JPS6139621Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は殊に自動車のウインドシール部から車
体内に浸入して内板の内側に洩れようとする水を
排水する装置に関するものである。

自動車のウインドシールに使用されるウエザス
トリツプの特に隅部（コーナー部）はその両側か
ら引張力をうけるため経時変化が著しい。

上記隅部はまた雨水が集まりやすいところであ
るから、前記経時変化が著しくなると、雨水は表
面張力によつて経時変化により生じたウエザスト
リツプとパネルとの隙間から車室内に浸入する。
そして前記パネルは通常外板と内板からなり、内
板と外板は上端（或いは上下端）で接合（溶接
等）されており、前記ウエザストリツプはその上
端接合部に嵌合されているから、前記ウエザスト
リツプの経時変化による雨水の浸入が生ずると、
浸入した雨水は前記上端接合部から内板の内側を
伝わつて車室内を浸水させる可能性が高い。

従来、自動車のウインド回りに使用されるウエ
ザストリツプの外側に設けられた水抜き用の切欠
きをなくして自動車の外観を向上させるため、リ
ヤクオータウインド後部付近に形成された換気用
空気流出ダクトを利用した固定窓回りの水抜き構
造は、実開昭54−166608号公報で知られており、
これはガラス下縁部を嵌装したウエザストリツプ
のガラス嵌装用溝底面に、ウエザストリツプ下面
とアウタパネルの窓枠形部上面間に形成した水案
内通路に連通する貫通孔を設け、固定窓近傍の車
体に設けられる換気用空気流出ダクトと水案内通
路を連通する水抜き穴をアウタパネルに設け、水
抜き穴から前記ダクトに流出した水をアウタパネ
ルに設けた換気口より外部に流出させるガイド部
材を設けたものであるが、前記ガラス嵌装用溝底
と通ずる貫通孔、水案内通路、水抜き穴及びガイ
ド部材はアウタパネル、インナパネルの上端合わ
せ面より外側に設けられており、従つてウエザス
トリツプから内板の室内側に洩れる雨水に対応す
るものではなく、内板の室内側に伝わり落ちてく
る水を内板の外側に排出する手段も当然みられな
い。また、もしこの構造を内板の室内側に洩れる
雨水に対応するため利用しようとしてもかなり大
掛かりとなり、構造の複雑化は避けられない。

本考案は上記に鑑み、前記の如きウエザストリ
ツプと内、外板の接合部との隙間から洩れて前記
内板の表面を伝わり落ちてくる水を、特に別部品
を使用せず効果的に室外へ排水する装置を提供す
ることを目的とするもので、その要旨とするとこ
ろは内板と外板の接合部にウエザストリツプが嵌
合された車体の、前記内板の室内側における前記
ウエザストリツプの隅部下方にＶ字形集水ビード
部を突出形成し、且つ該ビード部のＶ字底部にス
ロツトをあけ、上記集水ビード部で受けた水を前
記内板の室外側に排水せしめるようにしたことに
ある。

以下その実施例を図面により説明すると、 図において１はハツチバツク型乗用車のリヤク
オータガラス、２はリヤクオータを構成する外
板、３は同内板で、それらの各上霜のフランジ部
２ａ，３ａをスポツト溶接等により接合するとと
もに、前記外板２の下端のフランジ部２ｂは後記
フロアパネル９とともに上記同様接合されてい
る。４は前記接合されたフランジ部２ａ，３ａに
嵌め込まれたウエザーストリツプ、５は前記内板
３の内側に設けられた荷物室６の仕切板、７は前
記仕切板５の上方において該仕切板５と前記内板
３の間に設けられたトリムで、左右に設けられて
いる。８は左右のトリム７間に配置された棚板、
９は左右の内板３間に連結されたフロアパネルで
ある。

１０は前記内板３の室内側において、リヤクオ
ータガラス１が接する前記ウエザーストリツプ４
の後方の隅部４ａ付近の下方位置に形成したＶ字
形の集水ビード部で、該Ｖ字形集水ビード部１０
は、下方に向けて互いに近ずく方向に傾斜させて
おり、その下方の交叉部分（Ｖ字底部）１０ａの
上端には、排水のため横長のスロツト１１が設け
られている。該スロツト１１は第４図に示すよう
に前記Ｖ字底部１０ａの上下で段差がつくよう形
成され、内板３の内側へ洩れた水が流れ落ちてき
たとき、この水がＶ字形集水ビード部１０により
ガイドされ、スロツト１１から内板３の外側（外
板２側）へ流れるようにしている。尚、１２は前
記内板３の室外側（外板２側）の前記スロツト１
１の下方位置において、前記外板２の下方フラン
ジ部２ｂを屈曲させて形成された排水孔である。
なお、前記Ｖ字形集水ビード部１０の断面は、内
板３に対して室内側へ突出する形状であれば図示
の台形又は山形のものに限られない。

上記構成になる本案排水装置では、前記のよう
にウエザストリツプ４が経時変化により前記フラ
ンジ部２ａ，３ａとの間に隙間を生じ、ここから
雨水が浸入して前記内板３の室内側の表面を伝わ
り落ちてきたとしても、この水は前記Ｖ字形集水
ビード部１０によりガイドされてスロツト１１か
ら内板３の外側（外板２側）へ流れ、この例では
更に内板３の室内側の表面を伝わつて下方へ流れ
て前記排水孔１２より車外へ流出する。従つて室
内に雨水が溜ることがない。

本考案は上記のように内板と外板の接合部にウ
エザストリツプが嵌合された車体の、前記内板の
室内側における前記ウエザストリツプの隅部下方
にＶ字形集水ビード部を突出形成し、且つ該ビー
ド部のＶ字底部にスロツトをあけ、上記集水ビー
ド部で受けた水を前記内板の室外側に排水せしめ
るようにしてなるので、前記ウエザストリツプの
隅部下方にＶ字形集水ビード部を突出形成するこ
とにより、ウエザストリツプの隅部から洩れる雨
水を効率よく集水し、またこの排水のために特別
な部材を一切装着する必要がなく、部品点数減、
コスト低減及び組付け作業不要等の効果を奏する
とともに、前記ビード部のＶ字底部にスロツトを
あけ、内板の室外側に排水せしめるようにしてな
るので、Ｖ字形集水ビード部で集水した水を手際
よく室外に排水できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案排水装置を備えたハツチバツク
形乗用車の車体の一部を破断して同車体の進行方
向左前方からみた斜視図、第２図は前記車体を斜
め後方からみた斜視図、第３図は第２図のＡ−Ａ
線断面矢視図、第４図は第３図のＢ部拡大図であ
る。 １……自動車車体、２……外板、３……内板、
４……ウエザストリツプ、５……仕切板、６……
荷物室、７……トリム、８……棚板、９……フロ
アパネル、１０……Ｖ字形集水ビード部、１１…
…スロツト、１２……排水孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内板と外板の接合部にウエザストリツプが嵌合
   された車体の、前記内板の室内側における前記ウ
   エザストリツプの隅部下方にＶ字形集水ビード部
   を突出形成し、且つ該ビード部のＶ字底部にスロ
   ツトをあけ、上記集水ビード部で受けた水を前記
   内板の室外側に排水せしめるようにしてなる自動
   車の排水装置。