JPH0345963Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は主として二重織組織による両面パイル
織物からなり、異種の凹凸粒をもたせる両面パイ
ル織物生地に関するものである。

［従来の技術とその問題点］ 両面パイル織物は、天然繊維、再生繊維、合成
繊維あるいはその混紡糸が一般に使用されてい
る。そしてこれらの両面パイル織物は殆ど立毛状
態に仕上げられているのが現状である。この両面
パイル織物の形態変化は種々様々でありパイルの
長さが長い程糸もしくはプードル状態に戻つてし
まう傾向が著しくなる。特に綿および再生繊維の
場合において使用回数即ち洗濯の回数が増加する
たびに前者は糸に、後者はシープ状の粒となつて
来るために製品の形態変化に著しい差異が生じて
しまう。このため初めから変化後の形態にするた
め湯通し精錬タンブラ乾燥等の加工を行なつたり
したが目標としている形態にはほど遠いものであ
つた。又後加工として多数細管よりの蒸気加工が
かなり近い水準迄になるが外観がボヤケル不均一
性、再現性、低速度で表裏加工が必要なことでコ
スト高となり現実性に欠けきわめて困難とされて
いた。

［問題を解決するための手段］ 本考案は実願昭62−124654改良に関するもので
あり本考案では、両面パイル織物の片側のパイル
面もしくは両側面に部分ストライブにポリエステ
ル糸を芯に外側に綿をカバーしたコアヤーンをニ
ツトデニツト法によりクリンプ加工してパイル糸
とする。この時綿には熱セツト性がないため従来
合繊のセツト条件では不十分でクリンプの保持性
が悪く糸に戻り易いためさらに強化されなければ
ならない。すなわち一般に100〜110℃のセツト条
件を120〜135℃で熱セツトする必要がある。この
温度は一般には真空高圧釜以外は上昇できない。

一方、片側のパイル面もしくは部分ストライブ
に使用する再生繊維は極めて形態変化が大きいた
め再生繊維とポリエステル糸を混繊した糸をパイ
ル糸へ、また再生繊維を仮撚機等で仮撚り加工し
60T／Ｍとしたウーリー加工を行なつた糸をパイ
ル糸として両面パイル織物を作ることによつて外
観凹凸のある状態と形態変化が著しく小さな両面
パイル織物が完成した。再生繊維をウーリー加工
するに際し撚数が形態変化に著しく影響を与える
もので300デニールで60〜150T／Ｍが適当であり
これ以上増加すると元に戻つてしまうことにな
る。またこの熱セツト条件は熱セツト性のない素
材だが210〜250℃が必要である。

［作用］ 上記の構成よりなる本考案によれば、表裏片側
もしくは両面のパイル面においてパイル糸として
クリンプ加工糸、特に熱セツト性のある合成繊維
を芯にその外側に天然繊維等をカバーしたコアヤ
ーン等をニツトデニツト法により強いセツト条件
にして用いると同時に表裏片側もしくは両側のパ
イル面に再生繊維と合成繊維との混繊糸または再
生繊維を仮撚機等にて仮撚り加工を行ない60〜
150T／Ｍのウーリー加工を行なつた糸をパイル
糸とし両面パイル織物を作るため確実なる凹凸パ
イル面を保持し且つ形態変化の小さい肌触りの良
好な生地となつた。また表裏を夫々のパイル糸を
用いればリバーシブルとなり、表裏に夫々の糸を
パイル糸としたストライブの凹凸の形態の異なる
両面パイル織物等ができ汎用性に富んだ商品を提
供し得る。したがつて商品として形態変化と機能
性として抜群の吸水性があるため例えば化粧用タ
オル、一般タオル、朝シヤンプ用タオル、夏用毛
布、スポーツタオル等へ応用の範囲がひろい。

［実施例］ 二重織織機27羽、10割組織にて表面用のパイル
糸に仮撚機にて撚りをかけ230℃にてセツトし解
撚し60T／Ｍとしたがビスコースレーヨン300d／
40Fのウーリー加工糸を、裏面用のパイル糸とし
て、ポリエステル繊維30％を芯に外側に綿70％を
カバーしたコアヤーン23/2を80本針の筒編機で筒
編しこの編地を真空下で130℃20分の熱セツトを
行ない、このセツト編地を解いてクリンプ加工糸
を用いた。そしてこれらのパイル糸を夫々整経ビ
ームに巻き取つた、パイル総本数1770本考案であ
る。また地糸として経糸用に綿糸40/2（総本数
7726本）、緯糸に綿糸40/2を打込密度68本／in、
パイル長5m／ｍ、7m／ｍに設定し製造した。地
経糸はドロツパーを通し、パイル糸は補助ロール
と駆動を経て分杆機、ドロツパーおよびヘルドを
通して二重織部分に休糸して、上下に掛け渡され
たパイル糸を片切れ５mm／７mmにカツトし、２枚
のパイル織物を得た。この生機の目的は５mmの時
821gr／ｍ、７mmの時959r／ｍであつた。この生
機の裏面の抜緯糸を引き抜き裏面にパイルを引き
だし両面パイル織物とした。この織物をウインス
にてH₂O₂４％Ｏ，Ｗ，ｆによる晒加工し吊乾燥
タンブラ乾燥を行ないテンターで巾を調整した。

仕上がつた両面パイル織物は表面がレーヨンの
凹凸粒、裏面は綿糸の凹凸粒のリバーシブル生地
となつた。そしてタオル調となり吸水性のすぐれ
た涼感のある良好な風合を得た。外観は表裏異な
る凹凸粒となつた。

［実施例２］ 二重織織機23羽、12割組織にて、パイル糸とし
て300d／40F、60T／Ｍのウーリー加工糸Ａと綿
70％、ポリエテル30％からなるコアヤーンのニツ
トデニツトよるクリンプ加工糸Ｂを裏面はA20本
B6本、表面はA6本B20本のストライブ状とし
夫々整経ビームに巻き取つた。また地糸としてス
フ30／２を経糸緯糸に打込密度68／in、パイル長
３mm、５mmに設定し片切れ製織した。二重織部分
に給糸し、上下に掛け渡されたパイル糸を片切れ
３mm／５mmにカツトし３mmおよび５mmのパイル織
物を得た。この生機の目付は３mmの時に645g／
ｍ、５mmの時に780g／Ｍであつた。この生機の
裏面の抜緯糸は引き抜き裏面にぱいるを引き出し
両面パイル織物とした。この織物をウインスには
過酸化水素晒し後ブルー色に染色した後、吊乾
燥、タンブラ乾燥を行ない巾出し仕上げをした。

仕上がつた両面パイル織物は表裏面共にＡ，Ｂ
の異なる凹凸粒のストライブとなりレーヨンが濃
染されるため深みのあるタオル調の生地となり風
合、外観共に良好なものを得た。

［考案の効果］ 上記したように本考案は、両面共にあるいは片
面に二種の異なつたパイル糸を種々の使い方で凹
凸を有するパイル織物とするものであり、しかも
天然繊維ならびにセルローズ特有の触感があり風
合良好で肌触りがよい。機能性としては綿、セル
ローズ素材のため吸水性にすぐれ、さらに形態変
化が小さいことから商品の利用範囲が拡大され
る。化粧おとし用、タオル、タオルケツト、春夏
用の掛け毛布、朝シヤンプ用、スポーツタオル、
衣料特にベビー用品等が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図
は同一部の拡大断面図、第３図は実施例を示す斜
視図である。 １…両面パイル織物、２…綿クリンプ糸による
凹凸パイル面、３…再生繊維による凹凸パイル
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両面パイル織物において、少なくとも片側のパ
   イル面もしくは部分ストライブに、熱セツト性を
   もつ合成繊維を芯としその外側に熱セツトのない
   天然繊維、再生繊維をカバーしたコアヤーンある
   いは交撚糸をクリンプ加工してなるパイル糸と再
   生繊維もしくは再生繊維を主とした合成繊維との
   混繊糸を捲縮加工してなるパイル糸との組合せた
   ことを特徴とする異種の凹凸ある両面パイル織
   物。