JPH0344603Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車等に装備されるシートベルト装
置のバツクルを車輛床面に起立状態で保持するバ
ツクルストークに関するものである。

（従来技術） シートベルト用バツクルストークは、一般に車
輛等の床に下端が止着され、シートベルト装置の
バツクル係合部材を床面から所定の高さ、即ち着
席乗員の下腹部側方位置において乗員の乗降動作
の妨げとならない位置に支持し、シートベルトの
装脱を片手操作で容易に行えるようにするもので
あるが、この種のバツクルストークは、上述の如
く単にバツクル本体を所要高さに保持するだけで
なく、シートベルトから受ける衝撃荷重に耐える
引張強度を有すると共に、シートベルト装着時に
おいては或る程度の柔軟性をもつて乗員の動きに
シートベルトをフイツトさせることが必要であ
る。

そのため、従来においては、このような条件を
満足させるため、複数本の金属細線を撚り合わせ
た撚合ロープや螺旋状に連結せしめたフレキシブ
ルワイヤー等を芯材に用いてストーク部を構成
し、該ストーク部の上端にバツクル係合部材を止
着した構造のバツクルストークが用いられていた
が、これらはいずれも高価で、重量が大であると
共に、芯材と係合部材との結合に困難さを有し、
かつ、製造コストの高騰を招く問題を有してい
た。

なお、かかる従来のバツクルストークの欠点を
克服すべく、自立性および屈撓性を有する細巾帯
状の補強芯部材の表裏両面に、その長さ方向に沿
つてウエビングを折り返し被着し、各折り返し端
を重合縫着すると共に、前記ウエビングの外周部
を被覆材で被覆せしめて自立性を付与したストー
ク部を構成し、該ストーク部の両端にアンカー部
材およびバツクル係合部材を取着して、前記ウエ
ビングで衝撃荷重を受止するようにしたバツクル
ストークが多く提案されている。（例えば、実公
昭56−21412号公報参照） ところが、上記ウエビングを使用したバツクル
ストークにおいても、ウエビング自体は自立性を
有しておらず、前記補強芯部材および被覆材でス
トーク部の自立性を確保する必要があることか
ら、これらストーク部を構成する部品の点数なら
びに組立工数が増大して、製造コストの高騰を招
く問題が有り、この点について改善すべき余地を
残していた。

（考案の目的） 本考案は上述の如きウエビングを用いたバツク
ルストークにおいて、自立性確保のため補強部品
使用による製造コスト高騰の問題点に着目し、ス
トーク部を構成するウエビングの重合部分に縫糸
による縫合を施してウエビング自体に自立性を付
与せしめ、従来の如き補強芯部材を撤廃すること
により、バツクルストークの部品点数ならびに組
立工数削減を図り、もつて前記問題点を解消せん
とするものである。

（考案の構成） しかして、上記目的を達成するための本考案の
特徴は、バツクル係合部材とアンカー部材とに所
定長さのウエビングを挿通して、その両端を互い
に内方へ折り返し、全長に亘つて少なくとも２層
のウエビング重合部を形成すると共に、該重合部
に、その殆んど全域に亘つてミシン縫目を施し、
該重合部全体に前記バツクル係合部材を支持する
に足る自立性を付与せしめた点にある。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて
詳細に説明する。

第１図は本考案バツクルストークの一例を示す
正面図、第２図は同バツクルストークの縦断側面
図である。

これらの図において１は内部に公知のラツチ機
構を内蔵したバツクル係合部材、２は自動車等の
車輛床面に対しボルト３により固定されるアンカ
ー部材、４は前記バツクル係合部材１のフレーム
底板に設けた孔１ａおよび前記アンカー部材２に
設けた孔２ａに両端部４ａ，４ｂを挿通し、各端
部４ａ，４ｂを互いに内方に折り返し、重合して
なるシートベルトと同材質のウエビングであつ
て、該ウエビング４は、その中間部において前記
バツクル係合部材１とアンカー部材２との間の略
全長に亘り前記折り返し端を三層に重ね合わせて
構成した重合部５を有しており、該重合部５の殆
んど全域に亘つてミシン縫目６が施されている。

上記ウエビング重合部５に形成されたミシン縫
目６は、該重合部５の長さ方向と角度を有して交
わる鋸歯形状をなしていると共に、前記バツクル
係合部材１側よりアンカー部材２側に近付くに従
つて漸次縫目間隔が減少し、密度が次第に高くな
つており、第２図において２点鎖線で示す如くシ
ートベルト装着時にバツクル係合部材１の乗員の
身体側に引張られたとき、荷重を分散させて、重
合部５全体が均一に撓むように配慮されている。

なお、前記ウエビング重合部５に施されるミシ
ン縫目６は、ウエビング４全体に前記バツクル係
合部材１を支持するに足る自立性を付与するため
のものであり、その剛性は縫目のピツチ、縫製糸
の材質、太さならびに縫い目パターン等を変更す
ることにより前記バツクル係合部材１の重さに応
じて任意に設定することが出来る。

本考案のバツクルストークは叙上の如き構成を
有するものであるが、次にその作用について説明
すると、先ず、シートベルト装着前において、バ
ツクル係合部材１がシートベルトの端部に縫着さ
れたトングと係合していない間は、ウエビング重
合部５が、その自立性によりバツクル係合部材１
を乗員の腰部側方にて起立状態で支持し、トング
の係合を容易ならしめている。このとき、前記ウ
エビング重合部５に施された縫目６は、ウエビン
グ４相互のずれを縫糸の張力によつて抑制し、縫
目６の密度に応じた曲げ剛性をウエビング重合部
５に付与するため、従来の補強芯部材を挿入した
バツクルストークに略々匹敵する自立性が発揮さ
れる。

また、バツクル係合部材１にトングを係合して
シートベルトを連結すると、ウエビング重合部５
は、全体が第２図２点鎖線の如く座席側に均一に
撓み乗員の身体へのフイツト感を向上させると共
に、爾後のバツクル係合部材１の着脱操作が容易
になる。

第３図は本考案バツクルストークの他の実施例
を示す縦断側面図であつて、ウエビング４は、そ
の両端４ａ，４ｂがバツクル係合部材１の孔１ａ
およびアンカー部材２の孔２ａに挿通され、各端
部４ａ，４ｂを突き合わせた状態とすることによ
り、２層の重合部５を構成しており、該重合部５
に対し折り返し部分を除く殆んど全域に亘つて縫
目６が施されている。

なお、上記ウエビング４の重合状態は別段、第
２図の如き３層や第３図の如き２層の場合に限る
ことなく、例えば所定長さの２本のウエビング４
を重ね合わせた状態で、両端をバツクル係合部材
１とアンカー部材２とに挿通して折り返し、幾層
にも重つた重合部を形成したり、１本のウエビン
グ４をバツクル係合部材１とアンカー部材２との
間に何度を挿通して多層の重合部５を形成するこ
とも可能であり、このように多層の重合部５にミ
シン縫目６を施せば、ストーク部の剛性を更に増
加させることが出来る。

第４図イ乃至ホは本考案バツクルストークのウ
エビング重合部に施されるミシン縫目６の他のパ
ターンを略示したものである。

第４図イは、縫目６をウエビング４の長手方向
に沿つて平行に施した場合で、前記バツクル係合
部材１側からアンカー部材２側に近付くに伴つて
段階的に密度が高くなるよう、その縫目長さを変
化させている。

第４図ロはウエビング重合部５に対しその長手
方向と直交する方向に多数の縫目を並列的に設け
たものであるが、このように平行した縫目を施す
場合には、複数本のウエビング４を間隔を詰めて
並列させ、該ウエビング４を横方向に送りながら
複数台のミシンにより連続した縫目を施し、その
後ウエビング４間で縫糸を切断するようにすれ
ば、より能率的に縫目を施すことができるという
有利さがある。

第４図ハ乃至ホは、夫々、ウエビング重合部５
に対し、その全長、全幅に亘り、縦方向、横方
向、斜め方向の線を合成した複合的なパターンの
縫目６を型縫いの手法により施したものである。

なお、上記実施例においては、ウエビング４を
重合させて縫目６を施し平板状のストーク部を構
成した場合について説明したが、本考案のバツク
ルストークは別段これに限定されるものではな
く、例えば第５図のように重合部５に縫目６を施
して自立性を付与したウエビング４を長手方向に
沿つて折り曲げて細くし、この外周に合成樹脂製
の被覆材７を捲き付けてストーク部の外観を向上
させることも可能である。また、前記ウエビング
４に施される縫目６についても図示実施例のパタ
ーンに限ることなく、任意の形状に設定すること
が出来る。

（考案の効果） 本考案のバツクルストークは以上述べた如く、
バツクル係合部材とアンカー部材とに所定長さの
ウエビングを挿通して、その両端を互いに内方へ
折り返し、全長に亘つて少なくとも２層のウエビ
ング重合部を形成すると共に、該重合部に、その
殆んど全域に亘つてミシン縫目を施し、該重合部
全体にバツクル係合部材を支持するに足る自立性
を付与せしめ、ウエビングのみでストーク部を構
成し得るようにしたものであるから従来のバツク
ルストークの如き補強芯部材を使用する必要がな
く、バツクルストークの部品点数ならびに組立工
数を低減し、製造コストの高騰を抑制し得ると共
に、バツクルストークの軽量化を同時に達成し得
るというすぐれた効果を発揮する。

しかも、本考案によれば、縫目の密度、ピツ
チ、パターン、縫製糸の材質、太さ等を変更する
だけで、ウエビングの耐衝撃荷重強度に関係なく
任意にストーク部の自立性を調整することが可能
で、バツクル係合部材の重量等に応じた自立性お
よび屈撓性を与えることが出来、シートベルト装
着時のフイツト感を向上させ、シートベルトによ
る乗員拘束状態を安定化するという効果も期待さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案バツクルストークの一例を示す
正面図、第２図は同バツクルストークの縦断側面
図、第３図は同バツクルストークの他の実施例を
示す側断面図、第４図イ乃至ホは夫々各種の縫目
パターンを示す説明図、第５図は本考案バツクル
ストークの変形例を示す斜視図、第６図は第５図
におけるＸ−Ｘ線断面図である。 １……バツクル係合部材、２……アンカー部
材、４……ウエビング、４ａ，４ｂ……端部、５
……ウエビング重合部、６……ミシン縫目。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ バツクル係合部材とアンカー部材とに所定長
   さのウエビングを挿通して、その両端を互いに
   内方へ折り返し、全長に亘つて少なくとも２層
   のウエビング重合部を形成したバツクルストー
   クにおいて、該重合部に、その殆んど全域に亘
   つて施したミシン縫目の密度がバツクル係合部
   材側からアンカー部材側に近付くに従つて漸次
   高くなつていることを特徴とするバツクルスト
   ーク。 ２ ミシン縫目がウエビングの長手方向に対し角
   度を有して施されている実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のバツクルストーク。 ３ ミシン縫目がウエビングの長手方向に沿つて
   平行に施されている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のバツクルストーク。 ４ ウエビング重合部の縫目が型縫いの手法によ
   り一筆書き形状に施されている実用新案登録請
   求の範囲第１項乃至第３項のいずれかに記載の
   バツクルストーク。