JPH0344571Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、引戸式窓を備えた車両の窓枠に設け
たガラス取付け溝内に組込み得る車両用換気装置
に係るものである。

［従来の技術と問題点］ 乗用車、ワゴン等において換気装置を設置しよ
うとする場合、走行時の車体表面に生ずる正圧、
負圧のうち後者を積極的に利用しようとすると、
負圧値の高い後部ポスト（リヤピラ）付近に設置
するのが、最も効果的である。

従つて、実公昭52−37403号公報に示された考
案の如く、中央ポスト（センタピラ）に室内に通
ずる換気孔をあけ、中央ポストを覆うかざり板と
窓ガラスの間から室内空気を吸い出すものでは、
前記負圧値が低く、吸出し効果が小さいばかりで
なく、換気孔を開けることによつて中央ポストの
強度が不足し変形を生ずる原因になる。

また、例えば実開昭57−143914号公報に示され
た考案の如く、昇降式ウインドガラスを有する後
部ドアのウインドガラス後部を囲むようにベンチ
レータボツクスを取付けたドアベンチレータで
は、その装着が非常に困難であり、後部座席に座
る人の視界を妨げてしまう欠点がある。

さらに、例えば特開昭49−103342号公報に示さ
れた考案は、昇降式ウインドガラスを有するドア
のガラス上端と窓枠のガラス嵌合溝との間にはさ
む換気装置に関するものであるが、この装置では
自然通風は不可能でモータにより回転する羽根車
を必要とした。

一方、車高が低くドア以外の側面部分の多い車
両、例えば小型バン型車両、多目的車両では、そ
のボデイ側面には引戸式の窓を設けることが多
い。これは、レギユレータを不要とし、窓ガラス
の組付も容易となる利点がある。

［考案の目的］ 本考案は、上述した従来の実情に鑑み、その欠
点を解消すべく創案されたものであつて、引戸式
窓を備えた車両における窓枠のガラス取付け溝を
利用して組込み得る車両用換気装置を提供するこ
とを目的とするものである。

［考案の構成］ 上記目的を達成するための本考案による車両用
換気装置は、内側面に換気入口孔および外側面に
換気出口孔を有し略長方形で車両の窓枠の幅と同
一厚さに形成した中空体に、該中空体の一側長辺
並びに該長辺に接続する両短辺に突出する突出部
と、他側長辺に窓ガラスの縁部が嵌挿する溝とを
形成し、前記突出部を車両の窓枠内側に設けられ
たガラス取付溝に嵌込むと共に、他側長辺の溝に
移動したガラス窓の縁を嵌挿し、前記中空体を引
戸式窓を備えた車両の後部ポストと窓ガラスの間
に装着せしめてなるものである。

［実施例］ 以下、本考案を一実施例に示す図面について説
明する。

第１図は引戸式窓を備えた自動車の外観を示す
側面図であつて、この自動車の引戸式窓の窓枠４
には、窓枠４の周囲に沿つて窓枠ゴム１０が設け
られており、この窓枠ゴム１０には、後方側の固
定されるガラス２と前方側のスライドガラス１と
が設けられ、このスライドガラス１は、後方の固
定されるガラス２に対して横方向にスライドでき
るようになつている。

そして本考案では、第２図に示すように固定さ
れるガラス２の後方に位置する後部ポスト９と、
所定間隔でけ前方に移動させた固定されるガラス
２の端面２ａとの間に、内側面に換気入口孔６ａ
をまた外側面に換気出口孔７ａがそれぞれ設けら
れ、且つ全体形状が略長方形の中空体よりなる換
気装置３を設けるようになつている。

この換気装置３は、実施例では次のように構成
されている。即ち、第３図に示すように車内側ケ
ース６と車外側ケース７とに縦方向に二分割され
る、いわゆるモナカ形状に形成されており、その
厚さは窓枠４の幅とほぼ同一とする。そして、一
方の車内側ケース６には上方に位置する複数の換
気入口孔６ａが開口され、他方の車外側ケース７
には下方に位置する換気出口孔７ａが開口されて
おり、この換気入口孔６ａと換気出口孔７ａと
は、この車内側ケース６と車外側ケース７とを、
それぞれの周囲を囲繞するように設けた重合面６
ｂおよび７ｂとを接合して一体に合体することに
よつて形成される内部空間１１により連通される
ようになつている。

また、車内側ケース６及び車外側ケース７の側
の一方は、固定されるガラス２の端面２ａに対向
するよう、車内側ケース６の端面６ｃと車外側ケ
ース７の端面７ｃとの間に形成した所定幅の間隔
に、前記重合面６ｂおよび７ｂを利用して接合さ
れる縦窓枠ゴム５を固定するようになつており、
この縦窓枠ゴム５の上下端部は第４図に示すよう
に窓枠ゴム１０内に嵌入するようになつている。

前記車内側ケース６および車外側ケース７の上
下両端側と、パネル９に対向する側との三面は、
突出させた重合面６ｂおよび７ｂからなる突出部
１２が構成されている。

上記のように構成された換気装置３は、まず前
記三面に突出する各突出部１２を、ガラス取付溝
１３に納つている固定されるガラス２を後部ポス
ト９側から所定距離だけ車両の前方側に移動させ
て空間を作り、この個所の窓枠ゴム１０内に窓枠
フレーム８と並設したガラス取付溝１３に嵌め込
み、次に固定されるガラス２を、その端面２ａが
縦窓枠ゴム５の溝５ａ内に挿入するように移動す
ることにより、換気装置３の取付けが完了する。

このように、後部ポスト９に近い窓枠ゴム１０
内のガラス取付溝１３を利用して取付けた本考案
換気装置３では、車両走行によつて後部ポスト９
付近が低圧となるので、車内の空気は換気入口孔
６ａから内部空間１１を経由して換気出口孔７ａ
に至る一連の換気通路１４を介して効率よく引き
出される。しかも換気装置３は、縦方向に延びる
換気装置３の内部空間１１を利用しているので、
車両の窓枠または車両ボデーを構成する後部ポス
ト９の幅と略同等の幅に形成することができ、室
内および車外に突出することがない。

本考案換気装置３は、窓枠ゴムのガラス取付溝
を利用して取付け得るので、車両ボデーに穴など
を開口する等の改造はすることなく、既存の車両
に対しても簡単に設けることができる。

［考案の効果］ 本考案による車両用換気装置は、内側面に換気
入口孔および外側面に換気出口孔を有し略長方形
で車両の窓枠の幅と同一厚さに形成した中空体
に、該中空体の一側長辺並びに該長辺に接続する
両短辺に突出する突出部と、他側長辺に窓ガラス
の縁部が嵌挿する溝とを形成し、前記突出部を車
両の窓枠内側に設けられたガラス取付溝に嵌込む
と共に、他側長辺の溝に移動したガラス窓の縁を
嵌挿し、前記中空体を引戸式窓を備えた車両の後
部ポストと窓ガラスの間に装着せしめてなるの
で、室内空気の吸出し効果が大きく、且つ換気孔
を開けることによるボデイパネルの強度の不足や
それによる変形を生ずることがない。また、突出
部を車両の窓枠内側に設けられたガラス取付溝に
嵌込むと共に、他側長辺の溝に移動したガラス窓
の縁を嵌挿し、前記中空体を引戸式窓を備えた車
両の後部ポストと窓ガラスの間に装着せしめるこ
とにより、その装着が非常に簡単になり、換気装
置を既存の換気装置がない車両に対しても、ガラ
スと同様に設けることができる。また座席に座る
人の視界を妨げてしまうこともない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであつて、
第１図は本考案を実施した自動車の外観を示す側
面図、第２図は換気装置の外観を示す側面図、第
３図は、第２図のＡ−Ａ矢視断面図、第４図は一
部を破断して示す換気装置の斜視図、第５図は第
３図を分解して示す説明図である。 ３……換気装置、４……窓枠、６……車内側ケ
ース、７……車外側ケース、９……後部ポスト、
１０……窓枠ゴム、１２……突出部、１３……ガ
ラス取付溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内側面に換気入口孔および外側面に換気出口孔
   を有し略長方形で車両の窓枠の幅と同一厚さに形
   成した中空体に、該中空体の一側長辺並びに該長
   辺に接続する両短辺に突出する突出部と、他側長
   辺に窓ガラスの縁部が嵌挿する溝とを形成し、前
   記突出部を車両の窓枠内側に設けられたガラス取
   付溝に嵌込むと共に、他側長辺の溝に移動したガ
   ラス窓の縁を嵌挿し、前記中空体を引戸式窓を備
   えた車両の後部ポストと窓ガラスの間に装着せし
   めてなる車両用換気装置。