JPH0346221Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、機関の各気筒に燃料を分配供給する
ための分配型燃料噴射ポンプに係り、特に、３気
筒機関に好適な分配型燃料噴射ポンプに関する。

（考案の技術的背景とその問題点） まず、一般的な分配型燃料噴射ポンプを第３図
及び第４図により説明する。

図において、燃料油は燃料タンク（図示せず）
からフイードポンプ１により吸入加圧され、ポン
プハウジング２内のポンプ室３へ供給される。そ
して、ポンプ室３の内部圧力は周知の如く機関回
転数に関連する圧力制御弁（図示せず）により制
御されるので、回転数の上昇につれて内部圧力が
比例して増加する。

ポンプハウジング２内に設けられた摺動孔４に
は、ポンプ兼分配用プランジヤ５が設置され、こ
のプランジヤ５は後述する手段により往復動と同
時に回転せしめられる。すなわち、駆動軸６とプ
ランジヤ５の端部に固定したカムデイスク７とを
ドライビングデイスク（図示せず）を介して回転
方向に連結し、機関の気筒数に対応するカム面を
有するカムデイスク７のカム面を、ローラホルダ
８に保持されたローラ９にプランジヤスプリング
１０により押付けることにより、プランジヤ５に
燃料の吸入圧送のための往復動と、分配のための
回転とを同時に行なわせている。

プランジヤ５が吸入行程にある場合は、ポンプ
室３内の燃料が供給通路１１を介し吸入ポート１
２からプランジヤ５の頭部外周面に設けた複数の
吸入グループ１３の一つを経てプランジヤ室１４
に供給される。プランジヤ５が圧送行程に移動す
ると、吸入ポート１２と吸入グループ１３とが切
離され、プランジヤ室１４内の燃料は圧縮され、
プランジヤ５内の縦孔１５を経て分配ポート１６
から分配通路１７（円周方向に気筒数に対応して
設けられている）の一つへ供給されて、送出弁１
８、噴射ノズル（図示せず）から気筒内に噴射さ
れる。

又、プランジヤ５のポンプ室３側に突出する部
分には、コントロールスリーブ１９が摺動自在に
嵌挿してあり、プランジヤ５の縦孔１５と連通す
るカツトオフポート１５ａがコントロールスリー
ブ１９の端面から外れてポンプ室３に開口する
と、燃料がポンプ室３に流出するので、送出弁１
８への送出は停止され、噴射は終了する。コント
ロールスリーブ１９は、これに係合するガバナレ
バー２０を介して、周知のガバナ機構によつてプ
ランジヤ５上の位置が制御され、これにより噴射
量の増減を調整される。

前記ローラホルダ８はプランジヤ５と同心に回
動可能に設けられ、連結ピン２２の一端が支持ピ
ン２１を介して連結され、該連結ピン２２の他端
はタイマＴのピストン２４内に設けられたスライ
ダ２４ａの凹部２４ｂに係合している。このタイ
マＴは、最適な噴射時期に燃料を噴射させるべく
機関回転数の上昇に伴ない噴射時期を進めるため
のものである。

前記タイマＴは、ハウジング２に形成されたシ
リンダ２３内にピストン２４が摺動自在に挿入さ
れ、このピストン２４の両端に、ポンプ室３内の
燃料圧が作用する圧油室２５及びタイマスプリン
グ２７を収納した室２６が設けられ、タイマスプ
リング２７のばね力と油圧との関連においてピス
トン２４の位置に従つて連結ピン２２を介してロ
ーラホルダ８の円周方向位置が決定されている。
そして、このローラホルダ８の円周方向位置の変
化により、ローラ９とカムデイスク７のカム面と
の接触位置が変わり、駆動軸６の周方向の位相が
前記接触位置に従つてプランジヤ５の作動位置と
の相対的な変化が生じ、駆動軸６の回転に対し噴
射時期を変化させることができる。すなわち、燃
料圧によりピストン２４がタイマスプリング２７
に抗して移動した時、ローラホルダ８が時計方向
に回動されて噴射時期が進角される。

ところで、近年デイーゼル機関の小型化が進
み、1000c.c.クラスのものが検討されている。この
ような小型のデイーゼル機関において３気筒のも
のを設計するときこれに応じて燃料噴射ポンプも
３気筒用のものが必要である。

しかしながら、従来の分配型燃料噴射ポンプに
おいてはその構造上３気筒化することができな
い。すなわち、駆動軸６とガバナとを連結する連
結ギヤの配置上このギヤの逃げを作るためにロー
ラホルダ８の上部には第４図に示すように円弧状
の切欠８ａが形成されており、従つて、この切欠
部分にはローラ９を配置することができない。し
かも、３気筒の場合には３個のローラ９をそれぞ
れ120゜の等間隔で配置することが必要であり、従
つて、ローラホルダ８に３個のローラ９を配置す
る場合には、前記切欠の両側及び下部中央位置に
それぞれ配置する必要がある。

ところが、ローラホルダ８の下部中央位置には
前述したようにローラホルダ８をタイマＴに連結
する連結ピン２２が配設されており、従つて、当
該位置にローラ９を配置することができない。

このような点に鑑み、前記連結ピン２２を、中
間位置において軸線を異ならしめる偏心ピンとし
て３個のローラ９を120゜の等間隔に配置すること
を可能とした分配型燃料噴射ポンプが実開昭58−
84336号公報により既に知られているが、このよ
うに、連結ピン２２を偏心ピンとすると、組付性
が悪いばかりでなく強度的にも不利であり、ま
た、ピンの上下方向の動きを制限したり、回転を
防ぐための加工が困難であり、ピストン２４が移
動しても偏心ピン２２が回転するだけでローラホ
ルダ８が回転しない事態の生じるおそれがある
し、また、強度上の問題もあつた。

（考案の目的） 本考案は、前述した点に鑑み、連結ピンに回転
偶力を発生せしめず、しかも連結ピンの強度を向
上するようにした分配型燃料噴射ポンプを提供す
ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するためにこの考案は、カムデ
イスクのカム面に対向するローラホルダと、機関
の回転に応じてタイマピストンが移動するタイマ
とを備え、前記カムデイスクのカム面上を回動す
る３個のローラを前記ローラホルダに放射状に配
設し、前記タイマピストンに凹部を設け、この凹
部にスライダを転動自在に収容し、このスライダ
と前記ローラホルダとを連結ピンにより連結して
なる３気筒機関用の分配型燃料噴射ポンプにおい
て、前記連結ピンが嵌合するスライダの凹部を偏
心配置し、連結ピンをストレートピンとし、前記
３個のローラは周方向上に等間隔に配置され、そ
れらのローラのうちの１個は前記連結ピンに回動
自在に装着されている。

（考案の実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例により説明す
る。

第１図において、ローラホルダ４０の上部には
前述したように駆動軸６とガバナとの連結ギヤの
逃げ用の略円弧状の切欠４０ａが設けられてお
り、同心状に形成された外側及び内側のホルダ部
４０ｂ及び４０ｃには所定の角度例えば120゜の等
間隔で放射状にそれぞれ３つのスリツト４１ａ〜
４１ｃ及び４２ａ〜４２ｃが相互に対向して設け
られている。そして、スリツト４１ａ，４２ａ及
び４１ｂ，４２ｂは切欠４０ａの両側に位置し、
スリツト４１ｃ，４２ｃは切欠４０ａの対向する
下側中央に位置するように設定されている。ロー
ラホルダ４０のスリツト４１ａ，４２ａ及び４１
ｂ，４２ｂ内にはそれぞれローラピン４３及び４
４が嵌合されており、これらのローラピン４３，
４４にはそれぞれローラ４５，４６が回転自在に
軸支されている。また、ローラピン４３，４４に
はローラ４５，４６とホルダ部４０ｂの内壁面と
の間に環状のワツシヤ４８，４９が介挿されてお
り、ローラ４５，４６とホルダ部４０ｂの内壁面
との干渉を防止するようになつている。これらの
ローラ４５，４６のローラホルダ４０への装着は
従来と同様である。

ローラホルダ４０の下側のスリツト４１ｃ，４
２ｃとタイマＴのピストン６０との間には連結ピ
ン５０が介装されている。すなわち、前記ピスト
ン６０内にはスライダ６１が配設されており、こ
のスライダ６１に形成されている凹部６２は、第
２図に示すように、ピストン６０の幅方向に偏心
位置されている。そして、この凹部６２に端部が
嵌合される前記連結ピン５０は、その断面形状が
一端部から他端部まで全く変化しないストレート
ピンに形成されており、このストレートピン５０
には、環状のワツシヤ５１が一体成形もしくは圧
入などにより一体化されている。

前述した構成によれば、連結ピン５０をストレ
ートピンとしたので、ピストン６０の動きをロー
ラホルダ４０に伝達する連結ピン５０に回転偶力
が生じないため連結ピン５０の回り止めを設ける
必要がないばかりでなく、連結ピン５０の強度も
強いものとすることができる。また、ローラホル
ダ４０に形成する連結ピン５０用のスリツト４１
ｃを他のスリツト４１ａ，４２ｂの形状と同一に
できるので、作業性が向上する。更に、ワツシヤ
５１が連結ピン５０に一体化されているので、連
結ピン５０の下方への移動を確実に拘束すること
ができる。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば、カムデ
イスクのカム面に対向するローラホルダと、機関
の回転に応じてタイマピストンが移動するタイマ
とを備え、前記カムデイスクのカム面上を回動す
る３個のローラを前記ローラホルダに放射状に配
設し、前記タイマピストンに凹部を設け、この凹
部にスライダを転動自在に収容し、このスライダ
と前記ローラホルダとを連結ピンにより連結して
なる３気筒機関用の分配型燃料噴射ポンプにおい
て、前記連結ピンが嵌合するスライダの凹部を偏
心配置し、連結ピンをストレートピンとし、前記
３個のローラは周方向上に等間隔に配置され、そ
れらのローラのうちの１個は前記連結ピンに回動
自在に装着されているので、作業性の向上及び連
結ピンの強度の向上を図ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る３気筒機関用の分配型燃
料噴射ポンプの一実施例を施すを示す要部断面
図、第２図は第１図の−断面図、第３図は一
般的な分配型燃料噴射ポンプの要部縦断面図、第
４図は第３図の−断面図である。 １……送油ポンプ、２……ポンプハウジング、
５……プランジヤ、７……カムデイスク、８……
ローラホルダ、９……ローラ、２２……連結ピン
（偏心ピン）、４０……ローラホルダ、４５，４
６，４７……ローラ、５０……連結ピン（ストレ
ートピン）、５１……ワツシヤ、６０……ピスト
ン、６１……スライダ、Ｔ……タイマ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ カムデイスクのカム面に対向するローラホル
   ダと、機関の回転に応じてタイマピストンが移
   動するタイマとを備え、前記カムデイスクのカ
   ム面上を回動する３個のローラを前記ローラホ
   ルダに放射状に配設し、前記タイマピストンに
   凹部を設け、この凹部にスライダを転動自在に
   収容し、このスライダと前記ローラホルダとを
   連結ピンにより連結してなる３気筒機関用の分
   配型燃料噴射ポンプにおいて、前記連結ピンが
   嵌合するスライダの凹部を偏心配置し、連結ピ
   ンをストレートピンとし、前記３個のローラは
   周方向上に等間隔に配置され、それらのローラ
   のうちの１個は前記連結ピンに回動自在に装着
   されていることを特徴とする３気筒機関用の分
   配型燃料噴射ポンプ。 ２ 前記連結ピンにはワツシヤが一体に設けられ
   ている実用新案登録請求の範囲第１項記載の３
   気筒機関用の分配型燃料噴射ポンプ。