に圧縮室
を形成する軸受、１１はこれらの軸受９，１０で
支持された各シリンダ４ａ，４ｂ間に介装され、
その両側に前記の圧縮室５ａ，５ｂを隔成する中
間仕切板、１２はこの中間仕切板１１で仕切られ
たシリンダ４ａ，４ｂの吐出口に取り付けられた
吐出弁、１３は上記密閉容器１の上部に取り付け
られた吐出管、１４ａ，１４ｂは低圧冷媒を圧縮
室５ａ，５ｂに導く吸入管である。３ｃは駆動軸
３に設けられた潤滑油の通路で、下端に吸油管１
５とその上方に螺旋羽根１６が取り付けられてい
る。上記圧縮要素はシリンダ４ａ，４ｂ、圧縮室
５ａ，５ｂ、ロータリーピストン６ａ，６ｂなど
で構成され、中間仕切板１１で仕切られ、潤滑油
２が貯溜されている密閉容器１内に収納されてい
る。

次に動作について説明する。

駆動軸３が回転するとこれによりシリンダ４
ａ，４ｂの内周面に沿つてローリングピストン６
ａ，６ｂを転動し、低圧冷媒ガスは吸入管１４
ａ，１４ｂを通つて圧縮室５ａ，５ｂの低圧室に
吸入され圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなり、
吐出弁１２を通つて、密閉容器１内に吐出され
る。以上の動作は、中間仕切板１１にて隔成され
た上下それぞれの圧縮室５ａ，５ｂ行なわれる。
前記圧縮工程において駆動軸３、軸受９，１０、
およびローリングピストン６ａ，６ｂ、ベーン７
ａ，７ｂなどの各摺動部に駆動軸３の下端の吸油
管１５から毛管現象により潤滑油２が吸入され、
螺旋羽根１６により引き上げられ遠心力によつて
給油通路から給油される。そして潤滑作用後の潤
滑油は自重により密閉容器１の底部に再び戻る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

以上のように構成した従来の２気筒回転式圧縮
機では、潤滑油２は駆動軸３などの回転部によつ
て攪拌されて密閉容器１内の冷媒ガスと混合し気
泡化する。この気泡は特に夜間など長時間にわた
つて装置を停止する間に冷媒ガスが油中に溶解ま
たは液化した状態で起動することにより攪拌され
た場合が特に著しく、潤滑油２は気泡とともに吐
出管１３から密閉容器１外へ搬出され、この結
果、潤滑油２の液面が吸油管１５より低くなるこ
とがある。このような場合では給油不足で摺動部
が焼き付いてしまつたり、また気泡を多く含んだ
潤滑油２を吸入した場合も潤滑不足を生ずる欠点
があつた。

この考案は上記のような問題点を解決するため
になされたもので、潤滑油の泡立ちが生じても密
閉容器外への潤滑油の流出による液面低下およ
び、気泡の混入した潤滑油の吸油管からの吸入を
防止でき、低コストで信頼性の高い２気筒回転式
圧縮機を得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、中間仕切板の外周部を密閉容器内
壁に向けて延長した仕切部材で仕切られた上下層
間に油流通部として仕切部材に下方に向けて先細
に貫通した孔を設けたものである。

〔作用〕

この考案は以上のように構成したことで、潤滑
油を上層と下層に分離し、冷媒ガスに接している
上層の潤滑油に気泡が発生しての、下層の潤滑油
に気泡が達するのを防止でき、各摺動部の潤滑に
必要な油量は常時密閉容器内に確保される。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の一実施例を図について説明す
る。第１図において、第５図と同一符号は同一ま
たは相当部分を示すものであり、重複をさけ、そ
の説明の詳細を省く。第１図において１１は外周
部を密閉容器１の内壁に当接させ、油流通部とな
る複数の孔１１ａを下方に向けてせまくしたテー
パー状として貫通して設けられるように延長した
仕切部材たる中間仕切板、１７ａ，１７ｂはこの
中間仕切板１１により密閉容器１内の潤滑油２を
分離した上層と下層で、この上下両層１７ａ，１
７ｂ間に潤滑油２を、中間仕切板１１に下方に向
けて先細に貫通した孔、すなわち、下層１７ｂに
向けてせまくしたテーパー状の孔１１ａを通つて
移動しうるようになつている。

次に作用を説明する。

以上のように構成したことにより中間仕切板１
１により、潤滑油２が上層１７ａと下層１７ｂに
分離され、冷媒ガスと潤滑油２が接している潤滑
油面に気泡が発生しても下層１７ｂの潤滑油に気
泡が達するのを防ぐことができ、各摺動部の潤滑
に必要な油量は常時密閉容器１内に確保できる。
また、冷媒ガスを吐出した際に油中に混入する気
泡も潤滑油２の下層１７ｂに達しない。さらに、
潤滑に使用され再び潤滑油２へ戻つた油は、中間
仕切板１１に下方に先細に貫通した孔１１ａによ
り下層１７ｂの潤滑油中へ導くことができる。す
なわち、油流通路となる複数の孔１１ａを下層１
７ｂに向けてせまくしたテーパー状としたため、
外周部を密閉容器１の内壁に当接させた中間仕切
板１１の上方から下方への潤滑油の移動が円滑に
行なわれ、また潤滑油２中の気泡も下層１７ｂへ
到達しにくいことが理解される。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案によれば、中間仕切板
の外周部を密閉容器内壁に向けて延長した中間仕
切板に下方に向けて先細に貫通した孔を設けると
いう簡単な構造により、潤滑油の泡立ちが生じて
も密閉容器外への潤滑油の液面低下および気泡の
混合した潤滑油の吸油管からの吸入を防止でき、
低コストで、信頼性の高い２気筒回転式圧縮機が
得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による２気筒回転
式圧縮機の断面図を示すもので図ａは２気筒回転
式圧縮機の断面図、図ｂは中間仕切板の斜視図、
第２図は従来の２気筒回転式圧縮機の断面図、第
３図はその横断面図である。 １は密閉容器、２は潤滑油、３は駆動軸、４
ａ，４ｂはシリンダ、５ａ，５ｂは圧縮室、６
ａ，６ｂはローリングピストン、９，１０は軸
受、１１は中間仕切板、１１ａは孔、１４ａ，１
４ｂは吸入管、１５は吸油管、１７ａは上層、１
７ｂは下層である。なお、各図中同一符号は同一
又は相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２個の回転圧縮要素を駆動軸で連結し、個個の
   圧縮要素を中間仕切板で仕切り、潤滑油を貯溜し
   た密閉容器内に収納した２気筒回転式圧縮機にお
   いて、前記中間仕切板の外周部を密閉容器の内壁
   に向けて延長した仕切部材で密閉容器を上下に仕
   切つた２層間に油流通部として仕切部材に下方に
   向けて先細に貫通した孔を設けたことを特徴とす
   る２気筒回転式圧縮機。